• 賃貸物件の選び方

賃貸物件の種類

アパートとマンション、どちらがいいの?
アパートとマンション、住むならどちらがいいかで悩むことはありませんか。建物が頑丈そうなのはマンションでも、
アパートは家賃が手頃なイメージがあり、実際はどのように選べばよいのでしょうか。
選ぶ際のアパートとマンションの違いやメリット・デメリット、ポイントについて紹介します。

アパートとマンションの違いとは
アパートとマンションの違いを具体的に説明できる人は少ないかもしれません。
実は、アパートとマンションの違いには、正式な定義が存在していないのです。
実際には、建築主が決めているということになるでしょうか。
ただし一般的な認識としては、おおむね次のように、構造の違いや階数の違いなどで区分されているようです。
 
【アパート】
・木造・軽量鉄骨構造
・2階建て
 
【マンション】
・鉄骨・重量鉄骨・鉄筋コンクリート構造
・3階建て以上
 
木造・軽量鉄骨の方が、鉄骨・鉄筋コンクリートに比べて建築費が安く済みます。
一方、鉄骨・鉄筋コンクリートは遮音性が高く、耐震・耐火といった強度の点でも優れています。
また、マンションは階数が高くなる分、エレベーターが設置されていたり、住戸数が多いので、
オートロックなどの防犯設備やその他設備が多く設置されたりしている傾向にあります。
では、これらの違いを踏まえて、次項でそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

それぞれのメリット・デメリットとは
アパートとマンション、それぞれのメリットとデメリットを順番に見て比較してみましょう。
 
【アパートのメリット】
・物件数が多い
・さまざまな立地に立っていて選びやすい
・家賃・管理費が安い傾向
 
建築費が安く、土地が広くなくても建てられるので、マンションよりも物件数が多く、立地も駅周辺の便利な場所や静かな住宅街など、
希望に合わせて選べることが多いでしょう。
また、もともとの建築コストが低いことと、規模が小さく管理コストが抑えられるので、家賃・管理費が安くなる傾向があります。
 
【アパートのデメリット】
・遮音性・防音性が低い
・耐震性・耐火性が低い
・セキュリティー面に不安がある
 
マンションと比べると、どうしても音は響きやすいです。外からの音も住戸間の音も伝わりやすいので、音に敏感な人は、内見の際に確認した方がいいでしょう。
逆に自室の音が隣や階下に聞こえてしまうことを防ぐには、カーペットを敷くとか、テレビを壁から離すなどの対策が必要かもしれません。
また、小さな子供がいる家庭では、より気をつかうことがあるかもしれません。
 
【マンションのメリット】
・耐震性・耐火性など構造の強度が高い
・遮音性・防音性が高い
・設備が充実しており防犯性も高め
 
基本的には、アパートのデメリットがマンションのメリットになります。マンションは、鉄筋コンクリート造りに加え、
耐震・免震などの対策も構造上施されているので、安心度は高いでしょう。
床・天井・壁も厚く、音が響きにくい点が大きなメリットです。
また、オートロックシステムや防犯カメラなどのセキュリティー設備が充実している物件が多く、
学生が初めて暮らす場合や、女性の一人暮らしなどには安心感があります。
 
【マンションのデメリット】
・家賃・管理費が高い傾向がある
・物件数は少なめ
 
こちらもアパートのメリットの反対ということになります。高強度の構造であること、セキュリティー面をはじめ、
エレベーターなどの設備が充実していることで、建築コストはアパートよりも格段に上がります。
その分、家賃は高めの設定になります。管理業務も増えるので、管理費(共益費)も高めになります。
また、基本的にアパートよりも広い土地を必要とするため立地が限られ、棟数が少なめになります。

アパートとマンションを選ぶポイント
アパートとマンションのどちらを選ぶかは、予算や目的に合わせるとよいでしょう。
 
【アパートに向いている人】
・家賃を安く抑えたい
・多くの物件から、条件に合う部屋を見つけたい
・音をあまり気にしない
 
【マンションに向いている人】
・地震や火事に対して安心して暮らしたい
・音が気になる
・防犯面で安心して暮らしたい
・設備・機能を重視したい
 
マンションは、家賃が高めの傾向にあるため、予算に合うかどうかを考える必要があります。
また、立地条件に合う物件を幅広く探すことができるのは、アパートの方が有利な傾向がありますので、
予算と目的をしっかりと検討して探しましょう。

タウンハウスとテラスハウスはどんなもの?
住まい探しをしていると、「タウンハウス」「テラスハウス」というものが出てきます。
なんとなく似ているけれど、どこが違うの?と思う人も多いことでしょう。それぞれの違いや特徴などを知れば、
物件選びの選択肢が増えるかもしれません。

タウンハウスとテラスハウスの違い
【タウンハウスとは】
タウンハウスとは、一言で表せば低層の集合住宅の一種類です。形態としては、複数の一戸建てが隣戸との壁を共有する連棟式の集合住宅です。
かつて日本で多く存在した「長屋」のイメージです。また、タウンハウスは敷地を全住戸で共有します。
 
【テラスハウスとは】
基本的にはタウンハウスと同じです。ただし、テラスや専用庭が付いているなど、建物の敷地以外に各住戸専有の土地部分があるものをテラスハウスと言います。
タウンハウス・テラスハウスの特徴
同じ集合住宅でもマンションの場合は、一棟の大きな建物に居住者が共用する出入口・エントランスがあり、廊下や階段、
エレベーターなどを使い、各住戸に行き来する形状です。
しかし、タウンハウス・テラスハウスの場合は、一戸建てが連なった形状なので、前面道路から直接各住戸の玄関に出入りします。
 
2階建て(3階建てもある)のタウンハウス・テラスハウスでは、まさに一戸建てのような住み心地を味わうことができます。
物件を建てる側からすると、各住戸の壁面を隣同士で共有している分、一戸建てを同数建てるよりも建築費用が安く抑えられます。

タウンハウスやテラスハウスを選ぶポイント
タウンハウス・テラスハウスを住み替えの選択肢に入れる際には、メリットとデメリットを理解して、自身が暮らすイメージに合うかどうかを考えましょう。
 
【タウンハウス・テラスハウスのメリット】
まず、集合住宅でありながら、一戸建てのような住み心地が得られるという点が最大のメリットです。
しかも、前項の記述のように、建築費用が抑えられる分、同様の一戸建て物件に比べて家賃が低めに設定される傾向があります。これもメリットでしょう。
 
また、少なくとも二面からの採光が得られるので、居室が明るい場合が多いでしょう。
さらに隣への音には配慮する必要がありますが、上下階には他世帯がいないので、小さな子供がいる家庭でも気づかいの負担が小さくて済みます。
一般的なマンションに閉塞感を感じる人や、できるだけ解放感がある生活を望む人には、タウンハウス・テラスハウスは向いているかもしれません。
 
【タウンハウス・テラスハウスのデメリット】
まずは、すでに記した通り、隣戸同士で音が漏れやすいのがデメリットの一つです。
また、一戸建てほど空間をゆったりと取ったつくりになっていない物件では、一部屋が小さめだったり、階段の角度が急だったりということがあります。
音の問題とともに内見時にきちんと確認することをおすすめします。


賃貸で一戸建てに住むという選択肢
賃貸住宅を借りるとき、アパートやマンションのほかに一戸建てという選択肢もあります。集合住宅にはない、
一戸建てならではの魅力や注意点を確認して、住み替えの候補として考えてみてはいかがでしょうか。

賃貸一戸建てのメリット
まず、一戸建てに住むメリットとはどういうものか、見ていきましょう。
 
【生活音の気づかいがない】
アパートやマンションは、壁・床・天井を接する複数の住戸からなる構造ですから、ドアの開閉音や足音、子供の声などの生活音が響きやすく、
居住者はお互いに気を使う必要があります。
その点一戸建ては、足音を立てても、子供が多少騒いでも、室内での音を気にすることはほぼないでしょう。
来客を呼んでにぎやかに過ごすこともできますから、ホームパーティーなどが好きな人には向いていると思います。
 
【広く住める】
一般的に、一戸建ては居室が複数ある間取りになっています。キッチンが独立している場合が多いですし、バスルームとトイレはほぼ別々になっています。
もちろん建物によって違いますが、おおむね部屋数が多いとか、広いとか、ゆったり暮らせる物件が多いでしょう。
 
【収納スペースが多い】
アパートやマンションに比べて、一戸建ては収納が増えることが期待できます。
押し入れや各部屋のクローゼットのほか、納戸や床下収納、屋根裏収納など、集合住宅ではあまり設置できない収納スペースが確保されている場合があります。
また、庭や外にスペースがあるなら、物置を置くこともできます。
 
【ペットが飼える】
ペットが飼えるというのは、ペット好きな人にとっては大きなメリットです。基本的に外で飼うことについては、OKな物件がほとんどでしょう。
犬・猫を室内で飼いたいという場合は、そもそもの可否とルールの有無を貸主側に確認する必要があります。
 
【駐車場が使える】
多くの一戸建て物件には、駐車場が付いています。マンション・アパートの場合は、敷地内に駐車場があったとしても、
月額で何万円という費用が家賃のほかにかかりますし、住戸と駐車場が離れていることも多いです。
一戸建ての場合は、家賃だけで駐車場が使えますし、玄関のすぐ前に駐車場があることが多くとても便利です。
 
【庭を利用できる】
庭付きの一戸建てなら、子供の遊び場になりますし、ガーデニングが好きな人は草花を植えたり、野菜や果実を育てたりして、季節感を楽しむことができます。
大きな物を洗ったり、干したりするにも便利ですね。もちろん、バーベキューやちょっとお茶を飲むなど、日差しや風を感じる飲食が手軽に楽しめる魅力もあります。
ただし外の場合は、「音」に気を使う必要があります。

賃貸一戸建てのデメリット
一戸建てを賃借することでのデメリットは、以下のようなケースがあります。
 
【物件数が少ない】
賃貸一戸建てはアパートやマンションに比べると、やはり物件の数が少ないです。そのため、予算、希望エリア、間取りという条件に合致するものは限られてしまいます。
住宅地に立地する場合が多いので、駅から遠いなど、利便性を優先することが難しい場合もあります。
 
【家賃が高め】
一戸建ての物件は、同じ間取り、築年数であれば、マンションより家賃が高めに設定されていることがあります。
一戸建てを選択する場合には、築年数を妥協するなどの必要が出てきます。
ただし、管理費・共益費が別途かからない物件が多く、前述の通り、基本的に駐車場代もかからないので、月額の費用をトータルで考えることが必要です。
 
【構造などについて】
一戸建ての構造は多くが木造です。鉄骨や鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、建物自体の強度ではやはり劣ります。
しかし、反対にマンションのように気密性が高くないので、通風がよく、結露が起こりにくいと言えます。

賃貸一戸建ての注意点
最後に、一戸建てを借りる場合に注意するべきポイントを挙げておきます。
 
【築年数によって建物構造を確認しよう】
希望の立地条件を優先する場合、築年数が古いものも候補に挙がってくるでしょう。築年数が古くても、リフォームが施されていれば、設備は新しいものになっているでしょうし、
機能も便利なものになっている可能性が高いです。床の張り替え、外壁の塗装も済んでいれば、かなりきれいで、気持ち良く暮らせるでしょう。
ただ、築年が古ければ、基礎や柱、梁(はり)といった構造部分の老朽化が進んでいることも考えられますので、可能な範囲で確認することをおすすめします。
 
【設備などの確認を】
リフォームしていない場合、またはリフォーム年月がかなり前の場合、浴室、トイレ、キッチンなどの住宅設備が正しく使えるかどうかを確認する必要があります。
また、ガス(都市ガス・プロパンガスなど)、上下水道の状況も確認するといいでしょう。毎月の水道光熱費の金額に影響します。
 
【地域のルールなどは自分で確認】
マンションには管理規約というものがあり、居住者が皆で暮らすためのルールがあります。それは面倒な部分もありますが、覚えて守っていれば、
お互いに快適に過ごせるというメリットもあります。
一方、一戸建てには、管理規約のような明文化されたものはありません。でも必ずその居住地域ごとの決まりごとはありますから、
それを確認して自分も行う必要があります。
 
ゴミ出しのルールが最もわかりやすい例ですが、中には輪番制の掃除当番などというものがあるかもしれません。ご近所付き合いを望むなら、
自分からアプローチしないとならないでしょう。
まずはわからないことは、不動産会社の担当者、貸主に尋ねるといいでしょう。
 
【契約形態を確認しよう】
一戸建ての場合、持ち主が転勤などで家を空けている間だけ賃貸する、という場合が割合多くあります。2年とか3年といった期間限定で貸し出すもので、
これを「定期借家契約」と言います。
この契約形態では、期間満了後は基本的に契約更新を行いません。そのため期日が来たら、明け渡して住み替える必要が生じます。
 
ただし、契約条項に「再契約可」と定められている場合は、希望次第で新たな賃貸借契約という形で住み続けられる可能性があります。
その場合、再契約のための諸費用がかかります。費用名目や金額は物件によって異なりますので、「再契約可」でその意思があるならば、
最初の契約をする前に確認しておきましょう。
また、貸主は再契約をしない選択ができるため、そのときは引越しをしなければならないことを覚えておきましょう。


住みたい物件の希望条件を整理しよう
住まい探しをするときには、「あの部屋は新しくてよい」「この部屋は駅から近いからよい」など、
それぞれ気になる部分があって、なかなか候補を絞り込めないことはよくあります。
新たな部屋探しの目的がなんだったのかを見失わないように、まずは希望条件の整理をしましょう。

自分の生活スタイルをイメージする
物件の条件を検討する前に、自分の生活スタイルをよくイメージしましょう。
例えば、平日なら朝は何時に起きて、支度をしたら何時に部屋を出るのか、そして、何時に帰宅をして、夕食の買い物はいつするのか、
夕食やお風呂を済ませ、何時に就寝するのかなど、
一日の生活を具体的に考えてみるのです。
 
もし、朝早く起きるのが苦手な人なら、通勤・通学にかかる時間は少ない方がいいでしょう。
さらに平日だけでなく、休日の過ごし方もイメージすることで、住まいの周辺環境の理想的な条件が浮かび上がってきます。
 
また、今の住まいで感じている「不便なこと」をリストアップすることも大切です。
一日の生活の中で不便に感じていることを、新しい住まいでは改善できるかもしれません。
新居の条件を考える上でも、大事なこととなるでしょう。「不便なこと」をリストアップしたら、「新しい住まいに望むこと」をリストアップしましょう。
自分の生活スタイルを考えながら、「こんなものがあったら便利」「こんな条件なら今の不便さを解消できる」など、現実的なことをイメージするとよいです。

条件をリストアップする
住まいの条件をリストアップするとき、具体的にはどのような項目について検討すればよいか確認しましょう。
条件の一例を記します。
 
【立地条件】
通勤・通学のために駅やバス停に近いことや、スーパーやドラッグストアなど日常の買い物が便利なこと、学校が近いこと、
散歩やのんびりできる公園があることといった利便性の観点がまず考えられます。
ほかに、交通量や道路状況などの安全性や音のこと、閑静さや治安面、眺望や日当たりなど、希望する立地条件にはさまざまなことが考えられます。
暮らし全体の快適さに関わってくるので、とても大切です。
 
【構造・設備仕様】
建物の構造が木造か鉄筋コンクリートか、耐震性があるか、バス・トイレ・洗面所は独立しているか、作業台の広いキッチンか、エアコン付きかなど、
建物の仕様や設備の仕様についてのこだわりがある場合もあるでしょう。
構造は安全面に違いが出ますし、遮音性や断熱性などの普段の暮らしに直接関わるところでもあります。
設備はさまざまなものがありますが、住戸内のほか、エレベーターや駐輪場などの共用部分についても考えましょう。
 
【家賃】
毎月支払う家賃の上限が決まっているなど、予算を限定的にして探すケースもあります。
その場合、管理費を含めた月総額で考える必要がありますし、駐車場を借りるならその費用も加えないといけません。
また、礼金、仲介手数料、引越し代などの初期費用の予算も加味する必要があります。
 
このように自分が考える条件を出していきましょう。

希望条件の優先順位を決める
希望条件をリストアップした後は、条件に優先順位を付けていきます。優先順位を付けずに部屋を探し始めると、条件が多過ぎて、
全部当てはまるような物件はとても少なくなってしまいます。
該当物件ゼロということも出てきてしまうので、必ず優先順位を付けます。
 
優先順位の付け方は、ランクで分ける方法をおすすめします。例えば、希望条件として、「駅から徒歩10分」「日当たりがよい」「バス・トイレ別」の三つがあるとします。
これらを「絶対=A」「できれば=B」「なくても=C」というランクで振り分けるのです。
 
仮に「駅から徒歩10分」を「A」ランクにしたなら、まず駅から徒歩10分以内の物件を探すことになります。
「日当たりがよい」の条件を「C」ランクにした場合、「なくても」よいので、候補物件が少ない場合には、まずこの条件を取り下げることになります。
 
このように条件に優先順位を付けていくと、部屋探しをする上で整理がしやすくなります。
また、自分がどうして住み替えるのか、本当の目的・要望も自然と見えてくるでしょう。

もう迷わない!候補物件の絞り方・選び方
「この物件もいいけど、さっきの物件も気になる」など、複数の物件情報を見て、まして内見していると一つに絞るのが難しくなることがあります。
迷っているうちに他の人に契約されてしまうことも少なくありません。「どうやって決めたらいいのだろう?」など、
決断に自信のない人のために、候補物件の絞り方・選び方を紹介します。

条件の整理と優先順位
まず、条件のベースとなるのは「月額予算」です。毎月出ていく費用なので、支払いが厳しくならないように気をつけて設定しなければなりません。
続いて「立地」「間取り」「築年数」など、複数の希望条件を挙げて、合致する物件をピックアップしていきます。
ここまでが、不動産情報サイトなどの物件情報から、実際に見てみたい候補物件を挙げていく作業です。
 
いくつか候補物件が上がったら、不動産会社に連絡をして内見の申し込みをします。日程の都合もありますから、見たい物件をすべて内見できるわけではありません。
先に申込みが入ってしまっていて内見できない場合もあります。そのようなときに、もう一度選び直していたのではどんどん時間が過ぎてしまい効率的ではありません。
何より、希望物件を借りられる機会が減っていってしまいます。そうならないために、候補物件は多めに選んでおいて、見たい順番に優先順位をつけておきましょう。
内見できない物件が出たら繰り上げて次の物件、というようにして、もしも数がもの足りなくなったら、そのときに数物件追加候補を選ぶといいでしょう。
 
ただ、現実的には最初に訪問した不動産会社が、目当ての内見物件以外にもよさそうな物件を紹介してくれることが多いので、
予定外でも自分がいいと思えばそこで複数物件を内見してももちろんOKです。
内見前に新居に何を求めるのかという条件を整理して優先順位をつけておけば、予定外の物件についてもそれを当てはめて検討していけばいいのです。

内見時に迷わないための工夫
内見では、「思ったよりもすてき」というプラス要素、「写真とイメージが違う」というマイナス要素などが出てくるでしょう。
そこで「迷い」が生じるものです。
それは、机上で優先順位をつけていても必ず生じます。実際に住む場所を決めるわけですから、迷ってしまうのは仕方がないことです。
では、内見時に迷ってしまったときにどうすればいいか、またはできるだけ円滑に決断するための手段を見ていきましょう。
 
内見時に細かくチェックするのは大事です。ただ、何カ所も見ているうちに初めに見た物件の記憶が薄れてしまうかもしれません。
物件ごとに、「こんなところが良かった」「ここはあまり好きじゃない」「これがイマイチ」など、お気に入りポイントや不満ポイントをメモしておくようにしましょう。
 
その際、「日当たりは?」「通風は?」「セキュリティー設備は?」「間取りは?」など、チェック項目を一覧表にして準備しておくと比較がしやすいです。
また、全体の評価をメモできるようにしておくと、最終決断のときに役立ちます。加えて、こだわる部分は写真を撮ることをおすすめします。

それでも迷ってしまったら
希望条件で絞って、優先順位をつけて、チェック項目で比較・評価して……、それでもどちらがいいか迷ってしまったらどうしましょうか。
そのときは、最初の住み替え動機に立ち返ってみましょう。そもそも何のために、どのような住まいを探していたのか。
あれこれ見ていくうちに、もしかしたら夢が広がってしまっていて、根本の出発点が希薄になっているかもしれません。
 
次に、不動産会社のスタッフに相談してみるという手があります。どういうところで迷っているのかを言葉で伝えてみましょう。
相手は何人ものお客様を物件に案内してきた経験豊かなプロです。物件の特徴も十分把握しているはずですから、
決断のヒントになる情報を提供してくれる場合が多々あります。
 
それでも迷いが拭えないときは、最終的には物件を見たときの第一印象を思い返し、暮らしをイメージしてどれに一番住みたいと思ったか、
で判断するのも一つの方法かもしれません。


賃貸住み替え、物件を絞り込む3ステップ
賃貸住宅といえども、長期間の付き合いになります。できるかぎり納得がいくまでじっくり考え抜いて選びたいものですね。
しかし、あれこれ悩んでいると「どうやって選べばいいんだっけ……?」と軸を見失い、いたずらに時間を浪費してしまいます。
時間をかけて考えることは必要ですが、どこかで決断しなければなりません。
 
部屋探しで悩まないために、候補物件をピックアップしてからさらに絞り込むためのステップを三つに分けてご紹介します。

ステップ1:予算・間取り・場所などの条件で比較
まず、不動産情報サイトなどで物件を探すときに有効なのは、客観的な基準を活用して優先順位を決めることです。
賃貸住宅の場合、まずは予算・間取り・場所といった条件を基準として候補物件を比較しましょう。
 
ここでは予算・間取り・場所の三つをあくまで例として挙げましたが、もちろんそれ以外の条件を加えてもかまいません。
候補物件をいくつか絞り込む前の段階で、自分の中で何かしら条件の優先順位をつけていたはずです。その条件を基準として、
改めて候補に挙がっている物件を一覧化し、比べて見るわけです。

 
たとえば、条件を横軸、候補物件を縦軸にした一覧表を作成し、条件・物件ごとに○・△・×と評価していきます。点数では比較しにくくなる可能性もあるので、
一目瞭然に理解できる記号がおすすめです。
 
一覧表を作成していて、新たな条件を思いつくことがあるかもしれません。予算・間取り・場所だけでなく、階数や最寄り駅からの距離など、気になる要素はどんどん出てくるものです。
その場合は、もう一度物件や周辺地域を訪れて、追加要素についての情報を集め直すことをおすすめします。

ステップ2:内見時の印象・情報で比較
次は、数ある情報の中から、いくつかの物件を内見したときの絞り込みの方法です。内見したときの印象や見たり聞いたりした情報で物件を比較するわけですが、
ステップ1が「客観的な情報」だとしたら、こちらは「主観的な情報」になります。
 
内見の際、そのときの印象を後まで保存しておけるよう、写真を撮ったりメモ用紙に書き留めたりボイスメモを残したりするとよいでしょう。
カメラやメモ用紙・ボイスメモを持参することをおすすめします。
きれいな画像を残す必要はありませんので、一眼レフのような本格的な機種でなくてもかまいません。ボイスメモも残せるスマートフォン一台があれば事足ります。
 
手当たり次第に撮影しても比較が難しくなるので、あらかじめ写真やメモを残す箇所・項目を決めておきましょう。
たとえば、「リビング」「水回り」「トイレ」「バスルーム」といった、場所で分けるのが一つの手です。
「応対した不動産会社の印象」「その他」などの項目も入れるといいですね。
 
確認のためにと、ついたくさん情報を残しておきたくなりますが、多すぎるのも混乱のもとです。
写真やメモを残す項目は10項目ほど、内見する物件数は3~5件ほどにとどめるのがおすすめです。

ステップ3:最終的に「直感」を信じてもよい
客観的な条件と主観的な印象を情報として残すことができれば、ベストの候補物件を選べるはずです。
しかし、それでも決められないという場合、頼れるのは直感です。
 
なぜかというと、結局、もっとも大事なのは「住み心地がよいこと」ではないでしょうか。
内見のときに「なんだかわからないけど落ち着くな」と感じたのであれば、よほど他の条件が悪くない限り、その感覚を信じてもいいでしょう。
 
どうしても選び切れない場合は、別の物件を内見することで情報を増やします。ステップ1で候補に挙がっていたものの、まだ訪れていない物件はありませんか?
これらの候補物件を内見して情報を増やし、改めて比較する作業を行いましょう。
急いで引っ越す必要がないのであれば、納得できるまで絞り込みの作業を行う方が、後の悔いを少なくできます。
 
なお、選んだ物件が既に他の人に決まってしまっていることも考えられます。
心配な場合は、第二候補まで決めておくのがいいですね。



希望の立地条件を考える
住まいを探すときには当然希望の立地を考えますが、どのようにして決めたらいいか悩むことがあります。
あれもこれもといくつもの条件が並ぶとなおさらです。
自分は何を重視するべきか、しっかり整理をして希望立地を選びましょう。

便利・快適な暮らしを求める立地選択
立地条件に便利さ、快適さを求める人は多いでしょう。毎日の生活の中で利用する施設の種類がそろっているか、選べるだけの数があるか、
距離は近いかといったことがポイントになります。
 
毎日の生活の中で、利用頻度が高い買い物施設の存在はとても重要です。スーパーマーケットや商店街、コンビニエンスストア、ドラッグストアが充実しているととても便利ですね。
他には銀行、郵便局、病院などは、利用したいときにないと困る施設です。
 
暮らしに快適さ、あるいは豊かさを与えてくれる施設としては、まず外食できる店舗が挙げられます。
気軽に入れる店、ゆっくり落ち着いて食事が楽しめる店、ひと息つけるカフェなどを優先度高めに考える人もいるでしょう。
このほかについては、個人の趣味やライフスタイルによって大きく変わってきます。
自然を好む人は街中であっても大きな公園がほしいとか、思い切って自然豊かな郊外や海辺の町を選ぶ人もいるでしょう。
人によって、ないと困る施設や店舗も違い、これらの有無は当人にとっては暮らしの快適さを左右します。
例えば図書館・書店、スポーツジム、各種レンタルショップ、各種専門店などです。
 
これらほしい施設が多くそろった環境であるほど街の規模は大きくなり、自然環境を求めて喧騒から離れていくと施設の種類や数は減っていくのが一般的です。
便利さと自分にとっての快適さ、暮らしの豊かさは相反することもありますから、自分のし好と優先条件を明確にして検討・判断していくことになります。

交通利便性による立地選択
社会人・学生、多くの人は職場や学校に通います。基本的にそれは毎日のことなので、住まいの立地選びにおいて通勤・通学時の交通利便性に重きを置く人は多いでしょう。
住まい選びは、最終的には予算との相談になりますが、予算ありきで交通利便性を大きく譲歩すると、住み始めてから後悔することにもなるので、きちんと考えることをおすすめします。
 
検討内容としては、まず学校・職場などの目的地までの全体の距離・時間、最寄り駅から自宅までの距離・時間が基本になります。
具体的には、ドア・ツー・ドアで片道1時間までならOKなのか、30以内でないとだめなのか、1時間を超えても全然苦にならないのかということを明確に決めます。
合わせて駅までの道のりは5分以内くらい近くないとだめか、結構歩いても大丈夫か、むしろ静かな方がいいからバス利用の住宅地まで離れるかという自分の意向を決めます。
 
その上で、前項の周辺環境の利便性などを考え合わせて希望の沿線・駅候補を選んでいきます。
沿線・駅の選択については、全体にかかる時間の他に通勤・通学の快適さも重要な要素になります。
具体的には、朝夕の利用時間の発着本数は十分か、快速列車や急行列車の停車駅かどうか、沿線の乗り換え回数は多すぎないかあるいはスムースに乗り換えられるか、
利用時間帯の混雑具合はどうか、主要なルートの他に並行する他のルートがあるか、などです。
自然災害の発生が増える中、交通混乱時の行き帰りも想定する必要があるので、複数ルートの確保も検討しておきましょう。
 
自宅と駅との行き来については、徒歩距離の他に道のりに信号や踏切があると所要時間が増えるので、留意しましょう。
バス利用の場合は、発着本数の確認の他に最終運行時間も確認しましょう。
帰りが遅くなったときに何時までならバスに乗れるのか、歩けるのか、タクシーの利用可否とおおむねの料金まであたりを付けられるといいですね。
 
基本的に移動に自家用車を使う人には、鉄道利用に関する条件は優先度として低くなります。
代わりに住居の駐車スペースの状況、車の出し入れのしやすさ(前面道路の幅員など)、幹線道路や高速道路までの距離、道路の混み具合、
近隣のガソリンスタンドの有無などの確認が必要になります。

世帯の状況による選択の違い
住み替える立地の選択は、世帯人数や置かれた状況、将来の見通しによって変わってきます。世帯ごとの選択ポイントを見ていきましょう。
 
【単身世帯】
一人暮らしの場合の立地選択は、ひと言でいえば「自由」です。共通の制約があるとすれば、「勤務先」や「学校」に通うということを念頭に置くことくらいでしょう。
これも、通勤・通学時間の短さを優先する人がいる一方、いささか時間がかかっても住みたい環境を選ぶ人も多くいるので、あとは個人の条件次第ということになります。
 
【二人暮らし】
基本的に夫婦二人を念頭に共働き世帯だとすると、まずは双方の通勤距離(時間)を考慮して、
住まいと勤務先との位置関係で検討していくことになるのではないでしょうか。
二人とも大体同じ通勤時間になるようにする人もいますが、就業形態や勤務条件、家事の負担割合などが違う場合も多いので、
二人でうまくバランスを取れればそれが適した選択と言えるでしょう。
その上で二人の共通の趣味・ライフスタイルに合う場所を探すことになります。
 
【子育て世帯】
「子育て」という時期は考え方によって幅が出てきますが、おおむね乳幼児から中学生くらいまでだとすると、
まず子供を育て暮らすことを最優先に住環境を考える世帯が多いのではないでしょうか。
 
子育て世帯が優先する住環境、その条件とは、まず「保育園」「幼稚園」が近くにあって通いやすいことが挙げられます。
特に夫婦共働きの場合は、毎日の送り迎えがラクなことに加え、保育中に子供が急に具合を悪くしたときのお迎えのしやすさも考える必要があります。
 
この他、公園の存在も重要です。できれば大小の公園がそろっているといいですね。大きな公園は緑や水辺などの自然があり、思い切り遊べるイメージ。
小さめの公園は、構えた準備をせずにふらっと行って短時間で子供の欲求を満たすイメージでしょうか。
また、雨の日でも遊ばせられる公共の室内遊戯施設があることも結構大切です。
 
教育のことを考えるなら、小・中学校の「学区」を重視する人もいるでしょう。通学時間と道のりの安全性を踏まえた場所選びが基本となります。
また、特に乳幼児期には急な体調不良が心配ですから、小児科をはじめ各診療科の病院があるといいですね。
休日・夜間の急患に対応してくれる医療機関があるとさらに安心です。
 
【高齢者世帯】
高齢者だけの世帯または家族に高齢者がいる世帯では、年齢や健康状態によっても違いはありますが、基本的には「安心・安全」を最優先にした立地がよいと考えられます。
 
まずバリアフリーを念頭にすれば、階段や坂道を上り下りするような立地は避け、活動範囲はできる限り「平坦」な場所を探すといいでしょう。
駅・バスの利用、近所での買い物、かかりつけの病院などまでの車両交通量などを含む、歩行の安全性にも留意しましょう。
安心して外を歩ける環境ですと、外出が面倒になりにくいので、散歩や近所への買い物などに頻繁に出かけることで、健康面にもプラスになりそうです。
 
このように、世帯構成の違いやライフスタイルによって、どのような立地に住むのがいいかは変わってきます。
すべてをパーフェクトに満たす立地が予算内で見つかれば悩むことはありませんが、
そううまくはいかないので、重視する条件に優先順位をつけて絞っていく作業が必要になるのです。またそれが、後悔しない住まい探しにつながることでしょう。


住み心地を左右する住まいの設備・仕様
住まいの設備や仕様は、そこでの住み心地を大きく左右するものです。
自分に合う快適な暮らしを得るためには、設備・仕様のどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

キッチンの使い勝手はとても重要
設備でまず気になるのが、キッチンでしょう。キッチンとひと言で言っても、実に多くの設備の集合体であり、使う人のさまざまな行動が発生します。
単に出し入れだけでも、食材、調味料、調理器具、食器などたくさんの物があり、それぞれに違う収納場所があります。
さらに食材を切ったり、加工したり、加熱調理したり、洗ったりと、いろいろな動きをしますから、「使い勝手」はとても重要です。
その分、住んでみてから「使いにくい」と感じてしまうことが多いのも、キッチンです。そうならないために、キッチン設備は以下のポイントを確認しましょう。
 
【広さ】
特に作業台の広さは重要です。幅、奥行きは使い勝手に大きく影響します。
一人暮らしで料理をあまりしないなら、ミニキッチンでも不便を感じないかもしれませんが、家族数が多い、
または、料理を頻繁にするならできるだけ広いキッチンが理想的です。
 
また、作業台下のキャビネットは開き扉型、引き出し型がありますが、自分が使いやすいのはどちらか考えておきましょう。
キッチンが狭いと収納しきれず、ゴチャゴチャと乱雑な感じになり、作業効率が落ちます。また、使いたい冷蔵庫の大きさが入るかどうかの確認も重要です。
 
【シンク】
作業台が広くてもシンクが小さいと、鍋を洗うにもまな板を使うにも、効率的にできず不便を感じてしまいます。
家族数が多ければ食器などの洗い物も多くなるため、洗い物置き場も含めて、シンクの大きさはチェックしておきましょう。
 
【加熱機器】
加熱機器がビルトインになっているシステムキッチンも多くなっています。
上部はガスコンロかIHヒーター、下部にグリルやオーブンが付いているものもよく見かけます。
掃除を苦にしない人は問題ありませんが、そうでない人は、できるだけ手入れの楽な機器にした方が無難かもしれません。
例えば、IHヒーターは吹きこぼしてもサッと拭くだけで、ガスコンロよりも手入れは簡単です。
 
【換気扇】
今や換気扇には、実に多くの種類があります。一般的なプロペラファン(直接排気)は、文字通りの換気扇なので、空気の入れ替えに力を発揮します。
シロッコファン(ダクト排気)は、天井や壁に取り付けたダクト(排気路)を通して、煙や湯気、臭いを戸外に送り出すものです。
システムキッチンでは、フードが付いて煙などを集めやすくしているものが多く見られます。フードにもブーツ型、スリム型など複数種類があります。
調理頻度やキッチンの使い方を考えて、借りたい物件の仕様がどうなっているかを確認しましょう

バス・トイレ・洗面の機能で快適さが変わる
バスルーム、トイレ、洗面所が同じ空間になるか、別々になるかで、暮らし方はかなり変わります。
二人以上の家族で暮らすなら、それぞれ独立した方が同時に使うことができるため便利です。
一人暮らしの場合は、家賃とのバランスで別々にするかどうかを検討しましょう。
 
次に、バス・トイレ・洗面設備でチェックすべきポイントを確認していきます。
 
【浴室・バス機能】
ユニットバスは、追い焚き機能付きだと沸かし直しができて便利です。特に、冬場はお湯が冷めやすいため、家族の入浴時間帯が違うときには必要です。

冷める度にお湯を入れ替えなくて済むので、水の節約になります。また床や壁は、水切りのよい材質だと乾燥が早く、
カビの発生の心配が少なくなります。窓のない浴室には換気機能は必須です。
 
【トイレ】
トイレは、暖房機能付きの温水洗浄便座があると便利です。寒い冬でもヒヤッとすることなく、快適に使うことができます。
また、トイレ内に収納があると、トイレットペーパーの予備や清掃用品の置き場としてとても便利です。
 
【洗面所】
洗面台の広さや、洗濯機置き場が確保されているかを、しっかりとチェックしましょう。洗面台は収納部分が小さすぎると、家族が多い場合は物が収まりきらず不便です。
鏡の大きさは、特に女性には重要なポイントでしょう。材質によって掃除のしやすさや使用時の注意点が異なるので、それも確認するといいと思います。
洗濯機置き場は、手持ちの洗濯機、あるいは買おうとしている物が入るかどうかチェックします。また、水栓はシャワータイプが機能的です。

収納力・防犯性・利便性をチェック
住まいの収納力や防犯、利便性なども、快適な暮らしには重要な部分です。なかなか気付かない細かなところもしっかりとチェックしましょう。
 
【収納の数と容量】
収納がどのくらい確保されているかは、しっかりとチェックしたい部分です。押し入れの数やクローゼットの広さ、
玄関収納の容量など、自分が持っている家財が収納できるかをシミュレーションしましょう。
収納が多いと、タンスなどの収納家具を別に置かなくてもよいため、部屋を広く使うことができます。
 
【防犯設備】
防犯対策の設備状況も必ず確認すべきポイントです。例えば、エントランスのオートロックシステムや玄関ドアロックシステムの種類など、どのくらいの防犯性があるかを確認します。
オートロックとともに、テレビモニター付きのドアホンがあると訪問者を確認することができるため、安心感があります。
さらに、セキュリティー面を重視する人は、防犯カメラの設置の有無と設置場所の確認、郵便物の取り出しはオートロック内でしかできない仕様かなども確認しましょう。
 
【コンセント、テレビ配線、ネット配線の場所】
コンセントの位置や数、テレビ配線、インターネット配線の位置や数も確認しましょう。
これらの位置があるところにテレビを配置することになるため、家具の配置イメージができます。コンセントが足りない、配置場所が悪いなど、不便がないかチェックしておきましょう。
 
【冷暖房設備】
エアコンが設置されているか、暖房器具が設置されているかで、自費での購入が必要かどうか変わります。
住まいによっては、各部屋に設備されていることもありますので、各室の使い方を含めて確認しましょう。
 
住まいの設備や仕様は、より便利であることが理想ですが、家賃とのバランスもあるため、「最低限これは外せない」という優先順位をつけておくことをおすすめします。

気になるセキュリティー対策を確認しよう
住まいを選ぶときに、セキュリティー対策が気になる人は多いのではないでしょうか。
防犯カメラの設置などは、いまやかなり高い割合で進んでいます。
ここでは、一人暮らしでも、ファミリーでも安心できるセキュリティー対策の種類と、実際の物件を見るときのチェックの仕方などについて紹介します。
住まい選びの参考にしてください。

敷地内のセキュリティー
賃貸物件の敷地内(外回り)に設置されるセキュリティー対策は、侵入者や不審者の人物特定をするなど、
犯罪の解決に役立つことのほか、犯罪を未然に防ぐ抑止効果を期待できることが大きなメリットです。
 
【防犯カメラ】
「防犯カメラ」は、建物の外回りを監視することで、不審者や空き巣などによる犯罪を未然に防ぐ効果を上げています。
また、最近は防犯カメラの映像によって、実際に事件や事故の解決につながるケースが多く見受けられます。
 
物件の規模にもよりますが、防犯カメラは1台だけでなく、いくつかの場所に分けて設置されることが多いようです。
特に、女性の一人暮らしや、留守の時間が長い人、帰宅時間が遅い人は、防犯カメラが設置されている物件は安心度が高まりますから、
物件探しの際にチェックしておくとよいでしょう。
 
【センサーライト】
防犯カメラとともに設置されることが多いのが、「人感センサーライト」です。人感センサーライトとは、
感知エリアに人が近づいたときに「ピカッ」と明かりを点けて、その一帯を照らす照明器具です。
このセンサーライトには二つの効果があり、一つは、夜間の帰宅時に足元を照らして歩きやすくしてくれること。
もう一つが不審者に対して急に光を当てることでそれ以上の侵入を防ぐことです。
後者のセキュリティー効果を主な目的とする場合の設置場所としては、玄関(エントランス)回りの他に、建物の後ろ側など普段は暗くて目立たない場所や駐輪場付近が多いようです。
 
また、夕方暗くなると自動的に証明が付くタイプのライトもあります。不審者は明るい場所を嫌いますから、夜間常に明るくしている状態も防犯効果が高いです。
 
【夜の雰囲気も確認】
物件の外回りのセキュリティー状況は、実際に夜間にどのような状況になっているか確認するとよいでしょう。
昼と夜の雰囲気が変わることは少なくありません。
最寄り駅やバス停からの帰宅ルートとともに時間帯を変えてしっかり確認することをおすすめします。
また、特に門扉やエントランス以外に、物件敷地内に侵入できそうな箇所がないかをチェックしましょう。
管理員によるセキュリティー対策
「管理員(人)」は、日常的に集合住宅の管理業務を任されている人で、勤務時間や留守の居住者宅の荷物の受け取りの有無など、対応してくれるサービスの範囲に違いがあります。
有人で日常管理をしている物件は、不審者が簡単には建物内に侵入できないため、防犯効果は高いでしょう。
 
【常駐管理】
「常駐管理」は、管理員が建物内に常に駐在している管理形態です。ただし、勤務時間は9時~17時などで規定されています。
時間外については緊急時には対応可能な場合もありますが、契約内容次第なので、物件により異なります。
この管理形態はコストが高額になるので、一般的な賃貸物件ではあまり見られません。
大家さんが同じ物件に住み管理をする場合は、この形態をとっていることがあります。
常駐管理のメリットは、鍵をなくしたり上階からの水漏れが発生したりしたときに、対応を依頼時できる点が挙げられます。
 
【日勤管理】
日勤管理は、管理員があらかじめ定められた曜日に通勤してくる管理形態です。基本的に夜間や土日祭日は勤務外となります。
曜日・時間とも契約内容次第なので、物件ごとに違います。事前に確認しましょう。
 
【巡回管理】
管理員が複数の担当物件を順番に巡回しながら管理業務を形態です。「○曜日の15時~17時」のように時間を分けて巡回していき、管理業務を行っていきます。
基本的に業務内容は大きく変わりませんが、時間が短いだけにやれる範囲は狭くなります。緊急時の対応については難しい面があるかと思います。
 
【フロントサービス】
賃貸マンションには、ホテルのようなフロントサービスを行うところがあります。
荷物の受け取りから来客の取り次ぎ、宅配発送やタクシーの手配などを行ってくれ、中には夜間も常駐している物件もあります。
その質の高さから「コンシェルジュサービス」とも呼ばれています。
 
このように、管理体制にはいくつかの種類があります。住もうとする物件の管理体制がどのようなものなのかを、事前に確認しておきましょう。
管理体制と管理状態は防犯や安全面のほか、毎日の住み心地にも大きくかかわってきますから、内見時には現地での確認をおすすめします。

住戸のセキュリティー対策
各住戸のセキュリティーは、玄関や窓といった開口部の鍵の設置状況を中心として、外部から簡単に侵入できないようになっていることが必要です。
 
【オートロック】
オートロックは常に機器の開発が進んでおり、暗証番号の入力や電子キーをかざすことで開錠するシステムもあります。
オートロックは、鍵を所有している居住者のみが建物内に入ることができ、
外部の人はインターホンで来訪を知らせた後、各住戸内から開錠の操作をしなければ入れないようになっています。
簡単には建物内に入ることができないため、一人暮らしでも安心です。
 
【TVモニター付きインターホン】
オートロックシステムからの呼び出しや、玄関前での呼び出しでモニター付きのインターホンがあると、
まず来訪者の画像を確認してから対応ができるため、安易にドアを開けることは少なくなります。
 
【ピッキング防止キー・指紋認証】
玄関ロックにディンプルキーと呼ばれる複雑な形の鍵が使われていると、ピッキングによる侵入防止に効果があります。
また、指紋認証カードキーなら、本人以外は開錠ができないため、より安全性が高まります。
 
【防犯シャッター・ガラス】
空き巣は、ベランダからの侵入が多いものです。特に1階や2階など低階層の部屋では、防犯シャッターでのガードや割れにくい防犯ガラスを採用することで、防犯性を高め、
万が一狙われたときでも実際の被害を食い止める効果が期待できます。ガラスそのものが防犯仕様ではない場合は、後から防犯フィルムを貼って強化することもできます。
3階以上でも、外側に足掛かりになるようなものがあると侵入されることがあるので、油断は禁物です。
 
より多くのセキュリティー対策があれば安心ではありますが、オートロックや複製しにくい鍵、
モニター付きインターホンなど基本的な防犯対策があるかは、事前にしっかりと確認しておきましょう。
なお、設備上のセキュリティー対策が充実していても、そもそも扉や窓を施錠していなかったら、元も子もありません。
空き巣被害の原因で、鍵の閉め忘れは相当数あるようなので、設備プラス心構えでの対策を行いましょう。

インターネット環境は事前に確認しよう
住まい探しの条件としては、まず「間取り」や「立地」、「家賃」などが挙がるでしょう。
しかし、忘れてはいけないのがインターネット環境について。毎日インターネットを利用する現代人の暮らしには、重要なことです。
物件情報での、「インターネット対応」、「インターネット完備」などという語句を理解していないと、実際に引っ越した後に慌てることになるかもしれません。

物件ごとに異なるインターネット対応状況
インターネットを使う人は、引っ越したらすぐに、そして毎日使いたいですよね。
しかし、利用するには回線工事やプロバイダ契約をしなければなりませんが、賃貸住宅では物件ごとにインターネットの環境・条件が異なります。まずはそのことを理解して、
インターネット環境は物件探しの段階からしっかり確認しておくことが大切です。
 
【インターネット対応】
「インターネット対応」物件は、回線工事が完了している状態で「インターネットを利用できる物件ですよ」ということ。
ただ、注意しておきたいのが入居したらすぐに使えるわけではないということです。
 
回線工事は終わっていますが、プロバイダとの契約は個人で行います。手続きには時間がかかるので、引越し前に手配しておくようにしましょう。
物件によっては、回線を共用部分までしか通していないものがあります。その場合は、住戸への回線引き込み工事も入居者自身で手配しなければなりません。
 
【インターネット完備】
「インターネット完備」の物件は、インターネットがすぐに使える状態という意味です。回線工事も住戸まで完了し、プロバイダ契約も済んでいるので、
入居したその日からインターネットが利用できます。
 
ただし、建物全体で同じ回線を契約・利用していますから、各住戸の利用が集中する時間帯は通信速度が遅くなるという懸念があります。
インターネット利用にこだわりがある人は、その部分もよく考えるといいでしょう。

インターネット環境の種類
インターネットを接続するためには、いくつか方法があります。引越し先で自分はどの環境でインターネットを利用するかを考えて物件を選ぶといいでしょう。
 
【光ファイバー(光回線)】
多くの世帯で使われている回線です。通信速度が速く安定しているという特徴があります。また、容量無制限で利用できます。
ですから、集客のためにあえて設備情報欄に「光ファイバー(対応)」と明記してある物件は多数あります。
ただし、回線工事を行う場合、開通までに1~2カ月ほどの時間がかかります。
 
【モバイル回線(ポケットWi-Fi)】
回線の開通工事が不要で、モバイルルーターを設置するだけですぐに使える通信回線です。主にスマートフォン用のものを利用しています。
ルーターを持ち歩けば、出先でもインターネットが使えるというのが最大の特徴です。ただし、容量に制限があり、一定容量を超えると通信制限がかかり、通信速度が大幅に遅くなります。
また、電波を使用しているため、通信が不安定になりがちです。ルーターを持ち出すと住戸内では通信できないので、家族での利用には向いていません。
 
【その他】
●ADSL回線
固定電話のケーブルを利用したインターネット通信です。固定電話回線がある場合はインターネット用の回線工事が不要なので、その費用もかかりません。
利用料も安いというメリットがありましたが、固定電話の利用が減少している状況もあり、すでに新規の申し込み受け付けは終了しています(2023年サービス終了)。
 
●ケーブルテレビ回線
ケーブルテレビの視聴環境が整った住宅で利用できる回線です。マンション・アパートで、ケーブルテレビを導入済みの物件は多数あります。
ケーブルテレビの視聴を希望する人にはいいかもしれません。通信速度や料金面ではあまりメリットは出ないようです。

自分の状況に合った環境で早めの手続きを
まずは、住み替え先のインターネット環境がどのようなものかを確認しましょう。
利用回線はもちろんですが、契約しているプロバイダがどこの会社かも確認します。
現状利用の回線事業者・プロバイダとも同じならば、移転手続きをすればそのまま利用できます。
ただし、新居ですぐに利用したい場合には、早めに申し込んでおく必要があります。
 
反対に、住み替えによってインターネット環境を変えたいということもあるでしょう。
例えば、スマートフォンのキャリアにインターネット契約をまとめてしまおう、という場合などです。
主に費用面でのメリットを考える人が多いと思いますが、通信速度や容量、外でも使うかといった利用シーンを含めて検討した方がよさそうです。
回線については、そもそも対応エリアかどうかということが問題になります。
希望回線があったとしても、その地域では通っていないとなったら、利用できません。
 
移転先が決まりインターネット環境も確認したら、できるだけ早く契約手続きを進めましょう。
光ファイバーの回線工事を行う場合は、通常1カ月以上かかりますが、春の住み替えシーズンなどは申込みが多数重なるので、
さらに日数がかかることが予想されます。
引越し後すぐにインターネットが使えないと、仕事に支障が出る人もいるでしょう。
ですので、他のライフラインの申込みとともに、早めに手続きすることが必要なのです。
 
自分のインターネットの使い方を踏まえて、理想的な環境を考え、それを実現できる新居を選びましょう。


南向き以外も魅力!方角選びのヒント
部屋探しで多くの人が希望条件に挙げるのが「南向き」。南向きの部屋には、明るくて快適なイメージがあるものです。
でも、考え方によっては、他の方角の部屋だって負けてはいません。
生活スタイルから方角選びをすれば、南向き以外の部屋が暮らしやすいこともあります。
そこで、各方角の部屋のメリットを理解しつつ、自分にとってのベストな方角の部屋を見つけるヒントを紹介していきます。

住まいの「向き」とは
住まいを選ぶときには、家賃をはじめ築年数や間取り、周辺環境など、さまざまな条件を挙げて検討します。
その中で「部屋の向き」にこだわる人も多いのではないでしょうか。
 
そもそも住居で言う「向き」とは、最も大きな窓がどちらに向いているかということ。主に、一番広くてベランダやテラスに面したリビングの大きな窓が向いている角と考えていいでしょう。
方角によって日当たりが変わり、その部屋での過ごし方にも違いが出るものです。そう考えると、住まいの向きは大切な条件ですよね。
 
また、風水学や気学的な観点から「悪い向きは避けたい」と考えることもあるでしょう。陰陽道では、北東の方角を鬼が出入りする不吉な「鬼門」としています。
家相を見るときに、鬼門に配置してはいけないのは、玄関や水回り(キッチン・トイレなど)と考えられています。
そのような知識と言葉のイメージで「鬼門」を気にする人もいるかと思いますが、これは考え方によって異なりますので、
本稿では「生活スタイル」に主眼を置いて、実用に即した方角選びということで話を進めていきます。

人気の「南向き」のメリット
一般的に「南向き」は最も人気があります。不動産の広告でも「南向き」をうたい文句にして表示しているのを目にしたことがあると思います。
日本人は、「南向きの部屋=明るくてあたたかく住みやすい」とイメージする人が多いからです。
例えば、新築のマンションやアパートの入居者を募集すると、南向きの住戸から埋まっていく傾向があるくらいです。
 
南向きのメリットは、やはり「朝から夕方まで日当たり良好」ということ。日中は特に照明をつけなくても過ごすことができ、電気代の節約にも一役買ってくれます。
日中、家で過ごすことが多い人には、ぴったりな方角と言えるでしょう。ベランダに洗濯物を干せば、乾きの早さから家事もはかどりそうです。
 
昼間に家で子供と一緒に過ごす時間が長い生活スタイルなら、南向きの快適さを実感できると思います。
ただ、一番人気の方角ですので、家賃設定が若干高くなっている場合があります。

ライフスタイルにより他の方角にも魅力が
「南向き」というだけで注目しがちですが、すべての人に南向きが向いているとは言えません。
日中不在が多い人なら、せっかくの南向きの良さが生きないこともあります。
それならば、他の方角も検討する余地がありそうです。
 
では、それぞれの方角の特徴を見ていきましょう。
 
【午前中の活動に最適な「東向き」】
「東向き」の良さは、朝の日差しを享受できることです。
明るくあたたかな朝日は、やる気をもたらしてくれる一日の活力源とも言えるでしょう。
日光を浴びることで、体内時計に刺激を与え、朝日とともに爽やかな目覚めも期待できます。
日差しは午前中続くので、朝から活動的に過ごしたいという生活スタイルの人には向いているでしょう。
昼からは若干の暗さを感じるかもしれませんが、日中は外で働いている人には特に問題にはならなそうです。
 
【午後から夕方にメリットが多い「西向き」もマル】
「西向き」は、東向きとは逆のパターンです。午後から夕方に向けて日当たりが良くなります。
朝日の影響は受けないので、「朝はゆっくり寝ていたい」という人にはぴったりかもしれません。
午後からの西日は、しばらく続くので、洗濯物も乾きやすいでしょう。「午後から活動開始」で家事をこなしても、十分間に合います。
夕方まで室内が明るければ、照明をつける時間が遅くなるので、長い目で見れば電気代の節約効果もあるでしょう。
また、冬の午後には暖房がいらないくらい暖かなことがあるものの、夏にはそれがデメリットとなるかもしれません。
 
【日中出かける人は「北向き」も視野に】
南向きの人気ぶりとは対象的に、物件選びでは敬遠されることが多いのが「北向き」です。
確かに、日中家にいることが多く、「日当たりの良さ」を求める人にはメリットが感じられないかもしれません。
しかし、日中は仕事で家にいない生活スタイルなら北向きもおすすめです。休日を過ごすときも、朝日に邪魔されずゆっくり寝て過ごすこともできます。
また、夏には強い日差しの影響を受けないので、エアコンも効きやすいでしょう。
 
また、「北向き」は冬場が寒いかというと、必ずしもそうとは言えません。
特にマンションは、そもそもの構造として密閉性・断熱性が高いので、北向きが目立って寒い、とは言い切れません。
ただ、結露の心配はあるでしょう。でもこれも、換気に気をつけるなどの暮らし方でかなりの部分は対処できると考えられます。
 
それぞれの方角ごとに魅力があることが、おわかりいただけたでしょうか。
ただし、物件情報や間取り図だけでは、わからないことがあります。
例えば「東向き」でも、窓の前に高い建物が立っていたら、せっかくの朝の日差しは入りません。
というように、いずれにしてもこれらの基本的な知識に現地確認をプラスして、ライフスタイルに合った住まいを見つけてください。

アパート・マンションの管理形態を知ろう
アパートやマンションは、一戸建てと違い複数の入居者が集まる集合住宅です。
集合住宅は、入居者が皆で使う共用スペースの維持管理を専任の管理員が行っていることが多いのですが、その「管理形態」にはいくつか種類があります。

常駐管理
「常駐管理」とは、常に管理員が建物に駐在している形態です。
「住み込み」もこれに当たりますが、アパート・マンションの実例としては少ないでしょう。
ただし、大家さんが管理員として、同じ集合住宅で暮らすケースはあります。
この場合、勤務時間は日中の間で定められ、夜間は緊急時の対応となることが多いです。
 
対応範囲は限られますが、夜間でもすぐに連絡できることは入居者にとってはとても便利です。
例えば、夜に帰宅して鍵をなくしたことに気づいた場合、常駐管理ならスペアキーで開錠してもらえますし、
水漏れなどのトラブル時にも一次対応が可能です。
また、いつも人の目があるので、不審者が近寄りにくいなど、防犯効果も期待できます。
 
住戸数が多く共用施設が充実している大規模マンションでは、日中は管理員、夜間は警備員という交代の体制で常駐管理業務を行っている場合があります。
また、エントランスにフロントを置き、よりきめ細かな管理サービスを提供するものもあります。この場合の管理員は、コンシェルジュと名乗ることがあります。
フロント(コンシェルジュ)サービスでは、荷物の受け取りやタクシーの迎車手配、クリーニングの発注、宅配便の発送手配など、多くのサービスで暮らしをサポートしてくれます。
ただし、サービスが充実するほど費用が増えますから、その分家賃が高額になる傾向があります。

日勤管理
「日勤管理」とは、管理員が外部から勤務日に通勤してくる形態です。朝から夕方までの規定時間内で管理業務を行い、夜間や土日祭日は休みになることが多いです。
そのため、管理員や管理会社による夜間の対応はありません。ただし、警備会社との契約により緊急対応の体制を取っている場合はあります。
 
日勤管理も、日中の管理時間内で人の出入りを管理するほか、マンションの共用部分の清掃なども行います。
電灯類の交換など、共用設備での不具合対応・維持管理のほか、エレベーターの点検や特殊部分の清掃といった専門会社による作業の立ち合いも行います。
 
常駐管理に比べて、業務委託コストが抑えられるため、多くの集合住宅で採用されている形態です。

巡回管理・無人管理
「巡回管理」は、管理員が複数の担当物件を巡回しながら管理する形態です。戸数が少ないアパートやマンションが採用していることが多いです。
日勤管理の勤務日時がさらに少なくなったものだと考えればいいでしょう。業務時間が短いだけで、基本的に管理業務の内容に違いはありません。
ただ、当然短い時間の中でやれる範囲は限られてきます。事例の多くは、勤務日をゴミの回収曜日に充てていて、居住者のゴミ出しマナーのチェックや清掃を行っているようです。
 
管理コストは抑えられますが、清掃面でもの足りなさを感じることや、共用部分の電灯が次の巡回勤務日まで切れ放しになるなどでの不満を感じることがあるかもしれません。
快適に暮らすためには、居住者同士ができるだけ汚さないように気を付ける、気づいた不具合は人任せにせず進んで連絡するといった心掛けが必要になりそうです。
 
もう一つ、「無人管理」というものがあります。「無人管理」とは、文字通り管理員がいない形態になります。
建物施設に管理員はいませんが、トラブル発生時や問合せが必要なときには、管理会社に連絡をすると、対応してくれるというシステムです。

 
無人での管理ですが、防犯対策として敷地内にカメラを設置し離れていても建物の状況がわかるようにしている、
万が一のために共用部分の扉などの施錠・開錠を遠隔で操作するシステムを導入しているケースもあります。
必要に応じ、管理会社スタッフや警備員が現地に向かう体制が取られていることが多いです。
 
この管理形態は、やはり対応に時間がかかることがデメリットになります。
また、管理員の目で気付くことがないので、日常の不具合などは居住者自身で注意しておく必要があるでしょう。
管理面に不安を感じる人は、連絡後の対応時間などについて事前に確認することをおすすめします。

子育て世帯の賃貸物件の選び方
子育て世帯の住まい選びで重視するポイントは、「子供にとって安全か」「子供が伸び伸び暮らせるか」など、当然子供を中心に考えることになります。
しかし、さらに家族みんなの暮らしやすさを求めるなら、「家事がしやすいか」「物が増えても大丈夫か」といった、
子供を育てる中での日常まで視野を広げた住まい選びをする必要があるのではないでしょうか。

子育ての今と将来を考える
子供がいると、毎日の生活は基本的に「子供中心」で進みます。共働きの場合は「仕事」「子育て」「家事」をすべてバランス良くこなさなければならず、
それを実現するためには、住まいの選び方がとても重要になります。
 
【通勤と保育園への送迎を考える】
子育てには、夫婦の協力が必要です。特に共働きの場合には、お互いに時間をやりくりしながら家事の分担をしなければなりませんから、「通勤のしやすさ」は重要な条件です。
「通勤のしやすさ」と言えば、駅に近い、バス停に近いことを条件に挙げるものですが、
単に駅に近いだけでは子供の保育園・幼稚園の送り迎えに手間取り、むしろ不便を感じることもあります。
「家⇔保育園⇔通勤」とスムーズに動けるように、トータルの道のりが短く早くなることが理想的と言えるでしょう。
 
【通学距離と安全性を考える】
子供がまだ小さいとなかなか実感が湧きにくいかもしれませんが、将来を見据えて小学校や中学校の近さもチェックしましょう。
公立の場合、基本的に登下校は徒歩です。
子供の通学時間が長くならないように距離に配慮し、通学路の安全性にも着目することが大事。
道路幅や歩道・ガードレールの有無、交通量のほか、信号のない横断歩道がないかなどもチェックしておきたいところです。
 
【将来的な子供の数を考える】
部屋数と広さは重要です。将来的な子供の数によって必要な部屋数・広さは変わってきます。子供が二人以上でも、小さいうちは一部屋でいいでしょう。
でも中学生以上になるとそれぞれの個室が必要になることが多いですから、それを踏まえた間取り選びが必要です。
 
基本は3LDK以上を選ぶことになるでしょう。3LDK 以上の間取り中心のマンション・アパートの場合、エリアにもよりますが
、同じような子育て世帯が入居している可能性が高くなります。
子供の友達づくりが容易で、親同士の情報交換を含めた付き合いも自然にできそうです。

子育ての日常を考える
実際に暮らす室内は、日常の安全性と、家事のしやすさといった実用性を重視しましょう。
 
【洗濯は結構大変】
子供がいると洗濯量が増えるので、干す場所として広いベランダがあるといいですね。
また、雨の日でも洗濯物を溜めておくわけにはいかないので、浴室乾燥機があるととても助かります。
 
【集合住宅は1階も検討を】
子供は元気に動き回るもの。家の中でも「走る」「飛び跳ねる」「大声を出す」のは当たり前です。
できるだけのびのびした暮らしをさせたいものですね。
 
でも、マンションやアパートの2階以上に住んでいると、下の階への影響が心配です。下階への迷惑を気にするあまり、
怒ってばかりいるのは親子ともどもつらいことです。
何より、遊び盛りの子供に「動くな」というのは酷な話。その点1階の住戸は、階下への影響がない分気づかいが少なくて済みます。
周囲に迷惑をかけない程度に自由に過ごさせてあげるには、1階への入居も検討してみてはいかがでしょう。
 
【和室という選択も】
最近では畳部屋をあえて選ばない人が増え、掃除がしやすくおしゃれなイメージがあるフローリングが好まれる傾向があります。
実際に、和室を設けないマンションもあります。
 
しかし、子育て世帯にはむしろ和室が向いているという見方もあります。例えば、遊んでいるときに子供が転んでも、
柔らかい天然素材の畳が衝撃を吸収してくれ、ケガの防止に役立ちます。
子供は床にじかに座ったり寝転んだりするのが大好きですから、自然な温かさのある畳の部屋は遊び部屋としてとても適しています。
 
【収納力にも注目】
子供を育てていると、いつの間にか物が増えていきます。すぐに成長する子供の衣類や遊ばなくなったおもちゃを「次の子供のため」とか、
「誰かにあげられるから」と保管しておくことも多いでしょう。いらない物は捨てる、整理整頓は基本だとしても、収納が多い方がラクで便利なのは確かです。
周辺環境を考える
子育てにとても大切な要件の一つが周辺環境です。中でも、子供が小さい時期に必要なのが公園です。
近所に公園があると、気軽に遊びに連れていくことができ、親子の絆も深まります。
ただ、「公園」と言ってもさまざまですから、広さや遊具の種類、安全性も含めてチェックしておきたいところ。
遊具が古く劣化しているとケガをするリスクがあります。
水辺があるところは、その深さや柵の有無も確認しましょう。人目のつかない暗がりなどもない方がいいですね。
 
物件探しでは、周辺エリアを実際に歩いてみることをおすすめします。道路を歩いてみて、交通量や側溝の状況、
子供が入ってしまうような危険な箇所がないかを確認しましょう。
できれば、成長した後のことも考えたいところです。中学生、高校生となると、部活や塾などで帰りが遅くなります。
特に女の子の場合は夜道の一人歩きは心配ですから、夜でも道のりにお店があって人通りはあるか、街灯はあるかなど、夜間の状態を確認しましょう。
また、小さな子供は、急に熱を出したり体調が悪くなったりしますので、近隣に医療施設があると安心です。

ペットと暮らすための部屋選び
犬や猫などのペット達は、一緒に暮らせば家族の一員です。そのかわいさは、毎日の暮らしを楽しく豊かにしてくれるでしょう。
賃貸物件でもペットを飼いたいという人は大勢います。その際に知っておくべきことをお伝えしていきます。

ペットが飼える物件の状況
ペットと一緒に暮らすためには、「ペット可」または「ペット相談可」の物件を見つける必要があります。
そしてそれに該当する物件は少ないというイメージを持たれている人も多いようですが、実際はどうなのでしょうか。
 
そもそも賃貸物件でペットがNGなのは、大家さん側の事情によるものです。「ペットの糞尿で部屋が汚れるのでは?」
「犬や猫が遊んで室内に傷がつくのでは?」「他の住民とペットの鳴き声やニオイでトラブルが発生するのでは?」など、懸念事項が多いからかもしれません。
 
ただ、今や愛犬家・愛猫家の数はかなり多く、中でも室内で飼いたいというニーズは高いのではないでしょうか。
そのような背景から、ペットと暮らすことに理解がある大家さん、
自分は飼っていなくても入居率を上げるためにペット可にしようと判断する大家さんも増えています。
 
そういう流れで、築年数が経過した物件や立地条件があまりよくない物件などで、もともとペット不可だったものを「ペット可」
「ペット相談可」に変更する場合もあります。
「賃貸でペットは難しい」と諦めずに、まずは希望エリアでじっくり探してみてはいかがでしょうか。

「ペット(相談)可物件」と「ペット共生型物件」
ペットが飼える賃貸住宅には、大きく分けて二種類あります。「ペット(相談)可物件」と「ペット共生型物件」というものです。
 
「ペット(相談)可物件」は、文字通り「ペットを飼ってもいいですよ」という物件です。
言い方を変えれば、ペットを飼わなくてももちろんいいわけで、つまりペットを飼っていない人も居住しています。
また多くの場合、ペットの種類や頭数が入居ルールとして決められており、入居者はそれを厳格に守る必要があります。
 
「ペット共生型物件」は、基本的に「ペットを飼う人」が入居対象者です。ペットに対する理解がある人ばかりが住んでいるので、
ペット飼育の根本的なトラブルは少なく、むしろ居住者同士の交流が増えるでしょう。
さらに共生型の物件の魅力としては、ペット飼育を前提とした設備導入や配慮がされていることが挙げられます。
例えば、ペットの足用の滑りにくい素材の床、散歩から帰ってきたときの足の洗い場、一時的につないでおけるリードフック、
運動用のドッグラン施設や室内のキャットウォークなど、物件ごとにさまざまな設備があります。
 
ただし、「ペット共生型物件」でも、ペットの種類、大きさ、頭数の制限はありますから、管理規約や居住ルールは事前にしっかりと確認しておきましょう。

マナーを守って楽しい暮らしを
前項でも少し触れましたが、「ペット可(相談)物件」はペットを飼っていない人も住んでいますから、入居する際にはそのことを忘れてはいけません。
もちろん「ペット共生型物件」でもお互いにマナーを守ることは当然です。犬や猫などの鳴き声は、窓を開けると外に響き渡ります。特に夜間や早朝は、近隣への配慮が大切ですね。
 
また、最も手近な屋外スペースであるベランダやテラスは、ペット達のくつろぎ場所にもってこいですね。
ただ、不用意にブラッシングをしたり、ペットの寝具を干したりすることは避けましょう。毛の飛散には注意が必要です。
 
ペットと住める物件を見つけたら、ペットへの愛情とともにご近所への思いやりも忘れずに、楽しい暮らしを実現しましょう。

住む期間に合わせた物件選びをしよう
住まいを選ぶときには、住む期間のことも考えながら検討する必要があります。住む期間が1年なのか2年なのか、
または長く住む予定があるのかで、選ぶ物件が変わる可能性があるからです。
どのような選択肢があるかを知り、最適な住まい選びに役立てましょう。

何年住む予定か考える
学生や単身赴任、新婚家庭など、住む人の状況によって、一つの住居に何年住むことになるかは違うもので、
期間に応じた最適な賃貸住宅を検討することが必要です。
 
例えば、大学生なら一般的には4年、または6年など、通学する期間は限定されます。
卒業後の進路選択で、同じ街に残るかどうかは入学時点で判断することは難しいため、通常は学校にできるだけ近い部屋を探すことが多いのではないでしょうか。
いろいろと理想の条件はあると思いますが、居住期間が決まっていることを考えれば、学校との距離感を優先して選択する可能性が高いでしょう。
 
学生に限らず、ある一定の期間だけ住むことになる場合は、立地条件を優先するか、多少不便でも家賃の安さを優先するか、割り切って選択することも必要です。
 
一方、新婚家庭・子育て家庭なら、幼稚園や小学校などへの通園・通学のことを考えて、ある程度長く住むことを想定しているかもしれません。
自分がどのくらいの期間で住むことになるのかを、事前に考えながら住まい探しをしましょう。

初期費用を抑える方法
初めから住む期間が決まっている場合、期間に合わせてできるだけ費用を抑えられる物件の検討ができます。
 
例えば、単身赴任で「1年だけ」とあらかじめ期間が限定されている場合、生活に必要な家電製品などの家財道具を一式そろえていたら大きな費用がかかり、
1年後に使わなくなったときの処分にも困ります。
このように短期間の居住が決まっているときには、「家電・家具付きの賃貸物件」を検討する、
あるいは、多少他の希望条件を我慢しても家賃が安い物件を検討することもよいでしょう。
 
また、短期間で賃貸借契約をするときには、敷金や礼金などの初期費用をできるだけ抑えられるといいですね。
特に礼金は、敷金と違い返金される可能性がない費用です。
「敷金・礼金ゼロ」などの条件で探すことや、数カ月分の家賃が無料になるフリーレント物件を検討することもコストを抑える方法の一つです。
 
長い期間住むことを想定しているなら、初期費用の節減に加えて、後々発生する「更新料」についても考えておきましょう。
更新料とは、2年、3年など一定の期間で設定されている賃貸借契約を、契約満了時以降も継続するための費用です。
 
物件によって更新の期間、更新料の金額が違います。
長く住む人は、更新料の金額とサイクルによってトータル費用に差が出てきますので、事前に確認しておきましょう。

定期借家契約物件を検討する
通常の賃貸借契約は、契約期間満了後に更新手続きを行うことで、継続して住み続けることができます。
これに対し、最初から「更新をしない」ことを前提として、賃貸借期間を定めた契約形態を「定期借家契約」と言います。
定期借家契約は、原則として契約満了後の更新はできません。そのため、期間満了時点で確実に退去、明け渡さなければなりません。
また、期間途中での解約はできません。
 
学生や単身赴任などで、あらかじめ居住期間が限定されている場合は、更新のない定期借家契約の物件を検討しても良いでしょう。
ただし、住む期間が延びたときには、別の住まいを探さなければならない可能性が高いので、もしも通学期間が長くなる、
もしくは単身赴任の期間が延びる可能性があるならば、慎重に考えた方がいいでしょう。
 
とはいえ、定期借家契約でも、貸主と借主の双方が合意すれば「再契約」という形で住み続けることができます。
しかし、原則はあくまでも一定期間限定ですから、必ず再契約できる可能性があるかを事前に確認するとともに、
契約時には契約書にその旨の記載があるかどうかも確認することが重要です。
 
定期借家契約の借主側のメリットとして、家賃の設定がやや低めの物件が見られる、ということが挙げられます。
これは、設定期間の条件に合う人が少なく、なかなか借り手が見つからないという事情によるもののようです。
 
このように、定期借家契約がどういうものかが分かった上で、居住期間に合うものならば、物件探しの選択肢に含めてはいかがでしょうか。


住まい選び~駅から離れた物件について~
住まい探しをする場合、できるだけ最寄り駅から近い物件を中心に考える人が多いでしょう。
通勤・通学のために、駅を毎日利用する人にとって、住まいが駅の近くにあるか否かでは、暮らしの快適さが大きく変わります。
しかし、必ずしも駅に近い物件が良い物件というわけではありません。また、駅に近いほど家賃が高くなる傾向もあり、距離を妥協する場合もあるでしょう。
ここでは、駅から離れた物件に住むことのメリットなどを考えてみたいと思います。

駅近のメリットは利便性だが……
ある程度の規模の街で、駅から近い物件に住んでいれば、基本的には多くのメリットを享受できます。
その理由としては、そのような街は駅を中心に大型商業施設、飲食店やレジャー施設を含む商店街、ドラッグストアやコンビニエンスストア、
大小医療機関など、日常生活に便利な施設がほぼそろっているからです。
 
また、区役所など行政関連の施設や公共施設も、大抵は大きな街の駅の近くにあるので、各種手続きが楽に済ませられます。
逆の見方をすれば、駅までの距離が遠くなればなるほど、その利便性が享受できなくなる、つまり不便になります。
細かくも結構重要な事柄では、朝ゆっくりできない、天候の悪い時の通勤・通学が大変ということもあります。
夜遅くに帰宅することが多い人は、さらに不便を感じるかもしれません。
 
しかし、物事には必ずいい面とそうではない面が存在します。特に「駅近」が最優先ではない人、
「駅近の方がよさそう」というくらいの思いの人は、駅から離れた物件のことを知れば、住まい探しの考え方が変わるかもしれません。
次項では、駅近にはない駅から離れた物件の魅力について見ていきます。

駅から離れると住まい探しの選択肢が増える
駅から離れた場所にある物件の大きな魅力として、まず「家賃」が挙げられます。
利便性が高い駅近の物件は需要が高いので、家賃が高くなる傾向がありますが、その反対に駅から離れるほど家賃は低くなります。
つまり、住み替えの予算を考えたときに、駅から離れた物件を候補の範囲に含めると、選択物件数が増えてくるわけです。
選択肢が増えれば、希望の物件に出合える可能性が高まります。
 
具体的な可能性として、駅近物件では予算オーバーとなってしまう広い部屋や設備が充実した住居に住むことができるかもしれません。
例えば同じ家賃で、駅近だとワンルーム限定なのに駅から離れることで1Kや1DKが候補に入ってきたり、同じく1階ではなく2階の部屋が候補に入ってきたりということがあるでしょう。
また、オートロック物件が候補に入る、築年数が浅くて設備が新しめの物件が選べるということも考えられます。もちろん同じ仕様の物件が安く借りられるということもあるでしょう。

駅から離れていても不便に感じないことも
距離が遠いということが必ずしも「不便」に直結するわけではありません。
日本の多くの地域では、交通網が発達しており、自治体が運営するバス路線、鉄道会社によるバス会社など、
地域の中で運行路線を分けながら複数の会社がバスを走らせています。
幹線道路だけでなく、道路が狭く利用客も限定される住宅地などでは、小型の「コミュニティーバス」を運行させている地域も多くみられます。
特に朝夕には本数を多くしてあるので、住まいとバス停との距離が近ければ、毎日の通勤・通学での不便さはそれほど切実に感じないかもしれません。
 
また、自転車やスクーターに乗る人は、最寄り駅に公共の駐輪場が利用できればかなり便利で、時間短縮にもなります。
食料品や日用品などのちょっとした買い物ならば自転車でも持ち運びできるので、快適に出かけられそうです。
むしろ休日の行動範囲が広がるかもしれませんね。
 
ただし、バスにしても自転車・スクーターにしても、乗車料金、駐輪場代、ガソリン代が余分にかかりますので、家賃の他にその分の費用を考える必要があります。
 
そこまで不便さを感じない理由としては、もう一つ、コンビニエンスストアの存在があります。
今やコンビニエンスストアは最も建築物の規制が厳しい第一種低層住居専用地域でも、許可基準をクリアしていれば建築・営業ができるので、
閑静な住宅地にもあるのです(もちろん出店していない地域もありますが)。
実際にそこに居住する人の利便性を向上させる目的で、国が規制緩和を進めたわけですから、たとえ一軒でもその有無による便利さの違いは大きいです。
 
どんな場所に住むかは、その人がどのような暮らしをしたいかによって、その選択は大きく変わってきます。
住まい選びをするときには常に言われることですが、まず自分が希望する条件を出して、それに優先順位をつけていくことが必要です。
その上で、駅近かそうでなくてもいいのか、あるいは駅から遠い方を好むのかを考えれば、自分が本当に望む場所が明確になってきます。

検討の価値あり!女性専用物件とは
女性の中には、「一人暮らしは不安」「トラブルが怖い…」と、一人暮らしをためらっている人もいるのではないでしょうか。
そんな女性におすすめなのが「女性専用物件」です。女性が不安に思う部分を細やかにカバーしてくれて、安心して暮らせる工夫がたくさんあります。

安心・安全を重視した女性専用物件の設備
女性専用物件の大きな魅力は、女性が思う不安点や不便に感じる点が解消されるように、あらかじめ具体的な設備などに工夫を加えているところです。
 
【セキュリティー設備が充実】
一人暮らしの女性は、「もしも部屋に侵入者が入ってきたら…」「知らない人に追いかけられたら…」と、万が一の危険を考えて不安を感じるものですよね。
 
その点で、女性専用物件の設備は、物件ごとに違いはありますが、一般的には「オートロック」、「防犯カメラ」、「管理人の駐在」などの防犯面を重視していることが多いでしょう。
来訪者が識別できる「テレビモニター付きインターホン」が設置されていることも多いです。さらに窓からの侵入対策として、「防犯窓」や「補助錠」の設置もあります。
また死角になりそうな箇所には、「人感センサー付き照明」や歩くと音が出る「玉砂利」を敷くといった工夫も見られます。
 
【女性のニーズに応えた設備】
おしゃれが好きな女性は、洋服やバッグ、靴、化粧品もたくさん持っているもの。それ故、それらをしまう場所が必要です。
女性専用物件では、クローゼットのほか、備え付けの収納を大小確保していることが多いので、物は多いけどスッキリ暮らしたい女性には、うれしいポイントです。
 
また、女性専用物件の多くは「バス」「トイレ」が独立。ユニットバスよりも個々に独立している方が、ゆったりした気持ちで使えるのでうれしいですね。
 
さらに、「洗濯物を外に干したくない」という人も多いですよね。女性専用物件なら、浴室暖房乾燥機が付いていることが多く、
下着類を外に干さずに済む上、夜中でも留守のときでも干しておける便利さがあります。

より安心して暮らすための要チェックポイント
女性しか住んでいないとはいえ、「どんな住人がいるか」は知っておきたいところです。「
夜間に人の出入りがある部屋がある」「頻繁に物音がする」あるいは「全く音もなく人の気配がしない」など、いろいろ気になることがあるかもしれません。
それも、どんな人が住んでいるのか分かっていれば、安心感につながります。自分で知ることができなければ、不動産会社の担当者に尋ねてみてもいいでしょう。
事情を説明すれば、個人情報に踏み込まない範囲でおしえてくれる部分もあるでしょう。
 
建物以外にも目を向けましょう。周辺環境も事前にリサーチしておくことが大事です。仕事を持っている女性の多くは、帰宅は暗くなってからの時間帯でしょう。
夜でも安心して歩けるように、「最寄り駅から物件までの道のりは長すぎず、暗がりなどはないか」「街灯などがあり明るいか」
「人通りは少なすぎないか」など、夜間の周辺チェックをおすすめします。
 
住まいのセキュリティー設備が十分な物件を見つけたならば、実際の暮らしの中で施錠を徹底するなど、普段からの心がけで一層防犯効果は高まるはずです。

その他の注意点
充実した設備や細やかな配慮が魅力の女性専用物件は、内容が充実するほどにコストがかかっています。
その費用は、少なからず家賃や管理費に転嫁されていますから、高めの設定になっていることも多いです。
しかし、例え家賃が安くても、名前ばかりの女性専用物件もなくはないので、きちんと物件情報を確認しましょう。
 
また、女性だけが住んでいると、逆にターゲットにされるリスクも否定できません。
物件ごとにセキュリティーの内容と充実度が異なるので、自分の不安をどこまでカバーしてくれるかを、事前にしっかりチェックしましょう。
 
そもそも「建物内に男性の出入りは厳禁」と定めている女性専用物件もあります。その場合は、恋人や仲の良い男友達も招けません。
さらには、親や兄弟でさえも出入りができない物件もあります。住んでから不都合な点に気づいても遅いので、必ず契約前に居住ルールを確認しておきましょう。


「家具・家電付き物件」を借りるという選択
新しい部屋を借りるときは、なにかとお金がかかります。生活に必要なものをそろえていくと、予算が足りないこともあるでしょう。
そこで紹介したいのが、家具・家電付き物件。引越しもラクなので、一人暮らしのハードルが低くなるかもしれません。

家具・家電付き物件とは
家具・家電付きの物件は、その名の通り家具や家電がすでに部屋に準備されている物件です。
 
物件によって若干の違いがありますが、ベッド・テーブル・イス、冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど、
一般的に「これがあれば生活できる」という必要度の高い家具・家電が設置されていることが多いです。
中には、テレビやカーテン、電子レンジなど、「あるとうれしい」ものが付いている豪華な物件もあります。
設備にお金がかかっている分、家賃が少し高めになるかもしれませんが、家具を運んだり新たに買ったりする必要がないので、
住み替えの費用が抑えられる上、引っ越したらすぐに通常の生活ができて、気軽でラクです。
 
このように「家具・家電付き物件」の一番の魅力は、一人暮らしの初期費用が抑えられるところです。
新生活のスタートは、敷金や礼金、前家賃など、契約時に結構なお金がかかるものですが、さらにかかる初期費用のうち、
家具・家電の購入費用、引越し費用をカットできるため、住み替え予算を削減したい人の強い味方と言えるでしょう。

家具・家電付き物件に向いた人は
【短期間の一人暮らしの人】
期限付きで単身赴任する人、大学や専門学校入学で数年間一人暮らしする人など、「一時的に一人暮らしをする人」にはぴったりです。
数年で家族の元に帰って来ると分かり切っている場合は、諸々そろえるのはもったいないと考える人が多いでしょう。
 
もしも数年後にまた住み替えることになったならば、そのときに必要に応じて購入を検討すればいいですし、そのために貯蓄することもできるでしょう。
いずれにしても、「とりあえず買う」という無駄は防げます。
 
【急な住み替えで時間がない人】
「急に転勤することになった」など、急いで住み替える必要が生じた人にもおすすめです。新生活のスタートは、
物件決め、引越しの手配、転出入の役所への届け出など、多くのことをこなさなければなりません。
仕事の合間にすべてをやろうとしても、なかなか時間が取れないもの。その点、家具や家電がそろっていれば、生活そのものを整える時間が省けて、効率がよくなります。

お得ばかりじゃないデメリットにも留意を
費用が抑えられ、手間が省けるメリットの反面、人によってはよく考えなければいけないこともあります。
 
まず、家具・家電付き物件に設置されている物品は、基本的にデザインが無難なものが多いです。
部屋をオシャレなインテリアにしたいと考えている人には、好みが合わないこともあるでしょう。家電に関しても過度な期待はできません。
基本的には、シンプルな機能のみ。欲しい機能が付いていないこともあり、不便や物足りなさを感じるかもしれません。
 
また、付いている家具や家電は「借りている」状態です。自分のものではないので、壊さないように気を使わなければなりません。
それに、前に住んでいた人も使っていた「中古」です。他人が使い続けて劣化しているものに抵抗を感じる人には、あまり適していないかもしれません。
 
引越し時にはとてもお得な感じがしますが、自分の部屋にこだわりを持つ人は、じっくり考えてから決めるべきかもしれませんね。

家賃月額予算は全体支出をイメージしよう
物件写真や内見ですてきな部屋を目の当たりにしたとき、「ここに住みたい!」という気持ちが高まりますよね。
「節約すれば大丈夫」と、少しくらい高めの家賃でも契約したくなるかもしれません。
しかし、これから継続的に支払い続けなければいけない家賃のことは、安易に感覚だけで決めるのは危険です。
「今月は払えない」なんてことにならないように、予算を決めるときには収入と支出を全体的にイメージしながら計画しましょう。

絶対的な収入をベースに計画する
会社勤務の人は、「給料」として毎月の安定した収入が確保できるため、家賃は毎月きちんと支払っていけるイメージがあるかもしれません。
つまり、月々入ってくる収入を考えて家賃予算を考えるかもしれませんが、注意したいのは「残業代やボーナスなど変動する収入は含めずに」ということです。
 
毎月のように残業代がある人、年に数回のボーナスを貯蓄しておき月々の生活費にプラスする人もいるでしょう。
しかし、「部署異動があって残業が減った」「会社の業績低下でボーナスがカットされた」など、なんらかの理由で収入減となることも考えられます。
 
家賃の予算を考えるときは、変動のない絶対的な収入だけをイメージして計画を立てていくことが大事です。
どのくらいの家賃にすべきか迷ったとき、一つのイメージとして「月収の3割まで」と耳にすることがあるでしょう。
 
ただ、3割ギリギリの上限まで近づけた家賃を設定するのもリスクが高めです。
残業代やボーナスを除いて考えたとしても、「病気で入院した」「急な冠婚葬祭に出席することになった」など、突発的な支出があることも少なくありません。
「月収の3割くらいまで」は単なる目安とし、自分なりに必要な支出を具体的に数値化しながら計画を立てていきましょう。

家賃以外の支出項目を確認する
「収入と支出」の全体像をつかむ上で欠かせないのが、家賃以外の支出。
家賃と同じように毎月住居費として出ていくものが「管理費」や「共益費」などです。物件情報では、家賃に注目してしまうため、
見逃してしまうこともあるでしょう。家賃に含まれていないケースでは、月々数千円の負担があるため確認しておくべきです。
管理費・共益費は、一般的に家賃の5~10%だと言われているので、月額5万円の家賃なら5000円くらいまでを想定しておくといいですね。
そのほか、駐車場代や自治会費、町内会費などの負担があるケースもあります。契約前に、住居費として月にどのくらいの支出があるか確認しておきましょう。
 
また、水道光熱費、通信費、食費、日用品費、交通費など、日々の生活に必要な費用もあります。
これらの毎月出ていく生活費全般と家賃として支払う住居費を合わせたものは、収入の6~7割に抑えるとよいと言われています。
 
そして、洋服を買う、友達と食事に行くなどの娯楽費は、人によって出費が異なります。
「あまり交際費はかからない」という人もいるかもしれませんが、大体収入の1~2割を目安にし、残りは貯蓄に回すことをおすすめします。
少しずつでも貯金しておけば、急な出費のときに助かります。
 
家賃を月収の3割ギリギリに設定すると、貯蓄できる金額が少なくなってしまいます。
年間どのくらいためたいかを目標設定し、自分なりにイメージして考えていきましょう。

ルームシェアという選択肢
人気のあるエリアに住みたいという希望があっても、毎月の収入と支出を考えると家賃負担が難しいこともあるでしょう。
そんなときに、「ルームシェア」が頭に思い浮かぶ人もいるかもしれません。
友達同士やカップルで部屋を借りれば、一人当たりの家賃負担が軽くなるメリットがあります。
人気の立地や広めの間取り物件にも住めそうな感じがしますよね
諦めていた人気物件に住める期待が高まるとともに、「誰かと一緒に暮らせる」ので、安心感や楽しさもあります。
 
ただ、一人暮らしと違ってそれぞれのプライベートスペースを確保する必要があり、間取りは広めに考えなければならないでしょう。
さらに、二人の収入をベースにして検討した家賃の物件なら、「どちらか一方が退去したらどうする?」という心配も考えておく必要があります。
現実的に考えて、片方が残っても全額負担は難しく、結果的に引っ越さなければならないかもしれません。
 
また、友人同士のルームシェアやカップルの同棲は、一般的には審査が通りにくい傾向です。
二人で住むなら「ルームシェアOK」とうたわれている物件を中心に探した方がいいでしょう。

家賃の上限はどれくらい?考慮すべきは何?
新しい家を探すのは心躍る時間ですが、お金や近所づきあいなど現実的な面も考えなければなりません。
特に気になるのは、やはり家賃でしょう。かつての日本のように、ある程度の昇給が計算できた時代とは異なり、
今では右肩上がりの経済成長は望めず、何より一つの会社で勤め上げることが少ない時代になっています。
収入の見通しをつけにくいのが現実です。
そこで、改めて家賃を収入の何%ぐらいにとどめるべきか、家賃を考えるうえで何を考慮すべきかを考えていきましょう。
家賃を家計全体や将来との兼ね合いで決めることが重要になります。

「家賃は手取りの30%まで」は本当か?
家賃の上限を考えるうえで参考になるのは、「家賃は手取りの30%まで」という通説です。
手取りが30万円だったら家賃9万円で、残りの21万円で生活費をまかない貯金していくということになるので、生活実感としても妥当な目安と言えるでしょう。
 
ただ、現実問題を考えると「手取り30%」にこだわりすぎて、住める家の選択肢が少なくなってしまうケースもあります。
生活スタイルや住んでいる地域、収入の高さなどそれぞれの事情によって、「手取りの40%まで許容」「手取りの20%まででないと厳しい」など判断するべきです。
 
たとえば、手取りが15万円しかないが都心に住む必要がある場合、家賃4万5000円(15万円の30%)を上限に設定するのはあまりに低すぎます。
厳しい住環境の家しか選択肢に残らなくなってしまいます。
 
一方で、近い将来継続的に大きな出費が見込まれる場合は、家賃を抑えるべきかもしれません。
たとえば借金返済が最優先の人にとっては、完済できるまで家賃の安い家に住むべきでしょう。
 
このように、その人の生活スタイルによって家賃のあるべき目安は変わってきます。「手取りの30%」は参考になりますが、とらわれすぎる必要はありません。

生活費と貯金を考慮して家賃を考える
一般論はともかく、自分にとって妥当な水準の家賃を考えるためには、生活費と貯金を基準にするのがよいでしょう。
 
家計全体を踏まえて、家計の中で支出はどれくらいがよいのか、その支出の中で固定費はいくらまで出せるのか、
固定費の中で家賃はどれくらいなら余裕を持って暮らせるのか……。
全体から逆算して考えるわけです。
 
家計の現状を把握するために、1カ月分の家計簿をつけることをおすすめします。
自分の支出額とその割合の全体像を「見える化」することで、その中から家賃に使える分もおのずと見えてきます。
 
次に、貯金や投資(株や投資信託だけでなく書籍・セミナーなど「自己投資」含む)の分も忘れないようにしましょう。
貯金の目標額や投資希望額を収入から天引きして、残りで生活する意識を持つことが重要です。
 
家賃の上限を決める際は、家計全体を意識するようにしましょう。
将来を考慮して家賃を考える
一つの住宅には、少なくとも数年は住む予定の人が多いと思います。家計全体だけでなく、将来も考慮したうえで家賃を決めたいところですね。
 
最初にご紹介した「家賃は手取りの30%」とは、大企業に入れば右肩上がりで給料が上がっていた昭和期の言葉とされています。
先の見通せない今の時代では、当てはまらない人が多いのではないでしょうか。
特に、自営業者や個人事業主、あるいは成果給の人などは、収入の不安定さを考慮して30%より低く家賃上限を設定した方が無難です。
 
自分の仕事面だけでなく、家族の将来を見据えることも必要不可欠です。
出産、男性の場合は妻の育児休暇や仕事復帰、あるいは子供の進学や受験など、収入が減ったり支出が増えたりするライフイベントがたくさんあります。
あらかじめ大体の時期や支出額が決まっているイベントもありますので、大体どの時期にいくらかかるのか考慮して見通しを立てることができるでしょう。
 
このように、現在の家計全体を把握するとともに、将来をある程度見通したうえで家賃の上限額は決まってきます。
パートナーがいる場合は、よく話し合って認識を共有することも必要です。


学生一人暮らしの家賃上限はどう考える
受験に合格して新生活のスタート地点に立ったとき、「学生生活を楽しむぞ!」というワクワクした気持ちの反面、親と離れて初めての一人暮らしに不安を抱いている人もいます。
今後の学生生活を左右するとも言える住まい選びなので、「新築に住みたい」「南向きがいい」などこだわりポイントがあるかもしれません。
でも、学生のお部屋選びは、仕送りやアルバイト収入を考えつつ、現実的な家賃設定をする必要があります。
「どのくらいなら払えるか」という家賃の上限を慎重に考え、部屋探しをしていきましょう。

家賃の上限は仕送りをベースに考えよう
学生のうちは、家賃をはじめ食費や光熱費など、生活する上で必要な出費を親に頼ることになるでしょう。
家庭の状況によって金額は異なりますが、家賃を考えるときのベースとなるのが、親からの仕送りです。
 
中には、「アルバイトで稼ぐから大丈夫」と、それを当てにして高めの家賃を設定する人もいるかもしれません。
確かに、大学生なら講義の取り方によって時間的な余裕ができ、上手にアルバイトをして稼ぐこともできるでしょう。
アルバイトをすること自体は社会勉強にもなるので、大事なことかもしれません。
 
しかし、学生のうちは社会人と違って「勉強」が本業。勉強がおろそかになると単位が取れないリスクもあります。
アルバイトを頑張り過ぎて寝不足、勉強時間が減った結果、留年してしまっては本末転倒です。
順調に卒業するためには、試験時期にはアルバイト時間を減らさなければならないでしょう。
 
それに、就職活動に入ればアルバイトをする時間がなくなります。結果的にアルバイト収入が減り、家賃の支払いに困ることを想定しておきましょう。
勤務時間によって収入の変動があるアルバイト代は、「プラスアルファ的な収入」と考えておくのが無難かもしれません。
毎月の生活費のメインとなるのは「仕送り」として計画することが大事です。
 
家賃の上限を決めるときは、「仕送り+アルバイト代」と両方を総合して想定するのではなく、「仕送り」のみの範囲内で家賃を考えることが理想です。

仕送り減額リスクと奨学金の利用について
大事な子供の新生活のため、親御さんは不自由のないようにと、できる限りの仕送りをしようと頑張ってくれるものです。
 
ただ、親は仕送りのほか、学費も負担しなければなりません。
国公立か私立かによって学費は違いますが、仕送りと合わせると大きな額となることは間違いないでしょう。
また、勤め先の業績や健康状況などで、家計の収支が変わってしまうこともあります。
親側にも生活があるので、仕送りの額を減らさないといけない可能性もゼロではありません。
仕送りを当てに家賃が高い住居に住んでいる場合は、支払いが厳しくなるでしょう。
 
「そんなときは安い家賃の物件に引っ越せば解決するだろう」と思うかもしれませんが、
新たな物件の敷金・礼金、引越し費用…と、一時的に多額の費用がかかってしまいます。
 
親の仕送り負担を軽減させる方法の一つに、奨学金制度の利用があります。家庭の経済状況、本人の学力などの条件によって利用を検討してもいいでしょう。
それぞれの学力や親の収入、自宅通学か自宅外通学かによって、給付型か貸与型かまた受けられる金額や利率(貸与型の場合)が変わります。
奨学金による支援を受けることができれば、就学中の資金計画は随分楽になるでしょう。
 
ただ、奨学金を受ける際に注意しておきたいのは、貸与型の場合は就学期間に受ける「融資」になるので、「将来返済していく借金」という自覚が必要だということです。
月々の返済額は極端に高くはありませんが、卒業後長年にわたり続きます。本人が返済していく義務があるので、それを理解した上で利用するようにしましょう。
収支を総合的に考えて毎月の予算を立てよう
家賃の上限を考えるときは、生活費に余裕を持たせることが必要です。生活にはどんなお金が必要なのでしょうか。
光熱費や食費はもちろんかかります。
これらについては、生きていく上で必要な費用。
もしも、学校の最寄り駅周辺に住まいが見つからないなら、電車通学をしなければならず、その分の交通費(定期代)もかかります。
そのほか、学生生活を楽しむためには、交遊費やサークル活動費など、学生ならではの出費も考えられます。
 
また、案外忘れがちなのが医療費。病気やケガで病院にかかることになれば、通院のためにお金が必要になります。
突然の出費を考えると、余裕を残した感じでの家賃設定が理想と言えるでしょう。
 
家賃を高く設定したために生活に余裕がなく、「友達との遊びにも参加できない」「サークル活動も難しい」となれば、
楽しいはずの学生生活が切り詰めてばかりの寂しいものになってしまうかもしれません。
快適なキャンパスライフを送れるように、「仕送り・アルバイト代・家賃・生活費」などの収支を総合的に考えて毎月の予算を立てることが必要です。
 
家賃を支払った残りの生活費がギリギリにならないよう経済的に余裕を持たせることが、学生の住まい選びで失敗しないコツと言えるでしょう。

家賃の相場を調べよう
住まいを探すときには、希望エリアの家賃相場を知る必要があります。毎月の予算と照らして、
どれくらいの物件に住めそうかという判断のもとになり、効率的に新居を探すのに役立ちます。

なぜ家賃の相場を調べるのか
相場がわからずに住まい探しを進めると、まずそもそも選んだエリア自体が、自分が払える家賃の範囲に合致しているのかどうかがわかりません。
 
まずは、希望のエリアでの家賃相場は、一般的にどれくらいなのかを、いくつかの物件を比べながらつかんでいきましょう。
具体的には、希望の間取り・広さだとどのくらいの家賃なのか、希望の築年数だとどのくらいの家賃なのかをチェックしていきます。
おおむねの相場がわかって予算と合致したなら、さらに駅までの距離や設備の状況など、細部の条件を加えて比べていくと、候補物件を選びやすくなるでしょう。

相場を見るときのポイント
家賃の相場を見るときにはどんなことをポイントにすればよいのか、主なものを見ていきましょう。
 
【間取り・広さ】
希望のエリアで同じような間取り・広さの物件をいくつかピックアップします。
例えば、2DKが希望なら同じ間取りの物件で気になるものを選択します。同じ間取りでも広さ(面積)によって家賃が違ってきます。
 
【築年数】
当然、新築は最も高めの家賃設定になり、古ければ低い傾向になります。希望するエリアでは新築物件が借りられるのか、
築年数にこだわらなければどんな物件まで対象になるのか、といった判断材料になります。
 
【利便性】
最寄り駅に近い方が便利ですから、当然家賃は高くなる傾向にあります。ただし、便利であるほど、ゆったりした間取りや広さの物件は少なくなるということにもなります。
 
【設備・機能の充実度】
例えば、エアコンが最初から完備されていることや、温水洗浄便座、追い焚き機能付きユニットバスなど、住宅設備がより充実している物件は、家賃が高めになります。
この他、オートロックや防犯カメラなどのセキュリティー関連、インターネットといった通信設備など、必要だと思う設備・機能を備えた物件を比較します。
 
この他にも、建物の構造が木造なのか、鉄筋コンクリート造りなのか、駐車場は確保されているかなど、借りる条件によって細かな部分はたくさんあります。
しかし、最初から細部を見ていくと、「相場」という観点ではつかみにくくなってしまうので、まずは大きなところに絞ることをおすすめします。
相場を調べる方法
たくさんある物件情報の中から、家賃相場を便利に素早く調べられる方法を紹介します。
 
【インターネットで調べる】
まず、インターネットで公開されている不動産情報サイトから調べる方法があります。
特にアットホームなどの不動産ポータルサイトは、全国の膨大な物件情報を掲載しており、
マンション・アパートなどの種目ごとに、エリアや沿線・駅での検索ができるので、効率よく相場を知ることができます。
また、情報の追加・更新も日々行われているので、最新の情報を得ることができます。
 
【情報誌で調べる】
書店やコンビニエンスストアで売られている、賃貸情報誌も利用できます。地域限定のものから広い情報範囲のものまで、目的に合わせて使い分けましょう。
しかし、情報誌は、インターネットに比べると、情報の鮮度(リアルタイム性)が落ちるということは知っておきましょう。
 
希望のエリアでの家賃相場を知り、自分の予算に合うかどうか、
または予算に合わせるためにはどの条件を緩めればいいかなど、いろいろな想定をしながら候補物件選びを進めましょう。

賃貸物件の管理費・共益費って何?
賃貸物件に住むときに、家賃とは別に支払う「管理費」・「共益費」というものがあります。それは具体的にどのような費用なのかご存じでしょうか。
毎月支払うものですから、その意味も含めてきちんと知っておきましょう。

管理費・共益費は何に使うものなのか
まずは、管理費および共益費が何のための費用なのかを説明します。
 
【管理費】
言葉のとおり、その物件の「管理のため」にかかる費用です。
基本的には一つの建物内に複数の住戸が存在する集合住宅での共用部分の維持や、それにかかわる事務作業などに対する費用です。
 
共用部分とは、エントランス、廊下、エレベーターなど居住者が皆で使う箇所や設備のことで、貸主はその部分を含めた建物全体の管理を管理会社に依頼していることが多いです。
一般的には管理人が駐在し、管理業務を行います。その費用を含む、全体の管理にかかる金額が、居住者たちが支払う管理費から賄われているわけです。
 
【共益費】
共益費は、エントランスや廊下、エレベーター、ゴミ置き場、駐車場など、共用の施設・設備を維持するために使われる費用です。
共用部分にある照明の電球交換、オートロックやエレベーターなど設備の点検のほか、それらの電気代および水道代も含みます。
 
ここまで集合住宅を前提に説明してきましたが、一戸建ての賃貸住宅には管理費がないというわけではありません。
必要に応じて設定されていますから、物件ごとに確認しましょう。
「管理費」と「共益費」の違い
物件によって「管理費」・「共益費」の有無があり、金額設定もまちまちです。
「管理費とは物件の管理のため」「共益費とは共用部分の維持管理のため」と考えればいいのですが、
実際には物件ごとに、建物の維持管理にかかる必要な金額をこれらの名目で設定しているということです。
物件によっては管理費一本でこれら二つを包含しているものもありますし、その逆もあります。
 
一般的に、管理費・共益費の相場は家賃の5~10%程度と言われています。金額面での違いは特にありません。
使い道は前述の通りなので、毎日使うエントランスや廊下、階段、エレベーターなどが、いつも気持ちよく利用できると考えれば、その必要性が理解できるのではないでしょうか。

費用の表示パターンについて
管理費・共益費の徴収については、名目立てて「○円」となっている場合と、家賃に含んだ形の「家賃〇円、〈管理費込み(共益費込み)〉」という場合の、二つの表示パターンがあります。
 
例えば、「家賃6万5千円/管理費5千円」「家賃7万円(管理費込み)」ということです。
これらは、どちらも支払いは7万円で同じではないかという気もしますが、注意したいのが家賃以外の費用です。
敷金や礼金、更新料、仲介手数料などの支払い額は、「家賃」をベースにして算出されます。
そのため、単純に考えれば、後者の場合総支払額が割高になってしまうと言えます。
ただし、周辺の家賃相場をみて7万円が低めだったならば、必ずしも割高とは言えないでしょう。
 
このように、入居者を募るための一つの手だてとして、パターンの使い分けがされていることもあるので、周辺物件と見比べるといいでしょう。
どちらにしても、賃貸物件の運営上には必要な費用なので、名目はさておき必ずかかっていると認識しておきましょう。
ですから、「管理費・共益費なし」とうたっている物件についても、実際にはその分の費用は家賃に含んでいると考えるのが妥当です。

賃貸住宅の初期費用には何がある?
賃貸住宅に住むと、毎月家賃を支払うことになります。しかし、必要な費用はそれだけではありません。
賃貸住宅へ引っ越す場合には、一般に「初期費用」と言われる各種費用がかかってきます。
 
初期費用にはさまざまな種類があり、意外と金額がかかってしまうもの。
ここでは、そんな初期費用一覧をご紹介するとともに、大体の費用感をお伝えします。

「敷金」「礼金」について
最も代表的な初期費用に「敷金」「礼金」があります。
敷金は借主による月額家賃の支払い滞納時にその弁済に充てられるもので、賃貸借契約時にあらかじめ貸主に預けておく金銭です。
 
敷金にはもう一つ、原状回復費用への充当という用途があります。
「原状回復」とは、賃貸借契約を終了し借主が住居を退去するときに、住居を借主が住み始めたときの状態に戻すことを言います。
ただし、通常生活する中で生じた経年劣化や損耗については、借主は原状回復義務を負わないので、不注意で付けた損傷などがなければ、退去時の精算により丸々返還されることになります。
地域や物件によっては「保証金」と呼ばれることもありますが、意味合いは敷金と同じです。
 
礼金は、その名の通り貸主に対する「お礼」の意味合いで支払われるもので、慣習的な費用になります。礼金は後に返還されることはありません。
 
敷金・礼金ともに家賃の1カ月~2カ月分で設定されていることが多いようですが、物件ごとに異なるので確認が必要です。

敷金・礼金以外の初期費用
敷金・礼金以外にも初期費用はいくつもあります。まずは「前家賃」です。前家賃の金額も物件によって異なりますが、
当月分の家賃(日割りで計算されます)と、翌月1カ月の家賃をまとめて支払うところが多いです。
たとえば、10月10日に入居したとすると、10月10日~31日と11月の家賃を前もって支払うことになります。
 
他にも、火災保険の保険料がかかります。賃貸物件の場合、入居者に加入を義務づけているもので、1万5000円~2万円が相場です。
また、物件を「仲介」してくれた不動産会社には「仲介手数料」を支払います。
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法(宅建法)で家賃の1カ月分以内と定められています(別途消費税がかかります)。
 
カギを交換する場合は、その費用も必要です。物件によって、入居者が負担するのか貸主が負担するのか異なることがありますので、事前に確認しましょう。

一般的な認識として家賃半年分+引越し代は貯めるべき
以上を踏まえると、賃貸住宅を借りるとき、家賃だけを見て決めてしまうと、あとで初期費用の高さに悲鳴を上げることになるかもしれません。
地域や物件ごとに条件は異なりますが、一般的に家賃半年分は初期費用としてまとめて支払うことになると考えられます。
たとえば、家賃が8万円の物件に入居する場合、初期費用50万円前後が相場です。
 
「初期費用」のカテゴリーには含まれませんが、引越し代金や家具・電化製品の購入費用も考慮する必要があります。
転居に伴う費用として、初期費用にこれらの料金を加えた金額は貯金しましょう。
複数の引越し会社から相見積もりを取ったり、中古家具・電化製品を購入したりすることで費用を抑えられる可能性はあります。
それでも、引越し距離や購入物品の数によっては、数十万円が必要です。
 
費用を抑えるためには、家賃だけでなく初期費用の条件に着目するべきでしょう。最近では敷金や礼金が必要ない、あるいは安い設定にしている物件も増えています。
「フリーレント」といって、入居後しばらく「無料期間」として家賃の支払いが不要となる物件もありますし、仲介手数料が安い物件もあります。
 
初期費用の条件や金額は多様化の傾向にあるので、少しでも安い物件を探すのであれば、インターネットや雑誌などを通してじっくり情報を得るようにしましょう。

敷金・礼金・更新料についてきちんと知ろう
賃貸住宅と敷金・礼金・更新料のイメージイラスト
賃貸物件情報を見ていると、「敷金」や「礼金」という言葉が出てきます。
また、「更新料」というものもあります。これらは入居時、入居後、あるいは退去時にもかかわってくるので、どういうものかをきちんと知っておきましょう。
「敷金」について
「敷金」とは、賃貸借契約を結ぶときに借主が貸主に支払う初期費用の一つです。家賃の1~2カ月分が相場です。

将来的に万が一、借主が家賃の支払いを滞納したときには、貸主は敷金からその分を徴収します。そのときのために預けておく金銭というのが、敷金の第一の意義です。
もう一つの敷金の用途として、原状回復費用への充当があります。賃貸借契約を終了し退去するときに、その住戸を借主が住み始めたときの状態に戻すことを「原状回復」といいます。
原状回復義務は、貸主と借主で分かれていて、借主が負担するのは、家具の移動時に不注意で付けた壁の傷とか、重いものを落として付けた床の傷、
畳のたばこの焼け焦げなど、借主が故意・過失により生じさせた損傷に限定されます。
それ以外の、通常生活する中で生じた壁や畳の変色といった経年劣化部分、所定位置にある冷蔵庫の壁の黒ずみなどの損耗部分については、貸主の負担になります。

退去時には、借主に原状回復義務が生じた部分についてのみ改修費用として徴収され、その分は敷金から差し引かれることになります。
もしも借主に原状回復義務がなく、家賃の滞納などもなかったならば、敷金は退去時に全額返還されます。
ただし、借主の住み方が悪くて負担分を敷金では賄い切れなかった場合は、反対に追加費用を請求されることがありますから気を付けましょう。

物件によっては「敷金なし(ゼロ)」というものがあります。初期費用が減るのはうれしいことですが、前述のように敷金には仮定の使用目的があるので、
敷金なしの場合は、借主に原状回復義務が発生したときに費用負担をどうするのかなどを、契約時に確認する必要があります。

「礼金」について
現金と計算機による敷金・礼金・更新料のイメージ
「礼金」とは、住居を貸してくれる大家さん(貸主)に対するお礼の意味合いで支払われるお金です。敷金とは違い、返ってくることはありません。
礼金の支払いは、そもそもは借主側が自主的に行っていたものが、いつしかしきたりとして一般化されて定着したというのが一つの説になっています。
ですから、実情としては「お礼」という意味合いよりも、「昔からの慣習が現在も続いている」というニュアンスの方が合っているのかもしれません。
礼金の扱いは地域によって異なり、「そもそも礼金の慣習はない」という地域もあります。

礼金の相場は、敷金と同じく家賃の1~2カ月分です。礼金についても、「礼金なし」という物件があります。
これは、すぐに入居者に入ってほしい、築年が古いなど少々条件がよくないからなどの理由で、礼金を不要にしている例が多いようです。

更新料について
通常、賃貸物件には契約期間が定められています。居住用では2年が多いようです。
通常の賃貸借契約(普通借家契約)では、契約期間が満了すると退去しなければならないわけではなく、契約を「更新」することで住み続けることができます。
このときに支払うのが、「更新料」です。
更新料は、一般的に新家賃の1~2カ月分が相場です。「新家賃」とは、契約更新の際に家賃が改定される可能性があるので、そのような表現をします。
更新の可否は、契約満了の1カ月以上前には、貸主側から借主に対して尋ねられます。住み続けたいならば、契約を更新する旨の意思表示をして定められた更新料を支払います。
契約期間、更新については契約書に明記されているので、必ず確認しましょう。

新家賃の1~2カ月分という相場は、主に関東圏で適用されるようです。
日本全国で見ると、「そもそも更新料の慣習はない」地域がありますし、あっても「1万円~数万円程度」という安めの定額制をとっている地域もあります。
また、更新料とは別に「更新事務手数料」というものを支払う場合もあります。

契約時の説明をなんとなく聞いていたばかりに、後々トラブルになることがあります。
慣習が異なる地域の賃貸住居に住み替える場合には、これら費用の扱い方や内容が違うので、より注意しましょう。
また各物件、各契約で細かな条件が違うので、重要事項説明をきちんと聞いて、契約書の内容を確認するようにしましょう。

引越し費用について考えよう
住み替えは何かとお金がかかります。敷金、礼金、前家賃、火災保険料などといった「初期費用」のイメージが強いですが、きちんと考えたいのが「引越し費用」です。
今の住まいから新居へ家具や生活用品を運ぶため、引越し会社に依頼する費用は結構大きなものです。
住み替えの予算を考えるため、どのくらいの引越し費用がかかるかは事前に押さえておきたいポイントです。
まずは見積もり取得から
「引越し費用がどのくらいかかるか」は、ケース・バイ・ケースとしか言えません。人によって荷物の量、荷物の内容、引越し先への移動距離が違うからです。
一般的に言えるのは、「荷物の量が少ない」「大きな荷物があまりない」「移動距離が短い」というケースならば、引越し費用は安めに抑えられるということでしょう。
 
一人暮らし程度の少ない荷物量なら5万円前後、遠距離の移動になってもそれほど高額になることは考えられません。10万円以内で納まることが多いでしょう。
冷蔵庫など大型家具があると高めとなってしまいます。
 
また、引越し会社によって料金の設定は結構違います。同じ荷物量で見積もりを取っても違いが出てくるものです。
費用を抑えるには、複数の会社に見積もりを依頼することをおすすめします。
インターネットの引越し見積もりサービスを利用すると、簡単に概算見積もりが取得できます。
複数社が一度に見られるサイトもあるので、目安を知って大体の料金比較をするにはとても便利です。
その結果、さらに数社に絞って、詳細な見積もりを依頼して比較するといいでしょう。見積もりは基本的に無料です。
引越し費用を抑えるには
引越し費用は、自分で荷物を運ぶことでかなり減らすことができます。
荷物があまりない、引越し先が近いというケースなら、自分で運んで費用を抑えるというのも選択肢の一つでしょう。
 
しかし、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、食器棚など大きな家電や家具は、自分一人で運ぶことは難しいものです。
家族や親戚、友達の手助けが必要になることもあるでしょう。
引越しは一日がかりになることも多いですし、「手伝ってもらったから」と謝礼を考えなければなりません。
運搬時にケガをさせてしまう可能性もありますし、集合住宅では、共用部分を傷つけたり、壊してしまったりということも考えられます。
素人では、プロが行う「養生」はなかなか難しいものです。
ですから、自分でやる、あるいは誰かに頼む場合には、安全面や万が一のリスクも含めて、トータルでの費用を考えるようにしましょう。
 
引越し会社に依頼するときでも、「荷物の梱包は自分でする」「軽い物や小さい物は自分で運ぶ」というようにすれば、費用削減につながるでしょう。
また、引越しは、3~4月の住み替えシーズンなどの繁忙期や土日祝日は、費用が割高になる傾向があります。
同じ内容の引越しでも、平日だったら安かったということは少なくありません。
できるなら、繁忙期を避けると費用を抑えることができるかもしれません。
 
もう一つ注意したいのが、引越し間際というギリギリのタイミングで依頼しないということです。
引越し手配を先延ばししていると、特に繁忙期はどの会社も予約で埋まってしまいます。
そうなると、結果的に希望日に引越しできず、それ以降の新生活の予定を変更しなければならなくなるかもしれません。
直前で慌てないためにも、余裕を持って引越しの段取りを組みましょう。
オプションサービスの検討も
新居の間取りによっては、家具や衣類、本など、今持っているものをすべて運ぶと収まり切らないかもしれません。
そこで、「これを機に処分しよう」と考える人も多いでしょう。
そんな人におすすめなのが、引越し会社による「不用品回収サービス」。
買取りしてもらえるか、格安で回収してくれるかは、不用品の内容によって異なりますが、粗大ゴミの回収依頼や持ち込みで買取りを頼むことが面倒なときには、便利なサービスです。
 
また、家電をセッティングしてくれるオプションサービスを備えている会社もあり、テレビやDVDレコーダーの接続、洗濯機やエアコンの脱着などをしてもらえます。
配線や機器の接続は慣れていないと難しく、うまくできなければ使うことができません。
追加費用がかかりますが、引越し後すぐに使えることはメリットでしょう。
 
この他、ピアノを運ぶオプションサービスを行っている引越し会社もあります。
大きくかつデリケートな扱いが必要なピアノの運搬は素人には難しいので、プロに依頼する方が確実で安心です。
ただし、作業員が増えるなどして当然費用はかさみます。
 
この他、会社ごとに独自のオプションサービスを備えていることもありますし、費用も異なりますので、必要に応じて確認してみてください。

新生活で必要なものを予算内でそろえるには
住み替えをするとき、新生活のために必要なものをそろえるのは、ワクワクと楽しいものです。
ただ、「新居だから」とすべてを新しいものでコーディネートしようとすると、予算オーバーということになってしまいます。
そうならないためには「今必要なのか」を見極め、きちんと計画的に準備するようにしたいものです。

これはそろえたい!必要な家電とは
冷蔵庫やテレビ、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、掃除機、エアコンなど、たくさんの電化製品が私たちの暮らしの中で活躍しています。
あれば便利な家電ばかりですが、すべてを購入するとなるとかなり高額になります。
人によっては「なくてもいいかな」というものもあるかと思うので、「これは欲しい」というものを順番にピックアップして、その優先順位に沿って購入するといいでしょう。
 
例えば冷蔵庫は、食品保存という重要な役割から、なくてはならないものと考える人が多いでしょう。
もし旧居から持ってくることができないなら、購入の優先順位はかなり高めです。
買うとなったら、住居の広さと家族数によって大きさを検討します。
機能やデザインにこだわらなければ、一世代前の型を選ぶなどで、費用を抑えられます。
 
照明器具も必需品の一つでしょう。明かりがなければ生活はできませんからね。照明器具は大きさやデザインなど、人によって好みが分かれます。
そこで気をつけないといけないのは、費用面を考えて「とりあえずこれでいいや」という買い方です。
最初は安い物を買って、お金に余裕ができたらじっくり選んで買い替えようと思っていても、
一度設置してしまうともったいないというのと、面倒くさいというのとで、結局最初に買ったものを長く使うということになりがちです。
ですから、安くても気に入った物を買うことをおすすめします。
 
洗濯機については、特に一人暮らしの人は、コインランドリーが近くにあるなら買わなくてもいいという選択肢もあります。
ただ、当然自宅に洗濯機があった方が便利ですし、他人と同じ洗濯機を使いたくない、あるいは一人でコインランドリーに行くのは怖い、という人には必須でしょう。
 
電化製品は、常に進化して便利な機能が備わっていくものです。そして最新の機能が付いたものは、当然最も高額になります。
でも、人によっては不要な機能もあるので、絶対欲しい機能とそうでない機能を見極めて選びましょう。
種類が多い生活用品
家電以外の生活用品では、まず食卓用のテーブルセットをはじめとした家具、布団や枕などの寝具、プライバシーを守るカーテンなどのインテリア製品が中心に考えられます。
新生活では、思い通りにインテリアコーディネートにこだわるのも楽しみの一つ。
北欧スタイル、アジアンスタイル、あるいは「和」にこだわるなど、「どんな部屋にしようか」と考えるだけでもワクワクしますよね。
家具専門店、量販店、生活雑貨店など、購入先はいろいろあります。
近くにお店がない場合は、バリエーションが豊富なネットショップを利用することもできます。
ただ、どこで買うにしても、「色味が合わなかった」などの後悔が生じないように、トータルで考えることと、ついつい買い過ぎてしまわないように注意しましょう。
 
また、食器、調理器具、掃除用具などの日用雑貨も必要です。
キッチンで使うもの、浴室で使うもの、トイレで使うもの、リビングで使うものと、場所別で考えていくとその数はかなり多くなります。
物によっては、「消耗品」だと割り切れば100円ショップでもOKでしょう。
加えて、洗剤やトイレットペーパーなど、毎日使う日用品の存在も忘れてはいけません。これらも予算に入れておきましょう。

費用を抑える「優先順位」という考え方
あれもこれも必要、と考えていくと、かなりな金額になるはずです。住み替えそのものに費用がかかるので、新生活用品にかけられるお金は限られてきます。
そこで、冒頭でも言ったように、今必要なものとそうでないものを見極めることが大切になってきます。つまり、買いそろえるものの「優先順位」をつけるということです。
 
優先順位をつける具体的な方法としては、「今すぐ必要」「後からでもOK」というものをリストアップします。そしてその中で毎日の生活に欠かせないものから順番を付けていきます。
「なくてもいいかな」と感じるものなら、無理に購入せずに、新生活が落ち着いてからゆっくりそろえても遅くはありませんから、思い切って下位にします。
 
また、これに「今あるものを継続して使うから無理して買い換えない」ということを加えて考えれば、さらに費用は抑えられますし、
不便になるわけでもないので最も無駄のない方法だと言えます。
 
何かとお金がかかる住み替えですから、予算と優先順位をきちんと考えて、無理なく楽しい新生活をはじめましょう。

不動産会社に相談・訪問するときのポイント
住まい探しでは、不動産会社とのやり取りが欠かせません。でも、普段はなかなか行く機会がない場所です。どんな所か分からないと、なんだか緊張しそうですよね。
不動産会社への訪問時に心得ておきたいポイントを紹介します。
突然の訪問は時間がかかるもと
不動産会社は住まい探しのプロ。物件選びから契約まで、パートナーになってくれる心強い存在です。
ただ、「部屋を借りたい」というアバウトな気持ちだけで、なんとなく不動産会社のドアを開けるのは実はNG行動。
「ぶらりと立ち寄った」のような突然訪問は避け、時間帯の配慮や事前準備もしておきましょう。
 
【夕方は混み合う時間帯】
不動産会社の規模や店舗の場所によっても異なりますが、混む時間帯に訪れると待ち時間が長引きます。
気をつけたいのが、夕方からの時間帯。
不動産会社は、「これから部屋を借りる人」だけでなく、すでに賃貸契約中の人が更新や解約などの相談にくるケースも多いもの。
仕事帰りに訪問する人が多いので、その時間帯は混み合うと考えておくべきです。
 
特に、「あと少しで営業時間が終わる」という閉店間際の訪問は避けるべき。混み合う中で待たされる心配もありますが、相談が中途半端になるリスクがあります。
ちょっとした時間では相談ができず、別日に再び訪れる結果になるなど、時間と手間がかかるでしょう。
 
【相談内容をメモにまとめ訪問予約をしておこう】
事前に電話をかけて予約をしておけば、待ち時間がなくスムーズに対応してもらえるのでおすすめです。
気に入った物件があったら内見ができるので、午前中や午後一番など早めの時間を予約するといいでしょう。
その際はお店側の都合もありますから、候補日時を複数用意しておくと一度の連絡で調整がつきやすくなります。
 
また、訪問前にインターネットなどからリストアップした物件や、ある程度の希望条件を伝えておけば、内見までの段取りがスムーズに進みます。
希望条件はできるだけ明確に
初めての住まい探しでは、「訪問してから相談してみよう」とノープラン状態で不動産会社を訪れる人もいるでしょう。
特にこだわりがないならばそういうこともあるでしょうが、それですと相談から候補物件の絞り込みまでにかなりの時間がかかってしまいます。
 
後悔のない住み替えを望むなら、大ざっぱに相談するのではなく、自分の希望条件を頭の中でできるだけ明確にして準備をしておくことをおすすめします。
その際は、伝え忘れないように、予算やエリア、間取り条件など「これは譲れない」というものを挙げて、さらに優先順位を付けて整理しておくといいでしょう。
メモを見ながら話を進めていくとスムーズです。

頼りになるスタッフを見極めよう
楽しく快適なくらしにつながる住まい探しですから、失敗したくないですよね。そこで、大事なのが「信頼できる不動産会社」を見極めることです。
直接窓口で対面すると、会話の中で信頼できるスタッフが見えてくるかと思います。
 
できるだけ希望条件を明確にしておくということは必要ですが、実際に店舗で図面を並べて見せてもらうと、考えていなかった魅力的な部分が見えてきて、あれこれ迷うことがあります。
そんなときは遠慮せずに、素直に自分の思いやどんなふうに迷っているかを伝えてみましょう。
不動産会社のスタッフには、多くの人にふさわしい物件を紹介してきた実績がありますから、迷いが整理できるような選び方の助言もしてくれます。
 
反対に、あまり希望に合わない物件を提示してくるとか、特定の物件を推してきて他の物件を提示してくれないという場合などは、無理に話を進める必要はありません。
そういうケースは少ないですが、先方の態度に不信感を持ったなら、別の不動産会社に切り替えるということも可能です。
 
なかなか訪れることのない不動産会社では、緊張してうまく話せないこともあるでしょう。
頼りになるスタッフは、そんな気配を察して話しやすい雰囲気を作ってくれ、親身に相談に応じてくれます。
話したときの印象も大事に、パートナーとなるスタッフを見極めていきましょう。

安心して不動産会社に行くために
初めての部屋探しでは、不動産会社に行くことはハードルが高いと感じることもあるでしょう。
「分からないことばかりで大丈夫かな…」と不安を覚えるものですよね。
基本的には、不動産会社のスタッフが丁寧に教えてくれるので、分からない状態で行っても大丈夫です。
それでも、まったく何も分からない状態よりは、ちょっとした知識があった方が安心。
予備知識ゼロで訪問するよりも、ポイントを押さえておくとスムーズに話が進むこともあります。

間取り図面の記号を頭に入れておこう
部屋探しでは、内見の前に図面や写真でイメージをつかみます。不動産会社を訪れたときも、間取り図面を見ながら物件探しを進めていくでしょう。
日本語で「洋室」「和室」「浴室」などと書かれている図面はとても分かりやすいですが、中には英語や記号表記になって分かりにくい図面もあります。
そこで、記号をある程度覚えておくと、図面がスムーズに読み取れます。事前知識として覚えておくといいでしょう。
 
【よく使われる記号 】
「K=キッチン」「UB=ユニットバス」「WIC=ウォークインクローゼット」などは、記号をあまり知らなくても図面の位置的な部分からなんとなく読み取れるかもしれません。
ただ、その他に少し分かりにくい記号もあります。
 
「S」と表記されているのは「サービスルーム」のこと。納戸とほぼ同じ意味で、収納部屋を指します。中には、4~5帖の広めのサービスルームもありますが、
窓がない、あるいはあっても採光規準を満たしていないので、通常の居室としてカウントされません。
 
また、「PS」は、水道管やガス管などのための「パイプスペース」。「RF」は、一人暮らしでの注目度が高い、部屋の上部に位置する「ロフト」です。
 
【面積の感覚をつかむ】
間取り図には、「○帖」と部屋の大きさが表示されています。例えば「6帖」なら畳が6枚分。
畳の部屋に慣れていないと「どのくらいの大きさ?」というイメージがつかみにくいかもしれませんね。
「今の部屋は何帖か?」など、実家や友達の家でも部屋の広さをチェックするなど、普段から面積の感覚をつかんでおくといいでしょう。
 
ただ、家具が入っていない状態では、小さな部屋もかなり広く見えるもの。荷物の多さも考慮に入れながら、極端に狭くならないような意識で部屋探しをしていきましょう。

不動産会社の業態・得意分野を確認する
「不動産会社」とひとまとめに言っても、賃貸物件を主に扱う賃貸仲介会社、中古住宅・マンションを扱う売買仲介会社、
賃貸物件の管理を主に行う会社、建築業を行う会社など、業態・得意分野はさまざまです。
 
「売却が得意」という会社に賃貸の相談に行っても相談には乗ってくれるかもしれませんが、情報量が少なかったり、
通常の業務の流れとは外れたりするので、物件探しが難航することもあります。
また、同じ賃貸でも「事業用物件なら任せて」という不動産会社に、居住用の賃貸相談に行くケースも、同様に効率的ではないかもしれません。
 
不動産会社のホームページやチラシなどをチェックしていると、どんな物件を扱っているのかという会社ごとの実績が見えてくるかと思います。
また、大抵の会社は自社サイトを持っているので、そこで会社概要を確認できます。まず、事前にその会社の得意分野を見極めてから相談に行くようにしましょう。

訪問前に心得ておくこと
大家さん(貸主)は、「大切な資産を変な人に貸したくない」という思いで、不動産会社の人に借主探しを依頼しています。
そのため、不動産会社のスタッフは「大家さんが嫌がるような人には貸さない」という気持ちを常に持ちながら、相談に来た人をチェックしています。
 
乱暴な言葉使いや上から目線でスタッフに接すると、「社会性のない人」「入居のトラブルが心配」と思われ、親身になってもらえないかもしれません。
逆に遠慮しすぎても、自分の希望を伝えられずに後悔する可能性もあります。丁寧な言葉使いでマナーを守っていれば、
極端にイメージを下げることはないので、気になる点があったらどんどん質問するようにしましょう。
また、言葉使いが丁寧で穏やかでも、外見によっては「貸したくない」と判断されることもあります。
極端にだらしないとか、不潔に見える服装、あるいは奇抜すぎるいでたちでは、
ルールを守ってきれいに住んでくれるかどうかを疑われてしまいますし、家賃滞納などのトラブルを想起させるかもしれません。
 
不動産会社のスタッフの目は大家さんの目も同然です。印象が悪くなる言動は控えるような気持ちで、訪問しましょう。

物件内見の準備と注意点について
賃貸住宅を選ぶときには、必ずその物件を見てから賃貸借契約書を結びます。その物件見学を「内見」と言いますが、
内見のチェックポイントを知らずに賃貸物件を見に行くと、確認もれが発生してしまいます。
そのような事態にならないよう、内見時のチェックポイントを知っておきましょう。

内見の下準備をしよう
まずは、内見に行く前に以下の物品を用意しておきましょう。
・筆記用具
・メジャー
・間取り図
・デジタルカメラ(スマートフォン)
・方位磁石
 
一般的に、賃貸住宅を借りるときは複数物件を内見してから決めるので、物件ごとの特徴が混同して分からなくなることがあります。
そうすると曖昧な比較で選ぶことになってしまうので、内見時はその部屋の特徴や違いなどをメモに残しておきましょう。
メモ用紙とペンを持って行かなくても、スマートフォンなどのメモ帳機能でも構いません。
とにかく、自宅に帰って検討するとき、物件同士がゴチャゴチャにならないようにすることが重要です。
 
メジャーとできるなら間取り図も自分で用意しましょう。
事前に内見する物件がわかっていれば、インターネットの物件情報から間取り図を用意することができます。
メジャーは内見前の準備から使用します。設置する予定の家具や家電のサイズを測っておくと、内見時に置きたい場所、置くべき場所に入るかどうかが分かり、
居住したときのレイアウトもイメージできます。
採寸は、幅・奥行き・高さが全て必要です。特に冷蔵庫や洗濯機は、置き場が決まってしまうので、正確に測って確認します。
 
ほかには、デジタルカメラ(スマートフォンのカメラ機能でも可)や方位磁石を持っていくと便利です。自宅に帰って物件を思い返すと、
「あれ?窓は腰高だったか?収納の内部はどうなっていたか?」など、細かいところが気になるものです。
その細かい点は、間取り図からは分かりませんし、物件情報サイトのページにも全ての画像があるわけではないので、自分で撮影しておくと確認・比較ができるというわけです。
方位磁石についても、スマートフォンアプリで構いません。図面に方位が入っている場合もありますが、微妙に方位が異なるケースもあるので、正確に自分で調べておいた方が安心です。

間取り図では分からないところをチェック
下準備ができたら、次は実際にどこをチェックするかを見ていきます。内見時は、間取り図では確認できない以下の点を重点的にチェックしましょう。
・梁(はり)や天井高
・窓の形状・動き
・室内扉などの開き方・動き
・収納の容量
・陽当たりと眺望
・電源の数・位置、テレビ端子接続位置
・設備機器の動作確認
 
梁や天井高は間取り図には描けません。しかし、梁が大きければ圧迫感がありますし、天井高によって同じ面積でも空間の広さが異なります。
特に、角部屋は建物構造の都合で、梁や柱が多くなる場合があるので注意して確認しましょう。
 
また、窓の形状も「腰高」なのか「掃き出し(床まで)」なのかで、家具の配置も変わってくるので、必ずチェックしてメモしておきましょう。
図面によっては「腰高」など明記されていますが、そうでない場合は後で分からなくなってしまうので、
内見で得た情報は細かくメモに残すことをおすすめします。合わせて開閉の具合も実際に動かして確認しましょう。
 
このほか収納の容量は必ず確認しましょう。高さ・奥行は実際に見ると図面のイメージと違うものです。内部のハンガーパイプの本数や高さ、棚の有無なども重要です。
というのも、収納の使い勝手は収納の広さだけでなく、その内部構造によって大きく変わるからです。特に洋服などが多い人は、必ずチェックしておきましょう。
 
また、眺望と陽当たりも現地でしか体感・確認できません。目の前に遮蔽(しゃへい)物がなく南向きという場合は良いですが、そうでないのなら日中の陽当たりを確認したいところです。
夕方の訪問で日中の様子が分からないときは、再度昼間の時間帯に訪問して確かめることをおすすめします。外から見るだけでもわかることは多いです。
 
あとは細かな部分ですが、置きたい電化製品に対して電源の数は足りそうか、また位置は妥当かも見ておきましょう。
テレビ端子位置も、テレビのレイアウトをイメージして、合っているかを確認しましょう。
照明、水栓、インターホンなど、設備機器で動かせるものは、実際に触って確認しておきましょう。

「住みやすいか」という観点が大切
賃貸物件を内見するときには、その物件の築年数が浅いほど、「仕様・設備」や「デザイン」などのパッと見たときの目立つ箇所に目が行きがちです。
確かに、それらも重要な要素なのですが、きちんとその物件に「住む」ことを意識しなければいけません。
 
いくらデザインが良くても、家具のレイアウトがしにくければ住みにくいでしょう。
また、例えばIHクッキングヒーターのシステムキッチンに魅力を感じたけれど、
実は火を使うガスコンロの方が慣れているからそちらの方が良かった、と後悔するかもしれません。
住んだ後にそのようなことがないように、内見時はしっかりと下準備をした上で、
「長く住みやすい部屋か」「自分に合っているか」という観点を頭に入れて見ていくことが大切です。


内見時のチェックポイント
契約する前には物件の内見を行います。ここではその際にチェックしたほうが良いポイントを紹介します。

物件の周辺について
1.駅までの時間や交通機関を調べる
不動産の広告では80mを1分として駅までの所要時間を表示しています。
ただし、坂道や信号は考慮していませんし、人により歩く速さは違いますので、実際に歩いてみることをおすすめします。
 
バス便利用の物件では、駅前のバス時刻表で最終バスの時間をチェックしておきましょう。
地域によっては最終バスの時間が思ったより早く、少し遅くなるとタクシーを利用しなければならいということがあるかもしれません。
また、夜間にタクシーを使う場合を考えて、混み具合も確認しておきたいものです。不動産会社の営業担当者に聞いてみてわからなければ、実際に夜に現地に行って確認するのが確実です。
また、自転車を使う場合は駅周辺に駐輪場があるかを確認しておきましょう。
 
2.周辺環境は歩いてチェック
物件を下見する際、物件の周辺をできるだけ歩いて自分の目で環境をチェックしてください。
特に重要なのは、騒音や悪臭のチェックと必要な生活関連施設の確認です。騒音のチェックは念を入れて行いましょう。
 
駅周辺や駅までの間にスーパーやコンビニ、金融機関、病院などがあるかを確認します。
そのほか自分のライフスタイルを考えて、必要な施設や店舗があるかどうかをチェックしていきましょう。
 
騒音については、平日は近隣の工場や学校が出す音がうるさいが、週末は静かということもあります。
また昼間は静かでも、夜になると近くの幹線道路の騒音が響くこともあります。
できれば物件に入居を決める前に、昼と夜、平日と週末のように2回以上は現地でチェックしたいものです。
同様に、悪臭もチェックしましょう。例えば、物件の裏手の川から悪臭がするというケースもあります。
 
こうした物件の周辺環境は、入居してはじめて判明することが多いのですが、入居してから後悔しないためにも十分に確認することをおすすめします。

物件チェックの注意点
1.日照のチェックも忘れずに
実際に物件を内見するときは、各窓がどの方角を向いていて日の入り具合はどうかを確認します。
南向き・東向きが、一般的には日当たりのよい方角とされていますが、実際に日当たりがいいとは限りません。
例えば、窓の外に近接する建物があるケースもあるでしょう。また、時間帯で日差しは変わっていきますから、できれば一日の中で時間を分けて確認ができるといいですね。
 
また、距離は離れていても別のマンションのベランダやビルの窓が正面にあり、部屋の中が見られそうなのでカーテンを開けられないというケースもあります。
内見の際には窓の外を見て、周囲の状況をチェックすることが必要です。
 
2.部屋の広さは自分の目で確かめる
物件広告では、一般的に部屋の広さを平方メートルのほか帖数(畳の枚数)で表示しているものが多く見られます。
1帖の広さは、不動産広告の表示規約によって、1.62平方メートル以上と決められています(一部例外もあります)。
物件の内見の際には、この基準をもとに部屋の広さを自分の目でチェックしてください。
 
また、運び入れるタンスやベッド、テレビといった家具・電化製品の大きさをあらかじめ測っておくと、現地で置く場所を検討するときにその場所に収まるかどうかが確認できます。
ということは内見時の持ち物としては、メジャーが必須になります。

建物の管理状態を確認する
物件の内見をする際、建物の管理状態が良いかどうかチェックしてください。
特にマンションなどの集合住宅では、ゴミ捨て場の清潔さ、駐輪場の使い方、廊下・階段の清掃の様子などを見ます。
これらが整然としていたり、清掃が行き届いていたりということが見て取れれば、管理状態が良好ですし、居住者のマナーもよさそうだという判断ができます。
逆に言えば、建物の管理状態が悪い物件は入居者のマナーや暮らし方もよくないことが多いようです。
住み始めてから他の入居者に悩まされないためにも、できるだけ管理状態のいい物件を選びたいものです。

内見での室内・建物周りのチェックポイント
賃貸物件を内見するときには、チェックすべきポイントがあります。それを見落とすと住んだ後に後悔することになるので、内見時にもれなく確認することが大切です。
では、どのようなところを見ればいいのか、わかりやすく「室内(居住部分)」と「建物周り(共用部分)」に分けて見ていきます。

室内のチェックポイント
室内(居住部分)をチェックするときの主なポイントは以下の3点です。
 
【間取りや広さ】
まずは、間取り図と見比べながら部屋の配置や広さをチェックしましょう。ここで注意すべき点は、単純に間取りを眺めるだけでなく、
家具のレイアウトを意識しながら見るということです。
例えば、居室入口が開き戸か、引き戸かという違いだけでも家具のレイアウトは異なります。
 
なぜなら、開き戸であれば扉が開く軌道箇所には物は置けませんが、引き戸は置けるからです。
ほかにも、柱や梁(はり)によってうまくレイアウトできない家具もあるので、自宅にある大型家具や家電の採寸は事前にしておいた方がいいでしょう。
そうすれば、内見時に配置が可能かどうかを判断できます。
 
【設備の状況】
設備については、主にそのものが正常に使える状態かを確認します。例えばエアコンが備え付けであればきちんと起動するか、設定の切り替えはスムーズか、
またトイレの温水洗浄便座は正しく機能するか、物件概要に記載している設備はすべて整っているか、水道の出具合、排水の流れ具合は問題ないかなど、細かくチェックしましょう。
 
基本的に室内の設備が故障したときはオーナー負担により修理しますが、使い方が悪くて故障したときは入居者が負担する場合もあります。
故障・不具合の原因が明確でないとトラブルの元になるので、入居前に設備がきちんと作動するかの確認は重要なのです。
 
また、フローリングの傷やクロスの剥がれ・汚れ、ガラスのひびといった破損・汚損についても確認しておきましょう。
内見時に気付いて不動産会社の担当者に伝えると、入居までに直してくれることもあります。反対に見逃してしまうと、
退去時の原状回復費用に加算され、敷金の返還金額に影響してしまうかもしれません。
 
【日当たりと眺望】
直接の建物などの確認ではありませんが、日当たり・眺望は現地でしか確認できません。窓の向きによって日が差す時間帯は異なります。
東向きであれば午前中、南向きであれば朝から午後にかけて、西向きは午後から夕方にかけて日が差します。遮蔽(へい)物や反射光などを含めた、
日光の入り具合を気になる時間帯で確認しましょう。
 
また、眺望面も単純に眺めがいい・悪いではなく、道路や鉄道からの音、工場施設からの音や飲食店からのにおいなども確認するとよいでしょう。
眺めがよくても窓を開けておけないという、住んでからの後悔を防げます。

共用部分のチェックポイント
次に、建物周り(共用部分)の主なチェックポイントを同様に3点挙げます。
 
【設備の充実度と使いやすさ】
まずは、共用設備の充実度と使いやすさを確認しましょう。
例えば、駐車場や駐輪場は入居後に使用分を確保できるか、エレベーターは住戸数に対してストレスなく使えそうか、
セキュリティー設備は安心できるレベルで整っているか、などです。駐輪場はラック式か平置きかで使いやすさは大きく異なりますし、
上段か下段かでも異なります。セキュリティー設備は、留守のときや夜間、特に一人暮らしをする人は安心して暮らすために、内見時にしっかりと確認しておきましょう。
 
【共用部分の照明や清掃状態】
共用部分の照明の具合や清掃状態は、その物件の管理状況を表していると言えます。廊下の電球が切れたままになっていたり、
エントランスや廊下、階段にゴミが目立っている物件は、管理に手をかけていないかもしれません。
そうなると、入居後に不具合が生じたときにも「管理会社に連絡がつかない」あるいは「対応が遅い」など、日常生活に支障が出る場合もあるので気を付けましょう。
 
【居住者の共用部分の使い方】
どういうことかと言うと、例えば、ゴミ置き場に回収日時以外にゴミが置かれていたり、廊下に私物が出しっ放しになっていたり、
駐輪場以外の場所に自転車が放置されていたりする状況がないか、ということです。
居住ルールを守れない人がいると、今後一緒に住んでいく上で不安です。この点は、このような共用部分の使い方である程度判断できるので、
注意深くチェックするようにしましょう。

その他のチェックポイント
その他、うっかり見落としがちなチェックポイントをいくつか挙げておきます。
 
【携帯電話の電波状況】
今や都市部の立地で、携帯電話(スマートフォン)の電波を受信しにくいという環境は考えにくいかもしれません。
それでも、建物の構造や周囲の建物の立ち具合などに影響を受けて、電波が入りにくい部屋ができてしまうことはあり得ますから、
内見の際は各部屋で受信具合を確認するといいでしょう。
 
【玄関間口・通路幅】
引越し時には、冷蔵庫や洗濯機といった大型家電、ソファ・ベッドなどの大型家具の搬入があります。実際に運び入れるときに、
玄関間口や通路幅が狭くて物品を中に入れられなかったという事例は現実にあります。
これは設置場所の寸法だけ測って安心し、搬入のことを考えなかったために起こることですから、設置場所までに通る箇所すべての広さを確認する必要があるのです。
 
【遮音性】
音の確認については複数あります。まず外からの音の遮音性です。窓を閉め切ったときに、外音が漏れ聞こえないかを確認しましょう。
そもそも周囲の騒音がどの程度か、窓を開けておいたときに気になるかどうかも、もちろん確認します。
 
次に上階および隣接住戸からの音の響き具合です。内見時にこれらを確認することは、なかなか難しいので、
現実的には不動産会社の担当者に聞くということになります。
ただし、これは自分の生活音にどれだけ気をつけなければならないかにもつながるので、住んでからのトラブルを避ける意味でも、忘れず確認しましょう。


快適な暮らしに不可欠な周辺環境をチェック
快適な暮らしを始めるためには、「どんなエリアに住むのか」を知っておくことが大事です。
住み始めて不便や不安を感じても、「気に入らない」と簡単に引っ越すわけにはいきません。
「住まいは満足なのに生活が不便」だと、とても残念ですよね。新しい生活の拠点となるエリアですから、しっかりチェックしましょう。

実際に歩いて距離感を確認する
物件情報の間取り図や写真、現地内見での確認と、大抵の人は物件についてはしっかりチェックします。
ただ、「理想通りの物件」と一目ぼれしても、日々の暮らしの快適さとは周辺環境を含めて得られるものです。
 
人は暮らしの中で、通勤や通学、買い物、外食など、自宅周辺を必ず利用します。
それ故、住まいそのものが気に入っていても、周辺環境に不満があれば住み心地が悪くなるのは当然のこと。
契約前に、「自分が住む街」について知っておくことはとても大切です。
 
物件情報には、「○○駅まで○分」と生活エリアにある主要駅への所要時間が表記されていますが、
これはあくまでも目安の数値。歩く人の歩行スピードや歩幅によって異なります。
自分の足で歩けば「思ったよりも時間がかかる」ということもあるかもしれません。実際に歩いて距離感や時間を確認しましょう。
 
また、駅やバス停に近いという魅力がアピールされていても、それが自分にとって便利なのかもチェックしたいところ。
電車の本数や通勤時間帯の混み具合、急行などとの連絡状況、乗り換えのつなぎのよさといったアクセス全般は、日々の生活に関わることなので念入りに調べておきましょう。
 
残業や付き合いなどで帰宅時間が遅めの人は、終電・終バス時間もチェックしておきましょう。
もしもタクシーで帰ったらどのくらいの料金がかかるか、深夜割増を含めて調べておくと、いざというときに役立ちます。

時間帯や曜日で街の雰囲気は違う
道路の交通量や街のにぎわいの様子、静けさなどは、一回周辺を歩いただけでは分かりにくいものです。
当然ですが、朝・昼・夜では街の雰囲気はガラリと変わります。
交通量をチェックするときは、朝の通勤・通学の時間帯、夕方の帰宅時間帯と何度か足を運んでみることをおすすめします。
また、平日と休日でも街の様子は違うかと思います。
 
暗くなってから足を運べば、街灯の明かりや店の開き具合なども知ることができます。
「閑静な住宅街」という言葉は魅力的ですが、夜に極端に人通りが少なく暗ければ、女性や子供が歩くのはかなり不安に感じるかもしれません。
 
逆に、周辺に飲食店や娯楽施設が多いと、夜になっても人通りや交通量が減らず、にぎやかすぎて音が気になることもあるでしょう。
人が多い繁華街の近くは、治安とも関係してきます。家族構成によっては、ふさわしくない立地かもしれませんので入念に調べましょう。
 
ライフスタイルや家族構成によって重視する点を押さえながら、さまざまな時間帯に足を運んで街の様子を体感しましょう。
「何度も足を運ぶのは面倒」と思うかもしれませんが、時間をかけてチェックすることで、住んだ後の後悔を減らすことができます。

必要な施設をチェックしよう
物件の近所にいろいろな施設があれば、その分生活が便利になります。ただ、家族構成やライフスタイルによって、
必要な施設は違ってくるはずですから、優先順位をつけてチェックしていきましょう。
 
生活に欠かせない食料品や日用品を売っているスーパーマーケット・コンビニエンスストアは、当然にあってほしい施設です。
雨の日も利用することを考えると、歩いて数分で行ける距離にあるとかなり便利ですし、通勤・通学路の途中にあるとなおいいですね。
仕事帰りにも立ち寄ることを考えると、営業時間も確認しておきましょう。
 
また、独身の人は「仕事帰りに外食で済まそう」「残業が続いたから自炊は面倒」「オトクに買える総菜屋さんがあるとうれしい」など、「食」の便利さへの関心が高そうです。
気軽に入れる定食屋や居酒屋なども、普段歩く道路沿いにあるかチェックするといいでしょう。
 
子供がいるファミリー世帯は、保育園や学校など、教育施設への距離を当然考えると思います。
加えて学校までの道のりを実際に見て、歩道の整備状況や交通量といった安全面も確認しましょう。
保育園・幼稚園への送り迎えは自転車かもしれません。
その場合、勾配のきつい坂道などは大変ですから、そのような地図ではわからないことを現地で見ておきます。
また、子供が小さいと急に体調を崩すことが多いので、小児科はじめ各種病院や薬局などが近くにあると安心です。
普段友だち同士で遊べて、休日に親子でも過ごせるような公園もあるといいですね。


住まいを借りる契約の流れ
賃貸住宅を借りる際には、「知っていなければならないこと」「知っていた方がよいこと」がたくさんあります。ここではそのような情報のポイントを紹介します。
部屋探しの前に予算と家賃相場を調べる
1.予算と希望を整理する
部屋探しでは、自分や家族にとって何が大切かを決めておくことが重要です。すべての希望を満足させる物件を見つけることはなかなか難しいですから、
どのような条件を優先するのかを決めておかないといつまでたっても物件を決められなくなってしまいます。
 
まず、いくらまでの賃料なら無理なく支払えるかということが重要になります。一般的に家賃の上限は手取り収入の30%程度に抑えておくとよいと言われています。
これは収入額にもよるので、ある程度の目安として考えればいいでしょう。
 
その予算内でライフスタイルを考慮し、何を優先させるのかを考えます。職場に近いことか、多少通勤時間はかかっても住環境のよい所を望むのか。
築年数が古くても広い住まいがよいのか、多少狭くても新しい物件がよいのか、または「バス・トイレ別」だけは譲れないといった条件を挙げて、優先順位を付けていきます。
そうすることで物件探しをスムースに進めることができます。
 
 
2.家賃の相場を調べる
部屋探しを始める際には、予算を勘案しながら自分が希望する地域の「家賃相場」を調べることが必要です。
なぜ家賃相場が必要かというと、例えばワンルームマンションの相場が「7万円台」の地域で「5万円台」の物件を探しても、見つかる可能性は低くなってしまうからです。
自分が毎月支払える予算と希望地域の家賃相場を比べてみて、予算が足りないときには、希望条件を譲歩して家賃相場がもっと安い別の地域で探す方が近道と言えます。

物件探しについて
1.インターネットなどの物件情報から探す
インターネットによる賃貸情報収集は広範囲の情報を素早く収集できますし、賃料相場を把握するのにも非常に便利です。
アットホームなどの不動産情報ポータルサイトは物件数が豊富ですから、希望エリアで多くの物件情報の中から条件に合った候補物件を楽に見つけることができます。
このほか、賃貸物件情報誌や新聞折込み広告、地域フリーペーパーなどから情報を取得する方法もあります。
 
2.不動産会社の賃貸情報
不動産会社が持っている物件情報は、上記のような不動産ポータルサイトや情報誌にすべて掲載するわけではありません。
例えば広告費を使わなくてもすぐに借り手がつきそうな物件や、情報を入手したばかりまたは新築で情報公開する手前の物件などを保有している可能性があります。
このような物件は不動産会社に直接問い合わせて確認することで、条件が合えば紹介してもらえることがありますから
、不動産会社の自社サイトの情報を確認したり、実際に店舗に出かけて聞いてみることも有効です。
ただし、店舗に行く際はスムースに相談を受けてもらうために、事前にメールや電話で相談内容を伝えた上で予約することが必要になります。

入居の申込みから契約まで
1.入居申込みについて
物件を内見して気に入った場合、不動産会社に「入居申込書」を提出することになります。
この入居申込書の書式は不動産会社によって異なりますが、記入項目は住所・氏名・年齢・職業・年収など、おおむね共通しています。
入居申込書はあくまで入居意思を確認するための書類であって、賃貸借契約書ではありません。
したがって、入居申込書を提出した後でも、入居申込みをキャンセルすることが可能です。
提出する前に、この点を不動産会社に確認しておくとよいでしょう。ただし、軽はずみな申込み・キャンセルは不動産会社に迷惑をかけることになるので、
申込みはよく考えた上で行うようにしてください。
 
2.入居審査について
貸主は入居希望者が提出した「入居申込書」をもとに、その人を入居させるかどうかを判断します。これを「入居審査」といいます。入居審査にかかる時間はおおむね一週間程度です。
この入居審査で貸主が入居をOKしないケースもあります。貸主からすれば、自分の大切な資産であるマンションやアパートを他人が使うわけですから、
できるだけ経済的に安定している人や生活上のルールを守る人に貸したいと考えるのは当然のことと言えるでしょう。
入居審査に通るためには、まず入居申込書を正確に漏れなく書くことが大切です。
また、不動産会社に出向いて内見するときから身なりにも気を配り、清潔感がある服装などを心がけるとよいでしょう。
 
3.入居申込み時の「預かり金」について
入居申込書を提出する際に、数千円から家賃の1ヵ月分くらいの金銭を不動産会社に預けるケースがあります。
このお金は「預かり金」「申込証拠金」「申込金」などと呼ばれています。
そのまま無事に賃貸借契約が結ばれたら、預かり金は借主が支払う諸費用に充当される場合が多いです。
申込み後に何らかの理由で契約に至らなかった場合は、基本的に預かり金は全額返還されます。
その際にトラブルにならないように、「預かり証」を必ず発行してもらいましょう。
また、預かり金を納入してもあくまでも申込み段階であることに変わりはありません。
 
4.契約までに用意する書類について
(1)契約までに用意する書類一覧
 
賃貸借契約までに個人で用意する書類は次のとおりです。
 
・身分証明書
・住民票
・印鑑と印鑑証明
・収入証明
・連帯保証人の住民票など
 
保証会社を利用する契約の場合は連帯保証人が不要になるなど、個別で異なる部分はありますが、おおむねこのようなものが必要だと考えておきましょう。
 
(2)契約までに用意する費用一覧
賃貸借契約までに用意する費用項目と、目安になる金額は次のとおりです。地域ごとや物件ごとに異なりますので、あくまでも目安として捉えてください。
●礼金…家賃の0~2ヵ月分
●敷金…家賃の1~2ヵ月分
●仲介手数料…家賃の1ヵ月分以内(別途消費税)
●前家賃…家賃と管理費の1ヵ月分
●火災(損害)保険料…5千円~2万円
 
(3)住民票の用意について
賃貸借契約の際には、入居する人の住民票を提出するのが一般的です。
したがって、賃貸借契約の日取りが決まったら、できるだけ早く入居する人(自分だけでなく入居する家族全員)の住民票を用意しましょう。
住民票は、市区町村役所またはその出張所で交付してもらいます。
 
(4)収入証明書の用意について
賃貸借契約の際には、入居する人の収入証明書の提出も必要になります。
収入証明書とは、会社員の場合は会社から年に一度交付される「源泉徴収票」が該当します。
雇用形態によっては毎月の給与明細書でもよいことがあるので、わからない場合は不動産会社に確認しましょう。
また、自営業の場合は、税務署に確定申告をした際に交付される「確定申告書の写し」や「納税証明書」が必要になります。
銀行印が必要な場合もあるので、これについても確認するといいでしょう。
 
(5)連帯保証人について
連帯保証人とは、万が一借主が家賃を滞納した際に未払いになった家賃債務を弁済する義務を負う人のことです。
連帯保証人になってもらう人には連帯保証書に必要事項を記入してもらうほか、連帯保証人自身の住民票や収入証明書、印鑑証明書が必要になるので、
こちらも早めに依頼をして承諾を得たら必要書類を準備してもらえるようにお願いしておきましょう。
 
(6)重要事項説明(書)について
重要事項説明書とは、物件概要や契約内容を詳しく記載した書類です。
不動産会社は、賃貸借契約を結ぶ前にこの重要事項説明書を入居者に交付し漏れなく説明する法的義務があります(宅地建物取引業法)。
重要事項説明は契約書と重複する内容も含んでいますが、非常に重要な行為だと認識しましょう。
 
重要事項説明は必ず宅地建物取引士の有資格者が行います。その際は資格証の提示も義務付けられています。
重要事項説明を受けて、よくわからないことやもう一度聞きたいことがある場合は、その場で質問してください。
そして、最終的に全て納得してから、契約手続きに入ってください。契約書を取り交わして入居した後で思っていたのと違ったといっても、基本的にはその意向は通りません。
 
(7)賃貸借契約について
重要事項説明が終わったら賃貸借契約を締結します。
賃貸借契約書には重要事項説明書と重複する部分が多々ありますが、その相違がないかも含めて契約書の内容もしっかりと確認する必要があります。
もしも不明点があるなら、すぐに不動産会社に確認しましょう。これらは署名・押印する前に必ず行います。
賃貸借契約書が取り交わされた後では、契約のキャンセルは原則的にできなくなるからです。
例えば、契約を結んだが後日気が変わり、入居前に契約のキャンセルを申し出たとします。
入居前であっても契約は執行されていますから、基本的には礼金・仲介手数料は返還されません。
敷金は戻ってきますが、前納した家賃がどうなるかなどは状況に応じた判断になるでしょう。

住みたい物件を決めたら入居申込みをしよう
「ここに住もう!」と借りたい物件が決まったら、早めに不動産会社にその意思を伝えましょう。
それが「入居申込み」です。入居申込みは、「契約⇒入居」という流れに向けての最初の手続きです。
そのためには、記入に必要な情報を事前にまとめておくといいでしょう。
まずは、入居申込みがどんなものなのか事前に知っておくと安心です。

「入居申込み」とは何か
入居申込みは、自分の情報を明示し「この物件に本気で住みたい」という意思表示です。
氏名や現住所、電話番号、メールアドレス、勤務先など、借りる人の身分証明が主な内容です。
勤続年数や年収など、経済力に関する事項も記載するのが一般的で、それに伴って書類提出を求められることもあるので事前に確認しておくといいでしょう。
 
物件によっては、借主が家賃を滞納したときに代わりに支払う連帯保証人を立てなければならないケースがあります。
その場合は、連帯保証人の氏名や連絡先、勤務先などの詳しい情報の記入が必要になります。
本契約にも関わる重要な事項なので、本人の承諾を得ないまま勝手に名前を借りて書くことはできません。
 
連帯保証人は、書類上だけのものではなく、実際に未払金の弁済責任を負います。そういった内容を理解した上で、誰に頼むかをしっかり考えておきましょう。
連帯保証人をお願いした人にOKをもらったら、「入居申込み時の書類に勤務先情報や年収についての情報が必要」という旨を伝え、教えてもらいましょう。
 
また、入居申込みをして間もなく「やっぱりやめます」と簡単に言うことは、不動産会社や大家さん(貸主)に大きな迷惑がかかります。
しっかり考えた上で、入居申込みをすることを心がけましょう。

「申込金」について
すべての物件に当てはまるわけではありませんが、「申込金」が必要なケースがあります。
これは、契約が成立するまでの予約のような意味合いを持つ金銭授受で、本契約に至らなかったときには全額返還されます。
家賃1カ月以内の額が一般的で、申込金が不要な物件もあります。
申込金としてお金を預けたら、預かり証をもらうようにしましょう。
 
また、契約が整ったときには返還されずに、前家賃や礼金などの初期費用の一部として扱われるのが一般的です。

入居申込み時は交渉事のチャンス、でも節度が必要
入居申込み書類の記入については、事前準備で必要情報をメモしたり、不動産会社スタッフの指示に従ったりしていれば、特に困らずにスムーズに進んでくもの。
でも、実はこの入居申込みは、正式な契約前にいろいろと交渉できるタイミングでもあるので、次のようなことを頭に入れておくといいでしょう。
 
基本的に家賃が発生するのは「契約日の当日から」です。「引越しはまだ先だけど契約だけ先に済ませたい」という事情がある人もいるでしょう。
特に、学生や転勤などで部屋を借りる人は、契約から入居までの時間が空くのは多々あること。
月の途中でも契約日から日割りで計算されるため、「住んでいないのに支払うなんてもったいない」と考える人も多いでしょう。
例えば月末まで残りわずかという場合には、申込みのときにその分について交渉してみるのもいいかもしれません。
大家さんによっては、翌月からの請求にしてくれるなど、事情を酌んでくれるケースもあるようです。
 
また、「立地がよくない」「築年数が古い」など、競争力が弱い物件だと空室期間が長くなることがあります。
そういったケースでは、貸主側は「できれば入居してほしい」と考えているので、こちらからの希望を受けてくれる可能性があります。
例えば、設備の導入や交換、駐車場など付帯設備を借りる際の条件などです。
 
ただし、これらの交渉ができること自体が大家さんの善意ですから、それを忘れないようにしましょう。
もしもOKしてもらったらありがたく受け止め、ダメだった場合でも残念くらいの気持ちでいましょう。
入居申込みが交渉ごとのチャンスだとしても、毎月の家賃の極端な値下げ交渉、入居前のリフォームなど、あまりにも無謀な要求は印象を悪くするので控えましょう。
自分の得になることばかりを要求すると、最終的に「借りてくれなくてもいい」と破談になってしまいます。
 
部屋を借りることは、これから大家さんとの長いお付き合いが始まることを意味します。
快適に暮らすためには、円滑な人間関係が不可欠ですから、「言ったもの勝ち」というような風潮に流されて、
自分の希望ばかりを主張するのはNG行動と考え注意しましょう。

入居審査ってどういうもの?
「この部屋を借りたい」と考えていても、必ず借りられるわけではありません。
入居申込みが終われば次に「入居審査」があります。それに通った人だけが本契約に進むことができ、そのあとにようやく「入居」となります。
では、「入居審査」とはいったいどのようなものなのでしょうか。
入居審査と必要書類について
賃貸物件は大家さん(貸主)にとって大事な資産です。そのため、どんな人にでも簡単に貸すわけではありません。
 
「丁寧に部屋を使ってくれるだろうか」「毎月家賃を払ってくれるだろうか」など、大家さんも不安を抱えています。
入居申込みで記載した情報を元に、「この人に貸しても大丈夫か?」を貸主側の視点で不動産会社がチェックするというのが「入居審査」です。
 
主に、支払い能力と人柄がチェックされます。「家賃を滞納せずに支払ってくれるか」という支払い能力は、職業や勤務先、年収などから判断されます。
 
また、人柄も審査内容の一つです。同じ建物の居住者や近所の人との間で問題が起きれば、苦情は大家さんへ行くことになります。
トラブルが大きくなって、他の住民が引っ越す結果になれば、賃貸経営としては大きな損失です。トラブルメーカーになりそうな借主の入居は、入居審査で回避したいのです。
 
入居申込みのとき、入居審査に必要な書類の説明があります。一般的には身分証明書のコピーや収入の証明となるもの、印鑑証明、連帯保証人の収入を証明する書類などです。
 
入居審査をクリアできなければ住むことができないので、借り手にとってはとても重要な一段階となります。

審査で重視されるポイント
入居審査の基準は、大家さんや不動産会社の総合的な判断です。物件ごとに審査ポイントが違いますが、共通して言えるのは「支払い能力があるかどうか」でしょう。
入居が決まれば、これから毎月のように家賃の支払いが続きます。そのため、まずは安定収入があるかが重要なチェックポイントになります。
基本的には、公務員や正規雇用の会社員など、一般的に安定しているとされる雇用形態が有利です。
 
一方、歩合制の給料、フリーター、フリーランスなど、月々の収入に波がある人は厳しめの審査が行われるでしょう。
とはいえ、公務員や正社員でも入居審査が楽々かと言えばそうでもありません。
収入に対して高い家賃の物件を借りようとすると通りにくくなります。収入の3割を超えるような家賃だと、家計の収支バランスが崩れ滞納のリスクがあると判断されるからです。
 
人柄については、書類上だけでは判断できません。そこで、不動産会社への相談時や内見時、入居申込み時点など、不動産会社スタッフとの直接的なやり取りからチェックされます。
態度が高圧的、言葉使いがよくないなど、マナー的な観点で印象が悪いとまず高評価は得られないでしょう。

入居審査を通過するために気を付けること
審査は総合的な判断なので、通りやすくなるポイントを頭に入れておくといいでしょう。
 
まず、自分の収入は急には変えられないので、収入と家賃のバランスが釣り合っていないような高水準の物件は避けましょう。
 
そして、言葉使いや見た目、態度なども当落に関係するので、好印象になるように気をつけましょう。
ヨレヨレのシャツを着ている、髪の伸ばし具合や不精ひげなどで不潔に見えると、「部屋をきれいに使ってもらえない」と判断される要因になります。
 
また、服装は派手すぎてもよくありません。「金遣いが荒く、家賃を滞納するかも」「独自の趣味があって他の居住者と相いれないかも」などと考えられます。
対応する不動産会社スタッフに第一印象で「トラブルを起こしそう」と判断されないように、清潔感のある服装と穏やかな話し方を心がけましょう。

賃貸借契約時に必要な書類とお金について
住まいの賃貸借契約に際しては、借主もいろいろと準備しなければいけません。
準備不足により契約が遅延してしまえば、その後の段取りに影響してしまいますし、そもそも契約自体が流れてしまうという最悪の事態も起きないとは言えません。
そんなことにならないよう、賃貸借契約時には何を用意すべきか、注意点は何かを確認しておきましょう。

契約前に必要な書類
賃貸借契約時には以下の書類が必要です。
・身分証明書
・住民票
・印鑑と印鑑証明
・収入証明
・連帯保証人の住民票など
 
まず、運転免許証や健康保険証など、身分証明書のコピーが必要です。また、現住所の正式な記載書として住民票が必要になります。
一般的には、「発行日から3カ月以内のもの」との規定が多いですが、この発行からの期限は受け取る側の任意なので、仲介会社にしっかり確認しておきましょう。
 
また、賃貸借契約書への捺印は、実印でなければならないという法的義務はありません。
ただ、物件によっては実印での契約を求められるため、その際は印鑑登録済みの実印と印鑑証明書が必要になります。
さらに、源泉徴収票や納税証明書などの収入証明と、銀行印なども必要になるので、用意しておきましょう。
 
連帯保証人を依頼する場合は、連帯保証人自身の住民票や印鑑証明書なども必要になります。
自分では取得できない書類もあるので、必要なものを確認して、連帯保証人には早めに取得手配等の準備をお願いしておきましょう。

契約時に必要なお金
次に、賃貸借契約時に必要なお金について、支払先別に分類して見ていきましょう。
 
【貸主に支払うお金】
貸主に支払うお金は以下です。
・敷金・礼金
・前払い家賃
 
「敷金」とは、基本的には家賃を滞納したときなどの補填としても使われるための、貸主にとっての保険的な意味合いの費用です。
ですので、家賃滞納などがなければ退去時に返還されます。
ただし、退去時に行う住戸の原状回復に際して、借主の責めに帰すべき損傷などがあった場合は、その改修費用分が差し引かれます。
「礼金」とは、貸主にお礼として慣習的に支払うお金で、後の返還はありません。
 
敷金と礼金はゼロの物件もありますが、一般的には家賃の1~2カ月分ということが多いです。
地域により有無に違いがあり、物件によっても異なるので、物件情報の概要項目欄を確認しましょう。
前払い家賃とは、当月の日割り分に加え、翌月分の家賃を前もって支払うものです。
 
【不動産会社に支払うお金】
物件を仲介してくれた不動産会社に支払う、「仲介手数料」のことです。料金の上限が宅地建物取引業法により定められていて、「家賃の1カ月分以内(消費税別)」です。
 
【保険会社に支払うお金】
万が一のときに備えて、ほとんどの物件では火災保険への加入を義務付けています。金額に幅がありますが、おおむねの費用は5,000円~20,000円です。
 
【保証会社に支払うお金】
物件によっては、家賃滞納時に備えて家賃保証会社の利用を義務付けています。
保証料は通常借主負担で、入居時にかかる「初回保証料」が、家賃の1カ月分以下で設定されることが多いようですが、
保証会社ごとに違うので事前に確認しましょう。初回保証料の後は、一年ごとまたは賃貸借契約更新時に「更新(継続)保証料」がかかります。
 
仮に、敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ家賃の1カ月分で、これに前払い家賃を合わせると、入居時に支払う初期費用としては、家賃の4カ月分のお金が必要ということになります。
それに保険料・保証料、管理費などをプラスした費用が契約時に必要になるので、不足のないように準備しておきましょう。

契約時に気を付けるべき三つのこと
上記の書類とお金について、そのほかに気を付けるべき点は以下の三点です。
・日時や場所の確認
・支払い方法や期日の確認
・領収書の授受
 
まず、当たり前の話ですが、契約の日時や場所はしっかり確認しましょう。書類の中には役所で発行してもらうものがあるので、
契約日から逆算して、いつ書類を取得しに行けるかの段取りを組んでおく必要があります。
 
費用については、現金で支払うのか振込か、支払先はどこか、期日はいつまでか、について確認しておきましょう。
また、支払いを終えたら必ず領収書を受け取り、大切に保管しておきましょう。
特に、現金で支払う場合には、後に支払いを証明できるものは領収書しかありません。

契約前の「重要事項説明」について
「重要事項説明」は、賃貸物件の契約前に必ず受ける必要があります。物件によって内容は異なりますので、その都度きちんと確認しなければいけません。
また、専門的な事項も含まれるので、簡単な内容とはい言えません。重要事項説明とはどのような内容か、どんなことに注意すべきかを分かった上で説明を聞きましょう。

「重要事項説明」とは何か
「重要事項説明」とは、不動産の賃貸借契約をする前に、その不動産に関する重要かつ細かな事項の説明をすることです。
これは、宅地建物取引業法(宅建業法)で定められている不動産会社(宅地建物取引業者)に課せられた義務で、必ず宅地建物取引士(宅建士)の有資格者が説明しなければなりません。
一般的には仲介会社の担当者(有資格者)が説明します。
 
賃貸物件を選ぶときは、賃料や間取りなどに目が行きがちですが、その他にも細かい契約事項や物件ごとの設備・仕様、諸々のルールが存在します。
そのような細かいことは内見時に説明しきれないので、契約前に必ず説明を受けるというわけです。
 
説明を受けた上で不明点があれば、宅建士に質問をして解決します。しかし、どうしても納得がいかないことがあれば、申込みをしていてもキャンセルすることは可能です。
その際、違約金などは発生しませんし、すでに預けている金銭があれば全額返還されます。

重要事項説明書の内容
重要事項説明書には、主に以下の内容が書かれています。順番に説明していきましょう。
 
【物件の基本情報や設備について】
物件の基本情報とは、その物件の所在地に関してや、電気・ガス・上下水道などインフラについての記載です。
また、エアコン・トイレ・キッチンなどの設備についても、「どのような設備が付いているか」「費用負担はどうなっているか」を確認しましょう。
 
【物件の安全性に関すること】
物件の安全性については、以下のような項目を確認します。
・津波災害警戒区域ではないか
・造成宅地防災区域ではないか
・土砂災害警戒区域ではないか
・アスベスト(石綿)の使用状況
・耐震診断の内容
 
物件が上記のような警戒区域等にある場合は、重要事項説明で告知する義務があります。これらは物件を見学しただけでは分からない情報なので、記載内容を必ず確認しましょう。
また、アスベストや耐震性についても、安心・安全に住むための重要な事柄ですから、記載内容に注意して、不明点は確認しましょう。
 
【家賃などの費用金額・支払い条件について】
家賃や共益費の他、敷金、礼金、保証金、仲介手数料などについても、重要事項説明で改めて確認しましょう。敷金の退去時精算方法なども確認します。
途中解約での違約金についての記載がある場合もあるので注意が必要です。
 
【契約に関すること】
契約についての記載を確認します。契約期間、契約解除の要件、解約についての取り決め、更新手続きについてなどです。普通借家契約か定期借家契約かも記載にて確認しましょう。
 
【物件使用に際しての禁止・注意事項】
物件での禁止・注意事項とは、例えば以下のような内容です。
・用途について
・ペットの飼育について
・楽器の演奏について
・喫煙について
 
「居住用」として借りる場合、事務所など事業用・商用としての使用は、禁止を含め制限されることが多いです。
その他、ペット飼育から喫煙ルールまで、物件ごとに記載事項は異なりますから、必ず確認しましょう。
例えば「ペットを飼っている人もいますよ」と内見時に言われたとしても、明確に記載されていなければ、
後々「あれはルールを破って飼っているだけで、本来は不可」と言われる可能性もあります。

重要事項説明での注意点
重要事項説明を受ける際には、以下の点に注意しましょう。
・事前に読んでおく
・受領書は「納得した」という証し
・「特約」は必ず確認
・疑問・不明点を残さない
 
賃貸物件を借りるときは、一般的には、重要事項説明と契約手続きは同日に行います。
つまり、説明を受けたらすぐに契約書の作成を行うことになるので、説明内容をよく理解したり、考えたりする時間があまりありません。
ですから、できるなら事前に重要事項説明書のコピーかデータをもらっておきましょう。
事前に目を通しておけば、前もって不明点をチェックしておき、当日スムーズに質問することができます。
 
また、重要事項説明を受けた後は受領書に署名・捺印しますが、それは「重要事項説明に納得した」という証しになります。
つまり、受領書に署名・捺印して賃貸借契約を結んだ後に、「やはり納得できない」という主張は通用しないということです。
 
「特約」条項が設定されている場合があります。そのほとんどが、全体的な説明項目から外れてあえて記載する必要がある事柄です。
主に契約内容や費用にかかわることが多いので、確認のし忘れがないようにしましょう。
 
重要事項説明では、少なからず不明点も出てくるでしょうし、よくわからない箇所もあると思います。そんなときは遠慮せずに、細かいことでも質問しましょう。
全てに納得した上で賃貸借契約を結ぶことが大切です。



住まいの賃貸借契約で確認しておくべきこと
入居審査を無事通過すれば、いよいよ契約です。新しい生活までの最終ステップに安心していることでしょう。
でも、契約書は普段なかなか見る機会がないもの。小さな文字で書かれている事項が多く、なんとなく流し読みしてしまうことも。
しかし、契約書に署名・捺印するときには、しっかりと確認しておきたい部分はたくさんあります。
契約を結んだ後に「えっ!そうだったの?」と慌てないために、確認ポイントを把握しておきしましょう。

家賃の発生時期を把握しておく
賃貸住宅を借りる場合、家賃が発生するのは基本的には契約日からです。
「自分が入居する日」や「引越しで荷物を運んだ日」から家賃が発生するわけではないので、誤解しないようにしましょう。
 
契約した日が基本的に家賃発生の基準日なので、入居が少し先になる人は「住んでいない期間」について無駄な家賃と感じるかもしれません。
特に、賃貸住宅から賃貸住宅への転居なら、両方の物件に二重に家賃を支払う期間が発生する可能性があります。
ダブルで家賃を払うのは大変なので、新居の入居日と旧居の退去日を調整しながら契約するのがベター。
しかし、現実的には人気物件はすぐに埋まるため、「この物件に住みたい」と理想の物件が見つかったら早めに契約した方がいいとうこともあります。
 
できるだけ無駄な費用がかからないように、いつから家賃が発生するかは、契約前にしっかり確認しておくべきポイントです。
「特約事項」の確認について
契約書には、退去するときに「入居中にできた傷や汚れの原状回復」についての内容が記載されています。
 
家具の設置による跡や黒ずみ、壁紙の変色など、「ごく普通に暮らしていて生じた損耗や劣化」については、貸主に原状回復義務があり、
その費用も負担することになっています(民法621条)。
一方、掃除をサボり過ぎてできた汚れやカビ、物品を落としたりぶつけたりしてできた傷など、
使い方が悪いことが原因のものについては、借主が負担することになっています(同法)。
 
ただ、上記の民法条項は任意規定です。つまり、当事者である貸主・借主双方の合意があれば、この法令以外の規定を独自に定めることができるのです。
それは「特約(事項)」として契約書に記載されます。
 
事例としては、具体的な原状回復の範囲、内容ごとの負担配分などの設定があります。
特約事項を確認しておかなかったために、退去時に原状回復費用の支払いでトラブルが起こることもあるので要注意です。
ただし、法令の規定を超えて一方的に借主が不利になるような特約は、そもそも無効になりますから、
もしもそのような内容が書かれているなら確認するとともに変更もしくは削除を要求するべきでしょう。
 
また、契約書には、「これはしてはダメ」という禁止事項も記載されています。
ペットを飼うのはNG、第三者への又貸しの禁止、勝手なリフォームをしてはいけないなど、物件ごとの禁止事項はきちんと読み、契約違反とならないように注意しましょう。
 
なんとなく流し読みしそうな契約書ですが、特約に関して疑問があれば、後で困らないようにしっかり確認することが大事です。

契約更新について
賃貸借契約は、一度契約したらそれがずっと有効というわけではありません。
一般的に多いのは、契約期間2年という設定。それを過ぎると、「その後も住み続けるか」を判断して、継続して住むならば契約更新手続きをすることになります。
 
更新時には、単に「更新しますよ」という手続きだけではなく、1カ月分程度の更新料を支払うことが多いです。
このほか手数料や火災保険の更新契約費用が必要になってくるケースもあります。
 
更新料の徴収は、地域の慣習的な違いや物件ごとにも違いがあります。物件によっては更新料がかからないものがあります。
更新料がある場合は、更新月に家賃の2倍の支出が発生することになるので、そのための準備が必要です。
契約更新は先のことですが、そのときに慌てないように、契約書の内容は隅々まで確認しておきましょう。

「家賃保証会社」の利用とはどういうものか
賃貸物件を探していると、「家賃保証会社」という言葉を目にします。賃貸借契約時に、この「家賃保証会社」の利用を必須としている物件が多くなっているからです。
実際に契約するときに戸惑わないように、家賃保証会社とその制度の内容を知っておきましょう。

家賃保証会社とは
「家賃保証会社」とは、借主が家賃を滞納したときに、貸主に対し借主に代わり家賃の支払いをする会社です。
 
貸主にとって住居を貸すということは利益を追求するための事業ですから、当然収支が不安定になるようなリスクについては、事前に回避策を講じておくことになります。
家賃を滞納されると、本来得られるはずの収益がなくなってしまうので、賃貸経営においては直接的かつ大きなリスクとなります。
そこで登場したのが家賃保証会社であり、家賃保証制度です。
 
家賃保証会社の利用が一般化する前は、家賃滞納リスクを回避する手だてとして「連帯保証人」制度が主流でした。
これは賃貸借契約をした借主本人が家賃滞納をした場合に、連帯保証人が借主に代わって弁済義務を負うというものです。
しかし、契約当初は支払い能力があると判断された連帯保証人であっても、実際に滞納が起こったときに支払いをしてくれなかったり、
支払い能力がなくなっていたりということも考えられます。
また、核家族世帯が当たり前で、かつ高齢化により高齢者単独での賃借が増加している現状では、連帯保証人のなり手がいないという実情もあり、
必然的に家賃保証会社による保証制度が普及したという背景があります。
 
家賃保証会社に支払う保証料は、基本的には借主が負担します。一般的には契約時に初期費用として支払いが発生するほか、契約更新時などに継続利用料が徴収されます。
 
万が一住まいを借りて家賃を滞納した場合、家賃保証会社を利用する契約ならば、一旦は借主の代わりに家賃保証会社が貸主への家賃支払いを立て替えてくれます。
しかし、もちろんそれで終わりではありません。家賃保証会社は借主に対する債権者となり、
滞納家賃の回収業務を開始します。返済が遅れれば、その分利息(遅延損害金)が追徴されますので、注意が必要です。
 
とはいえ、毎月期日通りに家賃を支払っていれば、何も問題はありません。
また、入居申込後には家賃保証会社による借主の審査があり、そもそも家賃支払いの能力が足りないと思われる人は、借りることができませんから、
普通に考えれば家賃滞納をしたときの懸念はあまり必要ないでしょう。
むしろ家賃保証会社を利用する物件を借りることでのメリットもありますので、事項で見ていきましょう。
家賃保証会社利用物件のメリット
家賃保証会社の利用物件を借りるときの借主側のメリットは、何といっても「連帯保証人が不要」という点です。
例えば、親子関係が良好で、父親が連帯保証人になる意志があっても、すでに定年退職をしている場合は連帯保証人として認められないケースもあります。
 
また、親族がおらず連帯保証人を頼める相手がいない高齢者や、日本に滞在していても頼める相手がいない外国籍の人でも、
家賃保証会社を利用することで賃貸借契約を結べる可能性があります。
 
このように、連帯保証人がいないというケースでも、家賃保証会社の審査に通り貸主も了承すれば、賃貸借契約を結ぶことができるのです。

家賃保証会社利用物件のデメリット
反対に借主にとってのデメリットは以下の点です。
 
【保証料がかかる】
家賃保証会社を利用するには「保証料」がかかります。保証料は、通常の賃貸借契約では借主の負担となります。
保証料の金額は家賃保証会社によって異なりますが、入居時にかかる「初回保証料」がおおむね家賃の1カ月分以下で設定されているようです。
以降一年ごと、または賃貸借契約更新時に「更新(継続)保証料」がかかります。
 
また、家賃を滞納することなくきちんと支払っていても、契約期間満了(退去)時などにすでに支払った保証料は返還されませんので、その点も認識しておきましょう。
 
【家賃保証会社を選べない】
基本的には、家賃保証会社は貸主が指定します。仮に、他に保証料が安い会社を知っていたとしても、そちらに変更することはほぼできません。
万が一、貸主指定の会社で以前に滞納歴がある場合は、審査に落ちる可能性は高いでしょう。
 
【家賃滞納時の回収対応が厳しい】
家賃保証会社は、あくまで滞納分を「立て替える」だけですから、当然借主の債務がなくなるわけではありません。
つまり、立て替えた後は家賃保証会社から支払いを督促されます。保証会社によっては、その回収方法が厳しい場合もあります。
前述のように、滞納期間が長引けばその分の利息(遅延損害金)も追徴されます。

賃貸物件の借主側からの中途解約について
一般的に、解約については、「ある程度前に伝えればいい」という認識の人が多いのではないでしょうか。
しかし、借主側の事情で賃貸借契約の期間途中で解約する場合はどうでしょうか。
契約内容や状況によっては、中途解約には違約金が発生することがあるので注意が必要です。
契約期間と中途解約について
賃貸借契約には必ず契約期間が存在します。契約の更新は「2年ごと」のイメージがあると思いますが、それは契約期間が2年だからです。
つまり、2年の契約期間が満了したので、「改めて契約を更新します」という意味になります。
そのため、契約期間2年の満了を待たずに退去するということは、本来の契約内容から外れた、借主側からの解約申入れということになります。
 
しかし、賃貸物件からの退去は、転勤などの住み替えをせざるを得ない事情もあるので、必ず更新月に合わせて解約ができるわけではありません。
このような事情から、大抵の賃貸借契約には、借主からの中途解約を認める条項が設けられており、
契約満了日前に解約する場合でも、特にペナルティーなどは発生しません。
ただし、予告(申入れ)期間などに決められたルールがあるので、それを守る必要があります。
また、物件によっては「違約金」が発生するので、注意しましょう。

「違約金」について
借主側からの中途解約には、「違約金」が発生する場合があります。主に以下のようなケースが挙げられます。
 
【契約条項や特約に明記している】
前項のように、大半の物件では、契約内容に借主からの中途解約を認める条項があるので、契約期間の途中で退去しても問題はありません。
しかし、同じく契約条項、もしくは特約として「途中解約時には賃借人は残存期間分の家賃に相当する金額を違約金として支払う」のような内容を盛り込んでいる場合があります。
 
これらはすべて、契約前の重要事項説明で宅地建物取引士から説明され、書面にもその記載があります。
中途解約の場合は、事情は考慮されず例外なく違約金が発生するのかなど、疑問・不明点があるのなら必ず確認しましょう。
 
【短期解約の場合】
物件によっては、「新規契約から1年未満での解約については、賃借人は家賃1カ月分に相当する金額を違約金として支払う」のような特約を設けている場合があります。
貸主側からすると、頻繁に退去されると空室リスクが高まる上、鍵交換やクリーニングなどの費用、新たな入居者を募集するための活動費用がかかるので、
短期解約に対してリスクヘッジしているわけです。
こちらも前項と同様、まずは重要事項説明時に確認しましょう。そして、何よりも短期で住み替える事態などにならないよう、
物件選びの段階から「住みたい」と思える住まいを選びましょう。

中途解約で気を付けるべき点
借主から中途解約を申入れるときに気を付けるべき点を以下に挙げます。
 
【自動更新になっていないか】
契約期間の満了と更新の意思確認について、貸主から通知が送られてくる場合と、特に通知がなく自動更新になる場合があります。
後者では、借主が契約期日を覚えていないと、そのまま次の契約期間に更新されます。特に更新料が発生しない場合は、気付くことが難しいかもしれません。
いずれにしても、契約期間については、満了日をきちんと把握しておきましょう。
 
【解約予告期間の確認】
借主からの中途解約を認める物件のほとんどが、ルールとして「解約予告(申入れ)は必ず解約日の1カ月以上前に行うこと」としています。
これは、貸主側からすると、なるべく空室の期間をつくりたくないので、退去日の前から次の入居者募集や準備を進めたいという事情によるものです。
ですから、物件によっては「2カ月前」ということもあります。
 
解約予告と退去日は、住み替え先の入居日を考えて決める必要があります。
いつ引っ越しても大丈夫という場合以外は、家賃の二重支払いなど、無駄な費用がかかってしまうことが考えられますから、
解約予告の期間を確認し効率的な予定を立てましょう。
 
【解約予告は文面に残す】
一般的に解約予告の通知手段は指定されていませんが、電話よりメールの方がいいでしょう。
FAXなどでも構いませんが、とにかく文面で残すことをおすすめします。
なぜなら、解約予告の期間には定めがありますから、そのルールを守っていることの証拠によるということと、
退去日を正しくお互いが認識できるからです。



退去時の原状回復と敷金について
賃貸借契約が終了し借主が借りていた住まいを退去すると、貸主は「原状回復」工事を行います。
簡単に言えば「借主が住む前の状態に戻す」ということですが、
このとき原状回復に対する借主と貸主の責任の範囲、負担割合について、認識に違いが出てくることがあります。
それは「敷金返還」という金銭面でのトラブルに発展する可能性があるので、そうならないように、
契約前から正しく理解しておく必要があります。

民法規定による原状回復の考え方
仮に新築マンションに住み始めたとしたら、当然最初はキズも汚れもなくキレイな状態です。
ところが暮らしているうちに、意識せずついてしまうキズや汚れ、設備の不具合なども次第に出てきます。
これらを「経年劣化」「自然損耗」と言います。
 
賃貸物件に置き換えても同様です。借主が「人の物を借りている」という意識でいくら気を付けて暮らしていても、防ぐことができないものがありますよね。
ですから、このような賃貸物件の「経年劣化」「自然損耗」については、借主に対する原状回復義務の対象とされないことになっています。
 
実際に民法では、原状回復の負担割合に関して、次のように定めています。
 
「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、
賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」(民法621条)
 
要するに、借主がごく一般的に日常を暮らす上で生じたキズや汚れなどは、貸主の負担となることを意味しています。
反対に、一般的ではない使い方をしたことで生じさせたキズや汚れは、借主が原状回復義務を負わなければならないことも意味しています。

敷金の定義
敷金とは、賃貸借契約をしたときに、借主が貸主に支払うお金です(家賃の1~2カ月分が一般的)。
敷金についても、現行民法ではその取扱いについて、明確に定義されています。
 
1.賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、
賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、
その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
 
2.賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、
敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、
敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
(民法622条の2)
 
つまり、敷金は、借主による家賃滞納などの債務不履行があったときに、貸主がその弁済に充当できるものであり、
借主が退去するときには、貸主は債務不履行分を差し引いた残額を返還しなければならない、
ということを示しています。

退去時のトラブル防止には契約時の内容確認が必須
原状回復義務・敷金について、このように民法で明確に定義される以前は、前例などを基に、
敷金は退去時の原状回復費用に充てられていたという状況があり、それ故敷金返還をめぐる貸主・借主間でのトラブルが散見されていました。
 
ただ、法令により明確に規定されたとは言え、原状回復義務や敷金の実運用での取り扱いが、完全に統一化されることにはならないと考えられます。
なぜなら、これらは「任意規定」であり、当事者双方の合意があれば、賃貸借契約での「特約」の設定が可能だからです。
 
では、退去時の原状回復義務や敷金でのトラブルにはどのようなものがあるのか、実際の事例を確認しましょう。
 
・賃貸物件を退去するとき、ワンルームなのに高額な原状回復費用を請求された
・ペット可の賃貸物件であったが、高額な原状回復費用を請求された
・退去後、数カ月たっても敷金が返還されず、連絡しても返還してこない
・退去時、タバコを吸っていたことを理由に借主負担で壁クロスの全面貼り替えを要求された
・テレビや冷蔵庫の背面壁の電気焼けによる黒ずみについてクロス貼り替え費用を請求された
・敷金から畳交換とハウスクリーニング代を差し引かれた
 
これらは、すべて借主側から見た原状回復の負担・敷金返還についての不満から、トラブルにつながったものです。
このようなトラブルを防ぐためには、まず賃貸借契約のときにその内容を確認しておくことが大事です。
そして退去するときに、契約書にその内容が書かれていない事柄については、履行する必要がないということになります。逆に、例えば、「住戸内での喫煙は禁止。
これに反した場合は退去時に壁・天井クロスの全面張替え費用を請求する」ということが明記されていたならば、それに則ることになります。
これを契約の時点で確認して、納得できなければ、内容の変更などを求めればいいのです(その結果、契約が白紙になる可能性もありますが)。
さらに言えば、どういう対応になるのか心配な事柄があるのなら、確認した上で契約書への記載を依頼してもいいでしょう。
言い出しにくいから、あるいは時間がなかったからそのままにしたとなると、退去時に「聞いてない」「そういう意味とは思わなかった」などのトラブルが起きることになります。
 
特約で原状回復義務について明記されているときには、退去時の負担範囲について、納得できるまで確認をしましょう。
どの程度の使い方が借主の負担となるのか、負担にならない範囲とはどこまでなのかをしっかり理解し、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように十分注意しましょう。
そのためには、考え方のもとになる民法の規定を正しく理解し、借主が不利になるような特約だと感じたら必ず確認して、納得・合意の上で契約を結ぶことが大切です。
 
しかし一方で、法律を盾に、自分の使い方や不注意が原因で発生させた損耗についても、原状回復義務を負わないような借主側の姿勢があるとしたら、それは許されるものではありませんので、
暮らし方とともに気をつけましょう。

引越し会社の選び方
引越し会社は数多くありますが、自分の引越し内容に合った会社をうまく選んで、スムーズに住み替え、新生活を始めたいものです。
そのために、引越し会社を選ぶためのいくつかのポイントを押さえておきましょう。

引越し会社の違いを知ろう
「荷物を運ぶ」というサービスそのものは同じであっても、実は引越し会社にはそれぞれ違いがあります。
まず大きな違いとして、大手と地域密着型があります。当然それぞれに特徴があり、メリットも異なります。
大手は営業拠点を広範囲に有しているので、多くの地域で同じサービスを受けることができます。
また組織的に分業化が確立されているので、電話やメールでの一次的な見積もり、訪問見積もり、引越し作業といった各工程の対応がしっかりしています。
ですから、質問の回答や見積り書の提示に時間がかかり過ぎたり、担当者不在で話が進まなかったりということはほぼありません。
また、オプションサービスのメニューの豊富さや保証内容の手厚さも大手のメリットと言えます。全国展開している企業が多いので、
長距離、遠隔地への引越しにも実績があり、安心して任せられるでしょう。
 
一方、地域密着型の会社は、画一化されたサービスメニューの種類は少ないかもしれませんが、顧客ごとの細かな要望に対応してくれる可能性があります。
料金面での相談にもサービス内容の調整で対応してくれる、突発的な事態にも融通が利きやすいということもあるかもしれません。

また自社の商圏では土地勘があるので、トラックが通行できる最短な運送ルートや車両の停車場所なども把握していて安心です。
 
次に、業態別でも違いがあります。具体的に言うと、「引越し専業」と「運送業との兼業」です。引越しを専業とする会社は、
引越しをするための設備・資材・車両・スタッフを備えており、そのサービスだけを提供します。
兼業会社は、運送サービスの一業務として引越しを請け負います。
 
専業会社は、段ボールの種類や他の梱包材などが充実しており、オプションサービスも豊富なので、
楽器類や精密機器類などの運搬に気を遣う特殊なものを荷物に含む場合に向いています。
 
兼業会社は、ごく一般的な家具や布団、衣類、生活用品などが主な荷物で、分量もさほど多くない場合には料金面でのメリットが出るかもしれません。

複数社に見積もりを取るメリットと依頼時のポイント
引越しは、荷物の量や種類、移動距離などの条件がそれぞれの場合で異なるので、当然料金も案件ごとに違ってきます。
ですから、引越しを発注する際には必ず費用の見積もりを出してもらう必要があります。
引越し会社により特徴やサービス内容はさまざまなので、見積もりは複数の会社に依頼しましょう。
そうすることで、詳細なサービス項目と料金の比較ができるので、引越しの内容に合っているのがどの会社か、
また内容を変えることでさらに安くなりそうなのはどの会社か、
オプションを付けても割安感があるのはどこかなどがわかります。そのためには正確な見積もりで正しく比較しなければ意味がありません。
 
【情報を正確に伝える】
見積もり依頼時に気をつけるポイントを覚えておきましょう。見積もりを依頼する方法はいくつかありますが、
インターネットによる一括見積もりでも、個々の会社にメール・電話で頼む場合でも、
依頼内容はできる限り細かく正確に伝えることが大事です。引越し会社からすれば、依頼主からの情報がすべてなので、
これが曖昧だったり足りなかったりすれば、金額に幅があるとか仮の金額とか、
実金額とは遠いものしか出てきません。
 
まず荷物の「量」「種類」をできる限り正確に伝えます。大きな家具は何がいくつあるか、
パソコン類やオーディオ類など運搬に注意が必要なものとその数、段ボールの数と中身は何なのか。
書籍なのか衣類なのか食器なのかによって重さや運び方も違うので、会社ごとに知りたい情報を確認しながら漏れなく伝えましょう。
 
仮に段ボール数個が増えても、実際にはさほど影響が出るものではありません。
しかし、トラックの大きさが変わるほど荷物量が増減してしまうと、料金はまるっきり違ってしまいます。
スタッフの人数も一人の違いで料金は大幅に変わります。
また、グランドピアノやダブルサイズ以上のベッドなど、搬入に特別な手段が必要と思われるものがあるなら必ず伝えます。
 
この他、出発地と引越し先の住所、それぞれの場所の前面道路の状況、階段の有無、集合住宅の場合はエレベーターが使えるかなども料金に関わってくるので、必要な情報です。
 
【いろいろな会社に依頼する】
すでに説明したように、引越し会社ごとに特徴や得意とするサービス内容が異なりますから、
大手・地域密着の中小企業、引越し専業・兼業など、いろいろな会社に見積りを依頼するといいでしょう。
その上で比較すれば、自分に合った引越し会社を選びやすいですし、大手なのに思ったより安いとか、
地域密着で頼みたいオプションサービスがあったなどという意外な結果が得られるかもしれません。

見積もり以外の選定要素
引越し会社を選ぶ際には、見積もり以外にもいくつか必要な要素があります。まず「対応」の様子です。例えば、見積もり依頼したときに丁寧で迅速な対応だったか、
こちらがわからないことや不足情報を聞き出してくれたかなど、対応の姿勢はその後の仕事ぶりにもつながるので、選定の参考になります。
 
また、引越し費用は時期によって異なります。例えば、閑散期である1月と、繁忙期である3月下旬の料金を比べると、かなりの金額差が出ることがあります。
そのため、仮に3月下旬の予定を前後2週間ずらすことが可能ならば、料金を下げることと、日時の希望が通りやすくなることが大いにあります。
それらの差は、会社ごとに違いが出ます。閑散期にはキャンペーンを行って集客増加を図る会社もありますから、引越しの希望時期によっては見積もりを頼む前に、
あたりをつけた会社のWEBサイトなどで情報収集することをおすすめします。


引越し準備と当日の流れ
新旧居の入退去の予定が見えたら、いよいよ引越しの手配・準備を始めます。
引越しは、多くの作業があり時間がかかりますが、スムーズな引越しに向けて、しっかりとした事前準備で臨みましょう。

引越しをスムーズに行うために必要な準備
引越しをスムーズに行うためには、さまざまな準備が必要になります。
あまり引越しの経験がない人は、いろいろと心配になるかもしれません。
やり忘れがあって急遽の対応に奔走することにならないか、準備不足で新居への搬入が混乱してしまわないか、
とりあえず荷物は運んだもののその後の段取り不足で途方に暮れたりしないか、など……。
そんなことにならないように、必要な準備をもれなく行いましょう。やるべきことはたくさんあるので大変に思えますが、
一つひとつ順序立てて確実にこなしていけば、最終的には効率的でスムーズな引越しが行えます。
 
1.引越し会社の選定
引越しの日程がおおむね見えたら、引越し会社に引越しの依頼をします。引越し希望日、荷物の内容、旧居・新居の住所など必要な情報を伝え見積もりを出してもらいます。
このとき必ず複数の会社に見積もりをお願いして、できるだけ同じ条件でサービス内容・価格などが比較検討できるようにしましょう。
3月下旬など込み合う時期には指定日時に予約が取れないことがあるので、できるだけ早めに連絡しましょう。
 
2.荷物の選定
おおまかな荷物の種類と数量は、引越し会社に見積もりを頼む段階で把握しているはずですが、実際の引越し準備としては、細かな荷物の選定を行います。
衣類・食器類・書籍類・生活雑貨などについて、持っていく物、捨てる物(人にあげる物)を選定します。
 
さらに引越し会社に頼まずに自分で運ぶ物があるならば、それもより分けます。選定の結果、荷物量が見積もり時と大きく変わるのなら、必ず引越し会社に連絡しましょう。
引越し会社の車両やスタッフの手配が違ってくると、当日現場が混乱してその時点で作業がつまずいてしまいますし、料金が変わる可能性もあります。
 
3.ゴミの廃棄手配など
荷物の選定が終わり、捨てる物が選別されたらそれらの廃棄手配をします。通常のゴミ収集で捨てられる物は、居住地の分別ルールに従って捨てればいいのですが、
引越し日までに収集日が何日あるのかを確認して、できるだけ早めに捨てるようにしましょう。もしも収集日が過ぎてしまったら、ゴミも一旦新居に運ばなければならなくなります。
 
同様に、通常収集で廃棄できない大きな物や特殊な物は別途有料の廃棄手配をします。
例えば粗大ゴミは規定の費用を支払って自治体に回収処分の申し込みをしますが、
回収日は申込者が自由に決められませんので、こちらも早めの申込みを心がけた方がいいでしょう。
人にあげる物も引越し前に渡す段取りを組んで、引越し荷物を減らすようにしましょう。
 
4.転出・転居届
居住地を移転するときには、役所への届出が必要になります。
移転が市区町村を跨ぐ場合には、現居住地を管轄する役所で「転出届」を提出して「転出証明書」を発行してもらわなければなりません。
「転出証明書」がないと新居住地での「転入届」を受け付けてもらえないからです。
引越しをしてからでは、元の居住地の役所にわざわざ行かなければならなくなるので、事前に済ませておきましょう。
 
同じ市区町村内での移転の場合は、その管轄役所に「転居届」を出せば済むので、決められた期間内に一度手続きに行けばOKです。
 
5.水道・光熱・通信などの解約手続き
旧居で使用していた電気・ガス・水道といったライフラインの解約・停止手続きを行います。
それぞれ連絡方法や停止までの必要日数などが違いますから、サービスごとに供給会社に確認しましょう。
このほか固定電話の移転、インターネットのプロバイダ解約(変更)、郵便物の転送、新聞購読の解約、
NHK受信料支払などについても必要に応じて連絡・手続きが必要になります。
同じように、新居での使用手続きもすべて必要なので忘れずに。
 
6.新居のレイアウト確定
引越しで運ぶ家具、電化製品、装飾品などを新居のどの部屋のどの位置に置くか、事前に決めておきます。
この作業により、搬入する荷物が収まりそうかがわかりますし、荷物として忘れていた物や買い足さなければならない物を思い出すことがあります。
 
7.荷造り
運ぶ物の荷造りをします。荷物がまとまったら、「6」で決めたレイアウトに従って新居の間取り図を使った荷物の配置図を簡単に作ります。
具体的には、間取り図の中の荷物の配置場所に番号(記号)を記入していき、一方で実際の荷物に同じ番号(記号)を記していきます。
こうすることで、誰でもその荷物の新居での置き場所がわかるようになります。
これを当日引越し会社の人に渡せば、いちいち依頼主に置き場を確認しなくても運ぶ手順を自分たちで確認しながらスムーズに運び入れてくれます。引越し会社の人も助かりますし、
依頼主である自分もそれを見ながら間違いなく運ばれているかを確認すればいいだけなので、お互い楽になります。
 
また、エアコンや冷蔵庫、洗濯機といった、取り外しに技術や知識が必要な物、運び出す前に何らかの処置・準備が必要な物については、専門業者に依頼しておくか、
引越し会社が当日対応してくれるのかを確認しておきましょう。
 
8.新居の清掃
引越し当日を迎える前に、新居に出向いてひと通りの清掃をしておきましょう。事前に鍵の引き渡しを受けているはずですから、新居に入ることはできます。
ハウスクリーニングや壁紙の張り替えなど、入居者を迎えるための準備は整ってはいますが、細かなほこりなどまでは行き届いていないかもしれないので、
荷物を運び込む前に配置などの確認がてら清掃することをおすすめします。
 
9.搬入環境の確認
引越し当日を想定して、作業に支障がない環境かどうかを確認します。前面道路はトラックが入れる道幅があるか、または駐車しておけるスペースがあるか、
住居までの間に階段や段差など運搬しにくいとか余計な労力がかかるような箇所がないか、
2階以上の集合住宅の場合搬入に使えるエレベーターがあるか、玄関は全て荷物が入る幅・高さがあるか、
といったことを確認します。もしも心配な箇所があったら、引越し会社に連絡します。場合によっては追加料金がかかることにもなりますが、伝えていないと、
当日その状況に対応する準備がないために作業を断られてしまったり、必要な設備を急遽取り寄せるなどでの大幅な作業遅延が起きたりする可能性があります。
その分は当然料金が追加されますから、気を付けましょう。
この確認は、新居の清掃に行く日に合わせて行うといいでしょう。
 
10.引越し料金の精算について
引越し会社によって、作業料金の精算をいつするのか、支払い方法はどのような形かが異なることがあります。
作業の前に払うのか、全て完了してからの清算なのか、現金かクレジットカードの利用がOKかなどです。
それによって、事前に金融機関で現金を引き出して準備しておく必要が出てきます。

旧居を退去するときの注意点
ここからは、引越し当日に気を付けるべきことを記していきます。まず、旧居を立ち退くときの注意点です。
 
【荷物の数と傷のチェック】
引越し作業中に、荷物の行方が分からなくなったり、家具などに傷がついたりというトラブルが起きることがあります。
そのようなことが起こらないように、また起きてしまったときにすぐに対処できるように、
事前に荷物の数と家具などの傷の有無を把握しておくことが必要です。
荷物の数については、荷造りの時点で作成する新居での荷物の「配置図」が役立ちます。
加えて段ボール箱梱包の荷物については、中に何を入れたかまで詳細に記録しておくと小物の紛失も防げます。
 
【搬出後の清掃】
今まで住んでいた家を退去するときには、それまでの感謝の気持ちや思い出を振り返りながら、室内をきれいにしていきたいものです。
そのため、荷物の搬出が終わったら掃除ができるように、最低限の清掃道具は残しておきましょう。
例えば、清掃道具だけ浴室に保管しておき、「浴室内は搬出しないでください」と引越し会社に伝えておくなどするといいでしょう。
 
【退去時の立会いについて】
「退去時の立会い」とは、借主・貸主(管理会社)が借主の退去時に、住居の状態を確認するために集まることを言います。
具体的には、借主の入居中に発生した室内の傷や汚れについて
、通常の使用範囲での損耗、経年による劣化なのか、暮らし方や使用の仕方が悪いために発生したものなのかを見極めていきます。
その結果、原状回復義務を借主・貸主のどちらが負うべきかを判断します。
その内容に基づいて、入居時に支払った「敷金」が精算され、借主の原状回復負担分を差し引いた金額が返還されます。
 
退去時の立会いは引越し当日に行います。
ですから、事前に引越し会社におおよその搬出終了時間を確認して貸主(管理会社)に伝え、立会いに集まる時間を設定します。
貸主(管理会社)にも都合があるので、できるだけ早い段階で引越し日時を伝えるようにしましょう。
どうしてもその日に立会いができないとなれば、後日となってしまいます。それはできるだけ避けましょう。
 
確認・精算内容に承諾したという書面に署名捺印が必要なので、ペンと印鑑は手荷物に持っておきましょう。
退去時の立会いが終わると、すぐに新居に移動しなければなりません。
マイカーなど、自分で移動手段を持っている場合は問題ありませんが、バスや電車を乗り継ぐと搬入作業が完了する前に到着できないことも考えられますから、
タクシーの利用なども必要かもしれません。
家族での引越しの場合は、旧居・新居で二手に分かれて対応すれば問題ありませんが、単身の場合は一人で両方に対応することは難しいので、
誰か手伝ってもらえる人を頼んでおくことが必要でしょう。

新居への荷物搬入時の注意点
続いて新居に荷物を搬入するときの注意点です。
 
【準備での協力と的確な指示】
引越し作業は、基本的には引越し会社のスタッフがやってくれるものですが、無駄なく効率的に進めるためには、依頼主もできるだけ協力しましょう。
そうすることで、予定よりも早い時間に搬入が終わり、その後の荷解き作業を早く始められたり、ひと息つけたりという余裕が生まれる可能性が高くなります。
 
具体的には、まず不明な部分はなるべくつくらないことです。すでに説明したように、最終的な運ぶ荷物の量・種類を正確に伝えておく、搬入先の環境を伝えておく、
荷物の配置場所が誰でもわかるように配置図と番号での照合ができるように準備しておく、ということを準備段階でやっておきます。
 
ここまでできていれば、当日はその他細かな確認事項を聞かれたらすぐに答えればいいだけです。
事前準備でやるべきことが頭に入っていれば、たとえ伝え漏れがあったとしても、的確な指示を即答できると思います。
あとは、いつでも対応できるように現場から離れないようにしましょう。
 
【搬入の状況で荷解きタイミングを考える】
基本的には、荷物の搬入が終わるまで荷解きしないようにしましょう。一番の理由は、搬入している横で段ボール箱の開封作業などをしてしまうと邪魔になるからです。
ただし、部屋ごとに搬入が進むならば、運び終わった部屋からは荷解きを始めてもあまり問題はありません。
 
しかし、そのときには荷解きをする順番は考えましょう。例えば配線と接続が必要な電化製品から整えて起動確認する、壊れ物が入った段ボール箱を開封してまず中身の無事を確認する、
棚やタンスが設置された箇所から中にしまうべきものを順番に開けていく、トイレ・浴室・キッチン回りなどすぐに使いたい場所の物から開けていくなどです。
無計画に段ボールを開けていくと散らかるばかりで収拾がつかなくなるので注意しましょう。
 
【すぐに使う物は分かりやすく】
すぐに使う物、例えば最低限の食器や台所用品、浴室、トイレ、洗面用品などは分かりやすくしておきましょう。
できるだけ一つの段ボール箱にまとめておくとよいです。
 
他にその日に必要な物として、カーテン、照明器具などがあります。また翌日仕事があるならば、仕事用の衣服を準備しておく必要があります。
 
時間が遅くなると疲れてしまうことがありますから、とりあえず使う物がすぐに出せるようになっていると助かります。
他の荷物は後日ゆっくり荷解きをすればいいという、心のゆとりも生まれます。

引越し前に新居の掃除と原状確認をしよう
賃貸借契約が済んで鍵を受け取ったら、引っ越して住み始める前に新居の掃除と原状確認をしておきましょう。
入居前に部屋の掃除をしよう
引越しをする前に、何も搬入していない引き渡された状態で、新居の掃除をしておきます。
事前にハウスクリーニングが入っているとはいえ、これから暮らす場所ですから、自分の手でひと通りきれいにしておくことで、より気持ちよく住み始められます。
 
【まずは清掃状態を再確認】
鍵を受け取ったら、入居先の清掃状態を確かめます。内見で確認したときは、清掃状態がよいと思っていても、日数が経過すれば自然とホコリがたまります。
改めて見てみると、再度掃除が必要な部分が見付かるので、細かいところもしっかりとチェックしましょう。
 
【収納や各設備もチェック】
居室の床など大きなスペースだけではなく、押入や下駄箱など収納の中の状態もチェックしましょう。
特に天袋や高い棚の上などは、一度物をしまうとなかなか掃除をする機会がなくなるので、最初にきれいにしておきたいですね。
 
キッチンやバスルーム、トイレなど、各設備の状態も確認します。キッチンは収納部分の扉を開けて、カラかどうかをチェックします。
バスルーム・トイレは気持ちよく使いたい場所ですから、より念入りにきれいにしておきましょう。
 
【換気を忘れずに】
掃除中は、部屋の窓はすべて開けて換気をしましょう。空室となっていた期間、窓は閉め切られていたはず。こもったにおいを出して、空気の入れ替えをしておきましょう。

入居前の状態を確認する
掃除をしながら、住戸の状態を念入りに確認しておきましょう。なぜなら、最初から傷や破損箇所があった場合、
退去後の原状回復にも影響があるためです。後々のトラブルを防ぐためにも、しっかりと確認しましょう。
 
【傷・破損部分・汚れをチェック】
ハウスクリーニングや修繕がされているとはいえ、新築の物件でない限り多少の傷などはあるものです。
しかし、それが入居前のものであるか、入居後のものであるかを確定しておくことは大事です。
 
【原状を貸主側と共有しておく】
退去時の敷金の返還でのトラブルは意外と多いです。それは、入居前・後のどちらによるものかがはっきりしないことが原因の一つになります。
ですから、入居前の確認時点で、安易に「このくらいなら報告しなくても・・・・・・」と放置するのは避けましょう。
目立つ傷や最初から破損している箇所は、写真を撮るなどして、原状を不動産(管理)会社・貸主と共有しておくと安心です。

設備は実際に動かしてチェック
キッチンなどの住宅設備が問題なく使える状態にあるかどうかは、引越し前に確認しておきましょう。
ひと通り操作してみて、正常に動くかを確認します。
もしも不具合があった場合には、入居までに対応してもらえるかを確認しましょう。
また、操作方法がよくわからない場合も必ず不動産会社に確認して、正しい使い方を覚えましょう。
 
【給湯器、トイレなど】
内見のときには、住宅設備の確認ができないことがあります。引っ越してすぐに使える状態にあるかどうか、しっかりと確認します。
 
特に気を付けておきたいのが給湯器とトイレです。給湯器はお湯が問題なく出るか、水温の調節は正しくできるか確認しておきましょう。
また、トイレは水がきちんと流れるか、水圧は正常であるかを確かめます。
極端に水圧が弱かったり、流した後の水が止まりにくかったりした場合、入居後すぐに不便になってしまいます。
 
【照明器具】
意外と盲点なのが、照明のチェックです。内見を明るい日中にしか行っていないなら、実際に照明を点灯したことがないかもしれません。
引越しの当日に電球が切れていた、照明器具かない部屋があったなど慌てることがないように、全ての部屋の照明が点灯できるか確認してみましょう。
もしも、電球が切れているところがあれば、不動産会社に連絡して対応を確認しましょう。
リビングや居室は照明器具がついていないことが多いので、その場合は自分で用意する必要があります。
 
このように、引越し前に住戸の掃除や設備機器の確認などをしっかり行っておくと、入居後に慌てることもありません。
また、原状確認は、退去時にもかかわることですので、丁寧にチェックしておきましょう。

効率的に引越し当日をこなすための注意点
引越しの経験がない人は、実際の引越し当日にうまくやれるか心配になったり、手順に戸惑ったりするものです。
それでも、できるだけ無駄なく効率的に引越しをこなしたいという想いはおありかと思います。
そういうときのために、引越し当日に気を付ける点などをお伝えします。スムーズな住み替えの参考にしてください。

事前準備と旧居での作業時の注意点
旧居からの荷物の搬出、新居への荷物の搬入は、引越し会社に依頼している場合、すべてそのスタッフが運んでくれますが、置き場所や向きなどいろいろと指示するのは自分です。
引越し会社の人は、スピーディーに目まぐるしく動く中で、都度確認を求めてきますから、それに的確に答えなければなりません。
同時に清掃などをしながらだと考えると、座る時間もないほど慌ただしい一日になります。
 
【体調は万全に】
てきぱきと動き的確に指示をするためには、体調を整えておくことが重要。精力的に動けるように、前日は早く寝て、当日は早く起きるようにしましょう。
当日は長い時間立ったり動いたりと、体力が必要です。
「お腹がすいて動けない」なんてことにならないように、朝ごはんはしっかり食べてエネルギーを補充しておきましょう。
 
【軽装で動きやすく】
当日は、荷物が運び出された後の旧宅の清掃は自分でやります。時間のロスにならないように、空いた所から順次行うといいでしょう。
それにはやはり動きやすい軽装がおすすめです。
女性ならスカートよりもパンツスタイルが良さそうですね。何度も玄関から出たり入ったりもするので、靴も脱着しやすいものを選びましょう。
 
また、時期にもよりますが、動き回ると汗が出ます。特に夏の暑い時期には、流れるような汗が出ます。
ハンドタオルを洋服のポケットに入れておくか、フェイスタオルを首にかけておくと便利です。
 
ほこり対策にマスクの用意も必須です。汚れた部分を触ることもあるので、作業手袋も忘れないようにしましょう。
雑巾、洗剤、ゴミ袋といった掃除用具ももちろん必要です。
 
【物品の損傷に注意】
引越し会社の作業では、荷物の搬出時に物品や住居に傷がつかないように必要な箇所に養生をしてくれます。
でも、運び出される荷物に傷がつく可能性もゼロではありません。
引越し費用の中に、物品が傷ついた場合の補償サービスが含まれているかの確認を事前にしておきましょう。
 
また、搬出時に住居に傷がつくと、退去後の原状回復義務(敷金精算)とも関わってきます。
引越しのプロの作業なので安心しがちなところもありますが、最後までその認識を忘れずに動きましょう。

効率的な搬入作業のために
一人暮らしか、ファミリー世帯かによって荷物の量が違います。当然ですが、一人暮らしは荷物量が少ないので作業時間も短め。
そのため、引越しする時間帯は比較的引越し会社のスケジュールが組みやすい午後でもいいいかもしれません。
 
ただ荷物が多いファミリー世帯は、午後から始めると明るいうちに作業が終わらないかもしれません。
夜間まで続くと近所の人に迷惑がかかりますし、見えにくい分ぶつけてしまうなどの事故のリスクもあります。
引越し会社は、荷物量と移動距離を考えて最適な時間帯を提示してくれるはずですが、依頼する側も事前準備を含めて、効率的に終わるように協力することが必要です。
 
そのためには、引越し会社のスタッフに荷物の量・内容を正確に事前に伝えておくことが必要です。
現場で見積もりの内容と違うとなると、混乱を招き作業が止まってしまいます。
また、トラックの駐車場所や運搬路の広さなど、問題がありそうな場合は事前に連絡しておかないと、搬入できないなどの事態にもなりかねません。
ですから、気になることは事前に引越し会社に情報を伝えることが大事です。
 
搬入作業をできるだけ早く、効率的に進めるための方法として、荷物の置き場の情報を共有しておくということが挙げられます。
新居の間取り図に置くべき荷物の位置を書き入れて、実際の荷物と番号や記号でつなげておくといいでしょう。
スタッフの人数分コピーするか、見やすいところに張り出しておけば、いちいち依頼主に確認することなく搬入を進めることができます

搬入と設置が終わったら、引越し会社の作業は完了です。この時点で、最後の確認をします。
まず運び残しがないか、指示通りの場所に置かれているか、そして荷物と住居に損傷などはないかです。
この確認を早く正しく行うために、荷物の個数・配置が一目でわかる指示書を作っておくこと、
搬入前の室内の状況を引越し会社スタッフとともに確認しておくことをおすすめします。

搬入後の片付けなど
荷物を運び終わって引越し会社のスタッフが帰ると、一旦ひと段落。ちょっとホッとしますよね。
でも目の前に積み重ねられた段ボール箱の山を見ると、まだまだ引越しが終わっていないことを実感しそうです。
新生活のスタートのために、荷解きや片付け作業をもうひとがんばりしましょう。
 
とはいえ、当日にすべてを完了させなくても大丈夫です。ある程度作業が進んだら、すぐに使うものをそろえて一旦終わりにしてもOK。
まずすぐに使うのは、食事、入浴、トイレ、寝るに関わるものでしょう。それに、翌日出掛けるときに着る服、バッグ、靴などの用意も忘れずに。
ただそのときに「どの段ボールに入っていた?」と分からなくなることも多いもの。
そこで、旧居で荷造りをするときには、引越し後にすぐに使いたいものは同じ梱包にして、わかりやすく明記しておきましょう。
 
また、長時間の引越し作業で心身ともにかなり疲れるはず。食事の準備や後片付けで、あまり動きたくないかもしれません。
できるだけ片付け物を増やさないように、紙皿や紙コップなどを準備しておき、
近所のスーパーやコンビニで惣菜を買って済ませるのも手間がかからなくて良さそうです。

引越し時のチェックポイント
引越しは単に荷物を運ぶだけではありません。さまざまな手続きや手配を行って、はじめて新居での生活がスタートします。 
ここでは引越し時のチェックポイントを紹介します。

引越し前に準備しておくこと
1.荷づくりに必要な資材をそろえておく
荷造り用のダンボール箱は、引越し会社支給の定型のもの以外は運搬を断られることがあるので事前に確認しておきましょう。
また、ガムテープの用意や割れやすい物を包む古新聞を集めておくことも必要です。
 
2.新居のレイアウトプランを考えておく
入居後に再び家具や電化製品を移動しなくてもいいように、新居のレイアウトプランは引越し前にきちんと考えておきましょう。
 
3.電話の移転や引込み工事の予約をしておく
固定電話を引いている場合は、NTTの116番へ転居する旨を連絡しておきましょう。
また、新居に回線を新設する場合は、引込み工事に本人の立ち合いが必要となるため、引込み工事日の予約をしておきましょう。
 
4.ガス開栓の予約をしておく
新居の最寄りのガス会社営業所にガスの開栓の予約をしておきましょう。
ガスの開栓には、本人の立ち会いが必要なので、早めに日程を決めて予約をしておくとよいでしょう。
 
5.友人・知人へ転居ハガキを送る
引越しをすることが決まったら、お世話になっている人や友人に、引っ越すことや新住所などを記した転居あいさつのハガキを送りましょう。
 
6.荷造りの準備
荷造りをしたダンボール箱の外側に内容を書いておくことが大切です。
荷造りを引越し会社に依頼している場合には、自分で管理しておきたい最低限の荷物(貴重品など)は、
一つにまとめておくと荷解きのときにすぐわかって便利です。
 
7.住民票の転出届の手続きをしておく
旧住所の市区町村役場で転出届の手続きを行いましょう。これは、引越し先の新住所を登録するときに必要となるため、必ず交付してもらいましょう(印鑑持参)。
 
8.郵便局への転送届を提出しておく
郵便局の窓口にある転送届に必要事項を記入しポストに投函しておくと、1年間旧住所に送られてきた郵便物が新住所へ転送されます。
 
9.冷蔵庫・洗濯機の水抜きをしておく
引越し当日すぐに運搬ができるように、冷蔵庫、洗濯機水抜きをしておきましょう。
 
10.現住居の掃除をしっかりとしておく
これまで住んでお世話になった現在の住居の掃除はしっかり、きちんとしておきましょう。退去時に管理会社(または貸主)立会いのもと住戸内の確認を行いますが、
そのときに室内がきれいな方が見る側の心証が違いますし、何より気持ちよく退去できます。
 
11.新居の掃除もしておく
新居に荷物を運び込む前に、室内全体を拭き掃除しておきましょう。また、押入れなどの収納部分には、事前に防カビ対策をしておくとよいでしょう。
物を置いてしまったあとではなかなか掃除はできないのものです。

引越し当日に行うこと
1.荷下ろしにはきちんと立ち会う
引越し会社の車やレンタカーは、大家さんや管理会社の指示に従って、ご近所に迷惑をかけないような場所に止めましょう。事前に駐車場のチェックをしておくことも必要です。
また、搬出した荷物の数や傷みの確認もしておくようにしましょう。
 
2.引越し料金の精算
荷下ろしが終わった時点で支払いを行うので、現金を用意しておきましょう。領収証も忘れずにもらっておきましょう。
 
3.各設備の点検をする
ドアや扉の開閉はスムーズか、エアコンはきちんと作動するか、水回りでは水漏れがないかなどをきちんと点検しましょう。
故障している場合は、すぐに大家さんか管理会社へ連絡を入れることが必要です。
 
4.ガス・電気・水道の使用開始の連絡をする
新居に置いてある、電気・水道の「入居連絡用ハガキ」に必要事項を記入してポストに投函しましょう。
ハガキが見あたらない場合は、最寄りの各営業所に連絡してください(通常、電気・水道はすぐに使用できます)。
また、ガスはあらかじめ予約しておいた日に立ち会い、ガス会社の人に開栓してもらう必要があります。
 
5.掃除・ゴミの処理をしておく
引越し当日は、簡単な掃除や片付けができるよう、雑巾やゴミ袋を用意しておきましょう。
荷物を搬入した後には、建物の玄関や廊下を散らかしていないか、チェックを忘れずに。

引越し後に必要なこと
1.役所に転入届の手続きをする
転入届の手続きは、市区町村役場で行います。その際、あらかじめ交付を受けておいた転出証明書と印鑑を忘れずに持っていきましょう。
 
2.運転免許証の住所変更を行う
新住所の所轄の警察署で手続きを行いましょう。運転免許証とその他保険証などの身分証明書を持参することを忘れずに。
 
3.車庫証明の手続きを行う
新しい車庫(または駐車場)が確保できたら、新住所の所轄の警察署で手続きを行う必要があります。
自宅に車庫がある場合は、見取り図・配置図、印鑑を持参。
自宅以外に駐車場を借りる場合は、見取り図・配置図、印鑑のほかに駐車場の管理者が発行する「使用承諾書」が必要です。
※警察署により異なる場合があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
 
4.銀行口座の住所を変更する
住所が変わるので、取引銀行の支店の窓口に届け出る必要があります(通帳と印鑑<通帳印>が必要です)。
 
5.クレジットカードの住所変更をする
クレジットカードの裏面に記載されている連絡先に電話をし、住所変更用の届出用紙を郵送してもらいます。
これに、必要事項を記入して返送する必要があります。
インターネットでできる場合もあるので、カード会社のホームページなどで確認するといいでしょう。

引越しのときのゴミはどうやって処分する?
新居への引越しの際には、大量の不要品やゴミ・粗大ゴミが出ます。
引越し前後はさまざまな準備や手続きで忙しく、不要品は引越し直前にまとめて回収会社に引き取ってもらったという人も少なくないのではないでしょうか。
 
しかし、不要品の処分方法はそれ以外にも存在します。前もって計画的に処分すれば、お金になったり喜んでもらったりと、余計なゴミを出さずに済むかもしれません。
 
それでは、不要品の処分方法と選び方についてご説明します。

「捨てる」の前に「売る」「あげる」
引越しに伴って出てきた不要品を、すぐ捨ててしまうのはもったいないことです。捨てる前に、誰かに「売る」「あげる」という選択肢を考えましょう。
 
自分は「もういらないかな?」と思うような品物でも、実は単に使わなくなっただけで、汚れたり壊れたりしていないこともありますよね。
たとえば、子供用の服はすぐに着られなくなってしまいますが、服のサイズに合う子供は常に存在するわけです。そうした子供を持つ親にとっては、不要品ではありません。
自分たちにとっての不要品が、他人にとっては欲しいもの、ということもあるのです。
 
まず「売る」を検討しましょう。リサイクルショップやインターネット上のオークションサイトなどを利用すると、自分でも思いがけないほど高く売れることがあります。
引越し前後は出費が多くなりがちですから、不要品を少しでも売ることで、住宅費用や引越し費用の足しになるとうれしいですね。
 
お金にはなりませんが、「あげる」手もあります。家族や友人・知人といった近しい人に「○○はいらないか」と尋ねて、欲しがっている人にあげてしまいます。
家具や電化製品のように持ち運びが難しいものは、運送費がかかる場合もありますが、費用負担はもらう側との相談になるでしょう。
 
「あげる」の中には、寄付も含まれます。タオルや服などをはじめ、世の中には生活必需品が十分に手に入らないで困っている人がたくさんいます。
捨てたりお金に換えたりする代わりに、寄付するのも、気持ちいいものです。ただし、その場合は使う人のことを考えて、充分使えるものを選びましょう。

三種類の処分先
売ることもあげることもできない不要品については、何らかの形で処分(廃棄)することになります。
自治体によりますが、処分先はおおむね「自治体の粗大ゴミ処分サービス」「民間の不要品処分会社」「引越し会社」の三種類に分けられます。
 
「自治体の粗大ゴミ処分サービス」を利用すると、安く不要品を処分できるメリットがあります。ゴミに貼り付けるシールを購入する代金(数百円~千円程度)だけで済みます。
その代わり、回収日が限られるため、前もって申し込みを行う必要があります。直前の申し込みはほぼ不可能です。加えて、大量のゴミの引き取りはできないのもデメリットです。
 
民間の不要品処分会社ですと、回収日の融通が利く(引取日の指定ができる)ため直前の申し込みでも引き取ってもらえる可能性が高いです。
その一方で引き取りの値段は数千円から数万円になることもあり、しかも会社によって大きな差があります。日程に余裕があれば、複数の会社から相見積もりを取って比較することをおすすめします。
 
もう一つの手段として、引越し会社に不要品の引き取りをお願いする手があります。当然、引越し当日だけの引き取りになりますから、お願いできる数は限られます。
引越しの見積もりを取るときに、併せて交渉してみるとよいでしょう。

処分先選びは適材適所で考える
不要品の最適な処分方法は、引越し日までの期間によって異なります。
 
安く処分したいのであれば、引越しの数カ月前から処分計画を立てて「売る」「あげる」を進め、残ったものだけ自治体の粗大ゴミ処分サービスを利用するのがベストです。
時間と計画性さえあれば、ほとんどの不要品をこの方法で処分できます。
 
もしも引越し直前になって、一人で持ち運びができないような大きな品物を処分することになった場合は、民間の不要品処分会社を利用することになります。
引取日や引取可能品の融通が利きます。ただし、前述の通り値段は高いので、あくまで「最後の手段」とします。
場合によっては、引越し先に持っていってからそこの自治体の粗大ゴミ処分サービスを利用することも考えておきましょう。

不用品・大きなゴミの処分について
引越しの際、処分に困るのが不用品や大きなゴミです。そのまま捨てられる物もありますが、大きな物や特殊なものは、自治体や専門会社に引き取ってもらう必要が出てきます。
また、捨てる以外にも「売る」「あげる」という選択肢があるので、前もって準備が必要です。

まず「売る」か「あげる」かを考える
まずは、捨ててしまう前に不用品を「売る」か「あげる」かを考えましょう。
後述しますが、処分するときはお金がかかるケースが多いので、できるだけ売るかあげるかした方が有効活用できて、経済的にも助かります。
 
個人で手軽に手持ちの商品を売る方法の一つに、インターネットショップやインターネットオークションの利用があります。
あとはオーソドックスに、リサイクルショップや専門の買取り会社に依頼するというやり方でしょう。
買い取りが難しそうなものや愛着があるものは、友人・知人にあげるという可能性を探ります。
友人・知人にあげるときは、相手の趣味・嗜好(しこう)に合いそうな物ならば直接連絡するのもいいですし、そうでなければSNSで呼びかけるという方法もありますね。
では、品物別に売り方を見ていきましょう。
 
【衣類・ブランド品】
衣類やブランド品は専門の買取り会社を利用する方法があります。
インターネットと実店舗の二種類がありますが、どちらも査定依頼して見積り金額を出してもらった後に、売却意思を確定します。
宅配買取りサービスを行っている会社もあるので、各社のサービス内容を見比べてみるといいでしょう。
 
【書籍類】
小説や漫画、写真集などの書籍類に関しては、古本屋に持ち込んでもいいですし、インターネットで売ることも可能です。
大手の古本屋では宅配買取りや出張買取りサービスなどを行っているので、時間がないときは便利です。
 
宅配買取りは、段ボール箱に書籍を詰めておけば宅配会社が取りに来ます。それを買取り会社が査定して、後日買い取りの見積り金額を知らせてくれます。
金額に同意すれば、振込みなどで支払いが行われ、完了となります。
ただし、希少品など、ある程度高額で売れそうなものは、個別にネットオークションに出品するという手段もあります。
 
【家具・家電】
家具・家電についても、リサイクルショップのほか専門の買取り会社が利用できます。
粗大ゴミ等で廃棄処分する場合は費用が高くなることがあるので、あてがあるならば知人・友人にあげた方が経済的です。

処分方法と費用について
さて、売ることもあげることもできない物は、廃棄処分するしか選択肢がありません。
一般家庭ゴミで捨てられる物であれば分別して捨てればよいのですが、大型の物は以下の処分方法になります。
引取り先ごとに見ていきましょう。
 
【自治体】
最も一般的なのが、市区町村などが行っている粗大ゴミの回収です。料金は大きさや種類によって異なりますが、おおむね数百円から1,000円程度のようです。
インターネットや電話で回収の申し込みをしたら、所定の収集シールを購入し、申込時に決めた収集日などを記入して廃棄物品に貼付します。
収集日に所定のゴミ集積所に置いておけば回収してくれます。ただ、手順やシールの購入先などは自治体ごとに違うので、必ずホームページなどで確認してください。
また、収集できないものもあるので、この点も確認してから申し込みましょう。
 
【民間処理会社】
民間処理会社とは、大型の家具・家電をはじめ不用品全般を引き取ってくれる不用品回収会社です。
この回収会社を利用する場合は、まず査定を依頼して、「買取り」「無料引取り」「有料引取り」のどれなのかが決まります。
「買取り」になれば、見積もりに応じた買取り金額を受け取ります。
 
「有料引取り」でも引き取り金額が見積もられるので、その費用を支払った上で物品を回収してもらいます。
見積もりによりますが、自治体の粗大ゴミ回収よりも高額になる可能性はあります。
 
【引越し会社】
引越し会社に引越しと一緒に不用品の引き取りをすることもできます。ただ、オプションサービスになるので、費用は高めになります。
 
このケースの最大のメリットは、ラクだということです。回収物の指示だけで引越しのときに一緒に持っていってくれるので、外に出しておくなどの準備もいりません。
ですから、重い大きな物でも住居を傷つけたりせずに済みます。また、別日に回収手配をしなくていいという点でもラクでしょう。

いずれも早めの依頼を
さて、このように不用品・粗大ゴミの処分方法はいろいろありますが、どれも前もって準備・手配しておくことが大切です。
特に自治体の回収は日にちが決まっているので、「明日・明後日回収」はほぼ無理です。
混み合っている場合は一週間以上先の回収になることも多いので、捨てると決めたら早めに手続きしましょう。
 
また、民間処理会社も繁忙期はすぐに来られない場合があるので、引越しが決まったらすぐに相談することをおすすめします。
引越し会社も内容の確認と見積もりの時間が必要なので、早めに依頼しましょう。

役所への届け出など新生活に必要な手続き
引越しが落ち着いたら、役所の手続きや公共料金の手続きを迅速に進めましょう。住所が変わることで、いろいろな手続きが必要となります。
「転居届」などの手続きをする
住まいの住所が変わるときには、どのような手続きが必要となるでしょうか。
 
【転出・転入の届け出】
同じ市区町村内で住所変更をする場合は、「転居届」の手続きが必要です。転居届は、役所の担当窓口一カ所で、一度の手続きで済みます。
一方、別の市区町村から引っ越してくる場合は、「転出」「転入」それぞれの届け出が必要になります。
転出は、以前の住所地の管轄役所で「転出届」を提出して、「転出証明書」を発行してもらいます。
転入は、新しい住所地を管轄する役所で、転出証明書を添えて「転入届」の手続きを行います。
転居届や転出・転入届をすることで、新しい住所地での住民基本台帳に登録され、各種行政サービスなどが受けられるようになります。
 
【国民健康保険の住所変更】
国民健康保険に加入している場合(自営業者など)は、住所変更が必要です。
同一市区町村以外への転居のときは、まず以前の住所地で「資格喪失」の手続きをして、健康保険証を返還します。
その後、新しい住所地の役所で「加入手続き」を行います。同じ市区町村内で転居するときは、国民健康保険の住所変更手続きをします。
 
【届け出の期限】
届け出には、それぞれ期限があります。転居届・転入届は、転入日(引っ越した日)から14日以内です。転出届は、転出日(引っ越す日)の14日前から届け出ができます。
国民健康保険も、転入日から14日以内に手続きをする必要があります。やや日数にゆとりがあるとはいえ、後回しにするとうっかり忘れてしまいますので、できるだけ早めに手続きをしましょう。

ライフライン・通信類について
新居で電気・ガス・水道を使うためには、自分で開始手続きをしなければなりません。
これらライフライン、通信類は引っ越し後すぐに使うものですから、しっかり確認しましょう。
 
【電気・ガス・水道の手続き】
電気・ガス・水道とも、旧居での使用停止とそれまでの使用分についての精算が必要になります。退去日の一週間以上前に、それぞれの事業者窓口に連絡しましょう。
 
新居での使用開始手続きについても、引越し日の一週間前には連絡をしておきましょう。
なぜなら、検査などの立ち会い予約が必要なケースがあるため、直前では使いたい日までに手続きができないことがあります。ゆとりを持って連絡することをおすすめします。
 
電気・水道は、連絡をすればブレーカーを上げる、元栓を開けるという作業は、大体使用者自身が行うことが多くなっています。
ところが、ガスは自分で開栓をすることができません。必ずガス会社の担当者が、点検と開栓を行うので、開始手続きの連絡をしたら立ち会い日を決めます。
ですから、ガスについては特に早めに連絡しましょう。
 
【電話・インターネットの移転手続き】
固定電話・携帯電話、インターネット、ケーブルテレビなども移転手続きが必要です。
電話またはインターネットから問合せ・申込みができますが、契約している会社や契約内容、移転前後での通信環境によって変更手続きの内容が違うので、各会社に確認しましょう。
また、春の引越しシーズンなど、混み合いそうな時期は、早めに連絡した方がよさそうです。事前に予約が必要となるため、引越し前に連絡をしておくと、入居後間を空けることなく利用することができます。
その他必要な手続き
意外と忘れがちなのが、免許証や銀行などの住所変更です。郵便物が誤って送られることのないよう、早めの手続きをおすすめします。
 
【運転免許証など】
速やかに手続きを済ませたいのが運転免許証です。
運転免許証の住所変更を済ませていないと、もろもろ発生する「本人確認」のときに、身分証明書として単体で使えなくなってしまいます。
手続きは、新住所の管轄警察署で行います。新住所での住民票を持参する必要がありますので、役所での転入届を行ってからの手続きとなります。
 
自動車を所有している人は、車庫証明の住所地の変更が必要です。変更の手続きは、免許証と同様、住所地を管轄する警察署で行います。
また、自動車検査証(車検証)の住所変更(変更登録)も必要ですが、こちらの手続きは、管轄自治体の陸運支局で行います。
 
【銀行や保険の住所変更】
銀行や保険会社にも住所変更を届け出ましょう。郵便物の配達の際に、新住所を連絡していないと大事な書類を受け取ることができないことがあります。
また、クレジットカードの住所変更も必要です。手続きをしていないと、カードの更新の際に転送されず更新できなくなってしまいます
保険の場合なら、年末の控除証明書が届かないことにもなりますので、速やかに手続きをした方がよいでしょう。
 
【郵便局への転居届】
郵便局への転居届も必ずしておきましょう。これにより、前の住所地に郵便物が送られてきたときに、自動的に新しい住所地に転送してくれるサービスを受けられます。
転送される日数分、郵便物が届くのが遅くなりますが、受け取れなくなるリスクはなくなります。
 
引越しで住所が変わると、このように多くの手続きをすることになります。役所から電気・ガスなどのライフライン、免許証やクレジットカードなどさまざまです。
後々不便がないように、事前にリストを作成して、届け出期限なども含めて一つひとつチェックしていくことをおすすめします。


引越し直後から快適に暮らすために
引越し後の整理は、その日のうちに済ますことはなかなか難しいものです。荷解きに時間がかかりすぎたり、足りない物が出てきたり……。
それでも、できるだけ普段の暮らしの状態にするためには、事前の段取りが重要になります。

部屋のレイアウトを決めておく
引越し後に、「荷物がいつまでも片付かない」ということがないように、あらかじめ部屋のレイアウトを計画しておくといいですね。
 
【まず何を置くか決めておく】
複数の部屋がある場合なら、どの部屋に何を置くのか決めておくと、引越しのときに荷物の搬入場所が指示できるため、スムーズに作業が進みます。
中には「取りあえず運んでもらって現地で一番よさそうな配置を決めよう」という人もいます。
それだと運搬スタッフの手が止まり、相当な時間のロスが生じます。迷った場合でも、いったんは置き場を決めましょう。
 
置き場所を決めるときには、搬入予定の家具などが問題なく配置できるか、部屋の寸法と家具の実寸を合わせて考えていきます。
これで、搬入時に現場で「入らない!どうしよう」というミスを防ぐことができます。
 
寸法を見るときに注意したいポイントは、「窓の大きさと高さ」です。
例えば、窓の横にタンスを置く予定の場合、図面では十分に置けるスペースがあると考えていても、実際に搬入したら、
タンスの方が大きくて窓に重なってしまったということがあります。
また、居室の腰高の窓は、図面からでは窓がはじまる高さ位置がわからないので、内見のときに確認しておくといいでしょう。
置きたいと思っていたチェストが窓を隠してしまう、というような失敗を防げます。
もう一つ注意しておきたいのが、「扉の開閉向き」です。開き扉の開く側は物が置けないデッドスペースになるので、それを忘れず配置を考えましょう。
 
【コンセント位置を確認】
部屋のコンセント位置を確認しておきましょう。自分が最も使いたい場所にコンセントが配置されているとは限りません。
しかし、テレビをはじめDVDレコーダー、パソコン本体と周辺機器、モバイル充電器など、電源を必要とするものをたくさん所有しているのが一般的でしょう。
コンセントの位置で、電化製品の置き場所決まってしまうことは多いので、その確認はとても重要です。また、必要に応じ延長コードを用意しておくことも忘れずに。

インテリアを準備する
新たにインテリアを考える人も多いと思います。まず簡単に部屋の雰囲気を変えるならば、照明やカーテンを変えてみるのはいかがでしょうか。
 
【照明・カーテンを準備】
引越し当日から必要となるものに、照明器具とカーテンがあります。メインとなる居室の照明は、多くの場合備え付けられてはいなので、自分で設置します。
特に新規購入するならば、あらかじめ部屋の大きさや自分のイメージに合うものを選びましょう。
 
また、カーテンがないと、入居後は「外から丸見え」という事態になってしまいます。事前に準備をして、引越し時に取り付けるのが理想的です。
もちろん、旧宅のカーテンをそのまま使ってもいいですが、新居の窓に合うサイズかを確認しておきましょう。
 
【家具・家電の購入】
新しく家具を購入する場合も、寸法の計測は必須です。
また、家電のうち、特に冷蔵庫と洗濯機は置き場所が固定されるので、必ずその場所に入る大きさの物を買いましょう。
配送手配は、引越し日時と重複しないようにずらして指定します。できるなら、引越しよりも前に搬入しておきたいところです。
 
【インテリアは予算を考えて】
新しい部屋は、お気に入りの空間にしたいと思うものですよね。ただし、イメージが膨らんで、欲しい物が増えた末の買い過ぎには注意しましょう。
「あれもこれも」と一度に買ってしまい、結局ゴチャゴチャになってしまった……、というのは割とある話です。
 
暮らしながらゆっくり考えて部屋作りをするのも楽しいものです。住み替えは、落ち着くまでにかなり費用がかかりますので、衝動買いをしないように心がけたいですね。
入居後すぐ使う物を準備する
引越し後すぐに使う物は、事前に搬入しておくと安心できます。また、準備し忘れることのないようにリストを作成すると、漏れがなくなるのでおすすめです。
 
【トイレ用品・掃除用具は引越し中にも必要】
トイレットペーパーや雑巾、モップ、ゴミ袋などは、引越し作業中にも必要なものですから、事前にそろえて使う場所に設置しておくといいですね。
引越しのときは、荷物がどんどん部屋の中に運ばれてきますので、作業の途中で荷物の中から掃除用具などを探すのは困難です。また、トイレはすぐに使う可能性があります。
トイレットペーパーは予備の分を含めて準備しておくといいでしょう。
 
【キッチン・バス用品は引越し直後から必要】
キッチン洗剤や洗濯用洗剤、スポンジなどは、引越し後すぐに使う可能性が高いです。
慌てて近くのコンビニまで買いに行く、なんていうことがないように事前に準備しておきましょう。
いつでも買えるからと後回しにしていると、うっかり忘れてしまうものです。
 
引越し日よりも前に家財類を運び込みたい場合は、賃貸借契約時の入居日を決めるときに、貸主側と調整する必要があります。
管理会社が再度室内を掃除してくれるなどの都合もあるので、確認しておくと間違いがありません。
また、事前に搬入しすぎると、引越し時の搬入作業の妨げになることも考えられますので、その点も考慮しましょう。

間取り図を見て新生活をイメージしよう
物件情報には、大抵間取り図が付いています。実は、この間取り図から得られる情報は、かなりたくさんあります。
これまで漠然と見ていた間取り図の見方を知ることで、そこでの新たな暮らしがイメージできれば、住まい選びに役立つでしょう。

間取りを表す用語の基本
物件の概要を説明する部分には、「1K」や「2DK」など間取りを表す表記があります
 
【K、DK、LDKの違い】
「K」とは「キッチン」のことで、「D」はダイニング、「L」はリビングを意味しています。
「DK」とは「ダイニング・キッチン」であり、「LDK」は「リビング・ダイニング・キッチン」のことを指しています。
 
【1Kなど数字と英字の意味】
では、「3DK」などの数字と英字の組み合わせは何を表しているかというと、「3つの個室」+「ダイニング・キッチン」があるという意味になります。
「3つの個室」とは、例えば、洋室が2部屋・和室が1部屋などです。「1K」は、「1つの個室」と「キッチン」があるという意味です。
 
【DK、LDKの区別について】
キッチンからつながる部屋となる「DK」・「LDK」の区別は、広さによります。
「不動産の表示に関する公正競争規約」(以下同規約)では、1部屋タイプは、
キッチンスペースを含めて4.5帖以上は「DK」、8帖以上なら「LDK」とし、2部屋以上のタイプなら、6帖以上は「DK」、10帖以上なら「LDK」としています。
 
「帖(畳)」とは畳(たたみ)のことで、畳の枚数により部屋の広さを表しています。同規約では、畳1帖あたり「1.62平方メートル以上」と定めています。
 
ちなみに、「坪」という単位がありますが、一般的に1坪は約3.3平方メートルとされています。従って、大体の目安として「1坪は2帖程度」とイメージできるでしょう。
ただし同規約では、土地や建物の面積を広告で表記する場合には、必ずメートル法によって表示することと定められているので、不動産広告では「坪」単位のみで面積表示されていることはありません。

生活動線を意識して間取り図を見る
間取り図を見て、そこでの暮らしをイメージしましょう。それには、生活動線を意識して、頭の中でシミュレーションしてみます。
 
間取り図を見ながら、具体的に普段の生活を頭の中で再現します。玄関から中に入り、靴を脱ぐ、収納する、荷物を部屋に置いて着替える、家事をするなど一つ一つ動線を確認します。
もしドアの表記があれば、ドアを開ける動作もイメージしてみましょう。どちら開きなのか、家具を置いたらドアが当たらないかなどをイメージすることができます。
 
部屋の広さをイメージすることは、なかなか難しいものですが、平米数表示の場合は、一辺の長さを大体算出できるので距離感がつかみやすいと思います。
間取り図が「帖」表示の場合、前述の定義に沿えば畳1帖(1.62平方メートル)の長辺は1.8メートル(短辺0.9メートル)になるので、そこから見当がつけられるでしょう。

家具の配置や生活スタイルをイメージする
手持ちや新たに買い足したい家財道具が、新しい住まいに全て入るかどうかをイメージします。家具や家電の長さを測って、前述で算出した部屋の長さにおけるかどうかを確かめます。
実際に借りたいと思う物件は内見時に直接確認できますが、その手前の候補物件の絞り込み段階ではこの方法が役立ちます。
 
そもそも生活スタイルと、間取りが合っているかも必ず確認しておきたい部分です。
狭くてもいいから家族それぞれの部屋が必要だという場合、部屋数はいらないから一つはゆったりできる大きな部屋が欲しいという場合、
またキッチンは独立した方がいいという人、仕切りのないカウンタータイプがいいという人など、広さや配置は暮らし方によって選択が違ってきます。
 
また、開口部の数や位置も忘れずに確認しましょう。
建物の方角や窓の位置も南側や東側にあると、朝から部屋が明るくなりますが、西側にしか窓がない場合は午前中には光が入りにくいことがあります。
また、西日が部屋の室温を上げてしまうことも考えられます。
 
ただ、間取り図からではどうしてもわからないことがあります。それは「高さ」です。天井高はあえて表記されていなければわからないので、この部分は内見時に確認することになります。
また「梁」の出具合や段差の有無などもわからないので、直接の確認事項になります。
 
まずは間取り図から得られる情報で、できるだけ自分の新たな暮らしをイメージしましょう。

快適に暮らすために居住ルールを確認しよう
地域にはそれぞれに居住ルールがあります。
それら居住ルールには、移り住んだ人にはなじむのに時間がかかるものもありますが、その地域の中で快適に暮らしていくためには、きちんと理解して覚えていく必要があります。
もっとも注意すべきゴミ出しルール
引っ越した先の居住ルールのうち、地域ごとに細かな違いがあるのが「ゴミ出しルール」です。
地域差が大きい一方で、以前から住んでいる住民にとっては「常識」なので、無意識のうちに間違えてしまうリスクが高いです。
ルールから外れたゴミ出しは目立ちますし公衆衛生に関わるだけに、守らない人に対してはすぐに改善の申し入れがなされる可能性があります。
 
ゴミ出しのルールは、ゴミの種類の分け方(燃えるゴミ・燃えないゴミなど)やゴミ袋の種類、ゴミを捨ててよい曜日・時間帯、
ゴミの置き方など、細かいところまで多岐にわたって決められていることもあります。
ルールに従っていないと、ゴミを回収してもらえないケースも多いのです。
 
引っ越したら、まずはゴミ出しルールについて書かれた自治体パンフレット、集合住宅の規約などを熟読するようにしましょう。
ごみ箱の近くやキッチンなど、目立つところにルールを貼りつけて覚えていくといいかもしれません。
 
ルールの中で不明点がある場合は、集合住宅であれば管理人、あるいは自治体の窓口に問い合わせて確認するようにしましょう。
地区によっては、思いもよらない「(文字になっていない)暗黙のルール」があるかもしれないので、注意しましょう。

騒音・臭い・自転車……その他注意するルール
ゴミ出しルール以外にも、注意すべきルールはたくさんあります。主に集合住宅内でのルールになりますが、守らないと住民同士のトラブルになる可能性があるので注意が必要です。
 
代表例は、騒音関係のルールです。たとえば「夜22時以降は洗濯機を使用しない」「楽器の演奏をしない」などと決められていることがあるのですが、住民の生活スタイルが多様化し、
深夜でも起きている人が増えているためトラブルにつながりやすいです。明文化されたルールがある場合は、甘く見ずきっちりと守るよう心がけましょう。
 
「臭い」もご近所トラブルになりやすい問題です。特に、喫煙ルールは厳格化される傾向にあるため、喫煙習慣のある人は「いつ」「どこで」「どのように」タバコを吸えるかチェックしましょう。
集合住宅の場合、廊下やベランダが禁煙になっているケースは増えています。
 
また自動車の駐車や自転車の駐輪についても、細かくルールが設けられているところが多く見受けられます。
そもそも駐車・駐輪に関しては有料である場合が多く、借りるには別途契約が必要になります。申込み時に細かなルールの説明があるはずなので、正しく理解して守るようにしましょう。

「迷惑をかけない」を意識する
結局のところ、引っ越してしばらくは「ご近所に迷惑をかけない」という意識で生活するのが無難だということです。
細かな居住ルールは、地域民が快適に暮らせるよう設けられているものですから、新たに転入したならば速やかに倣うことが基本的な姿勢となるでしょう。
 
もしも自分のそれまでの「常識」にこだわったり、ルールを軽視したりしていると、近所の人の目が厳しいものになって住み心地が低下してしまうかもしれません。
転居の際には、集合住宅や町内会、自治体が配布する規約、説明書の類いにはしっかり目を通すことをおすすめします。


近隣へのあいさつで安心・円滑なお付き合い
引越しのときには、近隣へのあいさつを忘れないようにしましょう。近所付き合いが少なくなっているとはいえ、隣にはどんな人が住んでいるか、自分としても相手側としても、
「なんとなく見たことがある」という程度では不安に感じてしまいますよね。きちんと顔を合わせておくことで、その場所での暮らしに安心感が生まれます。

近隣あいさつは早めに
引越しのときの近隣あいさつは、できるだけ早めに済ませた方が相手方に良い印象を与えます。引越し作業で音がうるさいなど、近隣には迷惑がかかるものです。
お互いさまとは言っても、実際にどのような迷惑がかかっているかはわからないものですし、全く気にしない人はなかなかいないものです。
 
近隣へのあいさつは、「顔を合わせる」という意味と、「迷惑をかける(た)おわび」という二つの意味を持っています。
実際に、丁寧にあいさつをされて気分を害する人はいませんから、今後の人間関係をスムーズにするためにおすすめです。
 
【引越し車両で道路をふさぐときは、最初にあいさつ】
引越しの車両で、道路をふさいでしまう恐れがあるときは、引越し作業が始まる前にあいさつをしておくことが理想です。
引越し先に車両を止められる広い駐車場があったり、建物の前の道路が広かったり、迷惑が最小限に抑えられるケースではない限り、
荷物を積んだトラックが道をふさいでしまうことがあります。
 
生活道路として一定の時間に車が通れなくなることや、向かいの家が車を出せないなど、不便を与えることになってしまいますので、
あいさつのときに「引越しの車両で道をふさいでしまう」ことや
「車両が邪魔になるときは声をかけてもらう」ことを必ず伝えておきましょう。
 
【事前にあいさつする家を決めておく】
あいさつをする家をあらかじめ決めておきましょう。アパートやマンションなど集合住宅なら、おおよその数は想定できますが、一戸建ては立地によって判断が難しいことがあります。
その場合は、住宅地図などで確認するといいでしょう。住宅地図は不動産会社からコピーをもらうことができるかもしれないので、尋ねてみるといいでしょう。
 
事前に決めておくと、もしも留守だったときに後でどのお宅にもう一度行けばいいのか、間違えにくくなります。

両隣と上下階へのあいさつが一般的
どこまでの範囲であいさつすればいいのか、迷うことがあるでしょう。よく「向こう三軒両隣」などと言いますが、引越し先の建物の種類によっても範囲が変わります。
 
マンションの場合なら、両隣と上下階にあいさつをするのが一般的です。
両隣にあいさつをするのは常識的なものですが、音の迷惑などを考えた場合、上下階にもあいさつをしておくと、トラブルを防ぐことにもつながります。
 
一戸建ての場合なら、両隣と向かい側の三軒へのあいさつが一般的ですが、立地条件などによっては、増える場合もあるかもしれません。
少し丁寧すぎる程度で想定しておけば安心です。
 
大家さんや町内会長さんへのあいさつが必要かどうかで、迷うこともあります。
大家さんがすぐ近くに住んでいる場合はあいさつをしておくことをおすすめしますが、離れた場所に住んでいるなら改めてのあいさつは省いてもいいでしょう。
 
また、町内会長さんへのあいさつは、引越し先の町内会の一般的なケースに沿うことでいいと考えられるため、お隣にあいさつしたときなどに相談してみてはいかがでしょうか。

粗品の用意について
あいさつに行くときには、粗品(手土産)を用意しましょう。特別に高価な品物である必要はありません。
洗剤やタオルや簡単な菓子などで、予算は1,000円前後が多いようです。菓子を用意するときには、日持ちのするもの、常温で置けるものを意識しましょう。
無難なものを選び、あまり個性を主張しすぎないものが理想です。
 
あいさつは、できれば家族全員で行くことが理想です。一目で家族構成がわかり、小さな子供がいるなら、もし騒がしくしてしまったときでも理解してもらえる場合もあるでしょう。
家族全員でのあいさつが難しいときは、家族構成を伝えておくといいでしょう。
 
あいさつに行っても留守のときは、時間帯を変えて再訪します。引越しは日中に行うことが多いですから、引越し作業が終わってひと段落ついてもまだ夕方前。
平日の場合、仕事や学校などで昼間は留守のケースが多くなります。夕方~夜の帰宅時間に合わせて訪問するなど、時間帯を工夫するといいでしょう。
 
ただし、在宅しているからといって、極端に朝の早い時間や夜の遅い時間に訪問することは避けましょう。できるだけ早くあいさつを済ませておくことが理想ではありますが、
相手の迷惑になる時間に訪問しては、悪い印象を与えかねません。
休みの日まで待つなど無理なく訪問できるタイミングを待つか、時間がかかりそうなときは、あいさつのメモを添えてポストに入れておく方法もあります。
その場合、不安がないように、粗品(手土産)は食べ物以外を選ぶことをおすすめします。
 
近所付き合いのために必要な引越し時のあいさつですが、女性の一人暮らしなどではかえって心配だという人もいるでしょう。
あいさつをするべきかどうか迷ったときは、不動産会社(管理会社)の担当者に相談してみるといいでしょう。
近隣世帯の家族構成や様子を把握しているならば、あいさつの可否をそれとなくおしえてくれるかもしれません。

町内会・自治会は加入必須?メリットは?
日本中の市区町村には、町内会・自治会などの組織があります。転居先で、町内会に入った方がいいのか、悩む人もいるでしょう。
まずは町内会・自治会の活動内容を知れば、そのメリットもわかってきます。

町内会・自治会とはどんな組織?
人は、周りの人と関わり合って暮らしています。それぞれの人が役割を持つことによって助け合い、さまざまな問題に対処してるのです。
町内会や自治会も、こうした目的で組織されており、同じ地域に住む住民が、それぞれに役割や活動を担っています。
 
どのような活動をしているか、どのような運営ルールがあるかは、各町内会・自治会によって異なりますが、どちらも任意団体です。
つまり、結成そのものが任意ですから、対象地域に居住しているとしても加入義務はなく、組織に加わるかどうかは、居住者の選択次第となります。
加入した後で退会することも自由です。ただし、組織ごとに独自の規定がある場合は、そのルールに沿うことが求められることがあります。
その場合でも、加入の可否判断はあくまでも居住者自身にあることは変わらないので、そのことは覚えておきましょう。

町内会・自治会の主な活動とメリット
町内会の一般的な活動と、加入することによるメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
 
【地域住民同士の交流】
町内会に入っていると回覧板などが回ってきて、地域の情報を知ることができます。また地域の催しの開催告知や参加募集などもあるでしょう。
自分がその地域に長く住むつもりで、地元に溶け込みたいと考えていれば、町内会に入ることで近隣の人々と関わりを持つ機会が増えます。
 
こうした機会を持つことで、住人同士の家庭事情などをある程度知り合うことができ、なにか手助けが必要なときなどは、スムーズに助け合うことができます。
家庭の情報を把握されることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、家族構成や年齢、持病や車の有無など、あらかじめ知っていれば、
いざというときの助けになることも町内会参加のメリットと言えます。
 
【子供会などの催し】
また町内会の他に子供会がある地域も多いです。子供会は自治会が運営母体となっているケースや、小学校の学区が基準となって保護者が持ち回りで運営しているケースなどがあります。
 
基本的には、地域の子供たちが楽しめるような行事を開催するのは、活動内容にの一つになります。夏休みのラジオ体操の実施も子供会が行う地域が多いでしょう。
 
会への加入は自治会と同様で任意です。対象は小学生以下の子供がいる世帯というのがほとんどです。
会費については、自治会費に含む場合もあり、またイベントへの参加には、別途子供の人数に応じた費用が集金される場合もあるので、確認が必要です。
 
【防災面での協力・訓練】
町内会では、火災や地震の発生時を想定した避難訓練や、防災のための日頃の備えを情報として共有しておくなど、もしものときのために安心かつ心強いというメリットがあります。
防災訓練ではお年寄りや障害者など、特別な助けが必要な住民を周知でき、誰がどう動き何が必要なのかを把握し合えれば、災害時の避難を想定しておくことができます。
 
また、日常の安全のために道路にガードレールやカーブミラーを設置してほしい、道路の陥没を修復してほしい、
崖崩れが心配な箇所を補強してほしいなどといった、公共の設備についての改善要望を、自治会として管轄の行政機関に提起することができます。
 
【治安面での協力活動】
町内会では例えば夜間の見回り(パトロール)や子供たちの通学路の見守り、清掃活動、外灯の設置要求、注意看板の設置など、地域の治安を良くする活動も行います。
安心・安全は、幸せに生活する上で欠かせませんから、こうした活動も重要です。

町内会加入のデメリットと留意点
それでも町内会は、昔よりも加入する人が減っているという実情があります。
では、町内会が敬遠される理由には、どのようなものがあるのでしょうか。加入するデメリットについても触れておきます。
 
【一定時間の拘束と労力の提供】
町内会に入ると町内会費を納めるだけではなく、各種活動・行事への参加も依頼されます。
また、ゴミ収集日のゴミ置き場管理・清掃当番などが回ってくることもありますし、夜間巡回をしたりすることもあります。役員職への要望もあるかもしれません。
仕事と家庭のことで手がいっぱいで、そのような活動に割く時間や余裕がない、と感じる人は多いようです。
 
【単身者の加入について】
単身者の場合は、町内会への加入メリットを感じない人が比較的多いかもしれません。特に賃貸居住ならば、
そのエリアに長く住むつもりはない可能性が高く、一人で気楽に暮らしたいという思いも想像できます。
その場合、参加のメリットよりも、活動そのものをデメリットに感じる人もいるようです。
 
【未加入世帯のゴミ出し問題】
町内会には、昔ながらの固い考え方をしている人もいます。
例えば、自治体(市区町村)には、家庭から廃棄されるゴミを処理する責任があり、従って人々は等しくゴミを回収してもらう権利があります。
ところがゴミ収集場所の設置・管理は町内会が行っていることが多いため、未加入者はゴミ出しをしてはいけないというルールが存在する場合があります。
中には、加入はせずとも掃除当番を担当する、管理費は支払うなど、弾力的な対応が可能な自治会もあるようなので、このような状況に遭遇したら、確認するといいでしょう。
 
【住む前に活動内容をチェック】
まずは住む前に不動産会社に付近の町内会の活動を聞いておきましょう。
活動内容を知った上で参加を望む人は積極的に加入すれば良いでしょうし、あまり町内会との関わりを持ちたくない人は、未加入の事例の有無とその状況を確認するといいでしょう。
加入を回避できそうになく、それをデメリットに感じるのなら、別のエリアで部屋探しを検討するのもありでしょう。
 
【町内会費が自動的に徴収されている可能性】
一例として、町内会費が賃貸住居の「管理費」や「共益費」に含まれている場合があります。
賃貸借契約時に、町内会などの話が出なかったなら、こちらから仲介不動産会社に聞いてみましょう。
 
また、アパート・マンションなどの賃貸集合住宅では、町内会費を貸主(オーナー)が負担してくれているケースがあります。
大抵は、加入・未加入の確認や考えの違いによる揉め事などを避けたいということが理由のようです。
 
町内会への加入・活動参加は地元との関わりを深め、防災や治安面で組織をして守られるなど、メリットが多くあります。
未加入でも、その恩恵を受けていることがあるかもしれません。
その地域の活動内容、加入・未加入のメリットとデメリットをよく考えて選択をしていきましょう。