• 売却について

売却について

◆売却の流れ

売却は「売却理由」と「取引の流れ」が大切
住まいの売却は、購入と並ぶ人生の重要なイベントです。よほど不動産の扱いに慣れた人以外は、誰もが初めてのことに戸惑うでしょう。
売却を成功させるためには、売却する理由を明確にし、事前準備を経て計画を練る必要があります。

まずは売却する理由を明確に
住まいの売却で最初に行うべきは、売却の理由をはっきりさせることです。当然だと思うかもしれませんが、理由を明確にすることでその後の方針が変わってくるのです。
 
例えば、「子供が増えたから引っ越したい」という理由なら、現在よりも広い家が必要です。逆に「子供が独立したから住み替えをしたい」という理由なら、
夫婦二人暮らしに適した広さを考えるでしょう。このほかにも、「Uターン」「Iターン」「住まいの老朽化」など、さまざまな理由があります。
 
このように理由を整理していくと、住まいを売却したあとのライフスタイルが見えてくるはずです。
ライフスタイルが見えてくれば、売却の時期や必要な資金など、おおまかな計画が立ちます。

売却前に確認すべきポイントは三つ
売却する理由が明確になったら、より具体的な売却計画を立てます。確認すべき三つのポイントを整理しておきましょう。
 
新居の購入時期
住み替えでは、「現住居の売却」と「新居の購入」のどちらを先に行うかで、対応が変わってきます。
 
売却を先に行う場合は、資金計画が立てやすくなります。売却予定額を基本として、足りない資金の確保や新居の購入予定額を決定できるからです。
ただし、売却後すぐに新居に引っ越せるとは限りません。売却から購入までに時差が発生することを考慮し、仮住まいの手配も忘れずに行いたいところです。
 
一方、新居の購入を先に行う場合は、仮住まいの心配がないため、余裕をもって物件を選ぶことができます。しかし、資金計画は難しくなるかもしれません。
特に現在の住まいのローンが残っている場合は注意が必要です。
売却価格からローン残債を差し引いた手元資金が新居の価格と大きく離れていると、購入を諦めざるを得ません。
 
このように、売却と購入をいつ行うかによって物件選びや資金計画の難易度が変わることを覚えておきましょう。
 
売却価格の相場
住まいは、取引する時期によっても価格が変動します。まずは売却希望価格をおおまかに設定し、実際の相場と見比べてみましょう。
不動産の相場は、以下のような方法で知ることができます。
 
・不動産情報サイトの一括査定サービスを利用する
・不動産情報サイトで同条件の物件を検索して調べる
・レインズマーケットインフォメーションを利用する
 
一括査定サービスでは、不動産会社が設定したデータをもとに簡易査定が受けられます。
また、レインズマーケットインフォメーションは、直近一年間で売買された不動産価格を調べるためのサイトです。
特にレインズでは、過去2年間の市場動向がグラフで確認できるため、相場の傾向がつかみやすくなります。
 
【売却にかかる諸費用】
住まいの売却では、主に以下のような費用がかかってきます。
 
〈仲介手数料〉…住まいの売却を依頼した不動産会社に支払う手数料
〈印紙税〉…売買契約書に貼付する印紙代
〈抵当権抹消費用〉…住宅ローンに残債があり、抵当権が設定されている場合は抹消登記が必要で、登録免許税+司法書士への依頼料がかかる。
〈測量費用〉…土地を引き渡すときの実測費用
〈譲渡所得への課税〉…売却額が購入額よりも大きい場合に課される所得税と住民税
〈引越し費用・その他〉…引越し費用や住み替え前の仮住まい費用、不用品の処分費用など
 
こういった費用も一度整理し、資金計画の中に組み入れるようにしましょう。
流れを理解してスムーズな売却を
では実際に住まいを売却するときの流れを確認してみましょう。住まいの売却は、主に以下の5ステップで行われます。
 
【スケジュール設定】
いつまでに売却し、引っ越したいのかを明確にします。また、新居の購入が必要なときは、その時期も決定します。
急いで売却するならば安めに設定し、じっくり売却するならやや強気の価格設定から徐々に下げるなど、売り出し方に違いが出てくるでしょう。
 
簡易査定(査定依頼)
不動産会社による売却価格の目安を「査定価格」と呼びます。
査定には一定のデータから機械的に価格を判断する「簡易査定」と、現地で物件を確認する「訪問査定」があります。
簡易査定であれば、インターネット上の一括査定サービスを利用することで、短い時間で簡単に査定結果が得られます。その中から気にいった不動産会社と話を進める、というのも一つの方法です。
 
不動産会社の選定と依頼
実際に不動産会社と媒介契約を結び、住まいの売却を依頼します。住まいの売却には、信頼できる不動産会社の存在が欠かせません。
過去の売買実績やインターネット上の口コミなどを総合的に判断し、目星をつけていきましょう。
大手企業がもっている販売力も大切ですが、担当者との相性も重要です。きちんと納得できる会社と契約を結びましょう。
また、媒介契約には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の三種類があります。
どれが適当かはケース・バイ・ケースですから、状況によって判断していきましょう。
 
販売活動
依頼した不動産会社が売却先を探します。また、媒介契約によっては自分で買い手を探すこともできます。
 
売却と引き渡し
買い手が見つかったら、売買契約を締結します。この時点で実際の売却価格が決定します。
また、売却する住まいについての詳しい説明や残代金の決済、所有権の移転登記などを行い、取引を完了させます。
金融機関や不動産会社の個室などを借りて行われることが多いです。
 
住まいの売却は金額が大きいため、最初は誰もが不安を感じるものです。
知識を得て計画を立て、信頼できる不動産会社との協力でより満足できる取引を進めましょう。

◆契約の流れ

買い換えなどで住まいを売却する際の流れ、手続きについてのポイントを紹介します。

依頼する不動産会社を選ぶ

自宅を売却する場合、自分自身で買い手を探すこともできますが、親戚や知人に限られ、希望価格で売却することは難しいでしょう。
しかし不動産会社に依頼すれば、広く買手を探せますし、価格や税金、取引の流れなどについて、広くアドバイスを得ることができます。
いかに信頼できる不動産会社を選択できるかがポイントとなるでしょう。
 
買い換える住宅の販売や仲介を行う不動産会社に売却も併せて依頼すれば、売却できることが購入の条件のため、話が通じやすく楽かもしれません。
また、自宅ポストに「売主募集」「売り物件を探しています」というようなチラシを投函する不動産会社には、そのような物件を求めている買い希望顧客がいる可能性があります。
 
不動産会社は、売主から不動産の売却を依頼されれば売る側の立場に立って販売を行ってくれます。
今やアットホームが構築した不動産情報ネットワークによる不動産会社同士のつながりは、日本全国を網羅していますので、
物件情報をはじめとする各種情報はどの不動産会社もほぼ共通に扱えます。
ですから身近に信頼できる不動産会社があるなら、まずはその不動産会社に売却の依頼を検討するのがいいかもしれません。

不動産会社と媒介契約を結び売却してもらう

1.媒介契約の種類
売却を依頼する不動産会社が決まったら媒介契約を締結します。この媒介契約には以下の3種類があります。
 
(1)専属専任媒介契約
1社の不動産会社に売却を依頼するもので、売主が自ら発見した買い手と売買契約を締結することはできません。
つまり、売却を完全に任せることになるので、不動産会社の責任は重く、売却活動に力を入れてくれることでしょう。
また、依頼者(売主)に対して一週間に一度以上の報告義務があります。契約有効期間は3ヵ月間です。
 
(2)専任媒介契約
1社の不動産会社に売却を依頼するものです。売主が自ら発見した買い手と売買契約を締結することができますが、不動産会社の売却活動にかかった費用負担は生じます。
依頼者(売主)に対して二週間に一度以上の報告義務があり、契約の有効期間は3ヵ月です。
 
(3)一般媒介契約
複数の不動産会社に売却を依頼するもので、売主が自ら発見した買手と売買契約を締結することもできます。
なお、これには依頼する他の不動産会社名を明示する「明示型」と明示しない「非明示型」とがあります。
 
売却を依頼された不動産会社は、これらいずれかの媒介契約書を作成、記名押印して、依頼者(売主)に交付することが義務付けられています。
媒介契約が不動産会社と依頼者との間で成立していることを証明し、媒介報酬を巡るトラブルを防ぐためです。
 
〈媒介報酬の上限〉
媒介報酬(仲介手数料)の上限は、売買価額が200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%となっています(すべて消費税別途)。
 
2.売却活動の流れ
まず、売却条件を決めます。売出価格、引渡時期、広告方法など、不動産会社と相談して決定します。
 
次に広告活動を行います。インターネットや不動産会社間情報といった、それぞれの広告方法について間取り図や外観写真を提供するなど、不動産会社の広告活動に協力してください。
 
広告を行うと内見を希望する人が出てきます。不動産会社から連絡を受けたら、きれいに見えるように清掃しておきましょう。
内見では、不動産会社が購入希望者の希望条件を把握した上で案内や質問対応を行いますので、内見に立ち会う場合においても、
対応は基本的に不動産会社に任せるようにしましょう。
土曜日や日曜日に自宅を開放し、自由に見てもらうオープンハウスを行い、早期に買手を見つける方法もあります。

◆売買契約と物件の引渡し

1.売買契約のポイント
買い手が決まったら売買契約を締結し物件を引き渡します。後々トラブルにならないためにも、きちんと売買契約書を作成し、
売主・買主双方が署名捺印、それぞれ保管しておく必要があります。この売買契約書は不動産会社と相談して作成することになりますが、以下の点には注意が必要です。
 
まず、手付金についてです。宅地建物取引業者が自ら売主となる場合以外は、手付金の額に制限はありません。しかし、売買価格の10%程度に設定するのが一般的です。
 
続いて、ローンについてです。売買契約を締結した後、買主がローンを借りられないことが判明した場合は契約を白紙に戻す。
これをローン特約といいます。個人間取引においてもローン特約を付けることは多くなっています。
また、買主がローンを利用する場合、金融機関によっては、売買代金総額を受領する前に買主への所有権移転登記や抵当権設定登記に応じなければならないケースがあります。
ここでは、融資金を代理受領できるようにしておく必要があります。
この場合は、売主・買主が連名で、融資を実行する金融機関に融資金を売主に直接交付してもらうための手続きを行います。
 
そして危険負担について取り決めます。売買契約から引渡しまでの間に火災などで(売主・買主双方に責任がない形で)損害が発生した場合、
民法の規定では買主は代金を支払うことになっていますが、通常は、契約を解除する特約を付けるのが一般的です。
これは、契約書に明記しておいた方がよいでしょう。
 
引渡時期については、買い換える住宅の入居時期に合わせることが大切です。
仮に引渡しを買主に待ってもらう場合は価格を値引きするなどの交渉が必要になります。
 
2.物件の引き渡し
物件の引渡しとは、住戸の鍵を買主に渡すなどして、買主が物件を占有できる状態にすることをいいます。
買主の残代金支払いが完了したら即時履行するのが一般的です。
 
引渡しに際しては、目的物件が契約書の内容通りかどうか、また物件が引き渡せる状態にあるかどうかを確認します。
特に、契約のときにリフォーム工事が未完了だった場合やハウスクリーニングが済んでいなかった場合などは、事前に売主・買主双方立会いの上、物件をチェックすることが重要です。
引渡しできることを確認したら、固定資産税・都市計画税や公共料金の精算を行います。
マンションの場合は、管理会社へ通知するとともに管理費や修繕積立金、駐車場などの専用使用料についても精算します。
 
また、建物については建築確認申請時の書類や検査済証、マンションの場合は管理規約や使用細則など、物件に関する資料や図面、物件の鍵を買主に渡します。
 
通常、対象不動産の所有権移転登記は司法書士が代行しますから、登記を行うための書類(権利証、委任状、印鑑証明書等)を司法書士に渡します。
さらに、ローンの返済が残っており、買主から残代金を受け取らないと債務を完済できない場合は、
完済当日までに抵当権抹消登記の書類を金融機関などに用意しておいてもらうことが必要です。

◆家の買い替えは、購入が先か売却が先か?
マイホームを買い替える際には、「購入が先か」「売却が先か」、迷うこともあります。
どちらの方法を採ることもできますが、それぞれにメリット、デメリットがあります。では、それぞれの特徴を見ていきましょう。


資金が確保できるなら先の購入もおすすめ
資金に余裕がある場合、住み替えの時期を選ぶことができるので、先に購入を行った方がスムーズに進みます。先に購入を行う場合のメリットは次の通りです。
 
メリット
・マイホームの購入を先に行うので、住む場所の確保ができており、仮の住居を確保する必要がありません。住居の心配をする必要がなく、このことにより安心感が得られます。
・資金に余裕がある場合、時間をかけてゆっくり売却すればよいため、売却における価格交渉面で有利になります。
・住宅ローン返済後であれば、賃貸物件として利用しながら売却のタイミングを図るという手法も考えられます。
これにより、賃貸収入を得ながら、時間をかけてゆっくり売却のタイミングを見ることができ、やはり売却を有利に進めることができます。
 
一方、先に購入を行った場合、売却によって得られる資金をまだ手にしていないため、新たなマイホームの購入資金をどうするのかが、問題になります。デメリットは次の通りです。
 
【デメリット】
・購入物件で住宅ローンを組む場合でも、売却物件とのローンが二重になることもあるので、やはり資金に余裕がないと難しくなります。
・資金に余裕がない場合、売却を急がなければならなくなることもあり、売却を有利に進めることができない可能性もあります。

先に売却して購入物件の頭金に回すことも
予算に制限がある場合、先に売却することで購入資金が決定するため、購入を検討する際にも予算が立てやすくなります。
先に売却を行う場合のメリットは次の通りです。
 
メリット
・先にマイホームの売却を行う場合、売却益を新しいマイホームの購入資金に充てることができ、資金計画が立てやすくなります。
実際に売却するまで、売却価格がいくらになるのかは予想が難しい面もあり、売却価格が決まってから新しいマイホームの購入を検討できます。
・住み替えの時期を決めていない買い替えであれば、時間をかけてゆっくり売却先を探すことで、有利な条件で売却をすることが可能になります。
・購入と売却の手続きが重ならないので、時間的に余裕ができます。
 
一方、先に売却を行った場合、仮の住居の手配などが問題になります。デメリットは次の通りです。
 
デメリット
・マイホームの売却をした後、新しいマイホームの購入をするまでの間、仮の住居を確保する必要が出てきます。
・仮の住居の観点からも、新しいマイホームの購入を急がなければならなくなる場合もあり、購入を有利に進めることができない可能性もあります。

売却と購入を同時に進める際の注意点
マイホームの買い替えは、売却と購入を同時に進めることができるのであれば理想的ですが、相当の調整力が必要になり、現実的ではありません。
それでも、同時に進めることには利点があり、計画する段階から十分な調査と調整を行うことがベストです。その際には、次のような点に注意してください。
 
まずは、売却のスケジュールと購入のスケジュールを把握しておくことです。
事前に準備をすることで、さまざまな問題をクリアにし、余裕のある対応ができます。
そのためにも、まずはスケジュールをしっかり把握しておきましょう。
 
また、売却・購入の予定や進捗状況について、不動産会社や住宅ローンを組んでいる金融機関にも報告をすることが重要になります。
状況を報告することで、トラブルを回避することも可能です。
 
さらに、同時進行の場合、タイミングが最重要事項になります。
そのため、売買の条件面で妥協が必要になってくることもあります。
必ずしも最適なタイミングでは売買が進まないことも考慮に入れ、資金繰りの計画には余裕を持たせることが、
資金繰りが上手くいかないリスクを回避するためには重要なことです。

◆自宅に「住みながら上手に売る方法」とは
自宅を売るときには、新居を購入するまで今の家に「住みながら売る」ことができます。
「住みながら売る」ことはとても合理的な方法なのですが、メリットとデメリットが共存していることを忘れてはいけません。
なぜ家に「住みながら売る」のか
家に「住みながら売る」という事象が発生するのは、住まいを買い換えるときに、大抵の場合売却と購入を並行して行うことになるからです。
 
仮に今住んでいる家を売ってから新居を購入するということになると、新居を見つけて実際に住むまでの間、仮住まいを確保する必要が出てきます。
しかし、自分の家に住みながら新居を探すことができれば、仮住まいを挟まずスムーズに住み替えをすることができます。

住みながら売るメリットとデメリット
「実際に住みながら売れるのだろうか」「空き家の状態でないと売れにくいのではないか」という不安もあるかと思います。
まずは、住みながら売ることのメリットとデメリットをきちんと知っておくことが大切です。
 
メリット
買い換えに際して、仮住まいが必要になった場合、毎月の家賃が発生するほか、引越し費用もかかります。
もちろん仲介手数料や礼金などの諸費用も必要です。しかし、今住んでいる家にそのまま住みながら売りに出せるということであれば、
仮住まいを準備する必要はありませんので、経済的・時間的な無駄を抑えることができます。
 
また、自分の家に住んでいる状態であれば、購入希望者が内見をする際には立ち会うことになります。つまり、買いたいと考えている人に対して、
売主が直接物件の魅力などを伝えることができます。これはメリットと言えるでしょう。
 
もう一つ考えられるメリットは、売却をやめられるということです。事情が変わり、現居に住み続ける必要が出てきた場合や、思ったよりも購入希望者が少ない、
あるいは売却価格が予想外に低くなりそうな場合、売出しを中止することができます。
 
デメリット
次にデメリットを見ていきます。まず、実際に住んでいる場合、自分が生活している様子を購入希望者に見せなければならないという点が、
大きなデメリットと言えるでしょう。家を買う際に、中を見ないで購入を決める人はまずいませんから、内見は必須になります。
よりよく見せるためには、清掃や整理整頓は当たり前に必要ですから、その手間やストレスも負うことになります。
 
さらに、どんなにきれいに使うことを心がけていたとしても、また内見に向けて準備をしたとしても、生活感は隠し切れません。
そうなると、購入希望者がせっかく内見に訪れても、汚れや古びた印象を与えるというマイナス面が出てしまい、なかなか成約に至らないという可能性があります。

住みながら売るために大切なこと
住みながら売ることのメリットを生かし、またはデメリットを抑えて上手に売却を進めるには、常に購入希望者の内見時の目を意識することが大切です。
例えば、生活感を完全に隠すことは不可能だとしても、日頃からできる限りきれいな状態に家を保つ、不要な物は処分するなどして隅々まで見えるように努める、
新しい小物や家具を一足先に買って備えておく、といったことが効果的です。また、生活臭が気になるという人も多いため、においにも気をつけましょう。
中には、ペットのにおいや毛が気になるという人もいるため、そういった点にも注意して内見に臨むといいでしょう。
 
家に自分が住んでいるということで、家の価値そのものが下がるわけではありません。
しかし、人が受ける「印象」ということを考えると、生活感がマイナスになることはあります。
反対に住んだときの雰囲気をイメージできる、というプラスの効果も期待できますから、内見者が「ぜひ買いたい」という気持ちになるような状態を保つことを心がけましよう。
 
また、仲介してくれる不動産会社とよく相談して、住まいのセールスポイントをしっかり認識しておくことも重要です。
立地や間取り、設備、周辺環境などのさまざまな要素を総合して、自分の家にはどんな魅力があるのか、そして住みながらどんなアピールができるのか、
しっかりと確認しておきましょう。これもデメリット部分を超えて購入意欲を高めてもらうために必要なポイントです。

◆物件の引渡しまでに売主がしておく準備とは
売買契約が済むと「売れた」という安心感からひと息つきたくなるものです。しかし、安堵ばかりもしていられません。
契約書を交わした後には「引渡し」というゴールが待っています。早ければ1カ月程度で進みますが、売主がやることはまだまだあります。
「どんな準備が必要か」「ヌケ・モレはないか」など、しっかりと段取りを確認しておきましょう。

引越し準備とライフライン停止手続き

買主に住まいの引渡しを行うには、売主が引越しした状態でなければいけません。
売買契約の完了から引渡しまでの期間設定にもよりますが、春先など、引越し会社が混み合う時季には、希望日の引越しが難しいこともあります。
引渡しの日程が決まったら、早めに新居への引越し準備を進めましょう。
 
また、売主が引越しして空き家になった後は、ライフラインの契約は必要なさそうに思えるかもしれません。
しかし、電気や水道は売買契約が終わってから引渡しまでの間にも部屋のチェックや掃除などで使うでしょう。
夕方以降や曇りの日は暗いので電気を止めると物件を訪れたときにかなり不便です。
掃除のために使うこともあるので、水道が流れないのも不自由を感じるかもしれません。
 
引渡し日の1週間くらい前までには利用停止の連絡をした方がいいですが、実際に利用を止める「停止日」は、基本的に引渡し日に設定します。
停止を申請するタイミングや方法、料金の支払いについては、電気・水道・ガスそれぞれで異なりますから、管轄の事業所に確認するなどして、間違えのないように気を付けましょう。
 
ただ、状況によっては自分では判断がつきにくいこともあるので、不動産会社に相談しながら進めることをおすすめします。

物件の最終確認

主要設備や付属物は、引渡し日までに最終的な動作確認をしておきます。
確認漏れがないよう、一つひとつ念入りにチェックしましょう。
売買契約書の内容に反していると、後日修理や交換といった責任を負うことになるので気をつけましょう。
これを踏まえて、引渡し日までに買主立ち会いのもと、再度確認します。
その際、契約内容に沿った確認箇所のチェックリストを使用して、最後に買主の確認印などをもらうと間違いないでしょう。
 
また、境界がはっきりしていない一戸建てや土地の売却時には、注意が必要です。引渡しのときには、境界を明示しなければなりません。
境界が曖昧なままでは引渡しができず、場合によっては損害賠償を伴う契約解除になってしまうかもしれません。
隣地との境界が明確でない場合は、土地家屋調査士に「境界確定測量」を依頼して、きちんと登記まで行うことをおすすめします。
 
引渡し日までに必ず準備しておくものの一つに「権利証」があります。
権利証は、「この人が正式な所有者です」という証明となり、
登記が完了されたときに発行される本人しか持つことができない重要書類です。
一般的には「権利証」という言い方がなじみ深いですが、実際には「登記済証」「登記識別情報」のことを指します。
これは平成17年3月に改正・施行された不動産登記法で、登記のオンライン申請が法制化されたことにより、
新たに「登記識別情報」が用いられるようになったものです。
それ以前は法務局から「登記済証」という書類が発行されていました。
「登記済証」は廃止され、すべて12桁の番号情報による「登記識別情報(通知書)」に切り替わっています。

決済〜引渡しの流れと準備について

物件の引渡しの前に決済を完了します。
買主が売主に売買代金の残額の支払いを行いますが、売買取引の関係者は全員集まる必要があります。
買主・売主はもちろん、仲介する不動産会社担当者、金融機関担当者、司法書士が一堂に会します。
決済、登記、引渡しに必要な書類、印鑑などがすべてそろっているかが確認できたら、決済(買主が住宅ローンを利用する場合は、合わせて融資実行)を行います。
何か一つでも欠けていたら決済は実行されませんので、事前に自分で準備しなければならないものを確認して、日程に余裕を持ってそろえるようにしましょう。
住宅購入に際しては、住宅ローンを利用する買主が多いため、決済場所は金融機関の個室を使用することがほとんどです。
 
売買代金の入金が確認できたら領収証を発行します。
合わせて不動産会社に支払う仲介手数料、司法書士に支払う登記費用、固定資産税・都市計画税の負担分などの諸費用の精算も行います。
決済が終わったら、司法書士は基本的にはその日中に登記申請を行います。
 
お金の確認、必要書類の確認と受け渡しが完了したら、住居の鍵を買主に渡して引渡しが完了します。
引渡し日の流れは、実際には専門の人たちが順を追って指示をしてくれるので、特に心配はありませんが、
準備する必要があるものはそれぞれ自分の責任になるので、くれぐれも事前の準備と早めの用意を心がけましょう。