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購入時に考えるべき「住まいの将来性」とは

住まい選びは楽しいもの。ついつい現在の家族の状態だけを元に、
この家だったら今の自分達が楽しく過ごせそうだ、便利に過ごせそうだと考えがちです。
しかし、賃貸物件ならともかく、持ち家となれば10年、20年、あるいはそれ以上住み続けることが前提となるでしょう。
その間に子供は成長し、やがて独立します。自分達夫婦は年を取ります。
場合によっては、自分達の両親と一緒に住むこともあるかもしれません。
住宅購入に際しては、これらの将来性まで考える視点が必要です。
購入した後どのような変化が起こるのか、
また変化に対応するためにはどんな家を購入すれば良いのかを考えてみましょう。

もしもの転居時に重要なのは「資産価値」
家を購入するときは、物件の「資産価値」についても考えましょう。
基本的には、その家にずっと住むつもりで住宅を購入する人が多いでしょう。
それでも人生先々何が起こるかわかりません。
仕事で転勤があったり、双子が生まれて予定以上に家族人数が増えたり、
親の健康状態や子供の通学の事情などで転居をする可能性もあります。
転居の際に現住居を売却するにしても、賃貸に出すにしても、「資産価値」が重要になるのです。
 
住まいを買い換える場合は、その売却で得たお金を新居の購入資金に充てることになります。
そのとき、資産価値が目減りしていて、希望金額よりも低い価格でしか売れなければ、思うような買い換えができなくなってしまいます。
 
このような事態を避けるためにも、購入する際には、資産価値が下がりにくい物件かどうかを検討しておきましょう。
例えば、都市部や駅に近いなど、好立地である家や近い将来大規模開発の予定がある地域にある物件であれば、
資産価値は下がりにくくなります。
 
また、こまめに家の手入れ(日々の掃除に加えて、適度な点検とメンテナンス)を行っておけば、
資産価値を維持しやすくなります。
築年数が過ぎても、老朽度合を抑える努力をすることは資産価値の目減りを防ぎますから、
万が一売却することになったときに有利に住み替えられる可能性が高くなります。

家族人数の変化への対応を考える
現在夫婦と子供一人の三人家族が家を購入するときには、どんな家を買うべきでしょうか。
ここでは家族の将来の姿を考えましょう。
家族の人数次第で、必要な部屋の数は変わってきます。
子供が大きくなれば個室が必要でしょうし、ライフスタイルによっては夫婦それぞれの部屋が必要な場合もあります。
また両親と同居することになるかもしれませんし、何らかの事情で親族と一緒に住むこともあります。
 
では、家族の人数の増減に対応するには、どのような住まいが考えられるでしょうか。
部屋数を増減するときのために、間取りの変更という視点で物件を見ます。
まず、ツーバイフォー工法で建てられた家は、建物の強度を壁に依存しているので壁を取り払うリフォームは行いにくいです。
しかし、木造軸組み工法の場合は柱と梁で建物の強度を出しているため、
壁を取り払っても建物の強度に大きく影響しない場合があります。
そのため壁を取り払いやすいのです。
また二重床を採用しているマンションは、床と床の間に配線や配管があるので、
間取りを変更しようとすると床の中の配線も変えなくてはいけません。
 
間取りを変更しやすい住戸構造として、「スケルトン・インフィル」があります。
「スケルトン」とは柱や梁といった構造躯体、「インフィル」とは仕切りや内装を意味します。
「スケルトン・インフィル」とは、この二つを分離した構法です。
つまり、家の躯体(スケルトン)はそのままに、間取りや内装の変更が簡単に行えるようになっているのです。
 
大きめの部屋だったものを子供の成長に合わせて分割して、子供部屋を作ってあげたり、反対に部屋数が必要なくなったら壁を取り除いて広めの大きな部屋に変えたりというふうに、
ライフステージやスタイルの変化に対応させながら住むことができるのです。
 
あるいは大掛かりなリフォームでなくても、ガイドレールとパーテーションによる簡易的な間仕切りなどが、
一般住宅用にもあります。気に入った物件が必ずしも自由なリフォームができるとは限りませんから、
このような設備追加が検討できるといいですね。

子供の独立後の暮らしを考える
子供が独立すれば、家に必要なのは夫婦二人の居住スペースだけです。そのときの余ったスペースはどう活用すればよいのでしょうか。
 
夫婦二人で住み続ける
子供が独立しても、夫婦二人で住み続ける人は多いです。子供にとって、いつでも帰れる実家があるというのはうれしいもの。
子供部屋はそのままにしておき、帰省したときの寝室などに使うほか、まとめて一つの大きな部屋にして広めの来客用寝室にしておくというリフォームも考えられます。
 
二世帯住宅に変える
子供夫婦と同居して二世帯住宅として住むケースがあります。
二つの家庭を分けるために、それぞれの家用の浴室やキッチン、洗面台などを設ける必要があります。
二世帯間の関係性により分け方はさまざまありますが、将来そのような可能性があるなら、
購入時に分離をイメージして物件選びをするといいでしょう。それによりリフォーム費用が抑えられます。
 
賃貸にする
家が大きくて夫婦二人には持て余すというときには、賃貸するという選択肢があります。
家の一部を賃貸に出す場合は、明確に住戸を分ける必要があります。
浴室やキッチン、トイレ、玄関も分けます。完全に分離した方が借り手がつきやすいと考えられます。
改装費用はかかりますが、継続的に家賃収入が得られるので、老後の生活の支えになってくれます。
 
一方、住居を丸ごと賃貸に出し、自分達は駅近くのコンパクトなマンションなどに住み替える方法もあります。
家賃収入で手頃で便利な賃貸物件に住むという選択や、退職金などの資金があるなら購入を考えるのもいいでしょう。


購入時に考えるべき住まいの「資産価値」

念願のマイホーム購入。新たな暮らしのことを思えば、購入までの忙しさもどこかワクワクした気持ちでしょう。
しかし、生活していくうちに、いずれマイホームを「売る」という状況は現実的に起こり得ることです。
そのときに「なかなか売れない」「思ったより安値でしか売れない」など、
売却自体が思うようにいかないと、その後のいろいろな計画が崩れてしまうかもしれません。
 
住まいを購入する時点で将来の売却のことまではイメージしにくいものですが、
もしものときのために「資産価値」という観点で物件選びをすることも大事です。

なぜ住まいの「資産価値」を考えるのか
念願のマイホーム。きっと住み心地が良く、家族で楽しく長く暮らす大事な住まいとなることでしょう。
しかし、いつまでも同じ生活が送れるわけではありません。
家族がそれぞれ年齢を重ね、ライフスタイルが変われば、状況は今と大きく変わっていきます。
 
子供が増えて子供部屋が足りなくなれば、現居が手狭に感じて「広い家に引っ越したい」と思うかもしれません。
また、子供が結婚して独立すれば、夫婦二人には広すぎると、丁度いい大きさの家への住み替えを検討することもあります。
仕事で転勤、実家への転居など、住み替えが必要になって今の住まいを売却するケースはたくさんあります。
 
このように、持ち家を売却することになる可能性は誰にでもあります。
そのとき、資産価値が低い家だと思うように売れずに困ってしまうかもしれません。
家族の状況の変化などに対応しながら、なんとか住み替えせずに暮らし続けるという選択はもちろんあります。
それでも、やはり資産価値の高い住まいを持つことは、さまざまな状況での選択肢が増えますし、
それによる安心感が得られるという意味でも、とても重要なのです。

資産価値とは何か
資産価値の高い物件とは、客観的な評価が良い物件のことを言います。
そのような物件は、売る状況になったときに需要が高く、売れやすいということになります。
では、どのような住まいが資産価値を高く維持できるのでしょうか。
 
構造がしっかりしている家
当然のことですが、人が住み続けることで住宅そのものは傷んでいきます。
しかし、そもそも耐久性や機能性に富んでいて、構造的な部分で「丈夫な家」は劣化具合も緩やかと言えるでしょう。
さらにメンテナンスもしっかり考えて施していれば、「築年数の割にきれい」と、より高い評価を受けられる可能性が高くなります。
 
利便性が高い立地
物件の周辺環境は資産価値を左右します。駅まで数分程度という利便性が高い立地なら、
築年数が経っても人気が高く、資産価値が下がりにくい傾向があります。
一般的に市街地は鉄道駅を中心に発展していくので、交通アクセスが便利なだけでなく、
役所や学校、買い物施設、病院などが近くにある生活のしやすさから、需要が下がらない物件となりそうです。
 
安心して住める物件
災害のときに被害に遭いにくい立地も、資産価値が高い物件の条件の一つ。
地盤が弱い土地は揺れによって建物に与えるダメージは大きくなると考えられます。
また、水はけの悪い土地は大量の雨が降ったときに浸水被害の可能性があるでしょう。
山際や傾斜地は、地層・地質の具合によっては、山崩れや地すべりの危険性があります。
このように、自然災害に対する安全性の観点で見たときに、「ここなら安心」と考えられる地域では、住まいの資産価値も高くなります。

一戸建て・マンションそれぞれの資産価値
マイホームを買うときに、「一戸建てにするか、マンションにするか」で悩む人は多いかと思います。
 
一戸建ての良さは、建物が劣化しても最終的には土地が残るところ。
立地が良ければ、「土地」として売却できるのは、資産価値としてもとても有利です。
また、建物が古くなれば、持ち主の判断で改築したり、建て替えしたりできるというメリットもあります。
 
一方、マンションは、鉄筋コンクリート・鉄骨造で頑丈。
耐用年数も長く、構造面で強固だという特徴があります。
一般的に駅に近く利便性の高い暮らしができるのがマンション住まい。
都市部でアクティブに暮らしたい人には、マンションの立地は魅力的と言えるでしょう。
 
利便性ではマンションに軍配が上がり、資産価値が高そうな気がするかもしれません。
しかし、それはケース・バイ・ケース。
郊外にある一戸建てでもバス路線が充実している、大型商業施設が近い、
自然豊かな公園があり静かで落ち着いているなど、
注目度の高い魅力があれば、資産価値としては高めと考えられます。
 
一戸建て、マンション、どちらを買うにしても、立地・建物の魅力、周辺環境といったいくつもの点に目を向けて、
一般的な観点で資産価値が高いかどうかを見極めるようにしましょう。
もちろん、自分と家族が暮らしやすいか、気に入ったということが最も大切ですので、
それと合わせて後悔しない住まい選びをしてください。

一戸建て見学時の留意点

憧れの一戸建て。「自分の城を持ちたい」と、一戸建てには根強い人気があります。
一戸建てを見学するときは、マンションとは違ったチェックポイントがあります。
一戸建てならではの注意点を知って、後悔しない物件選びをしましょう。

建物部分で確認すること
【構造・性能】
まず一戸建てとマンションの大きな違いを知っておきましょう。
一戸建ての構造は木造が多いのに対し、マンションはほとんどが鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造です。
そのため断熱性や耐震性など、住宅性能の部分では一戸建てはどうしてもマンションに劣ります。
ですから、一戸建てをチェックするときには、必ず住宅性能面について確認します。
 
例えば耐震性は、「耐震等級」で確認することができます。
耐震等級は1~3まであり、数字が大きいほど、耐震性があるということを示しています。
 
また、外気温の影響をどれだけ受けずに、住宅内が快適に過ごせるかということを表す
「断熱等性能等級」という基準も確認しておきましょう。
等級は1~4まであり、数字が大きいほど、断熱効果の高いつくりとなっています。
 
この他、省エネルギー基準をクリアした住宅ならば、冷暖房をはじめとする家庭の消費エネルギーを大幅に抑えることができます。
省エネルギー基準をクリアすることは簡単ではなく、建築費用も高額になるので物件数は多くありませんが、
どの住宅でも壁の構造や窓など開口部の設備仕様は、光熱消費量を左右しますし、
快適さにもつながります。忘れずに確認するといいでしょう。
 
【生活動線】
大多数のマンションは全ての居室・設備がフラットな1フロアにつくられていますが、
2階建て、3階建てが主流の一戸建ては住戸内での人の動き、いわゆる「生活動線」が複雑になりがちです。
朝起きて食事を摂り、顔を洗い、歯を磨き、身支度を整える。この流れがスムーズにこなせるのか。
さまざまな家事の場面と道具の置き場、関連する場所との行き来は無駄なく円滑か。
家族はどこで団らんをして、子供の部屋はどこに置くのか。
コミュニケーションの取り方や音の問題なども含めて確認しましょう。
具体的な利用シーンを時間帯で思い浮かべていくと、現実に即した生活動線がシミュレーションできそうです。
 
【開口部】
一方、一戸建てがマンションより優れている点としては、四方にドアや窓といった開口部が設けられるということが挙げられます。
窓の数は、採光や通気の確保に直(じか)につながる重要なポイントですが、
位置や大きさによってはプライバシーが確保できなくなるという欠点もあります。
ですから、道路面では視線の位置や塀、垣根の有無、高さを確認します。
また、隣接する建物の窓位置も確認しましょう。
 
意外と気にせずにいて後で困るのが、置きたい家具と窓位置の関係です。
テレビやソファ、ベッドなど、配置にこだわりが出そうな大きな家具は希望位置で窓が邪魔しないかを確認しましょう。

周辺環境や地域ルールもチェック
一戸建ての見学時には、周辺環境もチェックします。
まずは最も近い建物周辺から見ていきます。
ゴミ置き場の確認はとても重要です。
場所が自宅からどれくらい離れているのか、どのような状態かを必ず確認しましょう。
 
必ず確認しておきたいポイントとしては、ゴミ収集曜日、場所、種別、時間帯、
出し方のルール、粗大ごみの回収手段などです。
できれば、ゴミ収集日に回収場所での近所の人々のゴミ出しマナーの状況を見るといいですね。
ルールを守る意識が高く、清潔な感じが見られたら安心できます。
 
その他、駅やバス停へのルートと距離、昼夜とも安全に歩けるのかも確認しておきたいポイントです。
人通りの状況、歩道の幅、交通量とガードレールの有無などの安全性、
街灯の配置など、具体的なチェック項目を挙げておきましょう。
 
においや騒音についても。住んだ後で後悔しないためには、必要な確認事項です。
家は改修や工夫で住みやすくできる部分もありますが、立地は変えることができないので、入念な確認を心掛けましょう。

見学時に用意するもの
一戸建て住宅を見学する際には、物件資料を持参し、住宅の細部まで確認したいものです。
まず間取りや設備などが記載されているパンフレットやチラシを持参し、
記載内容と相違がないかを一つひとつ確認して、わからないことは現場の担当者に聞きましょう。
 
いくつかの道具も必須です。まず、コンパス(方位磁針)を持参します。
家の方角がどちら向きなのか。
開口部の位置と大きさをチェックし、朝、昼、夕方に日差しがどこから入るのか、物干し場には日が当たるのかを確認します。
 
さらに水平器があれば、家に傾きがないかを確認できます。
特に中古住宅を見る時には、傾いていないかはよく確認しましょう。
耐震性や安全面に影響します。
メジャーも必ず持って行きましょう。
それぞれの部屋の寸法を測るだけではなく、ドアや階段部分の幅をチェックします。
家具や家電の搬入時に「入らない」という失敗は、思いの外多いものです。
その失敗を未然に防ぎます。

マンション見学時の留意点

マンションを購入する前には見学会に参加しましょう。
理想の住まいを購入するためには、実際の物件をじっくりと見る必要があります。
せっかく買ったのに住みにくい、使いにくいと感じないためには、何をチェックすればよいでしょうか。

モデルルームの種類を知る
マンション見学会の開催場所は、現地(棟内)モデルルームと販売センターの二つがあります。まずはその違いを知りましょう。
 
【現地(棟内)モデルルームとは】
現地(棟内)モデルルームは、実際の建物内の住戸を見学用に設(しつら)えたものです。
実物なので、眺望や日当たり、風通しの具合なども確認できます。
もちろん部屋の広さや天井高、建具、設備も本物が確認できます。
一般的には、マンション内で最も多くつくられる間取りタイプがモデルルームとして使われます。
モデルルームは、他の住戸が完売した後に、安めの価格や公開時の家具付きなどでお得に売り出されることもあります。
 
【販売センターとは】
一方販売センターは、マンション内ではなく駅の近くなど、多くの人が来場しやすい場所に設けられた見学用の住戸です。
設計図通りにつくられていますが、あくまでも見本としての疑似住戸なので、
間取りや表面上の設備などは確認できますが、壁厚や床の具合、ベランダなどは簡易的につくられていることが多いです。
当然、周辺環境や眺望などはチェックできません。
販売センターの中には複数の間取りタイプ別住戸が設けられているものもあるので、部屋数や広さで迷っている人にとっては、違いが確認できて便利です。
 
販売センターだけで分からない点は、販売スタッフに確認しましょう。
建設が進めば現地モデルルームを開設することもあるので、予定を確認してできるだけ現物を見るようにしましょう。

専有部分だけでなく共用部分のチェックも大事
実際の物件に赴き住戸を見るときは、まずは専有部分を細かくチェックします。
合わせて共用部分についても、見られる範囲でしっかり見ましょう。
 
【専有部分のチェックポイント】
専有部分で見ておきたいのは、住戸内の動線です。キッチンや洗面所、浴室などが近くにあり、忙しい時でも家事をスムーズにこなせるかを確認しましょう。
そしてバルコニーからの眺望や日差しの入り方も見ておきます。
その他にもキッチンや浴室の設備などを実際に触って確認します。
キッチンの高さはいくつか選べることが多いので、使いやすい高さを確認しましょう。
 
防音性や断熱性など構造にかかわる部分は、表面上を見ただけではわかりにくいので、現地スタッフにしっかりと聞いておきましょう。
 
【共用部分のチェックポイント】
共用部分でまず見たいのは防犯性です。エントランスではどのように外部からの侵入者をチェックするのか、オートロックはモニター付きか、
正面玄関以外の出入り口はどうか、防犯カメラの設置状況、死角になる部分など、事前に知りたい項目をリストにしておくとよいでしょう。
さらにセキュリティーシステムの導入や、管理人の委託状況も販売担当者に確認してください。
 
また、入居者が利用できる設備として、キッズルームやゲストルームなどがある場合は、利用の手順や費用、広さも確認しましょう。
一戸建てにはない魅力的な部分です。
 
その他にも構造上の耐震強度や被災時の発電システム、あるいは立地の海抜、周囲の崖などの有無といった防災面のチェックも忘れずに。

オプション項目や費用も確認
新築マンションであれば、さまざまなオプションが設定できる場合があります。
 
【設備などのオプション項目】
専有部分については、オプション項目で、ある程度のカスタマイズができることがあります。
壁紙や床材、建具の色変更、システムキッチンのグレード、水栓やドアノブなど細かな設備の仕様を変えられます。
ただし、無償の項目と有償の項目があるので、どちらなのかを必ず確認し、有償でも変更を望む場合は費用の確認までしましょう。
 
【間取りの変更について】
間取りの変更に対応できるマンションもあります。可動式、あるいは取り外しができる間仕切りを備えた部屋というのが一般的です。
ライフスタイルや家族構成により、必要な部屋数や広さは変わってきます。
マンション見学時には、こういった間取りの変更についても聞いておきたいところです。

物件以外にも重要な現地確認とは
物件の現地見学をするときは、建物の確認だけでなく、周辺環境も見て回りましょう。
周辺環境の調査は住み替えに際してはとても大切で、失敗しない住まい探しの重要なポイントです。
具体的にどのような点を確認すれば良いのか見ていきましょう。

通勤・通学ルート、買い物の利便性をチェック
【通勤・通学の道のり】
主に平日は、多くの人が毎日家と職場・学校を往復しています。そのため通勤・通学路は、しっかり確認する必要があります。
 
不動産の広告表示規約では、1分で歩く距離は80メートルと規定されています。
従って「○○駅まで徒歩10分」と表示されている物件は、約800mということになります。
 
しかし、これはあくまでも一般的・平均的な取り決めであり、子供やお年寄りが歩く場合はもっと時間がかかります。
途中に信号や坂があれば大人の足でも時間はかかります。
一度、家族全員で歩いてみて、ゆっくり歩いた時にかかる時間がどのくらいかを見ておきましょう。
歩道の幅やガードレールの有無、スクールゾーンなどで子供が守られているのかも、見るといいでしょう。
 
【買い物ほか生活施設】
暮らしの中で、日常の買い物の利便性はとても重要です。毎日の食料品・生活用品の買い物をどこで済ませられるかをチェックしましょう。
近所や駅からの道のりにコンビニエンスストアやスーパーマーケット、100円ショップなどがあるか。
また車を使って大型のショッピングセンターを利用できるのかも見ます。
週末に大型店舗でまとめ買いをし、平日は近隣の店で買い足しをするなど、使い分けができるかも見ておきたいものです。
 
このほか、子供の保育園や学校はもちろん、学習塾などの習い事施設や各種診療科の病院、金融機関、外食ができるレストラン、
書店やスポーツショップといった自分の趣味に合った店もあるといいですね。

夜の環境状態も見る
現地見学は日中に行くことが多いでしょう。しかし家を買って住むとなると、昼間だけでなく夜も出歩く必要が出てきます。
そこで物件の周辺環境を見るときは、必ず夜の状態もチェックしましょう。
 
【夜の治安面は要チェック】
子供や女性の場合、夜間の一人での外出・帰宅は危険が伴います。
そのため、夜間の駅から家までの道筋は入念に見ておきましょう。人通りはどの程度あるか、街灯が少ない暗く狭い道はないか、
何かあった時に駆け込める交番や遅くまで営業している店はあるかなどが、防犯上チェックしておくべきポイントです。
 
その他、人によっては風俗店やパチンコ店、墓地などは近くにない方がいいと考えることがあります。
避けたいのであれば、物件の担当者に存在の有無を聞いておきましょう。

該当する「用途地域」も確認
土地には、それぞれ都市計画法で定められた「用途地域」が決まっています。
用途地域の種類によって、建築してもよい建物の種類や用途、規模などが規定されています。
購入予定物件の用途地域を知っておけば、建つかもしれない建物の種類がわかるので、住んだ後に周囲に店や工場が増えてうるさくなった、
高い建物が建って日当たり、風通しが悪くなったなどという事態をある程度は避けられます。
 
【用途地域の種類】
用途地域は、以下の13種類に分けられています。参考にしてください。
 
〈住居系地域〉
 
(1)第1種低層住居専用地域
低層住宅、学校、診療所、寺院などが建設可能。12m以下の高さ規制がある。規定内であれば低層マンションも建築可。
 
(2)第2種低層住居専用地域
第1種低層住居専用地域の用途に加え、コンビニエンスストアやカフェなど、小規模な店舗・飲食店も建設可能。
 
(3)第1種中高層住居専用地域
住宅、病院、大学、中規模の店舗・飲食店などが建設可能。主に中高層マンションが建設される地域。
 
(4)第2種中高層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域の用途に加えて、中規模のオフィスビルや1500平米以下の店舗も建設可能。
 
(5)第1種住居地域
住宅、病院、大学、店舗、飲食店、オフィスビル、ホテルといった建物が建設可能で、より大きなマンション建設される地域。
 
(6)第2種住居地域
第1種住居地域の用途に加え、パチンコ店やカラオケ店なども建設可能な地域。
 
(7)準住居地域
第2種住居地域の用途に加え、床面積200平方メートル未満の劇場類、倉庫業倉庫なども建設可能な、幹線道路沿いに多い地域。
 
(8)田園住居地域
農業やそれに関係する施設利用を促進しつつ、これらと調和した低層住宅の良好な住環境を保護する地域。
建設可能な建物は、低層住居専用地域の用途と農業用施設に限られる。
 
〈商業系地域〉
 
(9)近隣商業地域
近隣住民への日用品を販売する店舗など、商業の利便を増進する地域。
 
(10)商業地域
近隣商業地域の用途に加え、キャバレー、個室付き浴場などの建設も可。
 
〈工業系地域〉
 
(11)準工業地域
著しく環境を悪化させる可能性がある工場、危険が大きい工場、危険物の取り扱い量が多い施設、個室付き浴場以外の、さまざまな建物が建設可能。
 
(12)工業地域
あらゆる種類の工場が建設可能。住居・店舗も一部を除き建設できるが、学校や病院、ホテルなどは建設不可。
 
(13)工業専用地域
工業の利便を増進するための地域。住宅や病院、ホテル、学校、老人ホーム、カラオケボックス以外の遊戯施設などは建設不可。


購入申込みは何をする?留意点は?
住まいを購入するときは売買契約を結ぶ前に、まず「購入申込み」をします。
不動産は高額な商品になるので、
「申込み」という手順を踏んで、いろいろな確認を済ませてから契約という段階に至るのです。
申込み時に留意すべき点はさまざまありますので、購入を検討しているのなら知っておきしょう。


購入意思は必ず固める
そもそも申込みは契約ではないので、あくまで「買いたいという意思を提示する」という行為になります。
ただし、申込み後に契約することを前提としているので、購入意思は必ず固めてから申込みをしなければいけません。
購入意思を固める前に確認しておくことは以下の点です。
 
【販売方法の確認】
まずは、販売方法が「先着順申込み受付」か「抽選による申込み受付」かの確認をしましょう。
中古物件は、基本的に先着順で申込みを受け付けますが、新築物件の場合は、本申込の前に抽選を行うことが多々あります。
先着順申込み受付の場合は、早い者勝ちなので、その住戸に申込みを入れたタイミングによって購入の優先権が決まります。
 
一方、抽選による申込み受付は、新築分譲住宅・マンションに良く見られる方法です。
まず登録期間を設け、登録期間内にその物件を買いたい人を募集します。
登録した人が一人であればそのまま申込みになりますが、複数の登録者がいれば抽選を行います。
抽選の結果、当選した人に本申込みの権利が与えられるというわけです。
抽選倍率は分譲規模などによって違いますし、方法も物件ごとに異なる部分があるので、確認が必要です。
 
【価格はじめ条件面の確認】
申込みの意思確定に欠かせないのが、価格はじめ条件面の確認です。
募集の段階で、価格やその他条件は提示されていますが、未定の部分もありますし、変更になることもあります。
特に、価格は値引き交渉の余地があれば、買主にとって有利な値引きができる可能性があります。
 
売主側は、申込み~契約までの期間内に、申込み後に確認・決定した条件内容にて売買契約書を作成します。
この段階では、価格変更はもちろん、ほかの条件も変えられないので、その手前で調整を済ませておく必要があるのです。

「申込金」とは何か
購入の申込みをするときには、「申込金」というお金を支払うケースがあります。以下の点を理解しておきましょう。
 
【申込金の意味】
売主が「申込金」を求めるのは、買主の「本気度を測るため」という意味合いが大きいです。
申込金額は売主の設定によって異なりますが、相場は10万円前後になります。
買主がその10万円を支払うのをためらうということは、売主側は、その買主に対して申込みを撤回する恐れがあると考えるというわけです。
 
申込みが受け付けられると、原則的にその物件は他の人が申し込むことができなくなります。
つまり、一旦購入者の募集を止めるわけです。
ですから売主は申込みの撤回をされると、その分の販売期間が無駄になるという不利益を被ることになるので、
その回避策として申込金の徴収という形で買主の購入意思をはかるのです。
 
【申込みを撤回したとき】
もしも、申込みを撤回した場合には、申込金は全額返還されます。
というのも、申込みは法的拘束力がなく、単なる意思確認だからです。
申込金も売主が「預かるお金」という扱いになるので、申込みが撤回されれば全額返金になるというわけです。
 
【申込金納入時の注意点】
申込金を支払う場合には、必ず「預かり証」を受け取るようにしましょう。
よほど悪質でないと「返金しない」などということはありませんが、お金のことなのでリスクヘッジしておいた方が無難です。

「買付証明書」とは何か
「買付証明書」とは、主に中古物件購入時に提出する書面で、新築物件購入時の「購入申込書」と似ています。
新築物件購入時は「購入申込書」に署名・捺印し、中古物件の場合は「買付証明書」に署名・捺印するというわけです。
買付証明書に関しては、以下の2点を認識しておきましょう
 
【買付証明書の記載内容】
買付証明書に記載する項目は以下の通りです。
 
・住所や氏名
・購入希望額
・引渡し希望日
・資金内訳
 
買付証明書にフォーマットはありませんが、一般的には上記のような内容になります。
諸条件を記載することで、口頭での取引ではなく、きちんと書面上の取引にするのが狙いです。
 
【買付証明書の意味】
そもそも、なぜ購入申込書ではなく「買付証明書」と呼ぶかというと、その条件で売主がOKするかがわからないからです。
新築物件の場合は、販売する不動産会社が売主ということが多いので、諸条件が決まりやすいということがあります。
そのため、条件確認と申込みが同時に行われるという状況が多くなります。
 
一方、中古物件の場合は、買主と話をする販売担当者は、取引を仲介する不動産会社の社員であり、その先に売主がいるという構図です。
そのため、一旦諸条件を書類にまとめ、売主に提示・確認するという意味で「買付証明書」を提出するのです。
 
そして、その買付証明書の内容で問題なければ、売主は「売渡承諾書」という書面を発行し、売買契約へと移行します。
もちろん、買付証明書を提出したものの、売主がその条件に納得しなければ買付証明書は無効になります。
そのときは、買主は再度交渉するか、売主の提示した条件を受けるか、あるいは購入を諦めるかを決めます。

売買契約時の留意点とは

売買契約は法律行為なので、解除するときには違約になることがあります。
その違約の内容によっては、もちろん金銭的なペナルティがあります。
そうならないように、契約に臨む前に留意点を確認しましょう。

「売買契約書」はどこを確認すべきか
まず「売買契約書」には主に以下の項目が記載されています。
 
・売買物件の表示
・金銭に関すること(売買代金・手付金等の額・支払日)
・土地の実測及び土地代金の精算
・境界の明示
・所有権の移転と引き渡し
・付帯設備等の引き継ぎ等
・負担の消除
・公租公課等の精算
・手付解除
・危険負担(引き渡し前の物件の滅失・毀損)
・契約違反による解除
・反社会的勢力の排除
・特約
・契約不適合責任
 
上記の項目の中でも留意すべき「売買物件の表示」「付帯設備等の引き継ぎ等」「特約」「契約不適合責任」について確認しましょう。
 
【売買物件の表示】
売買物件の表示とは、購入する不動産の概要のことです。
不動産の所在地や土地面積、建物面積・構造など、基本的に登記簿の内容が記載してあります。
実際の取引内容通りかを細かな面積などの数値に注意して確認しましょう。
 
【付帯設備等の引き継ぎ等】
主に中古物件が対象になりますが、エアコンや照明などの付帯設備についての取り扱いを確認します。
具体的には、これら付帯設備を引渡し後に引き継ぐのか、
引渡し前に撤去してもらうのかを明確にしておくということです。
不要な物を撤去するには費用がかかりますから、その負担についてはあらかじめ定めておく必要があるのです。
 
【特約】
「特約」は通常の条約事項には定めのない内容を、わざわざ別立てで規定するものです。
その内容はさまざまありますが、仮に本文の条項の内容に相反するような記述である場合、
基本的には特約の方が優先されるので、注意が必要です。
法令に反するような内容や、当事者の一方が明らかに不利益を被るような内容はそもそも無効になりますが、
契約時に確認するには越したことはありません。
 
【契約不適合責任】
「契約不適合責任」は、取引した物件が契約内容と異なる場合に、売主が負う補償責任のことです。
不動産の取引では、土地・建物に契約時の認識と異なる不具合があった場合などが対象になります。
「手付金」について
「手付金」とは、売買代金の支払いに先んじて、売買契約時に買主が売主に支払うお金です。
そのまま契約が履行されれば、売買代金の一部として取り扱われます。
その場合は何も問題はありませんが、もしも契約が履行されなかったときに手付金はいろいろな重要な意味を持ってきます。
以下に手付金の種類とそれぞれの持つ意味を記します。
 
【証約手付】
「証約手付」とは、不動産売買契約が成立したことを証明するための手付金です。
ただし、国内の商習慣においては、この性質として手付金を用いることはほとんどありません。
 
【解約手付】
買主が手付金を放棄することで、契約を解除できるという意味を持つ手付金です。
売主の都合で解約になった場合は、2倍の金額を買主に支払うことになっています。これは民法で規定されています。
 
【違約手付】
「違約手付」は、債務不履行があったときに違約金として没収されることが予定されている手付金です。
売主に債務不履行(引渡し義務の不履行)が発生した場合は、売主は買主に手付金の2倍の金額を支払います。
 
また、不動産売買で支払う手付金には、「売買代金の 20%以内」という上限設定があります。
仮に、売買代金が4,000万円であれば、800万円が手付金の上限です。
ただ、売買代金の20%はかなりの高額になるので、手付金額の相場としては5%~10%、もしくは「100万円」といった金額指定が多いようです。

契約が解除になる場合とは
売主・買主双方とも、売買契約が滞りなく履行されることを望んでいるはずですが、意に反して契約が解除されることも考えられます。
どのような場合に解約になるか、参考にいくつかのパターンを挙げます。
 
【自己都合による契約解除】
自己都合による解除とは、「やはり気が変わったから契約解除したい」などです。
この理由での解除の場合は、買主都合では手付金の放棄、売主都合では手付金の2倍額の支払いが必要になります。
 
【住宅ローン特約による契約解除】
不動産の購入に際しては多くの人が住宅ローンを利用しますが、もしも審査が通らずに融資実行不可になってしまったら購入資金が調達できないので、
買えないという事態に陥ってしまいます。
この場合買えないわけですから、大抵は契約が解除になる特約が定められています。
買主が責任を負う事由ではないので、契約は白紙となり基本的に手付金は全額返還されます。
 
【債務不履行による契約解除】
債務不履行とは、売主・買主のどちらかが、以下のように本来履行すべき債務についての約束を守らなかった状態を言います。
 
・期限までに買主が売買代金を支払わない
・期限までに売主が物件の引渡しをしない
・契約時と物件が異なる状態(破損など)になっている
 
このような場合は、非がある方の違約になります。
例えば、期限までに買主が売買代金を支払わなければ、売主は売買契約を解除できます。
その際は、買主に責任があるので、買主から預かっている手付金を違約金として売主が没収します。
 
【物件の滅失、毀損による契約解除】
物件の滅失・毀損とは、売買契約を結んでから引渡しまでの間に、地震などの自然災害や火災などにより、取引対象がその効用を失った状態になることです。
売主・買主ともに責任のない理由によって建物がなくなったり、損傷したりした場合には、特約の適用により契約が解除されます。
 
基本的な取り決めは、滅失した場合には契約は白紙解約になり、毀損した場合は毀損した範囲を修復し、買主に引渡すというものです。
ただしその程度の差や損傷具合を計る基準は何をもってというのは難しいので、個々の事案ごとに社会通念と照らして判断することになるでしょう。

「重要事項説明」と注意点について
不動産を購入するときには、「重要事項説明」というものがあります。重要事項説明は、
文字通り不動産取引についてのさまざまな内容の説明を受ける大切な手続きの一つです。

「重要事項説明」とは
そもそも「重要事項説明」とは、宅地建物取引業法で定められている宅地建物取引業者(以下宅建業者)に課された義務であり、
宅地建物取引(不動産の売買など)においては売買契約前に必ず行わなければなりません。
そのため、宅建業者が売主になる新築不動産の売買はもちろん、個人間の取引以外では、仲介する宅建業者は、必ず重要事項説明を行います。
 
また、重要事項説明は宅地建物取引士(以下:宅建士)の独占業務ですので、
不動産会社に勤務していても宅建士の資格を有していないと行えません。
ですから、説明の際は宅地建物取引士証の提示が義務付けられています。
 
重要事項説明は「重要事項説明書」に基づいて行われます。同書面には主に以下の項目が記載されています。
 
【対象となる不動産に直接関係する事項】
対象となる不動産に直接関係する事項とは以下の通りです。
 
・登記に記録された事項(権利の種類・内容など)
・法令に基づく制限(用途地域の指定ほか建築にかかる各種制限など)
・接道状況について
・私道負担に関する事項(私道がある場合)
・電気やガス、水道などのインフラについて
・工事完了時における形状・構造について(未完成物件のみ)
・その土地に対する注意事項(土砂災害警戒区域内かなど)
・アスベスト(石綿)使用の調査有無や耐震診断の内容
 
このように、物件やその土地に関して知っておくべき事項が記載されています。
 
【取引条件に関する事項】
取引条件に関する事項とは以下のような項目です。
 
・代金、交換差金以外に授受される金額など(手付金などの明示)
・契約解除に関すること
・損害賠償額の予定、違約金について
・手付金・預り金の保全措置について
・金銭の貸借のあっせんについて(融資内容)
・契約不適合責任について
 
ここでは、金銭授受の取り決めや契約解除についての具体的な内容などが記載されています。
 
【その他の事項】
その他の事項には、
 
・不動産会社の営業保証金の供託所名など
・添付書類の一覧(土地・建物登記簿謄本、公図など)
 
が記載されています。
 
【区分所有建物の場合の説明事項】
マンションなどの区分所有建物には、土地・土地付建物にはない特有の説明項目があります。
 
・敷地の権利や内容
・共用部分に関する規約等の定め
・専有部分の用途や利用制限に関する規約等の定め
・専用使用権に関する規約等の定め
・所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め
・修繕積立金・管理費について
・管理委託先について
・建物の維持・修繕の実施状況記録
 
マンションなどの区分所有建物は専有部分と共用部分が存在し、さらに専用使用権の取り決めがあります。
これらの利用制限や管理・維持に関する細かな決め事が管理規約により定められており、そのおおよその内容について記載があります。

重要事項説明書の注意点
「重要事項」というくらいなので、重要事項説明書の内容は全て重要ですが、
いかに細かな注意点を記しますので、実際に重要事項説明を受けるときの参考にしてください。
 
【物件に関すること】
まず、「不動産の表示」の土地・および建物の表記について、土地の表記部分に「登記簿面積」と「実測面積」の項目があります。
この二つは数値が異なっていることがあります。
自身の取引が「登記簿売買」なのか「実測売買」なのかを正しく把握しておき、取引面積の認識が合っているかを確認しましょう。
また、建物についても、増改築が行われている場合は表記の建物面積と現状が異なっていることがあります。
その分は「固定資産税課税台帳」などで確認します。
 
また、「所有権に係る権利に関する事項」の記載にも注意が必要です。
「無」になっていれば問題ありませんが、「有」になっていたら、その内容を必ず確認しましょう。
認識のない登記記録がある場合、購入しても所有権を取得できないということになりかねません。
 
接道についても注意が必要です。購入する物件の前面道路が私道の場合、記載内容に注意しましょう。
まず私道負担の有無はどうか。私道負担があるならば、その分の面積や持ち分などが記されます。
セットバックを要する場合は、建物の敷地として使える面積がその分減ります。
ただ私道の所有権が全くない場合は、インフラ敷設工事の際に所有者の許可が必要になり、通行料がかかることもあるので、いずれもきちんと確認しましょう。
 
【金銭に関すること】
まず、手付金とその取扱いについてです。
手付金とは、売買契約前に売主へ預け入れる金銭であり、決済時には売買代金の一部として充当されるものです。
ただし、契約が解除されたときに手付金の取扱いはどうなるのかは解除に至った理由により異なります。
重要事項説明書にはそのことが細かく記載されているので、確認しておきましょう。
 
また、マンションを購入するのであれば、売買代金以外にかかる費用の記載を確認します。
例えば、駐車場や駐輪場、専用庭などの共用部分での専用使用権に費用を要する場合には、
取得権利と金額の認識にズレがないかを必ず見ましょう。
 
また中古マンションを購入する場合は、管理費・修繕積立金の欄に前所有者による滞納分の記載がないかを確認します。
管理組合は特別な取り決めがなければ、前所有者の滞納分を新所有者に請求できるので、この有無の確認は大切です。
 
【立地や建物のリスクに関すること】
表記項目としては、「造成宅地防災区域」内か否かと、「土砂災害警戒区域」内か否かになります。
いずれも「区域外」ならば問題ありません。
もしも「区域内」である場合には、災害リスクと災害を防止するための措置を講ずる責任が生じることを理解した上で、不動産を購入しなければいけません。
 
また、アスベスト(石綿)の使用調査の有無や耐震診断についての記載も安全・安心に暮らすための重要なポイントなので、必ずチェックしましょう。
 
【特約に関すること】
「特約」とは文字通り、特別な規定をもって約することです。
通常の記載項目以外に特約が記されている場合は、必ず確認しましょう。
特約の例としては、「契約不適合責任の売主の免責特約」、「住宅ローン特約」、「買換え特約」などがあります。
 
「契約不適合責任の売主の免責特約」は、通常、法令で定められた売主が負うべき取引対象に対する契約不適合責任について、負わないものとする規定です。
築年数がかなり経っている中古物件に見られます。
建物状況調査結果と合わせて規定されることが多いですが、不明な点があれば説明を求めましょう。
 
「住宅ローン特約」は、もしも住宅ローンの本審査に通らず融資を受けられなかった場合には
、売買契約は解除され、預け入れた金銭は全額買主に返還されるという取り決めです。
 
「買換え特約」は、同じように規定期日までに規定金額で手持ち物件が売却できなかった場合に売買契約が解除されるというものです。
特約によって買主が有利になるもの、不利になるものがあるので、曖昧に承認しないように注意しましょう。

気になる箇所は残さない
重要事項説明をする宅地建物取引士はわかりやすく説明するように心がけていますが、
はじめて不動産を購入する人には理解しにくい点も多いです。
ですから、重要事項説明で少しでも気になる箇所があれば、遠慮せずにどんどん質問しましょう。
 
重要事項説明を受けた後は、その説明記述に関することを理由に売買契約を白紙解除することはできません。
 
その時点で契約解除すると、買主側の自己都合になる可能性が高いので、
そうなると契約時に預け入れた手付金が違約金として没収されてしまうなど、
不利益を被ることがあるので、重要事項説明はよくよく注意をして受けましょう。



不動産登記手続きを知っておこう

不動産売買取引には権利変動が発生します。その権利変動を公的に記録するのが「不動産登記」という制度です。
不動産登記法で規定された、専門的かつ一般の人にはなじみの薄い手続きですが、
住まいを購入する際には必ず発生する、自分の権利を表す重要なものです。

不動産登記とは何か
不動産登記とは、不動産の現況や権利について客観的に正しく示す(公示する)ためのものです。
例えば、
・どこにあって、どのくらいの大きさなのか
・不動産の現所有者は誰か
・抵当権の設定がある場合、その内容
などの情報が記録されています。
 
不動産登記は、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)という形で管理されており
(現在は電子化され、コンピューター管理が基本となっています)、公示制度が取られています(一般に公開されている形)。
ですから、手数料を払えば誰でも閲覧・写し等の取得をすることができます。この制度により、物件の存在、所有者などが明確な状態で、
当事者が安心かつ安全な不動産取引を行うための役割を持っています。

不動産購入時に必要な登記手続き
不動産を購入するときの登記は、
 
1.所有権に関する登記
2.所有権以外の権利に関する登記
 
という2種類に大きく分けられます。
 
オンラインや法務局窓口で登記簿謄本を交付請求して実際に見てみるとよくわかりますが、
登記内容は「表題部」と「権利部(甲区/乙区)」に分かれて記載されています。
表題部は、不動産そのものの現状が記録されています。
例えば、所在、地番、地積、家屋番号、構造、床面積などです。
権利部は「甲区」と「乙区」に分かれており、甲区には所有権に関する事項が記録されています。
乙区には抵当権など、所有権以外の権利に関する事項が記録されています。
 
では、実際に不動産を売買するときに行われる登記は、具体的にどのようなものでしょうか。
 
【所有権に関する登記】
基本的に不動産を購入する場合には、所有権を自分に移したことを示す「所有権移転登記」を行います。
購入物件が新築の場合でも、建売ならば住宅を建築・販売する不動産会社が所有者になっているので、
通常は所有権移転登記になります。
 
自分自身で家屋を新築した場合は最初の所有者になるので、そのときは「所有権保存登記」を行います。
その際、手順としては先に「建物表題登記」が必要になります。
 
【所有権以外の権利に関する登記】
所有権以外の権利、不動産の売買で発生する主な権利としては「抵当権」があります。
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、住宅ローンを借り入れた金融機関を抵当権者とした、
抵当権設定登記を行うことになります。
 
抵当権とは、「借り入れした債務者がローンを返済できなくなってしまった際に、
金融機関は抵当権を設定した担保不動産を処分(競売にかけるなど)して、損失をカバーできる」という権利です。
 
ちなみに表題部については、変更(建物の増築や地目の変更など)も含めて登記が法律で義務付けられていますが、
権利部については法令上の登記義務はありません。
それ以外の登記(所有権移転や後述する抵当権などの登記)は義務ではありません。
 
しかし、不動産を購入しても所有権移転登記をしていないと、万が一第三者と権利関係のトラブルなどになったとき、
「その土地は自分のものです」という主張ができません。
ですから、例え義務になっていなくても、自分の財産を守るためには登記が必要だと心得ておきましょう。

登記の方法と費用について
不動産登記は自分で行うこともできますが、基本的に専門家である司法書士や土地家屋調査士に依頼して行う(代理申請してもらう)ことになります。
申請内容が複雑になることは多いですし、もしなんらかのミスがあった場合に、正当な権利を主張できませんので、プロに依頼することが一般的となっているのです。
 
ひと言で専門家と言っても、法令の規定により保有資格によって登記手続きが行える範囲が明確に分かれています。
表題部の登記手続きは土地家屋調査士が、権利部の登記手続きは司法書士がそれぞれ業務資格を有しています。
ですから、売主から不動産を購入するという売買取引では、権利部の登記が必要になるので、一般的には司法書士に依頼することになります。
 
【登記の方法】
必要書類や登録免許税という費用などをすべてそろえて、管轄法務局に申請することで登記できます。
必要書類については、一般的な所有権移転登記であれば、
 
・売買契約書
・固定資産評価証明書
・売主の印鑑証明書
・登記識別情報(権利証と呼ばれる登記済証の場合もあります)
・買主の住民票
・司法書士への委任状
 
などが必要です。これらの書類は、申請する登記の内容によって変わってきます。
司法書士に確認の上、自分でそろえければならないものは漏れなく準備しておく必要があります。
 
【登記費用】
不動産登記そのものにかかる費用として、「登録免許税」が必要です。
登録免許税は、対象不動産の固定資産税評価額に規定の税率を掛けて算出します。
納付は登記申請書に税額分の収入印紙を貼付する形で行います。
 
この他、上記に挙げた申請に必要な書類をそろえる費用と、司法書士に登記手続きを依頼する場合にはその報酬が必要になります。
物件によって、登録免許税額は違いますし、司法書士報酬も案件内容・事務所ごとに幅があるので、
自身の取引内容にて確認する必要があります。