• 購入について

購入について

◆「賃貸」にはない「持ち家」のメリットとは

住まいを考えるときの最大ともいえるテーマ、「持ち家」か「賃貸」か。双方、メリットもデメリットもあり、
一概にはどちらが優れているとは言い切れません。
しかし「持ち家」には「賃貸」にはないメリットがあるのも事実。
「持ち家」の購入に向けて、そのメリットやポイントを確認していきましょう。

月々の支払いが「住まい」という資産になる

「賃貸」だと、どうしても月々の支払いが「掛け捨て」に感じがちですが、「持ち家」ならローンによる月々の支払いも「住まい」という資産になります。
資産になるということは、いざというときに売却すればお金にできるので安心感もあります。この「安心感」こそが、「持ち家」の最大のメリットです。
 
また、転勤などで住めなくなったとき、賃貸のように気軽に住み替えができないというデメリットはあります。
もちろん、売却できれば住み替えも可能ですが、売却先がすぐに見つかるとは限りませんし、
何より住み慣れた家と周囲とのお付き合いを含む住環境を手放すのは、とても抵抗があると思います。
 
しかし、そういうときの一つの方法として「賃貸」が挙げられます。家賃収入が得られ、資産として住まいを所有したまま有効活用できるわけです。
転勤の期間が2年あるいは3年などと決まっているのなら、その間だけ貸す「定期借家契約」にすれば、
戻って来たときに円滑に退去・引渡しがされて、元の家に再び住むことができます。

リフォームやリノベーションが自由な「持ち家」

最近は「賃貸」でも「カスタマイズ賃貸」という、自分でDIYができる物件もありますが、それでも手を加えられる範囲は限られます。
「持ち家」なら、自由にリフォームやリノベーションが行え、一戸建てならほぼ全ての部分で可能です。
マンションでも「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」や、マンション独自の「管理規約」や「使用細則」で定められている範囲であれば、
リフォームやリノベーションを自由に行うことができます(※)。
一方、「賃貸」にはどうしても「妥協」がつきものです。「理想」を追求したいのであれば「持ち家」がよいのかもしれません。
 
※マンションごとに管理規約および使用細則が定められているので、実際にはこれらの確認が必要です
。施工には管理組合の承認が必要になるので、その取り決めも規約で確認しましょう。

「持ち家」購入時の注意点

立地は十分に検討して選ぶ

「賃貸」なら住み替えが容易ですが、「持ち家」だとそう簡単にはいきません。
そのため「持ち家」を探す際、重要度が高いのが「立地」です。
最寄り駅までの距離や周辺環境の利便性は、変えることができません。
住んでから後悔することがないよう、立地については、いくつもの観点から十分に検討して選ぶことが必要です。
 
間取りで選びがちだが広さを考える

「持ち家」探しの際は、間取り=部屋数で条件を決めて物件を決める人が多いでしょう。
家族人数に対する部屋数は、とても大事な要素なので、それも間違えではありません。
しかし、同時に全体の「広さ」も考えることをおすすめします。
元の広さが十分であれば、家族構成が変ったときや部屋の使い方を変えたいときにも、
間仕切りをするなどで比較的簡単に対応できます。
場合によってはリフォームもできるでしょう。
しかし面積を拡大することは増築以外にはできません。
ですので、例えば部屋が狭い4LDKを選ぶのか、ゆったりと面積の広い3LDKにするのかなど、柔軟な視点で考えるといいでしょう。
 
背伸びしない予算と返済計画

「持ち家」を購入する多くの人がローンを利用しますが、
あまり背伸びした購入予算を設定すると、当然ローンの返済負担が重くなります。
月々の返済負担を軽くするために、借入期間を長くすることもできますが、
その分金利負担が多くなります。無理のない返済計画を立て、適切な設定で借り入れましょう。
後に「繰上返済」という手段もありますが、借入れ時には、現状の収支をベースに資金計画・返済計画を立てることをおすすめします。

◆マンションVS一戸建て 選び方の基準は?

家の購入を考えるとき、まず悩むのはマンションと一戸建てのどちらにするか、という問題です。
 
予算や生活スタイル、住む地域の特色などによって優先順位が変わってくるので、一概にどちらの方が優れているかを結論づけることはできません。
その点、比較が難しくなりがちですよね。
 
そこでこの記事では、マンションと一戸建てを比較する基準を三つご紹介します。
最終的には自分なりに決断するにしろ、考えるための手がかりをこの記事から見つけていただければと思います。

費用面で比較!ランニングコストも忘れずに

まず、費用面から比較検討をはじめる人が多いでしょう。
費用というと、購入費用だけを思い浮かべがちですが、実際には住み始めてからの管理費用・手数料も加味する必要があります。
いわば、イニシャルコスト(初期費用)とランニングコスト(運用費用)の両面があるわけですね。
 
イニシャルコストを見ると、一戸建ての方がマンションよりも高額になる傾向があります。
その一方で、ランニングコストはマンションの方が高くなります。
管理費や修繕積立金などの名目で、毎月支払いが続いていきます。
30年や40年住み続けることを想定すると、ランニングコストだけで1,000万円以上に達することも少なくありません。
 
一般的に費用面はマンションが有利ですが、物件ごとの管理費や支払いの見通しなどを踏まえて冷静に判断すべきと言えます。

生活面の比較は優先事項のピックアップから

生活面を踏まえて比較するのも一般的です。
しかし、どうしても比較基準が多くなりがちで、かえって比較しきれなくなり混乱してしまうこともあります。
比較基準はなるべく絞り込んで、基準を5個程度までにすると、かなり比較しやすくなります。
 
絞り込みには、まず比較基準自体を検討します。
つまり、「何を基準として一戸建てとマンションを比較したいか」という優先順位をつけるわけです。
家族構成や年齢、価値観などに応じた優先順位に従って、両者の比較を行うのです。
 
たとえば、セキュリティーや災害対策を重視したいのであれば、マンションが優るでしょう。
エントランスにモニター付きのインターホンがありますし、管理人やコンシェルジュの存在もあります。
いきなり見ず知らずの人が玄関までやってくることがないのは、マンションの大きな利点です(もちろん、古いマンションだとモニターや防犯カメラがないこともあります)。
 
一方で、騒音や駐車スペースの存在を重視したいのなら、一戸建ての方が満足できるでしょう。
隣人による騒音で悩まされにくいですし、家の敷地内に車を駐車できるのは便利です。駐車スペースに屋根があると、雨の日でも濡れずに車を利用できます。
 
このように、何を優先するかによって比較基準や考え方が変わってきます。物件を検討する前に、自分たちの優先事項をピックアップすることから始めましょう。

将来の資産価値まで考えよう

将来の資産価値で比較することもできます。
しかし、一概に一戸建てとマンションのどちらが有利かは言うことができないので、物件単位で慎重に検討する必要があります。
その場合、いずれ経年劣化する物件をリフォーム・修繕することを前提に、どこまで手を入れられるのか確認しておくとよいでしょう。
 
物件を購入するとなると、長く住み続けることが前提となるはずです。
将来売却したり賃貸に出したりすることまで想定すると、なるべく資産価値が維持されやすい物件にしたいものです。
 
一戸建ての場合は、仮に老朽化によって建物の資産価値が下落しても、土地の資産価値は維持されやすいというメリットがあります。
一方で、マンションは駅に近い立地や便利な立地にあることが多く、資産価値が維持されるとともに、将来の売却や賃貸が比較的容易な面もあります。
 
一戸建てもマンションも、リフォームやリノベーションによって、物件の資産価値を維持させる手があります。
ただし、許可や申請が必要なこともあるので、購入前に確認しておくべきでしょう。一戸建ての場合は、自治体に確認や申請を出すケースもあります(施工会社に任せることも可能です)。
マンションの場合は、管理規約を読んだり管理組合に尋ねたりするとよいでしょう。

新築と中古どちらを買う?
家選びで誰しも悩むのが、新築にするのか中古にするのかということです。
 
購入価格は中古の方が安いけれど、その分建物が劣化しているかもしれないし、コミュニティーのルールが煩雑そうだし……と、
あれこれ調べるほど心配事ばかり増えて、余計に混乱してしまいます。
 
重要なのは、基礎知識として新築と中古の違いを頭に入れ、そのうえで一物件ずつ検討することです。
そのための「基礎知識」として、三つの違いをご紹介します。

違いその1:情報収集の方法が違う

初めて物件を探す人はあまり知らないことが多いのですが、新築と中古では情報収集の方法から異なっています。
新築はモデルルーム(ハウス)、中古は実物を見ることで、実際の住宅のイメージをつかみます。
 
新築の場合は、まずインターネットや雑誌を介して情報を収集し、いくつか候補を選びます。
その後、モデルルーム(ハウス)に出かけて実際の住宅のイメージをつかむことになります。
中古の場合は、同じくインターネットや雑誌で情報収集するのに加えて、不動産会社に希望条件の物件を探してもらうように頼むことができます。
その後、候補に挙がった物件の場所へ現地見学に出かけます。
 
新築と中古のどちらにしても、実際の住宅のイメージをつかめると、判断に役立ちます。
ただし、新築物件のモデルルーム(ハウス)は、実際の物件とは間取りや外観などが異なっていることもあります。
中古の物件の場合は、実際の物件を見られるのでモデルルームのような「実物との違い」は問題になりませんが、古い分耐震性を評価する資料がないというケースもあります。
また、売主が居住中のまま売り出されている物件は、内見に制限がつく場合があるので、事前に確認が必要です。

違いその2:物件価格は当然中古が安いが……

新築と中古の違いとしてもっとも分かりやすいのは、物件の価格でしょう。
当然中古の方が安いのですが、いくつか注意すべき点もあります。
 
まず、新築と中古の価格差は立地によって異なるということです。郊外の方がその差は大きくなりがちです。言いかえれば、郊外の方が中古物件の資産価値の下落率が大きいということです。
 
物件価格を考えるのであれば、現在の(購入時点の)価格だけではなく、将来の資産価値も考慮したいものです。
郊外物件を購入する場合は、現在割安に感じても、将来の資産価値が大きく下落する可能性まで考える必要があります。
将来年齢を重ねてから、利便性のために都市部に戻ってくることまで想定して、郊外の中古物件を購入すべきか判断するとよいでしょう。
 
予算に余裕があり、将来の資産価値を重視したいのであれば、あえて都市部の新築マンションを狙う手もあります。

違いその3:コミュニティーへの関わり方

新築と中古だと、物件のある地区のコミュニティーに対する関わり方や感じ方が異なってきます。
 
新築マンションの購入や、新しく売りに出された分譲地に住宅を建てたケースを考えてみましょう。
この場合、自分だけではなく近隣住民の多くも「新参者」です。
入居時期の近い「同期」ということで、一体感が生まれやすくなります。
集合住宅や地区のルールにも、同じペースで慣れていく(似たような失敗をするかもしれません)ために、共通の話題も持ちやすく、コミュニティーの中で疎外感を持つ可能性が低いのです。
 
一方で中古物件の場合は、自分だけが「新参者」となります。慣れるまでが少し大変ですが、積極的に溶け込む姿勢を見せれば問題ないことがほとんどです。
すでにあるコミュニティーですから、現地見学のときにそのコミュニティーの雰囲気をチェックすることもできます。
転入者に不親切、ルールが厳しそうなど、ネガティブな要素が見られる場合は、条件と照らして候補から除外することもできます。
これは中古ならではのメリットと言えます。

◆購入物件の希望条件を整理する

住宅の購入を検討する際には、予算の範囲内でいくつもの希望条件を考え合わせて、住みたい家を探すことになります。
あれこれ悩むのは仕方がないとしても、できるだけ早く確実に希望物件にたどり着くように、条件の整理方法を把握しておきましょう。

考えられる希望条件を挙げていく
「閑静な住宅街の広めの住まい」、「通勤・生活に便利な立地の物件」、「便利だけど自然にも近くて子育てに適した家」など、
住宅購入にあたっての希望条件は人それぞれです。
ただ、「そろそろマイホームを買うのもいいかな」というおぼろげなイメージだけの場合、折込みチラシを見たり、
インターネットで物件情報を検索したりする程度にとどまり、
なかなか購入に向けての行動が具体化しないことがあります。
 
その主な原因は、「明確な希望条件を整理していない」、「購入条件の判断基準がない」ことにあります。
その状態では、もしも自分にとってベストな住宅に出合っていたとしても、見逃してしまうかもしれません。
 
そこで最初の作業として、希望条件をしっかり考えて明確にすることを行います。
まず「これだけは譲れない」という条件を出していきます。
多くの人は複数の希望条件を挙げるはずですから、その点は気にせず思いついたものを列挙していきましょう。
 
例えば、
・駅から徒歩10分以内
・部屋数はリビング以外に三つほしい
・保育(幼稚)園・小学校にできるだけ近い場所
・できるだけ静かな住環境
といったものです。この段階では、多少「無理があるかな」と感じるような条件でも構いません。
精査は後工程でやるので、まずは自分(たち)がどんな住宅を欲しいのかを理由付けをしながらしっかり考えてみましょう。

希望条件に優先順位をつける

希望条件を列挙したら、次に優先順位をつけていきます。絶対に譲れない条件と譲歩可能な条件を取捨選択するイメージです。
こうすることで、自分が望むマイホーム像が具体化され、住宅を購入する意欲も高まっていきます。
家族がいる場合は、家族それぞれの希望条件を挙げて、同じ手順で優先順位をつけていきます。
 
この「優先順位付け」は、とても重要です。この後、数ある物件情報の中から候補物件を見つけると、現地見学に進むことになります。
現地で新築やリフォームされた実物を見ると、紙面や画面での情報と違いとてもきれいに見えるものです。
さらに街の雰囲気や広さ、機能的な設備、眺望なども魅力的に感じ、例えば毎日の通勤を楽にしたいから「駅から近い住まいが希望」だったはずなのに、
「少しくらい遠くてもなんとかなるよね」とその場の雰囲気で本来の最優先条件を下げてしまうことが起こり得ます。
そしてこのような場合には、得てして購入後に「やっぱり駅から近い方がよかった…」と思ってしまうものなのです。
 
このように候補物件を絞り込む中で、もしも気持ちが揺らいだときに正しい判断ができるように、その理由とともに希望条件の優先順位を明確にしておくことが必要なのです。

希望条件を考えるときに知っておくべきこと

希望条件を考えるとき、あるいは優先順位をつけるときには、「変えられないもの」を頭に入れておくといいかもしれません。
例えば、立地、日当たりの向き、周辺環境、土地面積、マンションの専有面積などです。住んでから変えることができないこれらのものをどの程度重視するのか、
この時点できちんと考えておくことが、後悔のない住み替えにつながります。

また、将来の暮らしの変化も、具体的に予測しておくことが必要です。家族が増える可能性とそのときの部屋数を考える、
あるいはいずれは実家に戻るかもしれないならば、売却や賃貸を視野に入れた物件選びをするなどです。
 
あれこれ考え合わせるのは大変ですが、多くの人は予算の制約がある中で最良の住まいを探していくことになるので、
丁寧に希望条件を精査して、満足して住み続けられる住まい購入を実現しましょう。

◆住宅購入時は希望立地をよく考えよう

憧れのマイホームの購入。それは多くの人にとって一生で最も高額な買い物かもしれません。
それだけに、家の立地については大きな迷いが生じることもあります。
どんな場所を選んでもメリットとデメリットが併存するだけに、ここがベストだという土地を選ぶのは、なかなか難しいことです。
それでも、立地を決めるためのポイントはあります。
いくつか候補地がある中で、「何を重視すれば自分にとって住みやすいのか」を明確にして、より良い選択をしましょう。

通勤・通学の利便性で考える

基本的に、永住することを前提に購入するのがマイホームでしょう。
マイホームから毎日大人は通勤し、子供は通学します。それだけに、マイホーム選びでは通勤・通学の利便性を重視しましょう。
 
ドア・ツー・ドアでかかる時間を考える

まず、通勤・通学にかかる時間を考えます。マイホームを買ったのに会社への通勤が片道2時間以上もかかるようでは、快適な生活とは言えません。
 
子供は公立の小・中学校なら、大抵通学時間はそれほどかかりません。
しかし私立の小・中学校や高校に通わせると、場所によっては随分と時間がかかるようになります。子供には大きな負担になってしまいますし、
防犯面でも不安です。ドア・ツー・ドアで、通勤では最長1時間半、通学で1時間以内に収めるようにしましょう。
 
バスを利用する場合、バスは道路事情によって運行時間が左右されやすいので、利用時間帯の道路の混み具合と運行本数も確認しておくといいでしょう。
 
環境や安全面を考慮する

家から最寄り駅・バス停までの道のりとその様子についても考えます。
駅から自宅まで距離が離れていて、夜は道が暗く人通りも少なくなるような場所だと、
特に子供や女性にとっては不安が伴います。逆ににぎやかでも、繁華街では治安を気にする必要が出てくるかもしれません。
 
また、道のりの交通量や歩道・ガードレールの有無などは、特に子供の安全にとっては必須の確認事項です。

ライフスタイルに合った立地を選ぶ

住宅を探すときには、「静かな所で暮らしたい」「便利で楽しい場所がいい」など、さまざまな理想があるでしょう。
しかし、最も大切なのは、自分たちのライフスタイルに合わせた立地選びかもしれません。
立地は一度選ぶと変えることができませんし、その場所で快適に生活できるかどうかは、住まいの満足度に直結するからです。
 
どのように暮らしたいかを考える
ライフスタイルは、家族の人数、年齢、家族構成によってさまざまですから、家庭によってニーズも異なります。
当然、ベストな立地もライフスタイルによって変わってくるでしょう。
 
例えば、一人暮らしの人は、とにかく利便性を重視するかもしれません。
駅に近く、周囲に商店街や商業施設があれば、通勤にも買い物にもとても便利です。飲食店がたくさんあると、外食にも事欠きませんね。
 
家にいる間は喧騒を離れて静かに過ごしたいという人は、むしろ便利な環境からは遠めの郊外を好むかもしれません。
車やバイクを主な交通手段としている人なら、公共交通路の便利さは必要性を感じないでしょう。
 
子供がいる家庭では、学校との位置関係、先に述べた通学路の安全性のほか、塾や習い事に通えるか、すぐに連れて行ける病院は診療科目ごとにそろっているか、
安心して遊ばせられる公園はあるかといったことも関心事になるでしょう。
 
この他、趣味を主軸に考える場合もあるでしょう。本格的に菜園などをやりたいなら、広い土地が手に入る自然あふれる郊外。
サーフィンなどのマリンスポーツをいつでもやりたいのなら、海の近く。また、都会でなければかなえられない趣味もたくさんあります。
 
このように、今どういう暮らしをしたいのかで、希望立地は大きく変わってきます。

周辺の環境や開発計画を見て考える

建物については、購入後に手を加えることでより住みやすくできますし、古くなったらリフォームやリノベーションで改善することもできます。
しかし、立地は変更できません。それだけに、その周辺の環境、暮らしやすさがどうかということはとても大切です。
さらに将来についても、家の立つ場所がどう発展し変わっていくのかをできる範囲で確認、予測しましょう。
 
現在の住環境がどうなっているか

まず考慮すべきは、その土地に住んだ後の生活の利便性です。
マイホームを買って子供を育てていく上では、毎日の買い物や学校への通学、公共施設などの利便性は、暮らしの快適さや満足度に大きく影響します。
 
周辺に同じような家族構成の世帯が多く住んでいれば、子供に友達ができやすいですし、親同士も行動パターンや話題が重なるので、親しい間柄になりやすいです。
これらは地域になじむことにつながりますので、そういった視点での生活のしやすさを見極めるために、購入を決める前にそのエリアを歩いてみるといいでしょう。
できるなら、平日・休日の様子を確認することをおすすめします。
 
先の開発計画がどうなるか
住まいを買えば、その場所に10年20年と長く住むことになります。
現状だけでなく、これから先そのエリアがどうなっていくのかをできるだけ知っておきましょう。
 
例えば、若者が少なくて過疎化の進行が予測される場所であれば、学校の閉校やショッピングセンターの閉店などの恐れがあります。
生活の利便性は低下してしまうかもしれません。
逆に今後人口が増える可能性が高い場所に住まいを買えば、店や公共施設が充実し、生活の利便性がさらに高まることが予想されます。
新駅の開業や他の鉄道路線への乗り入れが開始され、交通の便が格段に良くなることもあります。
ただし、発展と引き換えに「閑静」や「落ち着き」が失われることがあることも念頭に入れておきましょう。
 
また、発展性のある場所は、資産価値の上昇が見込めます。将来的に自宅を売却して、そのときの希望の場所に住み替えることもできるかもしれません。
 
このように、住まいの購入を考えるときは、今の住みやすさはもちろんのこと、先々の環境の変化を考慮して、立地を選ぶことで、
「買ってよかった」と思える住み替えを実現していただきたいと思います。

間取りの考え方を理解して住まいを選ぶ

住宅購入の際に間取りの基本的な考え方を知っておかないと、入居後に住みにくさを感じて後悔することにもなりかねません。
平面図の上では住み心地が良さそうに見えた家でも、実際に住んでみると必要な設備が分散していたりして、不便に思うこともあるのです。
家族構成や暮らし方によって、どんな間取りがいいかは変わってきますので、いろいろな考え方を知っておきましょう。

「生活動線」を考える

暮らしやすい間取りとは、まず「生活動線」が考えられていることが挙げられます。
「生活動線」とは、各居室や設備への人の動き(道筋)のことで、日常生活を送る上で快適さを左右するとても大切な要素です。
 
家事動線1:炊事・食事

例えば、炊事をするキッチンと作った物を食べるダイニングが離れているとどうでしょうか。
料理や食器を運ぶ距離が遠いのは面倒ですね。
運ぶ物によってはこぼしたり、ぶつかったりというリスクも高くなります。それが複数回だとさらに大変ですし、まして毎日のこととなると非常にストレスが溜まるものです。
ダイニングがキッチンのすぐ近くにある、または楽に行き来が出来る導線であるならば、日々スムーズに炊事・食事ができます。
 
また、キッチンに勝手口があると、いろいろと便利です。例えばたくさんの食材を運び入れるときに、玄関ではなく勝手口から入れられれば、
一旦置いておくにしてもすぐにしまうにしても楽にできそうです。ゴミが多くなったときに、収集日まで外に出しておけるのも勝手口の利点です。
 
家事動線2:洗濯

洗濯も基本的には毎日発生する家事の一つです。
ですから、やはりストレスのない導線が必要になります。
考えるべきは、洗濯をする洗濯機置き場と仕上がった洗濯物を干す場所の導線です。
例えば、洗濯機は1階、物干しベランダは2階でいいのか。
室内干しの場合、乾燥機がある浴室とのつながりはスムーズかなどを念頭に確認しましょう。
 
日常動線:トイレ・洗面・浴室
トイレは利用回数が多いだけに不便な場所にあると困りますが、かといってダイニングの近くや玄関から出入りが見えるような場所では、不都合に感じることもあるでしょう。
水が流れる音も気にならないような配置がいいかもしれません。
 
洗面所と浴室は、一般的には隣接しているものです。
そこに「脱衣」という行為が入ってくるので、家族で洗面と脱衣が重なった場合には、ある程度の広さがないと同時には使えないということになります。
さらに洗濯機置き場も併設されることが多いので、洗濯物のカゴを置くスペースなども考える必要があるでしょう。
 
このように、一つひとつの家事の導線と、家族みんなが生活するという関わりの中での導線を考える必要があります。
忙しい朝の時間帯での洗面所付近のすれ違いや、深夜に寝ている家族を起こすことのないトイレの配置など、家族での暮らしを考えながら、間取りを考えていきましょう。

家族構成の変化を考える
家族での暮らしは、年月とともに様子が変わっていくものです。
まず夫婦二人の暮らしが大きく変わるのは、子供の誕生です。
その後、子供の数だけ家族人数は増え、その都度暮らしの様子も変化していきます。
やがて子供が成長すると親元の家を離れるときが訪れます。
再び家族の人数が減り、元の夫婦二人に戻っていきます。
途中、もしかしたら年を重ねた親と三世代同居になることもあるかもしれません。
 
このような家族人数の増減や状況の変化によって、必要な部屋数や住まいの機能も変わります。
 
例えば、子供が乳幼児の頃までは、部屋数の必要性はあまり感じないかもしれません。
しかし、成長とともに学習の環境を整えることや、自立心を培うために子供用の個室が必要になるでしょう。
やがて子供が大学生や社会人になって独立すると、子供部屋は不要になります。
もしかしたら夫婦二人では使い切れない部屋が出てくる可能性もあります。
さらに親が高齢になれば、バリアフリー住宅などの安全性に配慮した、機能面での変更が必要になるかもしれません。
 
このような、将来的な居住ニーズの変化に対応するためには、「壁を新たに設けて個室を増やす」、逆に「壁を取り除いてリビングを広くする」などの対策が考えられます。
将来的なリフォームの予算化が難しい場合、最初から部屋に可動間仕切りがある家を選んでおけば、簡単に部屋の分割・拡大が実現できます。
 
この場合、大掛かりな工事をしなくても、例えば、最初は大きめの子供部屋を作り、子供が増えて二部屋必要になったら、間仕切を動かして子供部屋を二つにできます。
子供が独立したら、収納部屋を一つ作り、後は夫婦が過ごしやすいような大きなリビングと寝室のみに変えてもいいでしょう。
 
また、最初から階段などに手すりを設置しておく、居住間の段差がない家を選ぶなどは、購入時に将来を見越して検討できる事柄です。

リビングの使い方あれこれ

主に家族が集まり、団らんの時間を過ごすために設けられるリビングですが、それ以外の用途や意味を持たせる使い方が増えています。
例えば、勉強部屋としての子供部屋を設けずに、リビングで勉強させる家庭があります。
また、1階のリビングに階段を設けることで、外出時・帰宅時に家族が必ずリビングを通る動線の間取りも人気です。
いずれも家族間の自然なコミュニケーションを重視した使い方です。
 
また、キッチンのスタイルも進化・多様化しています。
すでに一般的になっている対面カウンター型キッチンは、料理をしながらリビングにいる家族の様子がわかり、
子供が配膳の手伝いなどもしやすいことから人気のタイプです。
対面カウンター型キッチンの派生形として、アイランド型、ペニンシュラ型、L字型、コの字型などがあり、
夫婦で料理を楽しみたい人や大勢の人を招いたホームパーティーをしたい人など、使い方によって広さや形を選ぶことができます。
一方、閉じた空間となる独立型のキッチンは、煙やにおいが広がりにくく、多少雑然としていても気にならないという点が長所としてあり、あえて選ぶ人が多いようです。
 
暮らし方や家族とのコミュニケーション、将来の変化までを見据えて、住まいに求めるもの、家族での快適な暮らしを考えて間取りを決めましょう。

世帯タイプ別の住まい選び
現代は家族のあり方も多様化しています。結婚しても子供をつくらない夫婦、そして一生独身で生活していくことを選ぶ人も増えました。
もしも、住宅選びの際に自分と家族のライフスタイルに合わせた住まいを選ばなければ、単に不便な家になってしまいます。
それぞれの世帯にとって、最適な住まいとはどのようなものかを考えてみましょう。

子育てファミリー向けの住まい

ライフスタイルの多様化が進んだとはいえ、結婚して子供を育てる人が多いことに変わりはありません。
子供を育てるのに適した住まいとはどのようなものでしょうか。
 
広さと部屋数のどちらも必要
子供を生み育てるならば家族は3人以上になりますから、まず広さや部屋数が必要です。狭い家では物があふれ、子供が小さな時期は安全とは言えませんし、
遊ぶスペースも十分に確保できません。成長とともに子供用の部屋も必要になります。
 
3人家族であれば60平方メートル以上で2LDK以上の間取り、4人家族であれば70平方メートルで3LDK程度の広さと間取りが欲しいところでしょう。
 
教育施設や病院からの距離

子供のことを考えると、保育園・幼稚園・学校からの距離も確認しておかなければなりません。
特に子供が小さなうちは、急な発熱で通園先にお迎えに行かなければならないことも考えられます。
子供が小さいと、なにかと病気にかかることも多いものですし、
病院が遠いと通院が大変になります。
また、私立の学校への通学を考えているなら、学校までのルート・距離も確認しておかなければなりません。
 
子供が遊ぶ公園なども、しっかりチェックしておきましょう。できれば普段気軽に行ける小さな公園に加え、
ボール遊びや自転車の練習ができて自然が感じられるような、大きな公園も地域にあるのが理想的です。
 
自家用車を利用する場合

繁華街から近い物件であれば、大抵は交通アクセスも便利な立地ですが、静かな郊外の住宅を希望する場合などは、生活に車が必要になることが多いでしょう。
子供がいるなら、車があった方が何かと便利ということもあります。家族で出掛けるときはもちろん、急に具合が悪くなったときなどは特に助かります。
また、乳幼児の頃は、自転車で連れ出すよりも、車での移動が安心かもしれません。
 
自家用車を備える場合は、物件選びの際に駐車スペースの有無を確認しましょう。車通勤が可能な仕事ならば、駅までの距離はあまり考慮せずに物件探しができます。
ただし、小・中学校から子供を私立に通わせる場合や、塾の行き来も駅から遠いと大変になります。
また、女の子の場合は高校生以上になって帰りが遅くなると、それはまた心配の種になりますから、いろいろな可能性を考慮することをおすすめします。

二人暮らしの住まいで重視すること

一方、夫婦二人でずっと生活したいという人はどのような住宅を選べば良いでしょうか。
 
通勤や利便性を重視

夫婦二人暮らしは共働きが多いため、通勤面を重視した住まいを選ぶことが多いようです。
共働きですから年収面では恵まれていることが多いです。
多少価格が高くても駅に近いマンションなどを購入すれば、通勤や買い物の面で日常に不便さを感じずに暮らせるでしょう。
仕事で多忙な二人でも、時間を有効に使えそうです。
 
便利なサービスがあるマンションという選択肢

大規模マンションなどでは、コンシェルジュサービスが付いていることがあります。
共働き夫婦は互いに忙しいですから、なかなか家事に時間を割くことができません。
そこでコンシェルジュサービスを利用すれば、クリーニングの手配や家事サービスの手配などのサポートが受けられます。
 
また、共働きをしていると留守の時間が長いので、防犯面が心配です。
その点、マンションは住戸とエントランスの2カ所にロックがありますし、
加えて管理員やコンシェルジュの目が常にあれば、なおさら安心感は高まります。
 
このように、生活スタイルや求める防犯機能に応じたサービス、セキュリティーシステムが充実しているマンションという選択肢もあります。

年代別単身者向けの住まい

男女共に晩婚化や未婚化が進んでおり、単身のまま生涯を過ごす人も増えています。
そういった人はどういった家を買えば良いでしょうか。
 
若い単身者は資産価値が落ちにくい物件を

単身者でも20代から30代と、40代から50代では考え方は違ってきます。
20代から30代の単身者で、晩婚または非婚で過ごそうと明確に決めている人は、そう多くはありません。
いずれ結婚の機会が訪れることもあるでしょう。
ですからこの年代の単身の人が自宅を購入するときは、将来の結婚の可能性を視野に入れて、
結婚後に売却が容易で資産価値が落ちにくい単身者向けマンションを選ぶことをおすすめします。
 
具体的には、まず駅から近い物件が妥当です。
予算との兼ね合いもありますが、ターミナル駅か、電車の接続に便利な駅ならなおいいでしょう。
買い物施設も充実しているなど、利便性の高さが重要です。
街に独自の特長や魅力があればさらにいいですね。
このような物件なら、将来賃貸するという選択肢も考えられます。
 
中年以上の単身者は老後の生活環境を考える

40代から50代の単身者になると、若い人よりも「一人暮らし」に対する覚悟が強まってきます。
買った家が「終の棲家」となる可能性が高いので、高齢になったときのことを考えておきましょう。
 
通院、買い物で利用する交通インフラ面が充実していて、将来的に生活環境面が悪化しない場所がおすすめです。
長く歩くことが難しくなりますから、電車だけでなく、バス路線が充実したエリアを選ぶことも大切です。
また、アップダウンのある土地や階段・段差のある住まいは避けた方がいいでしょう。
今は丈夫で健康だとしても、将来的に不安を感じることがない住まい選びを心掛けましょう。

購入前に知っておきたい住まいの「階段」

2階建て以上の複層構造の住宅では、「階段」は欠かせないものです。
かつては、玄関脇や廊下の奥などにあるのが普通でしたが、今では種類のバリエーションが増え、設置場所も自由にプランニングができるようになっています。
デザイン性にもこだわれば、建てる人の個性が表現されたすてきな住まいづくりができるでしょう。

階段の種類と特徴

階段は、その形状によりいくつかの種類に分けられます。
 
直階段

昔から、多くの住宅で取り入れられていたのが「直階段」というタイプ。曲がりがない直線で、真っすぐに上り下りします。
設置するのにスペースをあまりとらず、見た目もシンプル。狭小住宅や費用を抑えたいときに注目される階段です。
ただ、限られたスペース上に設計することで勾配がきつくなると危険なので、注意しなければなりません。
 
折り返し階段
途中部分でスペースを設けることで、階段が反対方向に区切られているタイプです。
折り返し部分の「踊り場」を境目に、180度向きを変えて上り下りします。
万が一上から落ちても途中でストップできるというメリットがありますが、設置するにはスペース的な余裕が必要です。
 
かね折れ階段
折り返し階段と同様に、途中で踊り場があるのが特徴です。
ただし、形がL字形という点で、U字形の折り返し階段とは異なります。
このタイプも、落下事故をある程度防ぐことができるメリットがありますが、面積的に設置が厳しいケースもあるでしょう。
 
らせん階段
中心にある柱の周りをぐるぐると回転しながら上り下りする形状が特徴的ならせん階段。
デザイン性を表現しやすいので、室内をおしゃれな雰囲気にする設計との相性がいいです。
上から見ると円筒状をしており、スペースが狭くても設置できるのもメリットです。
ただ、大抵は踏み板が三角形になるので、足元が不安定になる可能性があります。
子供や高齢者のいる家庭では、慎重に考えた方がいいかもしれません。

多様な階段デザインとそれぞれのメリットなど

今や階段には、デザイン性に富んだものがたくさんあります。
例えば踏み板の下に隙間がある「オープン階段」。
階段の向こう側が見えるため、室内が明るく、空間を広く感じることができます。
風が通る構造なので、空気がこもらず湿気対策にも効果があります。
ただ注意したいのは、隙間がリスクになること。
特に体の小さい子供がいる家庭では、安全性の高い手摺りやすべり止めの設置を考えるなど、慎重に選定した方がいいかもしれません。
 
また、昔からなじみがあって、現在でも多く見られるのが「箱型階段」と言われるデザイン。
踏み板と踏み込み板で、文字通り箱のように組まれた階段です。
安定感があるので上り下りしやすいのが特徴です。
もう一つ大きなメリットとして、階段の下部分をトイレや収納に活用できるということが挙げられます。
スペースの有効利用をしたい人にはおすすめのデザインです。
また、収納部分を工夫すれば、おしゃれな雰囲気を作り出すことができます。
 
素材によって、デザインはもちろん、部屋の雰囲気は大きく変わってきます。
例えば、オープン階段で、踏み板とそれ以外の部分にも木を使った場合、あたたかみがあり自然なやわらかさが生まれます。
一方、金属製にしたならば、ナチュラル感は出ませんが、スタイリッシュな雰囲気になるので、室内インテリアをいろいろ楽しめそうです。
 
単に「階段」といっても、住む人の個性を十分に表現できる重要な部分と言えそうです。

機能面以外で考える階段の設置場所

次に設置する位置を見ていきましょう。
昔は、玄関脇や廊下などに設置されることが多かったということはすでに書きました。
これは、単に上り下りするという機能面だけを考えて形にした結果でしょう。
ところが、今や階段の設置場所についても、さまざまな視点で考えるようになっています。
その代表的な例が、リビングに設置される「リビング階段」です。外出する、帰宅する、友達が遊びに来るなど、階段を通るたびにリビングを通過しなければなりません。
 
思春期の子供にありがちな「帰宅してすぐに自分の部屋に」というパターンでも、帰宅したかどうかがわかりやすくて安心です。
「ただいま」「おかえり」など、お互いに声をかけ合うことで家族の存在を意識し合うことができるでしょう。
「知らないうちに出掛けていた」という状況も防げて、家族とのコミュニケーションがとりやすくなるのが魅力です。
 
また、吹き抜けを一緒に作ればリビング上部が広がり、開放感のある空間づくりができます。
しかし、この場合は注意点もあります。
リビングの音が上に伝わりやすいため、「リビングのテレビの音が響く」と2階にいる人の不満が増えることもあるでしょう。
また、空間が広がれば、部屋の温度調節により負荷がかかります。
冷暖房の効き具合には、多くの電力を使うことになるので、心に留めておきましょう。

「住宅の性能評価」とは
「住宅性能評価」とは、国土交通大臣の登録を受けた住宅性能評価機関が、
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて、住宅を第三者の目で客観的に評価する制度です。
この性能評価を受けた住宅とはどういうものなのでしょうか。

住宅性能表示制度とは
新築・中古を問わず全ての住宅を対象に、構造の安定性、火災時の燃えにくさ、劣化しにくさ、維持管理・更新への配慮などの性能を証明することを、
「住宅性能表示制度」と呼びます。
前述の住宅性能評価機関が1から5等級で、住宅の性能を判断して付与した評価となっています。
新築住宅と既存住宅では、評価項目などに違いがあります。ここでは、新築住宅の場合について見ていきます。
 
新築住宅での性能の表示は以下の10分野で評価します。
 
・構造の安定に関すること
・劣化の軽減に関すること
・温熱環境に関すること
・維持管理・更新への配慮に関すること
・火災時の安全に関すること
・空気環境に関すること
・光・視環境に関すること
・音環境に関すること
・高齢者等への配慮に関すること
・防犯に関すること

 
このうち「構造の安定」から「維持管理・更新への配慮」の4分野が必須項目となっています。
 
性能評価には設計図書による評価を算出した「設計住宅性能評価」、そして施工後の立入検査評価結果をまとめた「建設住宅性能評価」の二つがあります。
 
中古住宅については、新築時に性能評価書が交付されていない住宅に対しては、目視による簡易的な評価のみとなっています。

住宅性能表示制度での優遇について

「住宅性能評価書付き住宅」を購入するメリットは、まず安心・安全な家に住めるということでしょう。
住宅性能評価書付き住宅に住めば、以下のような優遇も受けられます。
 
地震保険料が安くなる
住宅性能評価書付き住宅に住む場合、地震保険料の割引を受けることができます。
具体的な割引率については、評価された耐震性能の等級を基準として、木造物件よりも鉄筋コンクリート(RC)造物件のマンションの保険料が安く、
高い耐震性能の住宅はより保険料が安くなります。
 
住宅ローン金利が安くなる場合も
高品質な住宅の建築を促進するため、住宅性能評価書付き住宅など高性能の住宅購入者を対象に、金利優遇制度を用意している金融機関があります。
仮に金利が0.1%変わると、毎月のローン返済額は千円程度の減額かもしれませんが、返済総額が100万円程度下がる場合もあります。
例え、住宅性能評価費用が住宅の販売価格に含まれていたとしても、金利優遇で十分相殺できる計算になります。
また、将来的に住まいを売却することになったときでも、有利に進められる可能性があります。

万が一のトラブルでも安心
また、住宅性能評価書付き住宅は、何らかのトラブルにより建設工事の請負契約や売主との売買契約において、
当事者間で紛争が起きたときに、第三者機関に紛争処理の申請ができます。
国土交通大臣が指定している「指定住宅紛争処理機関」があり、
住宅性能評価書付き住宅に関しては、1万円の申請料で、当事者の間に入って紛争解決に当たってくれます。

住宅資金の前にライフプランを考えよう
今回の記事では、住宅取得計画においてライフプランを作る重要性について説明します。
住宅取得は人生でも最も高額な買い物の一つですが、住宅取得以外でも子供の学校や老後、車、冠婚葬祭など、お金の出ていくイベントはたくさんあります。
そして、大体どの時期にどの支出が必要になるかは、前もって分かるものです。
 
これらを「ライフプラン」としてまとめることが、住宅取得計画を考えるうえではとても重要になります。
どの時期にどのようなお金が必要か、それをどのように貯めていけるかをライフプランを通じて夫婦間で共有することで、余裕を持って生活を送ることができますし、
夫婦の絆も深まるでしょう。では、ライフプランを作成するうえで特に重視すべきポイントや作り方について見ていきましょう。

なぜライフプランが必要なのか?

ライフプランが必要なのは、住宅購入が多くの人にとって「やり直しの利かない一世一代の買い物」だからです。
 
もしも自分の収入や貯金額に見合わない家を買ってしまったら、住宅ローンの負担に生涯悩まされることにもなりかねません。
生活にも支障を来したり、家を売却する羽目に陥ったりするリスクもあります。
 
したがって、住宅購入に際しては慎重な資金計画が必要不可欠です。
資金計画には、当然住宅ローンの支払いが含まれます。
しかしそれ以上に、住宅以外の支出の見通しをつけることがとても重要です。
 
住宅ローンを払い続ける間にも、さまざまなお金が出ていきます。
子供の教育費、親の介護費、そしてもちろん保険料・年金・税金……、これらを含めた資金計画を考える必要があるわけです。
 
その他の支出を含めて、住宅ローンの支払いを続けられるか検討します。住宅ローンの完済時期に加えて、いつ借り換えや繰り上げ返済をするのかという支払計画まで織り込んでおくと、
いざ住宅を購入した後も安定して支払いを続けやすいと言えるでしょう。

ライフプランで大きな柱となる「3大資金」

ライフプランを考えるときに、大きな柱となるのが、「人生の3大資金」と呼ばれる「住宅資金」「教育資金」「老後資金」です。
まずはこの三つからプランニングについて説明します。
 
住宅資金については、前述の通り住宅ローンの完済時期や支払い計画を検討します。
また、購入前にいくら頭金を貯められるのかを収入と照らして考えます。
 
教育資金については、子供の人数ごとに進学先の方針とその費用すべてを調べて盛り込みます。
もしも小学校や中学校で私立を受験する場合は、学習塾などの費用負担も想定しなければなりません。
高校、大学でも、公立か私立かで大きく違ってきます。
収入が不足する場合、妻のパート収入が必要になる場合もありますから、夫婦で十分話し合って決めることをおすすめします。
 
老後資金については、退職金や年金がどれくらい支給されるのかを見積もりましょう。

将来的に、こうしたお金をローンの支払いに充てることも考えられます。ただし転職した場合など、退職金が著しく減る、あるいはほぼもらえない可能性もあるので注意が必要です。

ライフプランを見て認識を共有しよう
ライフプランは、家族全員で共有することがベストです。
少なくとも、夫婦二人は資金計画についての認識をそろえておく必要があります。
 
せっかくライフプランを立てても、それが自分ひとりの頭の中にとどまっているのでは意味がありません。
人生を共にする家族にも、ライフプランについて考え、理解してもらうべきです。
 
認識の共有のためには「見える化」がおすすめです。
子供がいる場合は、成長して家を出ていくまでの年表を作成し、必要となるお金の概算額を書き込むと分かりやすくなります。
 
表を基にすれば、どのような資金をどのように貯めていくのか、夫婦で建設的に話し合いやすくなります。
住宅購入資金についても、どれくらい仕事を頑張る必要があるのか、
買い物を我慢する必要があるのかなど、冷静に話のできる状況を整えられますよ。

住まいを買う契約の流れ
住宅購入における情報収集の方法、申込み方法など、知っておきたいポイントや注意事項などをまとめました。

物件選びについて
1.マンションか一戸建てか

「自分の土地」にこだわりのある人、あるいは長年一戸建てで暮らしてきた人は、
やはり持ち家の購入を考えるときには一戸建てが前提となる傾向があるようです。
一戸建て志向の人は、主にマンションになりますが、集合住宅の場合は隣戸や上下住戸への気遣い、
管理組合での活動などが煩わしいと感じることが多いようです。
 
反対にマンション志向の人は、一戸建ての人がデメリットに感じることをメリットとして捉えている場合が多く、
例えば同じ建物内に暮らすことでコミュニティの形成が楽であること、
管理組合を通じた管理会社による清掃やメンテナンスが日常的に行われるので居住者自身は手がかからないなどが挙げられます。
 
このような住まいおよび暮らし方の好みに購入予算を考え合わせて、まずは購入物件を決めることになります。
ただ、それぞれにさまざまな物件が存在するので、先入観で考えを固定せずにまずは広くたくさんの物件情報を見てみることをおすすめします。
例えば、一戸建てでは借地権(定期借地権含む)も選択肢となるので、思ったよりも低めの予算での購入がかなうかもしれません。
また、1階の専用庭付きマンションならば、一戸建てのようにガーデニングなどを楽しむことができるでしょう。

いずれにしても、全て満足できる物件を見つけるのはなかなか難しいことですから、自分や家族にとって重要な事柄を考慮し、
予算と価格が合致するところを探りながらライフスタイルに合った物件を選んでいくことが大切です。
 
 
2.新築か中古か
一般的には中古住宅よりも新築住宅を好む人が多いようです。
誰も住んだことがない新しい家に住むというのはうれしいことですから、
それはうなずけます。ただ、好みということであれば、
購入した住宅をそれこそ自分の好きなように手を加えて思い切り個性を出したいという人には、
中古住宅が向いていると言えます。
 
予算面で考えれば、基本的には新築の方が高いのはごく一般的な傾向なので、
金額面でどちらにするかも重要な選択の分かれ目になるでしょう。
ただし、新築住宅の購入には税制面での優遇措置が受けられるというメリットがあるので、そのことも考慮するといいでしょう。
 
また、新築住宅は完成前に購入を決めなければならない場合がありますが、中古住宅の場合は物件を見て確認した上で購入判断ができるという点で違いがあります。
 
 
3.物件情報の収集
 
希望通りの物件との巡り合いの機会は、多くの物件情報を収集すればその中から見つかる可能性は高くなるでしょう。
ただし、単に量だけではもしかしたら時間を使うだけの結果になるかもしれません。そうならないためには、以下のような入手ルートに関する知識はかなり大切になります。
 
(1)インターネットを活用する
インターネットには、アットホームのような不動産に特化した物件情報のポータルサイトが存在します。
日本全国、全物件種別の最新情報が掲載されているので、候補物件の検索のほか、希望地域の物件価格相場を知る上でもとても役立ちます。
所在地から探す、沿線・駅から探す、通勤・通学時間から探すなど、その人に合った探し方ができるので、素早く候補物件の情報を集めるには最適といえます。
 
(2)不動産会社独自のWebサイトを利用する
例えば分譲開始時に人気が高まりそうなブランド物件の情報を集めるには、販売(代理)する不動産会社のWebサイトを閲覧するとともに、
その不動産会社の「友の会」などに複数入会しておくといいでしょう。入会(会員登録)はほとんどの場合は無料なので、気軽に利用できます。
登録時に希望条件を入力しておくと、マッチング機能により概要物件が出てきたときに自動で知らせてくれるサービスも選択により利用できます。
 
(3)新聞折込みチラシ等
住まいの近くの物件情報は新聞に折り込まれるチラシが役立ちます。また地域に特化したフリーペーパーなどの刊行物にも不動産情報が掲載されていることが多いので、気にして見てみるといいでしょう。

不動産会社への訪問、購入申込み~売買契約締結まで
1.不動産会社に問い合わせる

上記の手段で物件を探して候補物件を見つけたら、不動産会社に問い合わせをして内見の段取りを取り付けます。
新築分譲住宅の場合は、オープンハウス(ルーム)として公開されている場合が多いので、
開催日に内見に行かれるように手続きをします(フリーで公開している物件、予約が必要な物件があります)。
中古住宅は売主が居住している場合があるので、事前に連絡の上内見日程を調整、確定していく必要があります。
 
2.取引態様について
また、物件情報を公開している不動産会社はそれぞれ取引上の立場が異なります。
これを「取引態様」といいます。
不動産の物件広告にはこの取引態様は必ず明記されていて、例えば「売主」、「販売代理」、「仲介(媒介)」などと書かれています。
買主が物件を購入するという行為だけを考えれば、どの取引態様でも変わりがないように思えますが、
仲介手数料の有無が異なるなどの違いがありますので、
物件ごとに取引態様を確認しましょう。基本的に中古住宅の購入では不動産の立場は仲介になります。
一概にどの形態がいいとは言えませんので、取引態様を確認したらそれぞれの対応の違いも調べておきましょう。
 
3.購入の申込み
分譲住宅、分譲マンション等の広告には、「購入お申し込みの際には申込証拠金○○円と印鑑をご用意ください」などと表記されていることがあります。
これはその物件を気に入って購入を申し込む際には、申込書に必要事項を記入して提出することのほかに、
指定の「申込証拠金」を預ける必要があることをあらかじめ伝えているわけです。
申込証拠金の意味合いとしては、一般的には購入者の申込みが真剣であることを証明するということが挙げられます。
これらがそろって初めて「この住宅を買いたい」という意思表示が行えることになるので、必要なものは忘れないようにしないといけません。
購入が確定したときには、後日支払う何らかの費用に充当されることがほとんどです。

また、収入が証明できる書類(源泉徴収票や納税証明書等)が必要な場合も多いので、
何が必要なのかが不明な場合は事前に不動産会社に確認しましょう。
 
4.重要事項の説明
不動産取引には確認すべき項目、複数の法令による規制などが含まれるため、
宅地建物取引業法(以下宅建業法)では不動産会社には一般消費者である物件購入者に対して、
売買契約の締結に先立って「重要事項説明」義務を課しています。
 
重要事項説明は不動産の専門家と言える「宅地建物取引士」が、購入希望者に対し「宅地建物取引士証」を提示し自分が有資格者であることを証明した上で、
「重要事項説明書」によって販売物件の内容や取引条件などを説明しなければなりません。
 
前述のように、重要事項説明は契約締結前に行われるものですから、不明な点があればそのときに確認することができます。
言い方を変えれば、不明点を確認しないまま重要事項説明書に署名捺印しさらに売買契約書に署名捺印して契約を締結した後では、そういう意味だとは思わなかったとか、
聞き漏らしていたとか言っても内容を改訂することはできませんし、契約を取りやめることもできません。
ですから、細大漏らさず説明を聞いて、全て納得した上で重要事項説明を終えることがとても大切なのです。
 
5.売買契約
重要事項説明を受けて全て納得した上で完了したなら、売買契約の手続きに入ります。
契約は口頭でも有効ですが、宅建業法では取引の安全と買主保護の観点から、
不動産会社が自ら当事者として売買契約を締結するときには、買主に一定の事項を記載した書面(売買契約書)を交付するように義務付けています。
仲介の場合も同様に取り扱われます。契約書に記載される事項は、
購入する物件や取引の条件によって多少の違いがありますが、基本的な事項は次のとおりです。
 
・売買物件の表示
・金銭に関すること(売買代金・手付金等の額・支払日)
・土地の実測及び土地代金の精算
・境界の明示
・所有権の移転と引き渡し
・付帯設備等の引き継ぎ等
・負担の消除
・公租公課等の精算
・手付解除
・危険負担(引き渡し前の物件の滅失・毀損)
・契約違反による解除
・反社会的勢力の排除
・特約
・契約不適合責任
売買代金の支払いと登記手続き


1.売買代金の支払いの流れ
物件の購入意思を固め、その申込みから物件の引渡しを受けるまでにはさまざまな費用名目で金銭を支払うことになります。
主な費用を内容とともに記しておきます。
 
(1)申込証拠金
主にその物件を購入したいという意思表示の証拠として支払います。一般的には5万円~10万円程度を不動産会社に預けることが多いようです。
 
(2)手付金
手付金は売買契約を締結する際に、契約当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいいます。
手付金は契約が約定どおり履行されるときは、売買代金の一部に充当されます。
 
(3)内金(中間金)
内金は売買代金の一部弁済金をいい、前払いの性格を持っています。
売買代金の全額を一時に支払わず、2回以上に分けて支払う場合の最終残代金以外のもので、内入金とも呼ばれています。
買主が売買代金の一部である内金を売主に支払ったときには、買主は契約の履行に着手したことになり、
売主は手付金を倍返しして契約解除ができなくなります。
 
(4)残代金…本物件の引渡し時または融資実行時
物件の引渡し時(融資実行時)には残代金の精算という形で、支払い手続きが行われます。
売買代金の残金や諸費用を支払うと、物件の登記を行うという流れになっています。
残金は売買代金から既に支払っている申込証拠金、手付金、内金を引いた金額になります。
残代金が融資額より多い場合は、その不足分を現金等で準備しなければなりません。
また、物件の引渡しから住宅ローンの実行までに期間が空く場合は、一時的に金融機関からつなぎ融資を受けることが必要になります。
 
2.登記手続きの進め方
不動産会社から住宅を購入する場合には、物件の登記手続きはその会社が手配してくれるはずですが、登記手続きは自分以外の誰かに代理申請してもらうときは、
その業務は司法書士しかできないことが法令で定められています(一部は土地家屋調査士も可)。
したがって、知識があれば当事者自身で行うことで、代理申請にかかる費用を削減することができます。
ただ、やはり専門知識が必要になりますから、無理して自分でやることはおすすめしません。
 
不動産登記がなぜ必要かといえば、登記は第三者にその不動産が自分のものだと主張できる対抗要件になっているからです。
 
例えば、Aさんがある不動産を購入したとします。
ところが売主が同じ物件をBさんにも売っていたとしたらどうなるでしょうか。
当然AさんはBさんとその物件の所有権の移転を巡って争うことになります。
しかし、Aさんが購入時に不動産の所有権移転登記を済ませていれば、
物権変動を第三者であるBさんに認めさせることができるのです。
実は不動産の登記は法令上の義務にはなっていないので、うっかり忘れるということも起こり得るのです。
自分の財産を守るために、登記は必ず行いましょう。

物件購入の申込み前から売買契約までの流れ
住宅をいざ買うとなると、購入の手順や注意すべきことなどがよくわからないものです。
しかし、1千万円単位の高額な商品ですから、わからないままでは当然不安でしょう。
そこでまずは、物件購入の申込み前から契約までの流れを把握しておきましょう。

購入申込みまでにすること
まず、購入申込みまでにすることは以下の通りです。
 
物件見学
購入申込みの意思を固めるためには、入念な物件チェックが必要です。
モデルルームで物件の説明を受けるのはもちろん、現地でもくまなく確認しなければいけません。
買ってから後悔しないためには、物件そのものと周辺環境も含め、自分の希望と照らしてよく考えましょう。
自分以外にも検討者がいる状況であれば、
先を越されないように焦ってしまうかもしれませんが、そういうときこそ落ち着いて不動産会社の販売担当者に申込みの回答期限を確認して、
速やかにかつ入念にチェックをして決断することが重要です。
 
購入条件の確認
物件の申し込みをする前に、購入価格と引渡し日などの条件面をきちんと確認します。
例えば、「○○万円まで下がれば」という価格交渉や「設備に○○を付けてほしい」などの仕様面の交渉ごとも、この段階ではっきりとしておきます。
希望条件を含めて、申込書によって購入したい旨の意思表示を行うのです。
言い換えれば、これ以降にやはりこうしてほしい、こうならないか、と言い出しても通りませんのでご注意ください。

購入申込み~売買契約ですること
購入申込みから売買契約にかけては、以下の事を行います。
 
購入申し込み
多くの場合は、内見に出かけたモデルハウス・モデルルームなどで、「購入申込書(中古物件の場合は「買付証明書」)」に必要事項を記入して、
販売担当者に渡すことで申込みが完了します。
中古物件では、大抵は先着順で申込みが受け付けされます。新築物件で抽選方式をとる場合は、後日抽選会が行われ購入者を確定します。
 
申込金の支払い
売主によっては、申込み時に申込金を徴収するケースがあります。
申込金額は10万円などに設定されることが多く、申込み時に売主へ預け入れる形になります。
申込金が必要かどうかはケースバイケースなので事前に確認しておきましょう。
 
住宅ローンの事前審査
現金で一括購入するケースは少ないので、多くの人は住宅ローンを申し込むための「事前審査」を受けます。
「事前」といっても、「個人信用情報」という過去の借り入れによる延滞履歴も含め、金融機関は細かく調査します。事前審査に通過しなければ融資の申込みはできません。
早ければ1営業日ほどで結果が出ますが、3~5営業日かかることもあります。
事前審査には、源泉徴収票や健康保険証などの書類提出が必要です(すべてコピーで可)。
時間を無駄にしないためには、前もって必要な書類は何かを確認しておくとスムーズに進むでしょう。
 
重要事項説明
重要事項説明とは、購入物件についての詳細な内容、契約についての具体的な取り決めなどを売主側から買主に対して説明するものです。
重要事項説明は、宅地建物取引業法の定めにより、必ず宅地建物取引士が資格証を提示して契約締結前に行わねばなりません。
説明・確認項目はたくさんありますが、曖昧なまま聞き流していると後で後悔することになりかねません。
契約前に契約内容を確認できる最後の機会ですので、わからないことは何でも質問して解消しましょう。
 
売買契約の締結
重要事項説明について、すべて理解・納得ができたら、買主は重要事項説明書に署名・捺印します。
ここまで終えたら、売買契約の締結に進みます。「売買契約書」のほか「設計図面」や「地盤調査資料」といった添付書類の内容を確認します。
すべて問題なければ、いよいよ売買契約書に署名捺印をして契約が結ばれます。

購入申込みは撤回可能か
結論から言うと、購入申込みの撤回は可能です。
「申込み」には法的拘束力がないので、特にペナルティーもありません。
仮に申込金を納入している場合は、原則として全額返金されます。
 
住宅は、とても高額で大切な買い物です。
検討の途中で考えが変わったり、家族の新たなニーズに気づいたりということは、
よりよい住まいを手に入れるためには起こり得ることです。
ですから、「あれだけ良くしてくれた営業担当の人に悪いから……」という気持ちがあったとしても、
もしも申し込んだ物件が目指すものではなくなってしまったのなら、我慢せずに申込みは撤回した方が良いでしょう。
 
ただし、売主が申込みを受け付けるということは、その物件の募集をストップさせるということです。
申込み後一週間でのキャンセルだとしても、売主にとっては大きなロスになります。
そのため、買う側の心得としては、軽い気持ちで申し込んだりせず、検討を重ねて購入意思が固まってから申し込むようにしましょう。

物件の最終確認と残代金の精算・引渡し

売買契約が終わっても、売買取引が完了したわけではありません。
売買契約を締結した後に、買主が行うことは、まだいろいろあります。
事前に準備しておくものもあるので、順を追って見ていきましょう。

物件の最終確認の注意点
売買契約を結んだら、最終的には物件の引渡しによって取引完了となります。
しかし、引渡しの前にもう一度、物件を見る機会があります。
それが「物件の最終確認」です。これは買主と売主両者が立ち会って行います。
引渡し後に「ここが違う」「こんな傷はなかった」などのトラブルが発生するのを防ぐためのものです。
現地見学時点では、工事が終わっていないことが多いので、その時とはイメージが違っていることもあります。
安心して買うための最後の確認機会なので、漏れのないように入念にチェックしましょう。
 
物件状況報告書(告知書)
「物件状況報告書」とは、売主側が準備・提示するもので、取引条件の現況について書かれています。
具体的に雨漏り、シロアリ被害、給排水管の状態、増改築の履歴、土地境界、地盤・土壌について、
浸水被害、近隣の建築計画、騒音・振動など多岐項目にわたります。
 
過去の履歴を含め現況を正確に知っておくために、物件状況報告書(告知書)の確認は欠かせません。
 
付帯設備表
「付帯整備表」とは、対象物件の設備の有無、または故障・不具合の有無が記載されている書類です。
この付帯整備表は売買契約書の付属書類となっています。
売買契約書と照らし合わせて、内容が合致しているかを再度確認します。
 
特に中古物件の場合は、残置物と撤去物についての記載は、認識の相違があると引渡し時にトラブルになりかねないので、必ず明確にしておきます。
 
主要設備では給湯設備を含む水回り、空調。その他設備では、照明、収納、建具などです。
付帯設備表における分類や記載方法は不動産会社ごとに異なります。
 
また、住戸内だけでなくベランダやインターホンを含む玄関外、一戸建ての場合は門扉、塀、アプローチ、庭、車庫などといった外構も要確認項目です。
 
動作確認
「動作確認」とは、その名の通り設備・機器などが正常に使える状態かの確認です。
特に各部屋の扉や建具、窓、鍵のかかり具合などもすべてチェックしておきましょう。
機器に関しては、台所、トイレ、浴室といった、水回りの水栓状態、付属している調理器具やオートバス、オートロック(モニタ・通話)など数多くあります。
もし、ガスが開栓していない状態で動作確認ができない機器があった場合は、「入居後ガスが通り次第、〇日以内に確認」といった形で、特記事項として記してもらいましょう。
 
加えて、壁、床の傷の有無やクロスの汚れ・剥がれ、壁・ガラスのひびの有無、各所ネジのゆるみなどもチェックしておく必要があります。
生活する上で欠かせない電気・ガス・水道の元栓位置、および使い方、トラブル時の連絡先なども確認しておきましょう。
 
内覧会
新築物件では、施工完了後に買主が住戸の仕上がりを確認する機会として、「内覧会」が行われます。内容は前記と同じです。

残代金の精算と諸費用の支払いなど

物件の最終確認が終わったら、残代金の支払いと諸費用の支払いを行います。
 
まず、購入する不動産について、手付金など事前に納めている金額を差し引いた「残代金」を支払います。
一般的に住宅ローンを利用する人が多いですから、ローンを借り入れる金融機関で融資実行と同時に残代金の支払い手続きを行うのが、通例となっています。
このとき、住宅購入にかかる「諸費用」の支払いも合わせて行います。
 
「諸費用」とは、不動産会社に支払う仲介手数料、登記費用(司法書士への報酬、登録免許税)、固定資産税・都市計画税の買主負担分などです。
お金の準備のほかに、実印や住民票(同居する人全員分)、写真付きの身分証明書も必要です。早めに用意しておきましょう。
 
また、残代金の精算が済むと、合わせて不動産登記手続きを行います。
通例は、買主の権利を守るために一刻も早く登記申請をするので、そのために司法書士は引渡しの場に同席して、
一連の手続きが済むとすぐに法務局での所有権移転登記、抵当権設定登記を行います。

物件の引渡し
通常、残代金の支払いと諸費用の支払いとを物件の引渡しは、一連の流れとして同日に行います。
これら手続きには、買主、売主、仲介する不動産会社担当者、金融機関担当者、司法書士といった関係者が一堂に会する必要があるからです。
前項の記述にもありますが、一般的には金融機関の個室が提供されて、そこで行います。
 
さて、残代金の支払いが完了して融資が実行されたら、いよいよ物件の引渡しになります。
物件種目により異なりますが、住戸の鍵の他に建築確認通知書・検査済証、設備類の取扱説明書・保証書、管理規約などを受け取ります。
 
登記手続きを司法書士に任せる場合は、売主・買主はここで引渡し完了となります。
 
引渡し日の設定や代金精算の段取りは不動産会社が主導して行ってくれますが、
買主が準備しなければならない書類などがありますから、
任せ切りにせずに流れも含めて把握しておくようにしましょう。

マイホームの引渡しから入居までの流れ
マイホームの「引渡し」は、まさに夢が実現する瞬間です。
そして待望の新生活に思いをはせることでしょう。
でも実は引渡し時は事務手続きが多く、大変なのです。
入居までも引越しの手配や移転手続きなど、やることがとても多いです。
引渡しから入居までの流れを知って、スムーズな新生活の開始に備えましょう。

引渡しまでに行われること
新居の売買契約を締結したら、いよいよ引渡しに向けて動き出します。
売主との間で引渡し日を決めますが、その引渡しまでにやることはとても多いです。
大部分はお金と登記に関することです。
その多くは、販売(仲介)を担当する不動産会社が調整してくれますが、買主自身が準備しなければならないことはもちろんありますし、
それぞれの内容を当事者である買主が知っておくことは、とても大切です。
 
まずは購入物件の残代金の精算です。住宅ローンを利用する場合は、融資の実行をもって精算となります。
引渡し当日に、金融機関のオフィスに関係者が集まるのが一般的なやり方です。
融資実行により、残代金が支払われたことを買主・売主双方が確認し、清算が完了します。
その後、不動産登記に入りますが、ここから先は不動産会社と司法書士にほぼ任せることになります。
もちろん自ら不動産登記をすることも可能ですが、個人で行うのはとても大変なので、専門家に任せることをおすすめします。
 
残代金精算、不動産登記が終われば、いよいよ引渡しの段階に入ります。
引渡しのメインイベントは「鍵の受け渡し」で、この鍵の受領こそマイホームを手にした瞬間と言えるでしょう。
あとは引越し日を決めて、引っ越しするだけです。
 
もちろん引越し日前でも、鍵はあるので新居へ行くのは自由です。自分で運べるものは運んでおきましょう。
ただし新築マンションの場合は、入居説明会で引越し日が決められているので、その日以外に大きな荷物を運ぶことは避けましょう。

入居日までにやっておきたいこと
荷物の整理や片付けはもちろん、ほかにも入居日までにやっておきたいことはいろいろあります。
特に新居用のカーテンやブラインドは、新居のサイズに合わせたオーダーメイドにするなら、完成するまで時間がかかります。
発注から納品まで2~3週間かかるので、早めに手配しておきましょう。
またカーテンやブラインドは、荷物を搬入する前に先行して設置することをおすすめします。
家具のレイアウトに影響しますし、入居までの日焼け防止にもなります。
 
床がフローリングの場合、入居前に清掃しワックスがけまでしておきましょう。荷物を入れた後だと、床全体へのワックスがけができなくなってしまいます。
もちろん、十分きれいだと判断したのなら、清掃のみで問題ありません。
 
ちなみに家具や家電を新規に購入する場合は、ものによっては入居前ではなく入居後をおすすめします。
内覧時にサイズを測っていても、本当にゆっくり考えられていないこともあります。
入居後すぐにないと困るものは別として、デザインや色合い、機能にこだわるもの、例えば照明器具やテレビなどは、じっくり選んだ方が後悔せずに済むのではないでしょうか。

入居に際して注意したいこと
賃貸物件から引っ越しする場合、賃貸契約の内容を早めに確認しましょう。
通常は引越し日の1カ月前に貸主に解約告知をすれば、円滑に退去できますが、契約によってはそれより前に告知しなければならない場合もあります。
もし違約となれば、違約金の支払いが発生する場合もあるので、そうならないように事前に確認しておきましょう。
 
また新居がマンションの場合は、入居説明会で引っ越しする「日」だけではなく、「時間」も指定されます。
引越し会社を手配する際は、その時間も含めて調整しましょう。
また引越し時期が「2~3月」だと、引越しのハイシーズンになってしまいますので、引越し会社の手配がしにくくなるだけではなく、費用も割高になります。
時期をずらすか、早めに引越し会社の手配をすることをおすすめします。
 
ちなみに自力で引越しする場合、特にマンションでは注意が必要です。
共用部分である廊下やエレベーターを傷つけないように毛布やダンボールなどで「養生」をする必要があります。個人でこの養生をするのはなかなか大変です。
新築マンションの場合は、同じ指定日に何世帯もが順番で引越しを行いますから、共用部分についてはマンション側で養生していることが多いです。
それでも、自分の住戸の周りは養生する必要があるので、その準備はしておきましょう。
いずれにしても、決められた時間内に引越し作業を完了しなければならないので、「プロ」に依頼することをおすすめします。
 
このように引渡しから入居までには、やらなければならないことがたくさんあります。何事も早めに準備することで、気持ちよくマイホームでの新生活を始めましょう。

販売担当者との上手なコミュニケーション術

住宅を購入するときは、物件を販売する会社、もしくは仲介会社の販売担当者の話を聞きながら検討、判断をしていきます。
自分が納得して家を購入できるかどうかは、販売担当者とうまくコミュニケーションを取れるかで変わってくると言うほど重要なことです。
では、販売側の担当者とはどのようにコミュニケーションを取り、どんな情報をもらえるようにすればいいのでしょうか。

販売担当者とは人と人との付き合い
住宅を購入した人の感想で、「営業の○○さんがよくしてくれたので、物件を買う気になった」という声を聞くことがあります。
家はとても高額であり、それゆえ家の購入は一生の中で結婚、出産、進学、就職に並ぶ大きなイベントと言えるでしょう。
それだけに大きな不安が伴うものです。そこで販売担当者のサポートが、安心・納得の住まい購入に大きな役割を担うのです。
 
例えば、予算ギリギリなのでどうすればいいか迷っている場合、その気持ちをしっかり伝えれば、販売担当者が近い条件で予算内の他の物件を提案してくれたり、
住宅ローンを含む資金繰りの手だてを考えてくれたり、あるいは値引き交渉の仲介に入ってくれることもあるかもしれません。
また、良さそうに思えて内覧をしたが、実際にはよくなかったというときも、なぜいいと思えなかったのかを具体的にきちんと話せば、
たとえ条件が変わったとしても、より希望に沿った物件を紹介してくれるはずです。
 
良い担当者に会えるかで、住宅購入に対する満足度は大きく左右されると言えますが、依頼する側も希望条件など、
考えていることを情報として提供し、真剣さを伝えるとともに、担当者がサポートしやすくすることが必要です。
 
販売担当者には、販売する立場によって二つの種類があります。一つは、「仲介」により取引を成立させる仲介会社の販売担当者。
もう一つは、物件の「売主」である会社やそのグループ会社などで、販売代理を行う会社の販売担当者です。
 
仲介会社の担当者は複数の仲介物件を扱っているので、1件目の内覧で気に入らなければ、さらに具体的な条件を聞いたり、
反対に条件を絞り込んだりして、できる限り要望に合う物件を紹介してくれます。
 
販売(代理)会社の担当者は、自社もしくはグループ会社などの物件を直接売る立場なので、取り扱っている物件についてとても詳しいと言えます。
マンションや分譲地の場合は、全体の住戸の販売状況を把握していますし、状況によっては、価格面や条件面の相談に応じてくれることもあります。
必要以上に身構えたり、向こうは売りたいだけだろうなどとドライに考えたりするのではなく、人と人との付き合いとして丁寧なコミュニケーションを取ることで、
満足のいく住宅購入に近づけるということを意識するといいと思います。

わからないことは何でも聞く
不動産会社の販売担当者は、住宅の購入者にとって非常に心強い味方です。物件そのものの情報以外に、購入に必要なさまざまな知識を持ってサポートしてくれます。
 
例えば住宅ローンの融資を受けるときには、不動産会社が間に立つことで融資が受けやすいことがあります。
融資条件が厳しい人でも、条件面での交渉や調整に動いてくれた結果、融資を受けられたということもあります。
また、住宅ローン控除などの節税ポイント、自治体における補助金制度などの費用負担を軽減できる方法を教えてくれるとか、
物件があるエリアに詳しい仲介会社の担当者は、暮らしに役立つ周辺環境の情報を細かく教えてくれることもあるでしょう。
 
ですから、購入を考える中で、よく分からない点があれば担当者に納得いくまで聞きましょう。
物件のことだけではなく、さまざまな面でアドバイスや提案をしてくれます。
数多くの物件を販売してきた担当者は、それだけ多くの人の悩みを解決した実績を持っています。
購入初心者にとって、これほど心強い味方はいないでしょう。相手はプロなので、遠慮なく頼ってもいいのです。

アンケートなどの情報提供は正直に
物件の現地見学やモデルルーム見学後では、アンケートを求められることがあります。
ここでは年収や勤務先などプライバシーに関わることを質問されます。
見学の段階でこんなことまでおしえる必要があるのかと思う人もいるかもしれません。
しかし、収入や勤務先は住宅ローン融資の可否の判断材料になります。
ここでプライバシーに関することを書きたくない、と突っぱねてしまうと、
不動産会社の担当者はどのような物件を紹介していいかわからなくなってしまいますし、この人はまだ真剣に購入を考えていないと思われる可能性もあります。
また、不正確な情報、例えば実際の年収より多めや少なめに書いたりすると、
後の住宅ローン融資の申請の際に確認に時間がかかったり、何より大きな買い物ゆえ信用が薄くなり、いいことはありません。
 
不動産会社としては、顧客の情報を集めたいのではなく、その人が確実に購入できる住宅を紹介するために、できるだけ詳細な情報を必要としているのです。
誠実に答えることで、それが自分のためになって返ってくると考えましょう。

新築物件の内覧会と入居説明会について

人生で最も大きな買い物でもあるマイホーム。中でも新築物件は完成前に購入することが多く、完成まで待ち遠しいものです。
引渡し時まで実際の購入物件が見られないのでは、売主・買主双方に不都合がありますし、契約トラブルに発展する可能性が生じてしまいます。
そこで、「内覧会」という引渡し前に完成した物件を見られる機会が設けられています。
また、契約後のスケジュールや手続きの説明が行われる「入居説明会」もあります。これらは入居前の重要なイベントですので、具体的な内容を知っておくことはとても大切です。


「内覧会」を効率よく最大限生かす
新築物件の場合、その多くは完成前に売買契約を行います。完成後、引渡し前に行われる新築「内覧会」は、出来上がった住まいを実際に見るのはもちろんのこと、
初期不良などをチェックする重要な機会。内覧会は一回きりなので、図面通りに出来上がっていない部分や不具合がある箇所を手直ししてもらう、唯一のチャンスです。
 
【新築内覧会に必要なもの】
・間取り図(その他図面類)、仕様書
・懐中電灯
・メジャー
・カメラ
・メモ帳とペン

 
図面・仕様書と見比べて、間違っていたり変更されていたりする部分などがないか、しっかりチェックしましょう。
その際、メジャーがあれば正確に隅々までチェックすることができますので必ず持参しましょう。
できれば暗い隅の方を照らす懐中電灯、背が届かない所を見るための折り畳み式の踏み台があると更に便利です。
確認する中で気になるところがあれば、遠慮せずに担当者に尋ねましょう。
その際は、必ずすべてメモに残しておきましょう。当日は施工会社担当者も立ち会うため、細かなところまで聞くことができます。
不具合箇所の改修有無を含めて、できるだけその場で確認し、解決していきます。
 
小さなお子さんがいる場合は、お子さんの行動によるトラブルを避けるため、大人だけで臨むほうがいいかもしれません。
その際は、できるだけ二人以上での参加をおすすめします。チェックリストは売主側で用意されることもありますが、
個人的に見るべき箇所も含めた、オリジナルのチェックリストを用意するといいでしょう。
また、専門家の同行なども可能なので、一緒に見てもらいながら確認していくと、より充実した内覧会にすることができると思います。
 
内覧会は時間が決められているため、すべてをチェックするのに、もっと時間が必要だと感じることもあるかもしれません。
その場合は、早い段階で時間の延長を交渉しておくことをおすすめします。

内覧会でのチェックポイント
図面通りに完成している否かをチェックするのは当然として、実際の動きや手ざわり、音や匂いまで、図面ではわからないことをチェックするのが新築内覧会のポイント。
五感をフルに使って、細かいところまでチェックしましょう。
 
ポイント1:動かせるものは動かす
扉や窓はもちろんのこと、換気扇や水栓など、動かせるものは全て動かしてみましょう。
扉や窓は開けやすさと確実に閉まるかをチェックし、鍵の掛かり具合も見ましょう。
開閉の際に異音が発生しないかも、聞きもらさないようにしましょう。
システムキッチン、給湯システム、洗浄器付き便座、床暖房、テレビモニター付きインターホンなど、設備機器の動作確認は余すことなく行います。
正しい挙動かどうかわからない場合は、遠慮せず担当者に聞きましょう。
 
ポイント2:点検口は中ものぞく
普段の生活では滅多に開けない点検口も、新築内覧会なら家具も何も置いていないので、位置がよくわかり開けることができます。
点検口は知っていても何のためにあるのかわからない、という人も意外と多いもの。
わからなければ担当者に聞いて、意味を理解した上で実際にのぞいてみましょう。天井の状態や断熱材、配管の具合などを見ることができます。
安心して住むためには見えない部分の確認も重要です。
 
ポイント3:匂いも確認
新築内覧会では、見た目も重要ですが、匂いも重要なチェックポイントです。
何カ月もの工事期間を経て完成に至っていますから、その間に不測の事態が起きていないとは限りません。例えば漏水、結露です。
これにより、カビが発生している事象は実際にありますから、水回りの点検口からの匂いに注意して、カビ臭を感じたら担当者に伝えましょう。
押入れ天袋の隅、屋根裏なども要チェックです。その他、気になる匂いを感じたら、担当者に確認しましょう。

新築マンションの「入居説明会」
新築マンションでは売買契約をした後に、「入居説明会」が行われます。マンションの場合、建物を区分所有するので管理規約などの取り決めも多く、
それらの説明を受ける必要があります。また駐車場や駐輪場など、共用部分の振り分けもこの際に行われます。
 
他にも住宅ローンの相談や申し込み、登記手続きの説明、住宅設備のオプションの打合せもこの入居説明会で行います。
入居までのスケジュールや各手続きのこと、居住ルール、管理体制など、事前に聞きたいこと、相談したいことは確認漏れがないようにメモにまとめてから参加することをおすすめします。
 
また、新築マンションの場合は多くの世帯が同時期に入居しますので、引越日の日程調整もこの入居説明会で行います。
大体の入居時期は、事前にわかっているはずなので、都合の良し悪しを確認しておきましょう。
 
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」。一生ものの住まいですので、入居説明会では何でも聞きましょう。

入居後のトラブルへの対応について
一戸建てやマンションを購入して順調に新生活を送っていたはずなのに、不運にもトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
中古物件だけでなく、新築で建物に関する不具合が見つかることもありますし、近隣住民との騒音問題など、トラブルにはさまざまなものが考えられます。
 
もちろん何もトラブルが起こらないことがベストですが、起こりうるトラブルやその対処について事前に調べておくことで、いざという時に適切に行動できるようになります。

不動産そのものに関するトラブル
マイホームを購入した後のトラブルとしては、まず建物そのものの不具合が考えられます。
例えば設備機器が本来の機能通りに動かない、建具その他住居のどこかが損傷していた、もしくは通常の使用の中ですぐに壊れた、
よく見たらそもそも契約時に説明を受けた仕様になっていなかったなど、さまざまな可能性が挙げられます。
 
購入後にこれらの不具合に気づき、それが契約内容と違っているのならば、
買主は売主に対し「契約不適合責任」を追及することができます。

民法の条文では、
 
「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対し、
本件目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」
 
と規定されています。これはつまり、購入・引き渡しを受けた物件が契約時で取り交わした内容と違っていた場合に、
買主は売主にその責任として本来の契約内容を実現するために修理をしたり、
代わりのものに交換したりすることを請求できるというものです。
 
さらに、「履行追完請求」をしても売主が応じない場合は、「代金減額請求」が可能になります。
これはその分の代金を、購入時に支払った金額から差し引いて返還してもらうということになります。
 
土地の場合は、隣地との境界が契約内容と違っていた、土壌が汚染されていた、埋設物が発見された、
地盤が軟弱で沈下が出始めたなどが契約不適合の内容として考えられます。
履行の追完請求としては、汚染物質の除去、埋設物の撤去、地盤改良による強化を求めることになります。
 
この「契約不適合責任」という考え方は、2020年4月の民法改正によって規定されたもので、
それまでは売買契約後に売主が買主に対して負う責任としては、「瑕疵担保責任」というものがありました。
これは売買の目的物に「隠れたる瑕疵」が発見された場合、発見後1年以内であれば買主は売主に対し損害賠償請求ができ、
本来の契約目的が達成されないときは契約解除を請求できるというものでした。
「瑕疵」とは、傷、欠陥、不具合を意味し、「隠れたる瑕疵」とは、通常の注意を払っても気づくことができないような目に見えない欠陥、不具合のことを言います。
例えば住んでから気づいた屋根・天井の欠陥による雨漏り、構造部分の欠損やひび割れ、シロアリによる木造部の侵食などが挙げられます。
 
現行規定の「契約不適合責任」では、「隠れたる瑕疵」であるかどうかは関係なく、契約内容に合っているか否かが判断基準になります。
ですから、買主にとってはより分かりやすい規定になっていると言えます。
 
ただし、契約不適合とされる内容が買主の責任によって発生したものである場合は、買主は売主にそれに基づく請求はできません。
また、契約不適合責任は「任意規定」ですので、売買契約書の特約などで独自の内容を規定することができます。
例えば、契約不適合責任の請求期間を定めるとか、売主の責任であると判断できない内容についてはその範囲から除外するなどです。
ですから、基本的には買主の権利は「契約不適合責任」で守られているとはいえ、
なんでも売主の責任として追及できるわけではないということを認識しておきましょう。
売買契約時に契約書の内容を漏らさず確認しておくということも忘れずに。

近隣住人とのトラブル
建物などの不動産そのものに関するトラブルは、前記の契約不適合責任により、契約内容に沿って事後の対応を求めることができます。
ただし、近隣住人とのトラブルに関しては、予測や事前の取り決めが難しく、発生してから解決に向けて取り組む場合がほとんどです。
加えて、騒音などの迷惑行為は、敏感な人にとっては気になって仕方なくても、他の人には気にならないということもあり得ますし、
当事者の主観が関係するというところも手ごわいポイントです。
 
近隣住人とのトラブルの対処のためにまず考えられるのが、その地域やマンションでの過去のトラブルについて、
売買で関わった不動産会社やマンション管理会社にヒアリングすることです。
 
過去に同じようなトラブルがあったとすれば、その際にどのような対処がとられたかを知ることができますし、
初めてのトラブルであっても経験上類似の事例を知っている場合には、有効な解決策などをアドバイスしてくれるかもしれません。
 
近隣住人とのトラブルについては、同じような事象であっても人が違えば対処法は変わってくるので、絶対的な解決法というものはありません。
ですから、まず焦って解決を急がないのが得策です。最初からトラブルの原因となっている近隣住人に直接コンタクトを取るということは避けましょう。
音が問題の場合、発生源だと思っていた先が実は違っていた、ということはよくあります。
その場合、言いがかりをつけたということで別のトラブルを生んでしまう可能性があります。
音以外の内容でも、確固たる証拠がなければ同じ結果になるので、まずは冷静に確かめるべきでしょう。
 
マンション管理員や管理会社、仲介してくれた不動産会社および信頼できる近所の知り合いに相談した場合、原因や発生源を特定する情報が得られるかもしれません。
また、我慢できないような事柄で、早急に解決を図りたい場合には、役所(生活課など)や警察に相談することになります。

相談窓口を活用する
新たな居住先で、もし何らかのトラブルに見舞われたとしたら、自分だけで考え込んでしまわず、相談窓口を活用することも検討しましょう。
 
例えば、契約不適合責任の追及が対策として有効であるとしても、法令に詳しくなければどう話を進めていけばよいのかわからないでしょう。
そんな時には各種相談窓口を利用することで、自分ひとりでは思い至ることができないような考えを示してもらったり、
適切な手続きの進め方を教えてもらったりすることができます。
 
代表的な相談内容とその相談窓口としては、住宅の欠陥や敷地境界などに関しては全国の消費生活センターや法テラスに、
不動産取引の内容などについては宅地建物取引業協会や宅地建物取引業保証協会などが挙げられます。
 
この他、騒音やゴミ、ペットなどに関する近隣住民トラブルについては、市区町村の役所などで相談窓口が設けられていることがあります。
さらに我慢できないような事柄で、早急に解決を図りたい場合には、警察に相談することになります。
これらの相談窓口をうまく活用し、専門家の意見を参考にしながらトラブルの解決に向けて最善の道を探しましょう。
 
とはいえ、快適に暮らすためにはそもそもトラブルなどが無いことが一番ですから、まずは自分自身が過剰になっていないか、
万が一トラブルを誘発するようなことになってないかなど、一旦落ち着いて確認してみることも必要です。

住まいの「買いどき」について考えよう
多くの人が、人生の中のあるタイミングで「自分の家が欲しい」と思うことがあります。
でも高額な買い物ゆえに、購入に際して迷いも出てくるものです。
そこで、どのようなときに家が欲しいと思うのか、本来の住まいの「買いどき」とはどのようなものなのかを探ることで、
ご自身の適正な買いどきの判断につなげていただきたいと思います。

家を買うときには必ず動機・理由がある
家を買う時期は人によって異なりますが、購入をしようと思い立つ動機として多いのは、一般的に以下のような状況です。
 
・結婚するから
・子供が生まれるから
・子供が独立して夫婦二人になるから

 
つまり、ライフステージが変わるときに家を買おうかと考える人が多いということです。
ではなぜ結婚するとき、あるいは子供が生まれるときに家の購入を考えるのでしょうか。つまり理由は何なのか。
例えば家族人数に合わせた丁度いい広さの家が欲しい、
夫婦二人の通勤に便利な場所に住みたいといったことが挙げられます。
 
一方で、購入動機として必ずしもライフステージの変化が必要なわけではありません。
シングルを志向する人にとっては、一人暮らしをより充実させるために持ち家に住みたいということも、当然の動機となります。
このときの理由としては、「家賃を払い続けるなら同程度のローン返済で自分の家に住みたい」とか「将来のために資産として家を持っておきたい」などが考えられます。
 
このように人それぞれだとしても、家を購入するときには、動機・理由が必ず存在するということをまずは覚えておきましょう。

動機・理由をさらに明確にする
住まいを買おうと思い立つには、必ず動機・理由があることがわかりました。
そして、それを出発点としてどこに住もうか、どういう家を買おうか、という具体的な住まい選びに入っていくことでしょう。
 
そのときに、「住まいの買いどき」ということを考え出すと、景気の動向とか、不動産の相場とか、あるいは金利状況などという情報に触れることになります。
そうなると、本当に今買っていいのだろうか、と迷い始めるかもしれません。
これらはもちろん大切な情報であり、知っておいた方がいいということはありますが、でも一番重要なのは、自分の暮らしの中で持ち家が欲しい、
または必要になったという動機・理由そのものです。
ですから、住まいを買おうというときには、その動機・理由をさらに明確にしましょう。
 
そうしないと、先ほどの外的な状況に最終判断を左右されることになってしまいます。
例えば、「今不動産価格が上がっているそうだからもう数年待ってみよう」、「金利がまだ下がるみたいだからもう少し様子を見よう」ということで、
自分や家族の本当の「買いどき」を見誤ってしまうかもしれないのです。
 
結婚をして子供が一人生まれるのを機に、持ち家に住みたいと考えたとします。そのときの具体的な購入動機・理由としては以下のようなことが考えられます。
 
・子供が生まれると手狭になるから広い家が欲しい
・近隣に子供が遊べる公園などがある場所に住みたい
・幼稚園や小学校など、子供の教育環境が整った地域に住みたい
・共働きするので保育園への送り迎えがしやすく最寄り駅も近い場所に住みたい

 
これらはすべて、現状よりもさらに豊かで幸せな暮らしを実現するためのものでしょう。
逆に言えば、購入を見送れば、当面いろいろなことを我慢しながら暮らすことになります。
子供に伸び伸びとさせたい幼児期や、家族が楽しく一緒にいられる小学生の時期を窮屈に過ごすことは本意ではないはずです。
他の動機・理由でも、それぞれ買わないことで、大切な時期の過ごし方が変わってしまう可能性が高くなります。
もちろん家を買うことだけが、幸せにつながるわけではありませんし、実際に買うときには予算面は大事になってきます。
ですが、やはり最も優先される「買いどき」は、自分・家族の暮らしの在り方をこうしたいから、と考えたときではないでしょうか。

ライフプランにより一層クリアに
「買いどき」を確信するためには、きちんとした裏付けが欲しいところです。
家を買う動機・理由が明確になったら、さらにライフプランを考えることで、「今買うべきか」は一層クリアになってくるはずです。
 
ライフプランを設計するときに必要な大きな要素は、世帯収入とその予測、世帯支出とその予測です。
世帯収入は世帯主の他、配偶者も含めた月収入・ボーナス、昇給の予測、退職金まで考えます。
支出は同様に家族全員分の生活にかかる費用、教育費、車の買い換えなど大きな買い物、旅行費用など、将来にわたって必要だと思われる費用を年ごとにすべて記していきます。
 
そこに、一旦は暫定でも、購入したいと思う住まいの資金計画を並べて入れて、収支予測を完成させます。
住宅ローンの借入金額と月々の返済金額のシミュレーションは、アットホームなどの不動産情報サイトで無料コンテンツとして提供されていますから、簡単に算出できます。
これを合わせて考えてみると、どの期間ならお金にゆとりがあるからローン返済以外に貯蓄にも回せるかとか、一番教育費がかかる高校受験前から大学卒業までの資金はどうなのか、
住宅ローンの借入れを35年で組むと完済時の年齢は何歳なのか、など、現在から将来までの具体的な暮らしが見えてきます。
 
それによって、お金が必要な進学時期には既に妻が復職しているから今家を買ってローン返済があっても大丈夫とか、
ローン完済は定年退職の前になるからもう少しゆっくり考えて購入できるとか、反対に返済計画が厳しいから買うならもう一度物件を考え直さないと、
といった住まいの購入に対する判断ができてきます。
 
このように、ライフプランを組んでお金をベースにした暮らしの将来予測が立てられれば、住まいの買いどきが見えてきます。
これをできるだけ若い年代でやってみると、より早く見通せるはずです。もちろん、年齢が進んで子供が独立した後に家を買い換えるという場合も、
老後の資金と合わせたライフプランを考える必要があります。これについても、思い立ったら早めに計画をし始めるといいでしょう。
 
このように、動機・理由を整理しライフプランを立てることは、住まいの「買いどき」を計る上でとても有効です。
外的な情報だけに左右されず、自分自身でしっかりと考えて総合的に判断することをおすすめします。

マイホームはいつ買う?判断する3つの基準
一戸建てにしろマンションにしろ、住宅の購入は多くの人にとって最も大きな買い物です。
ぜひとも後悔のないタイミングで購入したいものですが、何をどのように考えれば、ベストタイミングが判断できるのでしょうか。
 
自分なりの「ベストタイミング」を考える手がかりをつかむために、その判断のきっかけとなる三つの基準をご紹介します。
人生の転機で考える
住宅購入は人生最大の買い物ですから、まずは人生の転機に合わせる、ということが挙げられます。
人生の転機には、気持ちが上向いていたり、夢が膨らんでいたりするので、購入タイミングとして十分考えられますよね。
 
たとえば、パートナーと結婚したり一緒に暮らし始めたりするタイミングで住宅を購入すると、環境が変わり気分も改まってよいかもしれません。
「二人で新しい生活をはじめる」感覚が強まり、より幸せが広がることでしょう。
 
また、子供が増える出産のタイミングで住宅を購入するのもおすすめです。
子供がいるといないのとでは、求める家の広さや間取りなど、条件が変わってきます。
子育てをイメージしながら住宅選びをするのも、楽しい経験です。
ただし、子育てにはお金がかかることを踏まえて、余裕を持って住宅ローンを払える住宅を購入するべきでしょう。
 
子供が育って独立した後に、住宅を購入する手もあります。
定年まで会社員として勤め上げた場合は、退職金としてまとまったお金が手に入るため、それを住宅購入資金に充てます。
この場合も、老後の生活資金がいくら必要なのかを計算したうえで、購入予算を見積もっておくことが大切です。

購入資金の見通しがついたタイミングで考える
必要な資金が貯まったタイミングで、住宅購入を決断する手もあります。
 
購入資金は、自己資金と借入金(住宅ローン)で賄います。
特に、頭金や手数料等の諸費用を支払うための自己資金を前もって貯めることが必要です。
一般的に必要な自己資金は、物件価格の2割以上と言われています。
そこまでお金を貯めたタイミングで、住宅購入を考えるのが現実的な考え方です。
 
また、仕事でのポジションアップや業績アップによって、給料が増加することがあるかもしれません。
継続的な収入増が見込める場合は、その段階で住宅の購入を検討するのも分かりやすい考え方です。
 
ただ共働き家庭の場合は、妻の出産や育児休暇によって収入が減少することを想定する必要があります。
その増減を見越して、購入予算を見積もり資金計画を立てるとよいでしょう。

年齢=住宅ローン返済期間で考える
住宅ローンを払い終えるのがいつになるかを踏まえて、
定年前後には完済できるようにタイミングを逆算して住宅購入時期を検討する方法もあります。
 
たとえば、住宅ローンの多くは最長で35年間返済し続ける必要があります。
定年が60~65歳だとすると、完済時期を定年タイミングと合わせるためには20代後半から30代前半で住宅を購入することになります。
 
もちろん、35年間も住宅ローンを支払わなくてよいように、頭金を増やしたり繰り上げ返済を駆使したりして、返済期間を短縮する手はあります。
ただし、先行き不透明で繰り上げ返済が可能かどうか分からないという人も多いはずです。
 
そう考えると、やはり若いうちに購入した方が、老後に住宅ローンの支払い負担に悩むリスクを減らせます。
人生の転機やお金が十分貯まるタイミングを待つのも大事なことですが、
老後に苦しまなくて済むよう、若いうちに住宅を購入するというのも一つの選択肢に入ってくるでしょう。

20代の住まい購入のポイント
住まいを買うタイミングとして、「早い方が良い」という声をよく聞きますが、
例えば20代で住まいを購入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
また反対に、20代での購入によるデメリットはどのようなものでしょうか。
その双方を理解して検討することが、後悔しない住まい購入につながっていきます。

20代で住まいを買うメリット
まず、20代で住まいを買うメリットには以下の点が挙げられます。
 
・ローンの返済が早く終わる
・老後資金を貯めやすい
・売却のチャンスが多い

 
例えば、27歳で一戸建てを購入し、35年の住宅ローンを組むとします。
そうすると、62歳で住宅ローンは完済するので、それ以降は住宅費用が不要になります。
もちろん、メンテナンス費用などはかかりますので、すべてがゼロではありませんが、住むために支払う費用負担は大きく軽減します。
 
また、35年の間に繰上返済をして、借入期間を5年縮めれば、57歳の現役時にローンは完済するということも可能です。
完済時期が早いほど老後資金は貯めやすく、将来の不安は大きく軽減するでしょう。
このように20代で住まいを買うと、ローン返済が早く終わり、経済的に楽になるタイミングが早いという点が最大のメリットです。
 
また、早めに住まいを買っておけば、その住まいを売却するチャンスも数多くあります。
不動産市況は時期によって変わるので、タイミングを考慮して不動産市況が良いときに売却すれば、
売却益が出て収益を上げられるかもしれません。
 
その費用で新しい住まいを購入したり、貯蓄に回して実家に戻ったりという選択肢も可能です。
もちろん、売却前提で住まいを買う必要はありませんが、そのような選択肢が増えることはメリットと言えるでしょう。

20代で住まいを買うデメリット
次に20代で住まいを買うことでのデメリットを見ていきましょう。
考えられることとして、若い時期には「ライフプランを立てにくい」ということが挙げられます。
 
20代の場合は、結婚をしていたとしても、将来的に家族の数がどのくらい増えるかわかりません。
30代、40代と年齢を重ねていれば、将来的な家族数はある程度見えてくると思います。
しかし、20代という若い年代では、まだ決め切れていない部分や具体的な年数での予定がわからないということは多いと思います。
 
例えば子供が想定よりも多くなれば、教育費をはじめとした支出が増えます。
そうなると、組み立てた預貯金額では支出を賄えなかったり、ローン支払いが厳しくなったりと、住まいを購入するときに立てた計画通りにいかないケースも出てくるでしょう。
 
また、転職や転勤なども十分考えられますので、購入したのは良いけれど売らざるを得ない状況になることもあります。
もちろん、これらは30代、40代以降でもついて回る問題ではありますが、ライフプランが固まっていない20代は更に大きな問題と言えるでしょう。

子供の将来を考えた物件選び
さて、20代で住まいを買うメリット・デメリットがわかった上で考えますと、重要なポイントは「子供の将来を考えること」です。
言い換えると、以下のような「ライフプラン」をきちんと立てることが重要になります。
 
・子供は何人作る予定か
・生涯年収はどの程度か
・転職や転勤のリスクはどの程度か
・資産価値の高い住まいか

 
まず、子供の数によって家計の支出は大きく変わってきますし、家の広さや間取りも変わってきます。
そのため、ある程度は子供の数をプランニングして、生涯支出と間取り・広さを検討しましょう。
そして、そこに生涯年収を加味すれば、適切な予算組みができます。
 
この辺りの考えや計算は自分だけで行うのではなく、パートナーとよく話し合って決めていきましょう。
二人では難しいと感じられる場合や費用がかけられる場合は、ファイナンシャルプランナーに相談するのも一つの方法です。
 
また、若い20代だからこそ、転職や転勤のリスクを今一度考えなければいけません。
仮に転勤して遠方の勤務地に変わったとしたら、住まいを売却するか賃貸するかしなければならなくなるかもしれません。
その可能性があるのなら、例えば「駅の近く」など一般的に生活利便性が高い、売却・賃貸しやすい物件を選んでおく必要があるでしょう。
 
もちろん子供がいない家庭もありますし、独身で持ち家を購入する人もいるでしょう。
その場合も夫婦二人での将来的な暮らしをどうするかを話し合っておくことが必要ですし、
独身でもご自身の将来展望として住まいをどのようにしていくのかを、
ご両親の実家のことなども含めて考えておきましょう。
 
このように、20代で住まいを選ぶデメリットを解消するために、子供を含めた家族、
あるいは「将来のライフプラン」をきちんと考えた物件選びを行うことが大切だと考えます。

30~40代の住まい購入のポイント

国土交通省の調査によると、住まいを購入する人は30代の割合が最も多いそうです(平成30年3月時点)。
一般的に結婚・出産などのライフイベントが過ぎ、収入と生活の将来的な見通しがつきやすくなる時期と言えるかもしれません。
また、30代~40代は子供の養育時期でもあるので、それを踏まえた上で住まい購入を考える必要があります。

養育時期の30代~40代に住まいを買うメリット
養育時期である30代~40代に住まいを買うメリットは、ライフプランが具体的に見えてきているという点でしょう。
具体的には、以下のような理由からライフプランの策定がしやすくなります。
 
・収支計算がしやすい
・教育資金が予測しやすい
・仕事の方向性が見えている

 
まず、30代~40代で子供がいる状態だと、将来的な支出と収入計算がしやすいです。
もちろん、多少のブレはあると思いますが、少なくとも20代で住まいを選ぶ時よりも精度は高くなります。
特に、子供の人数や、子供の将来設計は支出に大きく影響します。
 
子供が一人増えるだけで総支出は一千万円単位で変わりますし、子供を私立に入学させるか公立に入学させるかでも支出は大きく変わります。
30代~40代の子供養育時期は、この収支計算がしやすく、ゆえに住まい購入の適切な予算組みができる点が最大のメリットと言えます。
 
さらに、30代~40代は20代に比べると、仕事の方向性が見えています。
まだまだ転職する可能性はありますが、それでも業界や業種を絞れますし、転勤の可能性もある程度は見通せるでしょう。
 
このように、ライフプランが立てやすく、計画の信ぴょう性も高いものになります。

住まい購入の際の注意点
では、30代~40代での住まい購入の際に注意するべきポイントはなんでしょうか。
まず、30代では養育費の計算です。
特に30代前半の場合には、子供の数が定まっていない場合もありますし、今後の教育プランが固まっていない場合があります。
 
そうなると、将来的な支出額が大きくずれてしまうので、具体的に物件を選ぶ前に、
夫婦間でしっかり話し合っておくことが重要になります。
また、養育費の計算、ライフプランの立案が自分たちだけで難しい場合は
ファイナンシャルプランナーなどの知見を借りるという方法もあります。
 
40代の注意点は、住宅ローンの借入期間です。金融機関で住宅ローンを組む場合、完済年齢の上限はおおむね80歳です。
つまり、45歳を過ぎると35年のローンを組むことはできなくなります。
35年ローンを組めずに30年や25年の借入期間になると、月々の返済額が上がるので注意しましょう。
 
さらに、定年退職を考えると、40代で35年ローンを組むのはリスクが高くなります。
仮に、43歳で35年ローンを組むと、完済は78歳。
しかし、一般的な企業の定年は60歳~65歳という状況なので、実際に78歳での完済は経済的に厳しい状況になるかもしれません。
その可能性を踏まえて購入を検討するといいでしょう。
 
退職金などを当てにすることもありますが、40代は堅実なローン組みを心がけたが方がよいです。
「繰上げ返済する」「退職金を充てる」という不確実な要素に頼らず、現役時代に大部分を返済できる資金計画を心がけましょう。

将来を見据えた住まい選びを
上述したように30代~40代で住まいを選ぶにはメリットもあり、注意点もあります。
30代~40代は、家族数や子供の教育方針、仕事に関してのプランは定まりやすくなります。
その一方、年齢的に住宅ローンの借入期間が限定される、定年退職後までローン返済が残ってしまうということも多いです。
 
だからこそ、将来的な収支計算を行い、「月々返済をいくらにするべきか」「借入期間と完済年、自分の年齢」をよく考えて判断しましょう。
精度の高いプランニングができれば、頭金を含めた物件の購入予算だけでなく、住まいのメンテナンス計画、老後資金の設定も可能になるでしょう。

50~60代の住まい購入のポイント
家を買うタイミングとして、50代~60代は「遅い」というイメージがあるかもしれません。
確かに、住宅ローンを組むことを考えると不利な面は出てきそうです。
しかし、もちろん買えないということはありませんし、
この年代での購入メリットもあります。そのあたりのポイントを見ていきたいと思います。

子供が独立したタイミングでの購入のメリット
50代~60代は、一般的に子供が独立して夫婦が二人になる時期と重なります。
このタイミングで住まいを買うメリットとしては、以下の点が考えられます。
 
・相続を見越した不動産の購入ができる
・コンパクトな部屋でよいので購入価格が低くなる
・収支計算が容易にできる
 

まず、将来的に相続を見越して不動産購入ができます。
そもそも、不動産は資産を現金で持っているよりも、相続時の評価額が7~8割程度まで下がります。
一方、売却時は時価で売却できるので、単純に相続の評価額が下がった分は節税になるというわけです。
 
また、子供が独立して夫婦二人暮らしになると、コンパクトな部屋で十分です。
例えば、子供が三人いる状態なら、4LDKなど、割と広めの家に住んでいることが多いでしょう。
しかし、そこに夫婦二人で住むとなると、掃除も大変ですし、部屋が余りもったいない状況が生まれます。
 
不動産の固定資産税は広さも関係してくるので、利用しない部屋や空間があるということは、
そこに発生する固定資産税が無駄になっているのです。
そのため、夫婦二人に合ったサイズの、コンパクトな住まいの購入はその分のメリットが生じると言えるのです。
 
さらに、50代~60代の場合には、収支計算が20代〜40代と比べて容易です。
そもそも、収支の中で最も読みにくいのが、子供にかかる教育資金になります。
子供の数によっても一千万単位で変わってきますし、子供を大学まで行かせるか、私立か公立かによっても支出額は大きく変わります。
 
50代~60代の場合には、そのような教育資金はほぼ支払い済みなので、将来的な支出額がわかりやすいのです。
さらに、定年退職の年齢、退職金、今後の収入額なども読みやすいため、収支計算がしやすくより適切な予算を立てられます。

新たに住み替えをするメリット
50代~60代で新しい家に住み替えるメリットは、以下のような年齢に合わせた住環境を選ぶことができる点です。
 
・バリアフリー
・医療施設が充実
・子供の住まいに近い
・交通の便がよい

 
50代~60代での住み替えは、将来的な居住空間に手すりや、段差が少ない部屋など、バリアフリーの観点で住まい探しができます。
また、今後は医療施設に行く回数も増えていくかもしれないので、近くにクリニックがあり、
大きな病院へも行きやすいなど、年齢に応じた周辺環境を選ぶこともできるのです。
 
さらに、子供が独立して家庭を持っていたら、子供たちの住まいに近い場所に住むことで、今後のコミュニケーションを取りやすくすることも可能です。
 
また、50代~60代は仕事を退職する時期に差し掛かるので、毎日通勤のために駅まで行く必要がなくなります。
つまり、今までは「○○駅徒歩圏内」や「○○沿線」などが重要な住まいの選択軸だったのが、それを除いて考えられるようになります。
 
このように、50代~60代での住み替えは、老後を見越した住まい探しができる点が大きなメリットと言えるでしょう。

ライフスタイルが変わる点に注意
50代~60代で住まいを選ぶ時には、ライフスタイルが変わることを意識しなければいけません。
つまり「老後」を視野に入れた物件選びをする必要があるとうことです。
 
これまでは車移動が多かったとしても、今後は車を手放すことになるかもしれません。
また、通勤での往復がなくなる一方、医療施設に行くことが多くなるかもしれません。
このように行動範囲や行動内容、毎日の過ごし方がどのように変わるのか、具体的に把握する必要があります。
 
一方で、退職後は収入額が減るケースがほとんどなので、その点を見越して予算を立てましょう。
子供の養育費・教育費は既に考えなくていいので、資金計画は立てやすいと言えます。
ローンを組む年数も限られるので自己資金が多くなると思いますが、
その自己資金額も収支計算をきちんと行った上で計上することが重要です。
 
このように、50代~60代はライフスタイルがガラリと変わるので、その点を加味して住まい購入を考えましょう。