物件別アドバイス

一戸建て購入で大切な土地選び

一戸建てを買うときにとても大事なものの一つが「土地」。
例えば駅に近く、周囲に買い物施設や学校などがそろっていれば、便利で快適な暮らしができる「良い土地」に思えるでしょう。
しかし、土地を選ぶときには道路との関係性や地盤などにも注目して、広い観点から慎重に選ぶ必要があります。

将来的に建て替えができない土地について
中古一戸建てを買うケースでは、家屋の築年数が古いほど安く購入できるので、お得に感じることもあるでしょう。
相場よりもリーズナブルだと、「住めるだけ住んでいずれ建て替えればいい」という、
大雑把な将来展望で購入してしまうかもしれません。
しかし、実は「再建築不可」という土地があるので注意が必要です。
では、どのような土地が家屋の建て替えができないのか、具体的に見ていきましょう。
 
土地の道路面の接地幅などに注意
建築基準法では、住宅を建てるためのさまざまなルールが定められています。
その第43条に「接道義務」についての規定があります。
この規定で、建築物の敷地は、建築基準法で定める道路に2メートル以上接しなければならないとされています。
これが建物の敷地に対する接道義務です。
 
なお、「建築基準法で定める道路」とは、「幅員4メートル以上のもの」とされています。
土地に接している道路が4メートル未満だと、基本的に建物の建築はできません。
既に建物が建っていて、それを使用することができている場合、
その建物が古くなってしまったときにも、原則、建て替えることはできません(再建築不可)。
当然、道路に接している部分が2メートル未満の場合も同様です。
ですから、旗竿地と言われるような、間口が狭く道路から奥まった所にある土地は、接道幅に注意しましょう。
 
セットバックで建て替え可能に
道路幅員4メートル未満に接している土地には建物の(再)建築は不可ですが、土地の一部を道路部分として提供することで、
道路幅を確保し、建築可能になるケースがあります。
これを「セットバック」と言います。
 
具体的には、道路の中心線から測って2メートルまでの敷地部分を後退して道路として提供する形です。
セットバックしてあれば、その土地では建物の再建築ももちろんできます。
ただし、当然セットバック部分には建物は建てられませんし、塀なども道路部分との境界線を超えて建築することができません。
 
再建築不可でもリフォームは可
上記の通り、接道義務を満たしていない土地では、建物の建て替えができません。
ただ、「建築確認申請」が不要な範囲内でのリフォームはできます。
建築確認申請が必要になるリフォームとは、主に増築、改築、その他大規模な修繕です。
これらに満たない規模のリフォーム施工ならOKということです。
その線引きはなかなか難しいので、実際にリフォームする場合は詳細に確認することが必要です。

「公道」「私道」の確認について
次に注意したいのが、道路の権利に関することです。一般的に、道路は「公道」「私道」に分けられます。
 
日常的に広く人や車両が行き交うような道はほぼ「公道」ですが、
分譲住宅地内の道路や特定の建物に向かって伸びている道などは「私道」の可能性があります。
公道・私道を確認するには、まずは役所の担当部署に問い合わせるという方法が一つ。
または、法務局で対象土地の登記簿を確認する方法があります。
 
もしも前面道路が私道の場合は注意が必要です。単に私道と言っても、その種類によって使用の状況が変わることがあります。ま
た当然権利関係も確認しなければなりません。私道が地主による単独所有になっている場合は、私道の使用料を支払う必要があるかもしれません。
その他、配管工事などが私道部分にかかる場合も、所有者の承諾が必要になるなど、諸々やらなければならないことが出てきます。
 
ですから、私道に接する土地を購入するときには、不動産会社に詳細に確認しましょう。

災害に強い土地とは
近年、地震や台風、局地的豪雨などで、想定外の被害を生む自然災害が増えてきています。
地盤の強度が低ければ、地震により土地そのものが揺れやすく、建物に大きなダメージを受けることがあるかもしれません。
また、大雨による家屋の浸水、土砂崩落での損壊など、今や他人事ではありません。
 
これら災害を回避するための手だての一つは、土地の状況を確認することです。
自治体によるハザードマップなども参考にし、土砂崩れ、大雨による浸水被害など、過去の被害から土地のチェックをしましょう。
また、海岸や河川に近い土地では、防波堤や堤防の設置状況を確認しましょう。
崖地・斜面については擁壁などでの充分な補強があるかを注視しましょう。
 
いつやってくるかわからない自然災害ですが、被害をできるだけ受けない土地選びをすることが大事です。

建売住宅と注文住宅の特徴と違いとは?
一戸建ての購入を考えるときには、「建売住宅」にするか「注文住宅」にするかを決めることになります。
価格の違いと「考えることの少なさ」から建売住宅を選ぶ人も多いのですが、
実はもう少しじっくり検討するべきポイントがあるのです。
二つの特徴と違いを知ることが、どちらを買うかの判断の助けになります。

建売住宅と注文住宅の違い
建売住宅と注文住宅の一番の違いは、つくられ方にあります。
一言で言うと、建売住宅はレディーメイド(既製品)であり、注文住宅はオーダーメイド(受注生産品)です。
 
建売住宅は、購入時点ですでに住宅が建設済みか、設計プラン作成済みです。
土地と住宅をセットで販売する方式になっており、購入者は実物や設計資料を見て購入の是非を判断することになります。
実物がまだ建設されていない場合でも、設計から外れる形で建設されることはありません。
販売者は、同じような住宅をいくつか建てて販売することが通例です。
 
注文住宅の場合は、土地選びと住宅建設を別プロジェクトとして進めるものです。
自分で建築士に設計を依頼し、施工会社に住宅を建設してもらいます(もちろん、設計から建設まで一貫して同じ会社に依頼する場合もあります)。
建売住宅よりも、自由度が高いということになります。

建売住宅は安くて実物をイメージしやすい
建売住宅のメリットは、価格が安くて実物のイメージがつきやすいことです。
 
価格が安いのは、当然何棟かまとめて建てる「レディーメイド」だからです。
自分で手間をかけなくても、短期間で住宅が手に入りますから、お金だけではなく時間も節約できます。
コストパフォーマンスを重視する人であれば、自分のセンスに見合った建売住宅を探して購入するだけでも十分でしょう。
 
建売住宅は、間取りや仕様、購入価格があらかじめ表示されています。
また、場合によっては実物がありますし、実物がなくても設計自体はできていますから、イメージがつきやすいのも大きなメリットと言えます。
情報が豊富に得られるということです。
 
つまり、建売住宅の強みは効率性にあります。
価格は安く、情報収集と調査・検討・建設にかける時間は短く、それでいて実物の情報は十分存在しています。
あとから「こんなつもりではなかった!」とトラブルになることが少なく、安心です。
 
その一方で、間取りや仕様などについての自由度はあまり高くありません。
基本的に既定の設計通りに建てられますから、自分の希望やこだわりを家のつくり自体に反映させることはほとんどできません。
しかし、一部カラーや設備の選択ができる場合がありますので、そういう物件を探してみるのもいいでしょう。

注文住宅で味わえる「一国一城の主」の感覚
一方の注文住宅のメリットは、何と言っても自由度の高さにあります。
自分で家づくりに深くかかわる必要がありますから、完成して住み始めたときの「一国一城の主」になれた感覚は、他では得られない特別なものです。
 
また、自分なりの工夫やアイディアを間取りや設備に反映させられます。
自分の家族構成やライフスタイルを考慮すると、いろいろと希望は出てくるはずです。
高齢の親と同居するので段差をなくしてほしい、子供が生まれるから収納がたくさんほしい、自然光があふれる明るい家にしたい……など、
希望をかなえるためにあれこれ考えられるのが注文住宅です。
 
さらに、完成品だけではなく、住宅が建つプロセスにも「わくわく感」を持てるのが注文住宅のよさです。住宅が完成するまでの過程を、一からチェックできます。
実際に家を建てる大工さんとも、コミュニケーションしながら「一緒に家を建てている」という一体感を味わうことができます。
 
ただし、建売住宅に比べて費用がかかり、家が建つまでに時間がかかることは覚悟しておかなければなりません。
自由度が高いといっても、予算や構造上の制約により希望のすべてをかなえることはできない可能性もあります。

意外に知らない「建築条件付き土地」とは
「建築条件付き土地」というものがありますが、言葉だけでは少々わかりにくいかもしれません。
「土地」のみなのか「建物」込みなのか。
結論から言うと「新築建売住宅」の土地だけ先に販売し、建物は別予算で後から建てるというものを指します。
より具体的に「建築条件付き土地」を理解すれば、住まい購入の選択肢が広がる可能性があります。

そもそも「建築条件付き土地」とは
「建築条件付き土地」で実際に売買されるのは「土地」ですが、一定期間内に指定された会社で建物を建てる契約をしなければならず、
実質的に「建売住宅」の部類に入ります。
既に建物ができている「建売住宅」に対して、建物がないので「売建住宅」と呼ばれることもあります。
 
土地価格だけ見ると、一般的には建築条件なしの土地に比べ割安な価格に設定されています。
その理由は後の建物建築でも利益を出せるので、土地売買での利益は最小限にして買主に訴求しようという考えだからです。
また、建物を後から建てるので、すでに建物ができている建売住宅に比べて、セレクトプランがあったり、部分的なカスタマイズが可能だったりという特徴もあります。

「建築条件付き土地」のメリット・デメリット
まずメリットとして、建物ができていない段階で購入するので、住宅の間取りや設備が選べたりカスタマイズができたりします。
ただし、多くの建築条件付き土地には「参考プラン」というものがあり、建築される建物の仕様はおおむね決まっています。
部分変更はできますが、もちろん注文住宅ほどの自由度はありません。それでも建売住宅よりは自由度があり、注文住宅よりも安価で家を建てることができます。
 
また、もともと建築プランがあるので。着工から竣工まで効率的で短めに済む場合が多いです。
ただし、土地購入後、一定期間内に建物の建築請負契約が結べないと、「建築条件付き土地」の売買契約はいったん白紙に戻され
、手付金や申込証拠金などは全額返還されることになります。
 
対してデメリットとして、一定期間内に建物を建築する契約をしなければならないので、土地だけで所有し続けることができません。
土地だけ先に購入し、建物は余裕ができたときに建てるということはできないので注意しましょう。
 
部分的なプラン変更はできるものの、あくまでも参考プランが基本なので、
希望する内容によっては追加費用が必要になる可能性が高く、また実現できない場合もあります。
プラン変更は、建築を請け負う会社が対応できる工法、仕入れることができる設備の範囲を超えることができないと考えましょう。
 
購入の際に住宅ローンを利用する場合も注意が必要です。
住宅ローンは通常「建物完成後」に融資されるため、この「建築条件付き土地」での土地代金支払いには利用できません。
土地代金の支払いには「土地先行融資」というローンを利用するのが一般的ですが、住宅ローンより金利が高くなります。
また建物建築の際も着工金や中間金などが最初に必要となり、これには「つなぎ融資」という別のローンを利用するのが一般的です。
こちらも住宅ローンより金利が高くなります。金利の低い一般的な住宅ローンが利用できるのは、建物完成時の支払いのみとなります。

「建築条件付き土地」はどんな人に向いているか
メリットもデメリットもある「建築条件付き土地」。結局のところ、どのような人が購入を検討するのでしょうか。
 
ありきたりの建売住宅ではなく、少しだけ自分の意見を入れた住まいが欲しいという人にとっては、
「建築条件付き土地」は検討に向いていると言えます。
特に建物の外壁の色や、内装の仕上げ、建具の仕様などは、参考プランの中で数種類用意されている場合があります。
立地が気に入った上で、建物の部分的な仕様が選べれば満足という人は、検討してみてはいかがでしょうか。

住まい方で違う「二世帯住宅」のタイプとは

二世帯住宅というと、一つの住まいに「親世帯」と「子世帯」が同居しているだけのものを想像しがちですが、実はその住まい方によって何種類もあります。
大きく分けると三つのタイプがあり、メリットもあればデメリットもあります。個々の特徴を知って、自分たちに合った二世帯住宅を選びましょう。

二世帯住宅とは
「親世帯」と「子世帯」が同居する大きな理由として、暮らす上での「安心感」と「効率性」が挙げられるのではないでしょうか。
具体的には以下のようなメリットが考えられます。
 
・子供(孫)の面倒を親世帯に見てもらえる(主に幼少期)
・どちらかの世帯に急病人が出ても対応しやすい
・両世帯ともに不在になる機会が少なく住まいの防犯につながる
・掃除や洗濯などの家事を分担できる
・電気や水道を一括契約できるので光熱費を安く抑えることができる
・一世帯では使い切れないお買い得な生活用品などをシェアできる

 
一方、当然いいことばかりではないので、以下のようなデメリットも考えられます。
 
・両世帯のプライバシー面での暮らしにくさ
・両世帯の生活スタイルの違いによる不便さ

 
特に「プライバシー面での暮らしにくさ」については、後々世帯間の大きな障害になる可能性があります。
メリットと表裏の関係であるところがより難しいのですが、ある程度のルール決めは必要になるでしょう。
その上で、家族それぞれの性格なども踏まえて、許容できる範囲などを最初によく考えて、うまく話し合っておくことが大切です。
二世帯住宅の三つのタイプ
二世帯住宅には、形として三つのタイプがあります。前述のプライバシー面を主な観点として、二世帯間のつながり、暮らし方によって分かれています。

1.同居型
親世帯と子世帯それぞれに必要な寝室を設け、それ以外を共用するのが「同居型」です。
一般的な一戸建てが、家族の人数分大きくなったイメージです。リビング、キッチン、食卓など、寝室以外は全て一緒に使うので、二世帯間で密接な交流ができます。
相互の助け合いがしやすく、安心感がとても高い二世帯住宅です。

特に子世帯に小さな子供(孫)がいる場合は、親世帯に面倒を見てもらいやすく、助け合いのメリットが大きいです。
ただし、プライバシーの確保という点では、家のつくり(間取り)からは難しいので、必要に応じて明確なルール決めが必要かもしれません。
 
施工上でのプライバシーについての対応策としては、どちらかの居室(寝室)にミニキッチンを設けるなどして、一部解消することが考えられます。
一般的な一戸建て仕様なので、最も気軽に検討できる二世帯住宅です。
 
2.部分共用型
寝室以外にも、必要に応じて部屋や設備を世帯ごとに持ち、その他の部分を共用するタイプが「部分共用型」です。
基本的には利用頻度が高い場所や利用時間が長い部屋は個別に持ち、利用機会が限られるものは共用します。
例えば玄関や浴室は利用頻度や時間が限られますので共用し、トイレやキッチンなどは個別に持つといった具合です。
 
個別の設備が必要になるので、価格は同居型より高くなりますが、プライバシーの確保はしやすくなります。
その一方、共用する部分を上手く利用すれば、他のタイプと比べて「丁度いい距離感」を保つことが比較的容易になります。
特にリビングや庭、テラスなど「余暇を過ごすスペース」の共用は、世帯間の交流に効果的な役割を果たすと考えられます。
親世帯・子世帯で程よい距離感を持ちつつも、交流しながら一緒に暮らしたい人におすすめです。
 
3.独立型
玄関も水回りも全て世帯ごとに個別で持つのが、「独立(完全分離)型」。
「二つの住戸をくっつけた住まい」をイメージすると、わかりやすいと思います。
平面的に並べるものと、立面的に上下階に重ねるものがあります。
平面的に並べるタイプは、二つの住戸の境界壁に連絡扉を設け、往来できるものも
考えられます。上下に重ねるタイプは、上階玄関に直接出入りできるように直通の外階段を設けるものもあります。
また、二つの住戸を完全に独立させ、「母屋」と「離れ」のように建てるものもあります。
 
独立型ならプライバシーを完全に確保できるのはもちろんのこと、片方の住戸を利用しなくなった場合は、
賃貸に出すなど他の用途に転用できるメリットもあります。
その反面、住戸そのものが別々になるので、世帯間の交流は、相互が意識して関わらなければ希薄になってしまう可能性があります。
また、3タイプの中では、価格が最も高額になるというデメリットもあります。
世帯間のプライバシーを重視し、将来的な転用も検討できるようにしたい場合におすすめです。

二世帯住宅の金銭面でのメリットなど
二世帯住宅は通常の一戸建てよりも高額になりますが、金銭面でのメリットは実はいくつもあります。
まず土地について、親所有の実家の敷地を活用する場合は、土地購入費用が丸々かかりません。これは大きなメリットです。
 
また、二世帯住宅を住宅ローンで購入する場合、親の年齢によっては借入期間が短くなってしまい単独では借りにくい、
あるいは子だけでは返済能力の面で十分な借入れができない、ということが考えられます。
そういう場合に「親子リレー返済」という方法があります。
この返済方法では、借入期間・借入金額ともに拡大できることがメリットです。
一緒に住む家の支払いを二世帯で分担すると考えれば、利用に際して互いの合意はさほど難しくないかもしれません。
 
さらに将来的なメリットとして、相続税の減税があります。
親が亡くなって子が相続する場合、それまで同居していて、
引き続きその住居に住んでいるならば相続税について「小規模住宅地の特例」
の適用が受けられます。この特例により、土地の評価額を8割減額できるので、大きな減税効果が得られます。
 
この他、住宅の仕様が要件を満たすことにより、受給できる補助金などもあります。
時限制度のものもあるので、関係官公庁、自治体の情報を事前に確認しましょう。
 
もう一つの大きなメリットは、生活費の分担ができることです。
前述の買い物のシェア以外にも、水道光熱費なども別々の家に住んでそれぞれが支払うよりも割安になるでしょう。
ただし、支払い割合については世帯間でのルール決めをすることをおすすめします。

一戸建ての新生活について

一戸建てを購入して新たな暮らしを始めることは、満足感と期待感がいっぱいでなんともワクワクするものです。
しかし、これからの新生活を快適で豊かなものにするためには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
入居前に済ませておきたいことや、引越しに関する注意事項、そして一戸建てならではの留意点を確認していきましょう。

入居前に済ませておくべきこと
一戸建てでの新生活を円滑にスタートさせるために、入居前に済ませておきたいことをしっかり確認しておきましょう。
 
自治会・町内会への参加検討
一戸建てには、マンションのように区分所有者によってつくられた管理組合の活動や、
管理会社による建物の維持・修繕・管理に関するサポートはありません。
その代わりに地域住民が運営する自治会や町内会によって、
ゴミ集積所の管理や清掃、災害時の備えなど、その地域ごとの活動やルールが存在します。
 
マンションの管理組合は、区分所有法により区分所有者の加入が義務付けられていますが、
自治会や町内会への加入はあくまで任意です。
そのため、個人の意思で加入しないという選択をすることもできます。
 
ただ、一般的には自治会等がゴミ集積所の場所を決め、自治体(市区町村など)に届け出ることでゴミ収集が行われています。
また、自治会等は集積所の清掃・維持管理を行っているので、
自治会に加入していなければゴミ集積所を利用させてもらえないということも、一例として起こり得ます。
従って、地域に早く溶け込み、円滑なご近所付き合いを進めていくことを考えるならば、
自治会や町内会への加入は入居前の時点から前向きに検討することをおすすめします。
例えば、家庭の都合で輪番制の役員がどうしてもできない、などの事情がある場合は、
とりあえず相談してみるといいでしょう。
 
また、近隣の人たちとのつながりができれば、お互いの防犯や防災面でも安心度が高まるというメリットも生まれます。
管理組合があるマンションと違い、一戸建ては居住者自身でセキュリティー面を備える必要があるため、
近隣住民同士で補完し合うということはとても有効です。
 
ライフラインに関する手続き
電気・ガス・水道といったライフラインを使えるようにするには、基本的にすべて入居者自身が手配する必要があります。
 
購入時に不動産会社(宅地建物取引士)から交付・説明される重要事項説明書には、
ライフラインの種類・仕様などが記載されていますから、入居日が決まったらすべて早めに手配することを心がけましょう。
 
水道については、使用開始の届け出をして、開栓は入居者自身が行います。
電気については、自分の暮らしに合った契約プランを検討して、依頼先の電力会社に申込みます。
事前に申込みをしていれば、基本的には入居当日に現地にてブレーカーを上げれば使用できる状態になっているはずですが、
もしも通電していない場合は電力会社に確認しましょう。
ガスについては、水道・電気と違い必ずガス会社の係員が開栓作業を行います。
その際は入居者の立ち合いが必須なので、事前に申込み連絡をして日時を決めておかなければなりません。
 
以上のように、それぞれ事前申込みが必要になるので、忘れずにかつ余裕を持った日程で連絡しましょう。
特にガスは係員の来訪日時調整があるので、2週間以上前の連絡を心がけましょう。
 
電話・インターネットの手続き
固定電話、携帯電話の使用に際しては、それぞれのサービスの提供会社に連絡します。
引越し前と同じ会社を利用する場合と契約を切り替える場合では、当然手続きの手順が異なります。
新規の契約手続きは時間がかかることがあります。
 
インターネットの使用については、回線会社とプロバイダの二者に連絡が必要です。
継続使用(住所変更)か新規契約(または切り替え)かで手続きの手順は異なります。
また、住居の環境により、利用できる回線会社が制限されることがあるので、利用回線については購入時に必ず確認しておきましょう。
 
上記すべての契約について、使用開始とともに旧宅での使用停止手続きが必要になります。こちらも忘れずに行いましょう。

入居時に気を付けること
引越し・入居はとても忙しく、疲れもします。荷物の搬入後は、住空間を整える作業にさらに労力がかかります。
しかし、このときにやるべきこと、知っておくべきことは他にもあるので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
 
あいさつ回り
一戸建てでのあいさつ回りは「向こう三軒両隣」が基本と言われていますね。
とは言え、立地状況によって異なりますし、
隣がマンションの場合や事業所の場合などでも迷うところでしょう。
考え方としては、暮らしの中で互いに顔を合わせたときにあいさつをする関係になるだろうなと想像できるご近所には、
最初のあいさつ回りをした方がいいのではないでしょうか。
 
引越し当日は、トラックを自宅の前に停めて作業することになるので、
道路の往来の邪魔になるほか、特に子供やお年寄りにとっては危険にもなります。
少なからず騒音も出ますから、近隣に迷惑がかかります。そう考えると、
あいさつ回りはできることなら引越し前にできるといいですね。
ただ諸事情から難しいのなら、引越し後にお詫びかたがたあいさつするというのはもちろん可です。
 
ゴミ出しについて
引越しの際にたくさんのゴミが出ますが、そのゴミを一気に出すことはやめましょう。
地域のゴミ捨て場は、スペースが限られますので、大量のゴミ出しは迷惑になります。
引越しで出たゴミは小分けにして出すようにしましょう。
どうしても一気に捨てたい場合は、居住区域内のゴミ処理場に持ち込んで処分してもらうことができます。
ただし、その際は分量に応じた料金がかかりますし、確実に規定の分別をしておく必要があるので、
持ち込む前に必ず確認しましょう。
 
そもそもゴミ出しには分別や使用するゴミ袋などについて地域のルールがありますので、事前に確認し、ルールに則ったゴミ出しをしましょう。

マイホームの維持・管理について
一戸建てを買って住むということは、所有権を得ると共に責任も発生するということです。
破損や劣化が起きれば、自分で手はずを整え自費で修繕しなければなりません。
ですから、これからは全部自分でマイホームを維持管理していくのだという自覚を持つことが必要です。
 
例えばマンションの場合は、共用部分のエントランスの電灯が切れたり、外構の植栽に剪定が必要になったりしたときは、
管理組合が区分所有者から徴収している管理費を使って、
管理会社が作業手配をしてくれます。しかし、一戸建てではすべて自分でやることになるわけです。
 
特に大きな費用がかかる修繕に関しては、マンションでは長期修繕計画をしっかりと立てた上で、
修繕費の積立てが行われていることから、
実際に修繕工事を行うときに、金銭的にも精神的にも負担に感じることは少ないと言えます。
一方、一戸建ては、家屋そのものはもちろんのこと、駐車スペースや門扉、塀、植栽といった外構回りまで、
すべてに自分で手をかけていくことになります。
 
将来的な修繕箇所としては、屋根の葺き替え、外壁の塗装、構造部分の腐朽や蟻害の検査などが考えられます。
それぞれ施工費は安い金額ではないので、自分自身で修繕費を積み立てておくなど、計画的かつ主体的な備えが必要になります。
 
必要なときに費用が捻出できないと暮らしに不便が生じますし、持ち家の資産価値を大きく下げることにもなります。
 
一戸建てを購入・居住するならば、自分自身の責任において、
大切なマイホームをしっかり維持管理していくのだという明確な意識を持っておきましょう。

マンションのタイプを知ろう
マンションにはいろいろなタイプがあり、タイプによって魅力が異なります。
そのため、マンション選びをするときに、立地や価格という要素以外に、
「どのようなタイプのマンションがよいのか」を理解しておくとマンション選びに成功しやすくなるのです。

どんなタイプのマンションがあるのか
マンションには、小規模・中規模・大規模のマンションがあり、低層・中層・高層という種類分けもできます。
どちらも明確な定義はないのですが、一般的に50戸以下のマンションは小規模マンション、
50戸超~100戸以下を中規模マンション、そして100戸を超える規模を大規模マンションと呼びます。
 
また、こちらも明確な定義はありませんが、通常は低層住居専用地域に建てられるような12メートル(または10メートル)までのものを
低層マンションと呼び、階数としてはおおむね地上4階建て程度になります。
 
また、5~10階までのマンションが中層マンション、11階以上のマンションを高層マンション、
そして20階以上(もしくは60メートル以上)のマンションを超高層マンションというのが一般的です。
超高層マンションは「タワーマンション」とも呼ばれ、湾岸エリアを中心に増えてきました。

規模によるマンションの魅力の違い
大規模マンションの大きな魅力は、なんといっても以下のような共用施設やサービスが充実している点です。
 
・豪華なエントランス
・コンシェルジュ付きのラウンジ
・フィットネスジム
・ライブラリー など

 
どのような共用施設・サービスがあるかはマンションによって異なりますが、
大規模マンションはスケールメリットを生かせるので、共用施設やサービスが較的充実しているという魅力があります。
というのも、このような共用施設には維持費がかかるので、
入居者が多い大規模マンションなら、多額の管理費から賄うことができるからです。
 
また、大規模マンションの開発事業は大手デベロッパーが手がけていることが多いので、
中古市場でも価値が下がりにくい点も魅力といえます。
さらに、戸数が多いため間取りのバリエーションも多く、自分のライフスタイルに合わせた間取りを選択できる点も魅力的です。
 
ただ、大規模マンションは広大な立地が必要なので、駅から遠い場所や郊外に建築されているケースが多いのは難点になります。
利便性の高い立地に建つ場合は用地取得が高額になるので、一住戸の販売価格も高額になる傾向にあります。
 
一方、小規模マンションの魅力は、規模が小さいので居住者同士のコミュニティーを形成しやすい点です。
コミュニティーを形成しやすいと管理組合の運営もスムーズにいき、
共用部分の修繕など入居者の合意が必要な事案も比較的円滑に進みます。
 
また、中規模マンションは、大規模マンションと小規模マンションのどちらの特徴も併せてもっているマンションであり、
物件によって特徴が大きく異なります。
例えば、駅から近いものの共用施設がない60戸のマンションもあれば、
駅から遠いものの共用施設が小規模マンションより充実している90戸のマンションもあります。

階数によるマンションの魅力の違い
前提として、超高層マンションは100戸を超える大規模マンションが大半なので、前項の「大規模マンションの特徴」を兼ね備えます。
その上で、超高層マンションならではの魅力は以下の点です。
 
・眺望、陽当たりが良い
・周辺に利便施設が多い

 
大規模マンションでも中層マンションの場合は、眺望・住環境は部屋によって異なります。
超高層マンションの場合でも低層階は眺望が良くないマンションもありますが、
超高層マンションは「公開空地(オープンスペース)」を設ける関係で、建物が住戸の目の前に隣接することはありません。
 
そのため、大規模マンションの中でも超高層マンションには「眺望・陽当たりが良い」という魅力があるのです。
また、超高層マンションを建築するには、「商業地域」などの高い建物を建築できる用途地域に限定されます。
つまり、「周辺に商業施設などの利便施設が多い」という魅力があるわけです。
 
一方、低層マンションの魅力は、比較的住環境が良いエリアに建築しやすいという点です。
というのも、超高層マンションと違い、低層マンションは主に住居系の用途地域に建築します。
例えば、「第一種低層住宅専用地域」であれば、低層の住宅しか建築できません。
 
そのため、その地域には店舗や事務所を建築することも難しく、閑静な住宅街が形成されやすいのです。
超高層マンションに比べると利便性は多少下がるかもしれませんが、良好な住環境が保たれる点は大きな魅力と言えます。
 
一方、中層・高層マンションは、前項の超高層・低層マンションの中間に位置します。
そのため、どちらの魅力も享受できる点は魅力ですが、どっちつかずになるという難点もあると言えるでしょう。
 
いずれにしろ、規模や階数によってマンションの魅力は変わってくるので、それぞれの特徴を理解した上で、
実際の候補物件を吟味してマンション選びをしましょう。

一戸建て感覚で住めるマンションとは

マンションを買おうと考えているけれど、「一戸建てもいいな……」という思いを捨てきれない人は結構います。そういう場合には、
「一戸建て感覚で住めるマンション」を検討してみてはいかがでしょう。
小さな子供がいる家庭のメリットもありますから、子育て世帯にもおすすめです。

マンションなのに2階がある「メゾネットタイプ」
一戸建てと言えば、2階以上の複層構造が思い浮かびます。
マンションで、その感覚で暮らせる住戸が「メゾネット」タイプです。
メゾネットとは、住戸内に内階段を設け、居住空間を上下2フロアに分けたタイプ。
マンションと言えば、通常はフラットなワンフロアタイプですが、
メゾネットタイプは階段による上下移動が日常的に行われるので、一戸建てのような感覚で住むことができます。
 
元気な子供がいる家庭では、メゾネットタイプの上階部分に子供部屋を設ければ、階下住戸への騒音についての気づかいが減ります。
また、上階部分への空間が吹き抜け構造になっている場合は、頭上の広がりや明るさなどで、より一戸建てに近い感覚が得られるでしょう。

使い方を考えるのが楽しい「専用庭」
マンション購入では「眺望」を重視して、高層階が好まれることが多いもの。
しかし、一戸建て感覚を得るためには、マンションの1階に注目します。それは「専用庭」付きの住戸です。
「庭が欲しいけどマンションに住みたい」という人にはぴったりの物件ではないでしょうか。
毎日緑を見ながら暮らせますし、ガーデニングも楽しめます。
小さな子供が「外に出たい」という欲求も、特別な支度をせずにかなえられるので、親にとってはとても楽ですね。
 
また、テーブルセットを置いてくつろいだティータイムを過ごすなど、専用庭の利用方法は他にもあります。
家族みんなで使い方を考えるのも楽しくなりそうです。

高い場所でも庭が楽しめる「ルーフバルコニー」
1階で専用庭がある暮らしも一戸建ての感覚が楽しめますが、
「マンションに住むなら眺めも重視したい」という人もいるでしょう。
そんな人には、「ルーフバルコニー」付きの物件がおすすめです。
 
マンションと言えばベランダからの眺望が魅力ですが、各住戸にある一般的なベランダは、それほど広くありません。
万が一の災害のときの避難経路にもなるため、使い方にも制限があります。
 
しかし、下階の屋根部分を利用しているルーフバルコニーは、普通のバルコニーより広いのが特徴。
屋根がないので、太陽光や自然の風を感じることができる「屋外」として使用できます。
上層階なのに、庭のようなスペースがあるという暮らしが楽しめます。
ただし、ルーフバルコニーの下は階下住戸なので、床下に音が響くような使い方には注意が必要です。
 
メゾネットタイプ、専用庭、ルーフバルコニーなど、一戸建ての感覚を付加して暮らせるマンション住戸を紹介しました。
しかし、専用庭やルーフバルコニーは共用部分です。
対象住戸の区分所有者が専用に使えるとはいえ、禁止事項もあるため、管理規約で使い方を確認しなければなりません。
専用庭なら芝生の管理が必要、置いてはいけない物があるなど、各マンションの規約によって自由度が変わります。
 
前述の「騒音」も含め、共用部分を使うときはルールとマナーをしっかり守り、
楽しいマンション暮らしをかなえていきましょう。

魅力的なマンションの共用施設・サービス

マンションには、さまざまな共用施設やサービスが備わっており、
規模によっては、かなり暮らしの充実度が高まります。
とはいえ、そのような施設やサービスの重要度は人によって異なり、
利用料や維持費などの費用がかかるのも事実です。
買った後で、結局使わないものばかりだった、ということにならないよう、
施設・サービスの種類や費用についても知っておきましょう。

どんな共用施設・サービスがあるのか
マンションによっては、以下のような共用施設やサービスがあります。
 
・ロビー
・ラウンジ
・コンシェルジュサービス
・シャトルバス
・フィットネスジム
・キッズルーム
・ゲストルーム
・洗車スペース
・ペット足洗い場
・ドッグラン

 
ロビーは、高級マンションであれば大理石や御影石などを使い、ホテルのように豪華さを演出している物件もあります。
コンシェルジュ付きであれば、エントランスのカウンターにコンシェルジュが常駐しており、
クリーニングや宅配の手配のほか、さまざまなサービス、相談に応じてくれます。
ロビーに常に人がいれば、防犯面でも安心です。
 
専用のシャトルバスは、マンションと駅などを定期的に往復するのでとても便利です。
ほかにもフィットネスジムでは手軽に汗を流せますし、小さな子供がいるなら、
安心して遊ばせられるキッズルームもうれしい施設です。
また、ゲストルームでは、来客の宿泊もできます。お互いけがね気兼ねなく泊まれるので、
喜ばれることも多いようです。
 
さらに、車を持っている人には便利な洗車スペースや、ペットがいる人にはうれしいペット足洗い場や
ドッグランを設けているマンションもあります。
これらの共用施設やサービスは生活の質を向上させるだけでなく、
そのマンションの資産価値を高める魅力的な要素と言えるでしょう。

共用施設・サービスの費用について
これらマンションの共用施設・サービスには、サービスを提供する人件費や設備費などが当然に発生しています。
また、修繕費用もかかります。そしてこれら費用は、マンションの区分所有者全員で負担し合っています。
 
人件費や設備費は「管理費」に含まれており、修繕費に関しては「修繕維持積立金」に含まれています。
そのため、住戸数が多い大規模なマンションの方が、多額の修繕費と管理費を徴収できるので、
より多くの共用施設やサービスを展開しているケースが多いです。
 
したがって、大規模または修繕費と管理費が高額なマンションならば、一般的には共用施設とサービスの質・量は向上していきます。
一方、低価格、小規模なマンションには、このような共用施設やサービスは多くはありません。
ただし、施設やサービスが少ないことはデメリットだけとも言い切れません。
 
裏を返すと、共用施設やサービスが少ない低価格なマンションは、
それらに対しての修繕維持積立金や管理費がかからないということでもあります。

共用施設やサービスは必ず要るのか
マンションの共用施設やサービスは利便性が高く、購入を考える際には資産価値という点でも検討のポイントとなるでしょう。
ただし、以下の点をチェックすることが必要です。
 
・自分にとって必要か
・将来的に必要か
・ランニングコストは高くないか

 
まず、「自分にとって今必要か」「将来的に必要か」という点を考えましょう。
今も将来的にも全く必要でなければ、単に余計な管理費や修繕費を支払うことになります。
また、サービスによっては重要事項説明書に「状況により将来的に廃止する」のような文言があるので、
その点はしっかりとチェックしておきましょう。
 
また、周辺の同じような物件と比べてランニングコストは高くないか、という点も検証しておきましょう。
ランニングコストが高く、かつ自分に不要なものばかりであれば、共用施設やサービスがあることでのデメリットが大きくなります。
上記のポイントをチェックして、費用対効果が高いかどうかを判断すると良いでしょう。

マンションの新生活について

マンションで新生活を送るためには、入居前に済ませておきたいことや入居後に気を付けるべきことがたくさんあります。
マンションでは、同じ建物の中でいくつもの世帯が暮らしていくわけですから、
入居前からルールを理解していろいろなことに気を配っておくことが必要です。

入居前に済ませておきたいこと
管理規約と使用細則について
分譲マンションに住む場合には、共用部分の管理や管理組合の運営などについて明文化したルールである
「マンション管理規約」を必ず熟読しましょう。
管理規約は新築時であれば購入手続きの中で、販売会社または管理会社から手渡されます。
新築当初は、本来区分所有者で形成される「マンション管理組合」が発足していないので、
管理会社などが標準的な規約を作成・提示してくれます。
中古マンションを購入する場合も、売買契約の手続きの中で、仲介する不動産会社を通じて受領することになります。
 
また、大抵は管理規約に加えて、更に細かなルールを定めた「使用細則」も存在しています。
よく読んでおきましょう。
 
内容にわからない点や疑問な部分があるなら、管理会社または管理組合理事会に確認します。
トラブルを防ぎ、快適な暮らしを送るためにとても大切なことですから、
なんとなくそのままにせずにきちんと解消しておきましょう。
 
ライフラインについて
新生活を始めるためには、ライフラインがすぐに使えるようにしておく必要があります。
特にガスについては、必ず現地にガス会社の担当者に来てもらい、開栓しなくてはなりません。
申込みから使用開始までに日数がかかるので、引越日が決まったら、ガス開栓の申込みは早めにすることを心がけましょう。
 
一方、電気や水道は、電話やWEBサイトで利用開始手続きができ、担当者の立会いがないので即日使用開始できる場合もあります。
ただし、確実に即日使用できると約束されているわけではありませんので、引越しの数日前に手続きを済ませておくと安心です。
また、旧宅の退去に当たっては、各ライフラインの使用停止手続きをする必要もあります。
停止手続きと同じタイミングで新居での使用開始手続きも済ませておくといいでしょう。
 
インターネット・電話の手続きについて
インターネットや電話は、開通工事が必要になる場合が多く、申込みから開通までにかなりの日数がかかります。
申込みは基本的にWEBサイトで済ませられますが、申込み内容や移転先の条件によって手続きの内容や費用が変わってきます。

 
特にマンションでは利用する回線の種類や共聴設備の整備状況によって工事の内容がさまざまであるため、
申込み時にしっかりと確認しておくことが大切です。
分譲マンションでは、共用部分までインターネット回線の引き込みがされている場合がほとんどですが、
専有部分(住戸内)への開通工事は入居者が手続きする必要があります。
また、別途プロバイダ契約が必要な場合は、忘れずに手続きしましょう。
 
特に春先の引越しシーズンなどの繁忙期には、自分が希望する工事日程をかなえることが難しいため、
電話で2週間以上、インターネットでは1カ月以上前にサービス提供会社に連絡することをおすすめします。

引越し時のあいさつ回りについて
新居に入居したときの近隣へのあいさつ回りはとても大切です。
マンションであいさつ回りを行う場合には、両隣と直上直下の住戸にもうかがうことが良いと言われています。
このあいさつ回りには、単なるあいさつというだけでなく、
引越し時に迷惑をかけたことへのお詫びと、新しいお付き合いをお願いする意味があります。
加えて、どのような人が近隣で生活しているのかということを、互いに共有できるという効果もあります。
 
マンションでは壁や床を隔てた近接スペースでそれぞれが生活を送ることになりますから、
故意ではなくとも騒音などで迷惑をかけてしまうことが起こり得ます。
そんなとき、まったくわからない人が出す騒音と、お互いを知っている人が出す騒音とでは、迷惑に感じる度合いに差が生まれます。
 
例えばあいさつ回りのときに、小さな子供がいて足音を立ててしまうことがあるかもしれないとか、
仕事で帰宅が遅くなることが多いので深夜に生活音がしてしまうかもしれないということなどをきっちり伝えておくだけで、
度を越した騒音でなければ好意的に受け止めてもらえる可能性が高まります。
 
また、あいさつ回りには簡単な手みやげを持っていくことも忘れないようにしましょう。
手みやげには、日持ちする菓子類という選択もありますが、
洗剤やタオルなどの日用品のほうが無難ということも言えます。
いずれにしても丁寧なあいさつの言葉とともに添えることが大切です。

管理組合の一員であることを意識する
マンションでは、区分所有者全員による「管理組合」が組織されます。管理組合はマンション全体の維持・管理を行うための組織で、
マンションの区分所有者は自動的に管理組合の構成員に組み込まれます。
任意で加入や脱退ができるものではなく、管理組合へ加入するための特別な手続きも存在しません。
 
つまり、マンションを購入して区分所有者になるということは、管理組合の一員になるということであり、
自分自身もマンションの管理に参加しなければならないということです。
 
管理組合では、総会を開催して意思決定をし、理事会による業務執行によって運営されることになります。
加えて管理費の徴収や修繕積立金の運用など、管理組合としての金銭の出納管理や、
日常的な清掃・設備点検、あるいは長期修繕計画の策定・実施といった暮らしの快適性から資産価値の維持まで、
幅広い管理業務が定められています。しかし実際には、すべてを区分所有者で行うことが難しいため、
一般的には管理会社に管理業務を委託するという形をとります。
 
とはいえ、管理会社に管理委託費を支払っているから全てを任せておけばよいというのではなく、自分たちが持ち寄ったお金で、
本来自分たちがこなすべき業務を管理会社にお願いしているという事実を頭に入れておきましょう。
理事会メンバーや管理に対する意識が高い一部の区分所有者に仕事を押し付けていては、
管理業務がうまく回らないのはもちろんのこと、マンションでの快適な暮らしにも支障が出てきます。
 
最終的にマンションに関する維持・管理の決定権は管理組合にありますし、責任も管理組合が負うことになります。
自分もその一員となって今後の組合運営に協力していく必要があるということを、新生活の始まりに意識することが重要です。

注目の「リノベーション物件」とは

今やよく耳にする「リノベーション物件」。リフォーム物件と何が違うの?と思われる方も多いと思いますが、
その違いやメリットを知れば、その注目の理由もわかることでしょう。

リノベーションとリフォームとの違い
リノベーション(renovation)とは、言葉の意味だけですと「改造・刷新」、リフォーム(reform)は「改善」と、とても似ています。
しかし、日本の不動産業界では分けて考えるのが一般的になっていて、リフォームは「新築時の状態に戻す改修」を意味し、
それに対してリノベーションは「新築時にはなかった付加価値をつけたレベルアップの改修」という意味で使われます。
 
またリフォーム物件の場合は、経年などで劣化や損傷した部分を直すことを目的にすることが多いのに対し、
リノベーション物件の場合は、間取りを抜本的に見直したり、新しい設備や仕様にしたり、
所有者の新しい希望を実現することを目的にするものが多いです。
つまり、リフォーム物件だと「既存の仕様」に準ずるものになりがちですが、
リノベーション物件は「機能向上・新たな価値を追加した仕様」になるというわけです。

リノベーション物件のメリット
リノベーション物件の最大のメリットは、その「価格」と言えます。
新築物件並みの内装や設備にもかかわらず、元々が中古物件なので新築より安価で購入できる物件が多いためです。
また、建築確認申請が必要な大規模改修や増築をしていなければ、
元々が中古物件なので固定資産税が安いのもメリットと言えるでしょう。
 
さらに、リノベーション物件は、設備などをカスタマイズしているので、
デザイン性に富んだ魅力的な設備や仕様になっているものが多いです。
新築物件はどうしても「万人受け」する設備や仕様になってしまいますが、
リノベーション物件だと個性的な設備や仕様が期待できます。
 
また、リノベーション物件の認知度が高まるにつれて物件数も多くなっています。
マンション用地不足の昨今では、新築物件だと建設できる場所が限られてしまいますが、
リノベーション物件ならもともと流通量が多い中古物件なので、希望の立地条件で見つけられる可能性が高まります。
 
すぐに住むことができるのもリノベーション物件のメリットです。
新築物件だと完成まで待たなければなりませんし、
中古物件を購入してからリフォーム、リノベーションを行うと、住めるようになるまで時間がかかりますが、
リノベーション物件なら、購入を決めてから短期間で住むことができます。



購入する際のチェックポイント
リノベーション物件は中古物件ですので、購入前に住戸の状態をよく確認することが大切です。
リノベーションされた後の見た目だけではなく、
見えない部分もチェックする必要があります。そのチェック方法を見ていきましょう。
 
元の物件価格とリノベーション費用を分けて評価
リノベーション物件は、販売価格のみでは判断できません。
ポイントは、元の中古物件価格と、リノベーションにかかった費用を分けて考えること。
可能ならばリノベーションにかかった費用を聞きましょう。
このリノベーション費用の額が、リノベーションの質に直結します。
 
リノベーション費用がわからない場合は、まずは同じ建物の別住戸の物件情報を探します。
アットホームなどの不動産情報サイトを活用するといいでしょう。
間取りや広さが違っていても、1平方メートルの単価を割り出し該当物件の平米数に掛け合わせれば、大体の価格が想定できます。
例えば同棟の別物件が100平方メートル・2,000万円、購入検討しているリノベーション物件が150平方メートルなら、
おおよそですが元々の物件価格は3,000万円と想定できます。
リノベーション物件の販売価格が3,500万円ならば、リノベーションにかかった費用が500万円ということになります。
リノベーション物件の設備や仕様と比較して、この額が納得行くものか否かが判断材料となります。
 
リノベーションできない構造などをできるだけチェック
リノベーションができるのは、あくまで内装や設備などだけで、柱や梁などの構造は基本的にはリノベーションできません。
ですから、中古であるリノベーション物件では、構造部分などもできるだけチェックしましょう。
なんとなく「築年数」でおおむね想像して済ましてしまいがちですが、
メンテナンスや大規模修繕の施工具合によって、建物の状態は大きく変わります。
築年数が浅いからと安心せずに、売主(仲介不動産会社)に可能な限り確認できるように依頼してみましょう。
反対に築年数が大分経っていても、元の施工とメンテナンスがよければ、状態に問題がない物件は多数あるものです。
 
マンションの場合の具体的な確認方法として、住戸以外の「共用部分」の状態をチェックすることが挙げられます。
例えば、階段や廊下、外壁などの「ひび割れ」はわかりやすい確認ポイントです。
コンクリート系の建物の場合、経年とともにひび割れが発生しやすいのですが、
補修もせずに放置している物件はその理由を確認した方がいいでしょう。
その他構造部分で気になる箇所があれば、都度確認することをおすすめします。
 
自分の希望と実際の物件との差を判断
リノベーション物件は、新築物件に比べて安価であるのに魅力的な設備や仕様のものがあります。
それだけに、好みの物件に出合ったときの喜びは大きいと言えます。
しかし、あまりこだわりが強いと、せっかく出合った物件を逃してしまうかもしれません。
やはり「注文建築(施工)」ではないので、完全に希望と合致することは稀です。
購入に際しては、申し込んだ人から買える言わば早い者勝ちとなりますので、
そのことを念頭に置いて、自分の希望と実際の物件との差をどこまで許容するかを常に判断できるようにしておきましょう。

理想への近道は「中古+リノベーション」

住まい探しではどうしても新築物件に人気が集中しますが、理想の住まいを手に入れるには、
中古物件を買ってリノベーションをした方が、実は近道とも言えます。
リノベーション用の中古物件の探し方からリノベーション計画のポイント、
そして「中古+リノベーション」のメリットとデメリットをいくつかのポイントを挙げながら見ていきます。

物件探しのポイント
リノベーション予算を加味した総予算で物件を探そう
中古物件を買ってリノベーションする場合、物件とリノベーションの予算を分けて考えずに「総予算」で検討しましょう。
分けて考えてしまうと、どうしても予算オーバーしがちになります。
しかし総予算を決め、そこからおおよそで良いのでリノベーション用の予算を差し引き、
残った予算で収まる物件を探せば、その失敗を防ぐことができます。
ちなみにリノベーションの予算は、いろいろな実例を見れば、暫定的な想定ができます。


 
一戸建ては築年数と構造を重視
一戸建ての場合、マンションのような共用部分がないので、リノベーション時の制約が少なく、
また住戸内だけではなく外構もリノベーションできるので、物件探しの自由度は高めです。
一戸建てで重視したいのは「築年数」と「構造」。
一戸建ては劣化しやすい木造が多いので、「築年数」はとても重要です。
「構造」についても、その方式によってリノベーションの自由度が変わります。
例えば同じ木造でも「軸組構法」と2×4工法こと「木造枠組壁構法」とでは、手を入れられる部分の制約が変わります。
 
マンションは間取りより床面積重視
マンションの場合、まず各区分所有者が任意にリノベーションできる範囲は、「専有部分」に限られます。
さらに、専有部分でも構造に影響するコンクリートの柱や梁、動かせない配管部分などは、手を加えることができません。
ただ、それ以外は、間取りの自由度は高いです。
しかし、構造的には施工が可能でも、管理規約で工事箇所や内容が制限されている場合があるので、注意が必要です。
施工の際には管理組合への申請・承認が必要になるので、必ず管理規約を読んで内容を確認しましょう。

リノベーションのポイント

実例を集める
「中古+リノベーション」で理想の住まいを実現するには、まずはリノベーションの「実例」を集めて、
理想の住まいのイメージを組み立ててみましょう。
リノベーション関係の雑誌でもいいですし、インターネットでもさまざまなリノベーション実例が公開されていますので、
それらを集めてもいいでしょう。
集めた実例から、水回りはこの物件、リビングはこの物件など、付箋などで印を付けておくと良いです。
実例には「リノベーションにかかった予算」が掲載されているものもあるので、リノベーション予算の参考にもなります。
 
リノベーションの実例でパズルを組み立てる
リノベーションの実例を集めたら、それらをパズルのようにして理想の住まいを組み立ててみてはどうでしょう。
実例の予算がわかれば組み上げたときに、具体的な総予算もおおよそですが見えてきます。
総予算が想定を越えたら、部分的に組み替えてみましょう。
そのためにも、リノベーションの実例はできるだけたくさん集めておくことをおすすめします。
 
依頼先を考える
理想の住まいが思い描けたら、あとは実現に向けて動きます。
リノベーションの設計については、リノベーション施工の専門会社もしくは建築事務所に依頼します。
これらの会社の場合、施主の要望に加えて、施工可能な範囲で、想定外のアイデアを提案してくれる可能性があります。
 
また、地元の工務店でも、多くの施工実績を有する会社があります。
打合せの頻度や細部の相談の融通が利くなどで、メリットが出る可能性があります。
各会社のホームページには、リノベーションの実例が掲載されているので、
まずは気に入った実例を手がけた会社に相談してみるのも一つの方法です。

「中古+リノベーション」のメリットと注意点
メリット1:費用を抑えて理想の住まいを実現
中古物件のままだと妥協する部分が多くなりますが、リノベーションを加えると新築並みの「理想の住まい」にすることができます。
費用をうまくやり繰りすれば、新築購入よりも安価な金額で設備機能の追加や仕様の変更を施すことが可能で、
自分が暮らしやすい住まいを実現できるという点が最大のメリットです。
 
メリット2:希望エリアで候補物件を見つけやすい
新築住宅の用地を探すのは、それだけでなかなか大変です。
特に人気のエリアでは、一層見つけることが困難になります。
しかし「中古+リノベーション」なら、元の中古物件の数は格段に多くなりますから、
希望のエリアでも候補物件が見つかる可能性がぐっと高まります。
 
注意点:費用面について
「中古+リノベーション」は自由度が高い反面、リノベーション費用の上限がないので要注意です。
理想を追い求めすぎると、かなりの高額費用になってしまいます。
理想の住まい作りができるという意味では、費用対効果は十分にあると言えますが、
予算の上限を決めておかないと、どんどん費用が膨らんでしまうおそれがあるのです。
一方で、予算を明確にしておくことで諦めないといけない部分が出てくる可能性があるので、
資金計画とやりたい事を現実的に検討しておく必要があります。

「建物状況調査(インスペクション)」とは
2018年4月に施行された改正宅地建物取引業法(以下宅建業法)により、
宅地建物取引業者(以下宅建業者)に対して、
中古住宅の「建物状況調査(インスペクション)」についての住宅購入者への説明が義務化されました。
このインスペクションとはどのようなものなのでしょうか。
わかりにくい部分もありますので、ここで正しく知っておきましょう。

中古住宅の状態を確認する制度
インスペクションとは、「既存住宅状況調査技術者」が中古住宅の状況を目視や非破壊検査で確認し、
建物が現時点でどのような状態になっているかをチェックする調査です。
建物の構造耐力や雨水の侵入防止についての調査を行い、報告します。
安心して中古住宅を購入したいという人に向け、建物の状態を報告し、良質な中古住宅の供給促進を目的としています。
 
宅建業法改正での中古住宅のインスペクションの説明義務は、インスペクションを実施しなくてはいけないという意味ではなく、
あくまでもインスペクションを実施していた場合にその内容を重要事項として説明する義務でしかありません。調査結果については、
売主・買主双方が確認した内容を売買契約書に記載しなければなりません。
つまり、中古住宅の販売を行う宅建業者は必ず全ての物件でインスペクションを実施し、
買主にその状態を報告しなければいけないわけではありません。そこを理解しておきましょう。
 
インスペクションの実施については、媒介契約時にインスペクションが行える者をあっせんできるかを示し、
売主・買主の意向によってあっせんをする、ということが義務の範囲になります。

三つのインスペクションの特徴
インスペクションは三つの段階の調査に分かれています。「既存住宅現況調査」、「既存住宅診断」、「性能向上インスペクション」です。
後に行くほど精密な検査を行います。それぞれの特徴はどのようになっているでしょうか。
 
既存住宅現況調査
この調査は、入居者が日常的な生活を送っていくために問題なく過ごせる住宅であるかを判断します。
目視による診断がメインとなっており、時間や費用は軽微です。
基礎、外壁等の部位ごとのひび割れなど耐震性や雨漏りなど防水機能の劣化・不具合の有無を目視、計測によって調査します。
現状では住むための用途として十分な性能を持っているかを確認できますが、瑕疵(かし)の存在を見つけ出せるわけではありません。
 
既存住宅診断
既存住宅現況調査よりもっと精密な調査を行います。
目視だけで状態を判断するのではなく、非破壊検査も同時に実施します。
既存住宅現況調査が、人間でいえば触診など軽微な診断に当たるのに対し、
既存住宅診断はレントゲン撮影などを行う精密な診断に該当します。
瑕疵の可能性について、より厳密に判断することができます。
安全に過ごせる中古住宅の購入を希望する買主が実施することが多くあります。精密な審査ですので、費用も時間もかかります。
 
性能向上インスペクション
こちらはリフォーム前に、住宅がどこまでのリフォームに耐えられるのかを判断するためのインスペクションです。
古い住宅でリフォームやリノベーションを行うと、施工によって躯体にダメージを与える可能性があります。
そこで性能向上インスペクションを実施して、どこまでのリフォームができるのかを判断します。
中古住宅の販売時にはあまり行われません。

調査・診断の範囲を理解する
インスペクションを実施済みの中古住宅は、何も調査結果がない中古住宅よりも安心して購入できます。
しかし、調査は入居中の物件に対しての目視、非破壊検査が中心です。
そのため移動できない家具の部分や見えない構造部分については、調査できません。
場合によっては既存住宅診断でも不満の残る調査結果になることがあります。
さらに調査対象には排水・給水設備、配管の状態が盛り込まれていません。
そういった点を理解しておきましょう。
もしもさらに精密な調査・診断を実施したいのであれば、オプション調査を依頼することになります。